和食検定 実務編




はじめに

世界中、どこの国にもその風土や自然環境に根ざした食文化があります。そして、その食文化に誇りを持ち、祝祭日、記念日や大切なお客様が来られたときには、丹精を込めて食事をつくり、心からのおもてなしをすることは世界共通の風俗習慣です。

幸いにも、山海の自然に恵まれ、長い歴史を持つ日本では、豊かな地域色と食材を基に、調理技術の向上とともに素晴らしい食文化が培われてきました。加えて、世界中の食材や食品が導入され、とりわけ洋食の影響を受け、和食も独特な進化を遂げています。

今や世界中の人々が異国を旅する時代となり、訪れる国の文化伝統に触れて、感動し、また次の目的地へと移動しています。日本を訪れる外国人の数も、政府の観光政策により2020年の年間目標4000万人に拡大しつつある中で、和食の人気度は、興味関心事のつねにベスト3にあげられております。

しかしながら、我々日本人がどれだけ和食のことを知り、どれだけ人々に説明できるでしょうか。洋食が普及した昨今、若い人々の和食離れも起きています。他国民と同じように、日本人が日本人として世界に出て行ったときには、和食文化の素晴らしさを誇りを持って紹介できるようにしたいものです。自国の伝統文化に誇りを感じる日本人は、外国人からも国際人としでの日本人として評価され尊敬されます。

従って、和食に携わる業界人のみならず、世界に立ち向かうすべての日本人が、自国の伝統文化、とりわけ和食文化に興味関心を抱き、コミュニケーションの一つ、また話題の一つとして取り組んでもらいたいと思います。こうした願いを基に、和食検定を立ち上げました。

和食の理解、そしてその接遇は、そのほとんどが先人の自らの学びの中で培われ、長い年月の中で伝承されてきました。それなりに洗練されたものがあり、尊重すべきものですが、一方において、時間を掛けてじっくりと人を育てる時代も過ぎ、効率的な人材育成が必要とされる時代となってきています。これまでに培われてきたノウハウを、次世代に正しく効率的に多くの人々へ継承するためには、実務知識の文章化、そして体系化が必要になってきます。

和食検定は、必要とされる基本知識と専門知識、実務の技術を体系的に学ぶために、以下を三大目的とし、入門編・基本編・実務編に大別し、編集しております。

(1)和食文化の正しい理解と継承
(2)日本古来のおもてなしを中心とした業界人のレベルアップ
(3)日本文化の魅力を国内外に発信できる人材の育成

入門編は、和食文化についての基本的な事柄を解説しています。幅広く内外の若い人々や一般の人々を対象に、日本語と英語を併記して和食学習への導入教材となるものです。基本編では、日本料理に関する理解と食材や食事作法などの知識を深めます。これは、和食業界の新入社員を含め、この業界を目指す学生、また業界関係者に限らず、和食への造詣を深めたいという社会人一般の方々も対象とした内容にしています。

実務編は、和食接遇の実務経験を1年以上有し、その経験をベースに部下を指導、育成しながら、マネジメント意識を育む段階に入った方々を主な対象とした内容です。接遇のポイント、着物の知識や和室での振る舞い、これにマネジメントの基本知識を学びます。

試験では、その習得度により入門編は初級レベルの3級、2級、1級、基本編と実務編は基本しベルと実務レベル共に2級と1級とにレベル分けがされています。また、接遇実務者であれば現場で、一般の方であれば国内外で外国人の方とコミュニケーションをはかる際に、日本が誇る文化としての和食を正しくお伝えできるように、それぞれの編に英語での学習を組み込んであります。

和食の捉え方としては、多面的な見方があり解釈もさまざまで、実務の面でもそれぞれにやり方や考え方がありますが、本書は多くの業界有識者の知識や知恵を頂戴し、業界関係者の人材育成、そして一般の方々の啓蒙、さらに国際文化交流の一助となることを念願し、まとめています。自己啓発の一つとしてご活用ください。なお、本書制作にご協力いただいた方々に感謝するとともに、和食に造詣の深い方々のご指摘、ご意見を頂戴できれば幸いです。

