ふぐ処理者認定試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)

ふぐ処理者の概要
「ふぐ処理者」は、フグの毒による食中毒を防ぐために、フグの種類を見分け、有毒部位を適切に除去できる者として、都道府県知事等に認められた人を指します。厚生労働省の整理でも、ふぐ処理者は都道府県知事等が認める者であり、処理時の留意事項を守って食中毒防止に努める責務があるとされています。
日本では、フグ毒(主にテトロドトキシン)による食中毒や死亡例が毎年発生しており、厚生労働省は食べられるフグの種類・部位・漁獲海域を定めています。また、肝臓など有毒部位の販売・提供は食品衛生法上禁止されており、安全な提供のために専門の処理者が重要な役割を担っています。
ふぐ処理者の認定は、現在は国の認定基準を踏まえつつも、各都道府県等の条例・規則に基づく認定制度として運用されています。厚労省は2019年に認定基準を示し、都道府県ごとの差を小さくして、知識・技能水準の全国的な平準化を図る方針を示しました。あわせて、認定に必要な知識・技術は、実務経験だけでなく試験で確認することを求めています。
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今はふぐ調理師とは言わない?
今はふぐ調理師とは言わなくなっています。
会話や古い案内ではまだ見かけることがありますが、現在の正式名称としては自治体ごとに読み替えが必要です(東京なら現在は「ふぐ取扱責任者」)。
いまの全体像
国の側(厚労省)は、フグの衛生対策や「ふぐ処理者」の認定基準(通知・ガイドライン)を示しています。厚労省ページでも、国内では都道府県知事等が認めた専門のフグ処理者により調理されたフグが提供されると説明されています。
一方で、実際の資格名・免許/登録の仕組み・施設要件は自治体条例ベースです。つまり、昔から通称的に「ふぐ調理師」と言われることはありますが、正式名称は地域によって異なります。
名称の違い(代表例)
東京都:現在の条例上の名称は 「ふぐ取扱責任者」 です(東京都条例の定義にもこの名称が出てきます)。東京都条例では、ふぐ取扱責任者の免許、試験、ふぐ取扱所の認証などが規定されています。
さらに、東京都内の案内では、令和5年4月1日(2023年4月1日)から「ふぐ調理師」→「ふぐ取扱責任者」に名称変更、旧免許証は新名称の免許証とみなされ、切替手続き不要と案内されています。受験資格(調理師免許・2年経験)も不要になった旨が案内されています。
大阪府:名称は 「ふぐ処理登録者」。条例でもその名称で定義され、業として従事するには知事登録が必要で、試験合格者等が登録対象です。
大阪府の案内でも、府内で業としてふぐ処理をする人は登録が必要で、令和4年4月1日から講習会制度→試験制度に変更されたと説明されています。
千葉県:名称は 「ふぐ処理師」。千葉県の案内では、知事免許を受けた「ふぐ処理師」が、認証施設内で取り扱う仕組みで、施設ごとに専任のふぐ処理師が必要とされています。
ふぐ処理者認定試験の概要
ふぐを安全に処理できる人かどうかを確認するための試験です。ふぐは有毒部位があるため、誤った処理をすると食中毒につながるので、専門的な知識・技術が必要です。厚生労働省の通知でも、ふぐ処理は「都道府県知事等が認める者」またはその立会いの下で行うことが前提とされています。
ポイントは、国(厚労省)が認定基準を示し、実際の試験・認定は各自治体(都道府県等)が行うという仕組みです。厚労省は、自治体ごとに要件がバラバラだった状況をならすために認定基準を作り、必要な知識・技術は実務経験だけでなく試験で確認すること、そして基準を満たす自治体同士では資格を原則受け入れる扱いにすることを示しています。
試験内容は大きく 学科+実技 です。厚労省の認定基準では、学科に「水産食品の衛生」「関係法規」「ふぐ毒」「食用にできる種類・部位・海域」「表示」などが含まれ、実技では「ふぐの種類鑑別」「有毒部位の確実な除去」「臓器鑑別」「衛生的な取扱い」などが求められます。たとえば基準には、食用可能な22種類のふぐを鑑別することや、実技で実物5種類以上の鑑別、ふぐ1尾以上を使った処理・臓器鑑別などの到達目標が示されています。