2017年春
一般財団法人日本ホテル教育センター
理事長 石塚勉

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2011/10/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに
和食検定実施要領

第1章 振舞
1日本料理の接遇I
(1)日本料理のサービスのスタイルと注意点
1)カウンター席でのサービス
2)テーブル席でのサービス
3)座敷でのサービス
4)個室でのサービス(和個室、洋個室)

(2)サービスの基本
1)第一印象
2)身だしなみ
1心構え
2基本
3身に付けておくべきもの

3)言葉遣い
1教養と品格を表す
2接客係同士のやり取り
3声の調子や早さ

4)笑顔と表情
1笑顔はサービスの基本であり原点
2表情は目と口が作る
3表情と声の関係

5)お辞儀とごあいさつ
1お辞儀とは何か
2お辞儀の仕方
3ごあいさつの注意点
4ごあいさつの言葉

6)態度と姿勢
1正しい姿勢
2気を付けたい態度
3立つより返事
4待機

7)安心・安全・清潔

(3)サービスの実践
1)目配り、気配り、心配りの心遣い)
2)お客様の気持ちを読み取る
3)見届ける、気持ちを残す
4)手際のよさ
5)サービス順序の把握
6)料理のタイミング
7)料理サービスのときの注意ポイント
8)料理説明のときの注意ポイント
9)灰皿の取り替え
10)長手盆(脇引)、丸盆(通い盆)の使い方
11)商品知識を身に付ける
12)サービス=セールスの概念
13)引き継ぎ
14)各部署、同僚とのコミュニケーションの重要性
15)その他

(4)お出迎えからご案内までの実践
1)待機
1待機の重要性
2待機の姿勢と視線
3待機の場所

2)ご来店を喜ぶ気持ちの表現

3)ご案内から着席までの流れ
1ご案内の仕方
2荷物への配慮
3どのお席へご案内するか
4お客様の状況や情報をつかむ
5着席の手助け
6化粧室へのご案内
7お客様とすれ違うとき

(5)お席でのサービスからお見送り
片付け、伝票まで
1)おしぼり
1おしぼりの準備
2おしぼりの出し方

2)メニュー
1メニューの考え方
2メニューの出し方

3)ご注文の承り方
1タイミング
2お客様のご要望に対するご説明の仕方
3料理紹介の重要性
4コース料理のご注文
5アラカルトのご注文
6ご注文を伺うときのポイント

4)オーダー伝票
1記入時の注意点
2伝票を通すときの注意点

5)セッティングの基本

6)飲み物のご提供
1飲み物の提供時に注意すること
2アルコール類
3ソフトドリンク類
4追加オーダーの取り方
5ボトルでのご提供
6お茶のご提供

7)料理のご提供
1料理のご提供の仕方
2料理の説明
3料理提供時のポイント
4デザートの提供

8)お会計
1お会計の流れと注意ポイント
2キャッシャー(レジ)でのお会計
3テーブルでのお会計(テーブル・チェック)
4領収書

9)お見送り
1お食事が終了した席へ目を配る
2注意点
3お見送りの重要性
特別なお見送り

10)片付け
1テーブルのチェックと片付け
2ダスターの使い方

11)洗い場への下げ方
12)プリケージの処理

(6)専門料理のサービス
1)すし
2)しゃぶしゃぶ
3)すき焼き
4)天ぷら
5)鉄板焼き

(7)バックヤードでの仕事
1季節やお席に合わせた備品の出し入れ
2おしぼり
3おしぼり受け
4布ナプキン
5ダスター
6黒文字
7シルバー類
8カスター・セット
9カセットコンロ、IHクッキング・ヒーター
10伝票類
11灰皿
12茶托
13お盆
14天紙、半紙
15献立とお品書き

2日本料理店での接客用語
(1)普段の心掛け
1)職場内でのあいさつ
2)正しい言葉遣い
3)わかりやすい言葉遣い
4)感じのよい言葉遣い
5)言葉は感情の表現

(2)接客八大用語の理解
1いらっしゃいませ
2ありがとうございます
3申し訳ございません
4はい、かしこまりました
5恐れ入ります
6失礼いたします。
7少々お待ちくださいませ
8お待たせいたしました

(3)敬語の種類とポイント
1尊敬語
2謙譲語
3丁寧語
4クッション言葉(マジック・フレーズ)
5陳謝の言葉

(4)接客用語
(5)気を付けたい接客フレーズ

3着物の知識と振る舞い
(1)着物の知識
1)着物の基本的な知識
1制服としての着物
2着付けに必要なもの
3衣替え
4帯揚げ、帯締めなどの色合わせ
5たたみ方と手入れの仕方

2)着付けのポイント
1センスある上品な着付けのポイント
2衿元
3おはしょりの長さと始末
4裾の丈と形
5背中の中心線
6帯の形、大きさ
7帯締めの結び方
8帯揚げの結び方
9足袋と草履

(2)振る舞い
1)振る舞いのポイント
1歩き方
2立ち座り
3お辞儀(立礼)
4袂の処理

2)勤務中の注意点
4和室の知識と振る舞い

(1)日本人の礼儀作法
1)礼儀作法の成り立ち
2)マナーとエチケット、礼儀作法

(2)和室の知識
1)和室
2)畳
3)床の間
4)機
5)障子
6)欄間
7)鴨居・敷居
8)脇息
9)掛け軸
10)花
11)上座・下座
12)座布団

(3)姿勢と動き
1)低い姿勢が基本
2)跪座と膝行膝退
3)立ち方・座り方
4)座敷での歩き方
5)お辞儀の仕方(座礼)
6)ごあいさつの仕方
7)襖の開け閉て
8)物の受け渡し

第2章 伝心
1日本料理の接遇Ⅱ
(1)予約対応
1)声で伝える第一印象
2)電話応対
3)情報収集
4)予約内容の確認
5)情報の発信と共有
6)予約確認

(2)開店準備
1)予約客の情報による事前準備

2)予約台帳の確認
1特に注意すべきポイントのトピックアップ
2予約件数と人数
3宴席の種類
4会社名
5テーブル・セッティング

3)清掃、整理整頓
4)セッティング

5)店内、室内のチェックポイント
1空調
2照明
3BGM
4清掃
5整理整頓
6花や観葉植物
7テーブルセッティング
8玄関先
9スタンバイ関係

6)開店前のミーティングの重要性

(3)特別なお席での準備とサービス
1)接待席
1幹事との事前打ち合わせ
2お出迎え
3荷物、お召し物への気配り
4お料理をサービスするときのポイント
5お会計、お帰りに際しての配慮

2)お祝い席
1結納のお席
2それぞれのお祝いに合わせた演出

3)法要の席

4)団体席
1周りのお客様への配慮
2事前準備
3提供時のポイント
4追加注文への対応
5お会計・お帰りに際しての配慮

(4)時間帯別のサービス
1)朝食
1開店準備
2お客様のご来店
3お客様のお席での対応
4料理出し
5食事終了
6お客様のお帰り
7朝食営業の終了

2)昼食
3)夕食

(5)それぞれのお客様への対応
1)常連・顧客
1顧客作りの重要性
2顧客情報の収集
3顧客情報の活用
4顧客情報の管理
5アップダウンのない対応
6お客様の心理

2)お客様の年齢層による心遣い
1お子様連れのお客様
2妊婦のお客様
3年配のお客様

3)障害のあるお客様
1聴覚障害のあるお客様
2視覚障害のあるお客様
3盲導犬を伴ったお客様
4肢体に不自由のあるお客様

4)食物アレルギー、食事制限、宗教上の制約
1食物アレルギー
2食事制限
3宗教上の制約
4ベジタリアン

5)外国人のお客様

6)館内、周辺地域の情報提供
1情報の収集と発信
2館内の情報提供
3交通機関の情報提供

(6)顧客管理
1)顧客満足度を高める
1顧客満足とは
2顧客満足度を高める要素
3従業員満足度を上げる
4従業員も仕入れ先も顧客

2)情報の共有
1お客様をお迎えする体制づくり
2情報の伝達
3ミーティングの重要性

3)ボトルキープ

4)お礼状、時候のあいさつ状
1初来店時のお礼状
2時候のあいさつ状

5)名刺交換
1名刺交換の意義
2名刺交換の仕方

6)ご紹介の仕方
7)責任者のごあいさつ
8)お客様の声

9)お待ちいただく場合の心遣い
1来店時にお待たせする場合
2ホテル内の店の場合

2安心・安全
(1)整理・整頓・清掃・清潔(クレンリネス)
1)飲食業におけるクレンリネスの効果
1食の安全を守る
2集客
3業務の効率化
4新たなサービスの誕生
5不良在庫の削減
6危険防止・事故防止
7経年劣化の防止
8従業員の成長と愛着

2)クレンリネスにおけるお客様の視点
3)クレンリネスの視点

4)クレンリネスの基本要素
1Dry(ドライ)=乾燥
2Shiny(シャイニー)=輝き
3Orderly(オーダリー)=整理整頓

5)清掃のポイント
1スケジュール化とマニュアル化
2掃除箇所と手順
3チェックポイント

6)修繕・修理
7)バックヤードのクレンリネス

(2)危機管理
1)食品衛生と安全
1衛生管理
2食中毒対策
3食中毒の種類

2)防災・防犯
1防災
2防犯

3)クレームとコンプレインのマネジメント
1クレーム(苦情)とコンプレイン(不満)
2クレーム対応の原則
3クレームを生かす
4代表的クレーム
5クレームに使われる言葉
6クレーム対応の基本話法

4)個人情報の保護
1個人情報保護の背景
2個人情報とは
3飲食店での管理
4適用除外
5個人情報保護意識を高めるために

3店舗運営・管理(Management)
(1)店舗の運営・管理
1)マネジメントの定義と活動

2)店長・店舗マネージャーとは
1店長・店舗マネージャーの定義
2店長・店舗マネージャーの業務

3)マネジメントの組織と役割
1ピラミッド型組織
2フラット型組織

4)2つのマネジメント

(2)飲食店のマネジメント
1)サービス業の特性

2)お客様の支持の獲得
1QSCの維持と発展
2CS(顧客満足)とES(従業員満足)
3顧客管理

3)マネジメント・サイクル
1計画(plan)
2実行(Do)
3評価(Check)
4修正(Action)

(3)計数管理
1)会計年度と財務諸表
2)損益計算書の知識

3)売り上げ
1売り上げ
2売上計画
3売り上げ増加の施策
4売上管理
5売上伝票の管理

4)利益
1売上総利益
2営業利益
3経常利益
4税引き前利益
5当期利益

5)費用(コスト)
1売上原価(原材料費/原価/Food&Beverage Cost)
2仕入れと管理
3人件費(レイバー・コスト/Lコスト/Labor Cost)
4一般管理費
5損益分岐点

(4)マーケティング
1)マーケティングの必要性
1マーケティングの基本概念
2マーケティングのステージ

2)マーケティング調査・分析
1PEST分析
23C分析
3SWOT分析
4STP分析
5ファイブフォース分析
6ABC分析
720対80の法則
8マトリクス分析

3)マーケティング・ミックス
1商品開発
2価格
3流通・販売チャンネル
4プロモーション/コミュニケーション

4)情報化
5)CRM

(5)改善・提案
1)製造業の品質管理改善
1PDCAサイクル
2TQC

2)問題の特定
1ギャップを知ること
2問題のタイプ

3)問題の設定
1視点の発見
2定量化
3問題点の発見

4)解決策の見つけ方
5)改善策の提案実行
6)フールプルーフ
7)フェイルセーフ
8)気づきによる改善チェックリスト

(6)人材教育
1)教育のポイント
1オリエンテーション
2受け入れ態勢
3マズローの欲求5段階論
4教育、訓練、しつけ
5O.J.T/OFF-J.T/S.D

2)トレーニング実施のポイント
1教え方
2気付きによる訓練
3後輩とのコミュニケーション

(7)基本理念の共有・浸透
1)基本理念とビジョン、目標の関係
1経営理念
2ミッション
3ビジョン
4経営目標
5社是・社調
6行動指針
7規則(ルール)

2)クレド

(8)指導者としての役割
1)指導者(リーダー)

2)リーダーにふさわしい能力
1イニシアチブ
2バイタリティ
3影響力
4説明力
5感受性
6把握力
7分析力
8表現力
9計画、組織力
10統制力
11多様性への対応力

3)コーチング

4)メンバーの伸ばすべき基本能力
1Action
2Thinking
3Team work

(9)プロフェッショナル意識
1)優良店、一流企業を体験する
2)教養とセンスを身に付ける
3)高級・一流のキーワード

(10)労働関係法規
1)労働基準法
2)労働関係調整法
3)労働組合法
4)就業規則
5)パート・アルバイトの労務管理のポイント
6)業務上災害(業務災害)

第3章 和食応用英語
和食実務英会話
(1)日本文化の理解に向けて
(2)箸についての説明
(3)器についての説明
(4)食材や調味料、調理方法などの分かりやすい説明
(5)料理の食べ方の説明
(6)日本料理の特徴の説明
(7)歳時記・伝統文化と日本料理
(8)着物についての説明
(9)和室についての説明

和食検定・実務編・練習問題/解答
第1章振舞
第2章伝心
第3章和食応用英語
解答

参考文献
索引

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2011/10/1)、出典:出版社HP

和食検定実施要領

1検定試験の趣旨

2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録され、和食は世界的に注目を集めている。その中で、日本の持つ固有の食文化やおもてなしの精神の素晴らしさを再認識し、和食と和食文化を普及、教育、改善、保護、継承していくための努力が広く求められている。

また、2013年に訪日外国人旅行客が1000万人を超え、観光庁のビジット・ジャパン・キャンペーンの取り組みに沿って、海外の方々へ正しい知識を広めていくことも重要な課題の一つである。日本の観光資源に対する関心の高まりを受けて、接遇の現場においても、日本の伝統的な食を通した国際文化交流の窓口としての努力を始める必要がある。

本検定制度は、日本の食文化を正しく理解し、正しく伝えるための基礎知識の普及と、和の食文化を継承、発信していくために必要な専門知識と実務知識の理解度を測るものである。具体的には、(1)和食文化の正しい理解と継承(2)日本古来のおもてなしを中心とした業界人のレベルアップ(3)日本文化の魅力を国内外に発信できる人材の育成以上の3点を目的としている。

和の食文化に対する興味、関心を高め、その普及と継承への意識を向上し、また業界の人材育成に寄与するため、多くの関係者の協力を得ながら、一般財団法人日本ホテル教育センターが実施する。

2検定試験の特徴

(1)和食の基本知識から和食接遇に関する実務知識を幅広く習得できるように配慮した。
(2)和食に関する基本知識、和食接遇に関する現場での実務知識、キャリアアップに向けた専門知識を3つの大きな柱とした。
(3)和食検定初級レベルは和の食文化のベースとなる基本的な知識を習得するための学生、外国人、一般の方を対象としている。
(4)和食検定基本レベルは和食に興味、関心を持つ一般の方から実務経験者までを対象としている。
(5)和食検定実務レベルは実務経験者を対象としている。
(6)公式テキストである入門編(初級レベルに準拠)、基本編(基本レベルに準拠)、実務編(実務レベルに準拠)ともに、英語で和食や日本の文化を紹介するための学習を組み込んだ。特に基本的な知識を学ぶ入門編は日英併記版とした。
(7)和食検定は、一般財団法人日本ホテル教育センターが認可する制度である。

3検定試験の名称および本部

(1)名称 和食檢定
(2)検定本部
一般財団法人日本ホテル教育センター和食検定本部
〒164-0003東京都中野区東中野3-15-14
TEL(03)3367-5663
FAX(03)3362-5940

4検定試験の内容および範囲

(1)内容
和食文化の基本知識、和食接遇における実務知識習得の目標達成度を測定する。

(2)範囲
初級レベルはマークシート方式による4択問題とし、100問を出題する。
基本レベル、実務レベルはマークシート方式による4択問題とし、合計200問とし、合計200問を出題する。

(3)認定基準
初級レベルは1級、2級、3級ともに共通問題を使用し、全体の正解率による認定級を設ける。基本レベルと実務レベルは、それぞれ1級、2級ともに共通問題を使用し、「2級」は各区分の正解率が60%以上、かつ全体の正解率が65%以上。「1級」は各区分の正解率が80%以上、かつ全体の正解率が85%以上とする。

それぞれのテキストでの学習内容
実務編テキスト:和食サービスから店舗運営までの専門知識と実務知識を学び指導力を培います。
基本編テキスト:和食の実務に必要とされる基本的な知識を体系的に幅広く学び、プロとしての意識を高めます。
入門編テキスト:和食を生み出した日本の食文化についての初歩的な知識を日英併記版で解説します。

5受験対象者および評価基準

(1)初級レベル
1受驗对象者 希望者全員

2評価期待基準
a和食と和食文化の成り立ちに関する初歩的な知識を持っている。
b身近な食の慣習や食習慣などの意味合いを理解している。
c和食の特徴を理解し、和の食文化継承への高い意識を持っている。
d英語による和食文化発信の重要性を理解している。

(2)基本レベル
1受験対象者 希望者全員

2評価期待基準
a日本料理の基本的な歴史、概要を理解している。
b日本料理の特徴を理解している。
c日本料理の食材の知識を持っている。
d日本料理のしきたりを理解している。
e日本料理に欠かせない器や日本酒などの基本知識を持っている。
f会席料理の食事作法を理解している。
g異文化の食事作法を理解している。
h接遇に必要な基本英語、食材や料理の単語の知識を持っている。

(3)実務レベル
1受験対象者 基本レベル1級または2級の認定を受けた方。

2評価期待基準
a日本料理の接遇の基本を理解している。
b着物に関する基本的な知識を持っている。
c和室に関する基本的な知識を持っている。
d時間帯や顧客などによる様々な対応の基本を理解している。
e接客用語を理解している。
f安心安全に繋がる基本的な知識を持っている。
g店舗運営に関する基本的な知識を持っている。
h接遇や食文化を説明するために必要な英会話の知識を持っている。

6受験の手続き
試験は以下の手続きにより行われる。

(1)定期試験日
年2回、2月、10月に実施する。実施団体には、事前に受験マニュアルを送付し試験案内を行う。

(2)試験会場
原則として検定本部が指定した場所とする。

(3)試験時間
初級レベル:60分基本レベル/実務レベル:90分

(4)出願方法
財団HP(wwwjec-jporg)でご参照いただくか、あるいは和食検定本部までお問い合わせください。

(5)受験者の心得
・日本料理の接遇に焦点を当てた試験である以上、おもてなしの精神を有する受験者であることが絶対条件である。よって、受験にあたり、服装や身なりにおいても、試験官によってふさわしくないと判断された場合は受験できないものとする。
・受験に必要なものとして、筆記用具(鉛筆またはシャープペンシルHB以上のもの・消しゴム)と受験票を用意すること。
・指定された時間前に着席して筆記試験を待ち、約10分間の説明後、試験が開始される。解答は、選択肢の中から選び、その番号を解答用紙に鉛筆で黒く塗り潰すマークシート方式。間違った番号を選択した場合は、丁寧に消しゴムで消さないと重複解答と見なされ、間違いと判断される。
・交通事情等により、著しく時間を変更せざるを得ないケースが生じた場合、検定本部の指示により時間変更を行うことがある。

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2011/10/1)、出典:出版社HP