「どこで受けても同じ?」については、基本の考え方は全国共通化されていますが、実施の細かい運用は自治体ごとに違うと考えるのがわかりやすいです。厚労省基準に基づく自治体間の受入れは原則進める方針ですが、自治体ごとに追加要件や手続きがあり得ます。実際に宮城県も、他都道府県での取扱いは自治体ごとに届出・申請手続が異なるため確認が必要と案内しています。
また、自治体によって呼び方や実施スタイルにも差があります。たとえば兵庫県では名称が「ふぐ処理責任者試験」で、学科・種類鑑別・実技(トラフグ処理と臓器鑑別、衛生的取扱い)という形で実施しています。大阪府では、以前の講習会形式と違い、現在の「ふぐ処理試験」は講義や実技指導はなく、学科試験・実技試験のみと案内しています 。
ふぐ処理者のおすすめテキスト
『最新ふぐ調理大全: 「ふぐ処理者」資格試験対応』(柴田書店)は、2021年以降の新しい「ふぐ処理者」制度に対応した、実務+試験対策+料理資料を兼ねた総合本です。出版社案内系の説明では、従来書の大幅刷新版として位置づけられています。
資格試験対策:新制度に即したさばき方、毒性鑑別、基礎知識を収録(「ふぐ処理者」認定試験対策向け)。
・実技に強い構成:特に実技試験で重要な「除毒処理」を、注意点・ミスしやすい点を含めて詳しく解説(一部動画付きの案内あり)。
・地域差にも配慮:東京・大阪・京都の異なるさばき方(手順違い)を掲載。
・図鑑・最新知見:フグ図鑑(※一部3D画像付き)や専門家による最新知見を収録。
・料理資料としても充実:各地の名店のふぐ料理、メニューアーカイブを計127品掲載。
「新 ふぐ調理師必携(全2巻)分売不可 上巻/知識篇・試験篇 下巻/料理篇」
この本は、公式テキストではありませんが、資格を取得した後、実際の現場で参考になるように、営業店向けのフグの扱いについても詳しく解説しています。
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目次 – 新 ふぐ調理師必携(全2巻)分売不可 上巻/知識篇・試験篇 下巻/料理篇
はじめに
フグは毒の強さでも、味の良さでも、いずれも半端ではない。わが国では縄文時代の貝塚から、多数のフグの歯が出し、古代人も好んで食用とした痕跡を残している。
文字の発達した中国では、秦時代(BC220年~)の『山流 経』に、フグと思われる記述がある。
後漢時代には本草学がおこり、隋時代になるとフグの毒性や中毒治療法、あるいは料理法等を記述した本草書も多く刊行された。
わが国ではこれらの影響を受けた和刻版本草書があるが、食文化の相違や、猛毒を持つことから上流社会の間では卑賤な食物として敬遠され、独自の記録はまれである。
フグが庶民の間で広く賞味されたのは粗食の江戸時代、フグ汁の普及からである。それが今日のようなフグ料理となったのは、一説によれば幕末、維新の頃、下関に始まるといわれる。
明治になると日本の科学者らにより、フグに関する研究は黎明期を迎えた。とくに谷博士による研究は、安全なフグ料理の基礎となった。
しかし、一方では肝料理に魅せられる習慣も根強く、一命を落とす事件も絶えない。
また、昭和39年(1964)に京都で開催された第3回国際天然物化学会議は、フグ毒に関する知見の大転換期となった。なかでも、フグ毒はフグ固有の毒としてその標徴とされてきたが、他の生物にも分布すると確認されたことは大きな話題となった。以後、多くの学者の研究によって、フグ自身がつくり出す内因性の毒だと思われてきたフグ毒が、実は餌由来の外因性であることが明らかにされた。
フグ中毒については、明治19年(1886) より統計が記録されてきたが、ふぐ中毒患者のうち死亡者の占める割合、すなわち致命率は各年代ともに50%を超えていた。また、全食中毒のうちフグ中毒の占める割合は件数、患者数ともにきわめて低いが、死亡者数となるとフグ中毒が圧倒的に高率を占めてきた。
今日、フグ料理も全国的に普及し、昭和58年(1983) 12月に、厚生省(当時)は「フグの衛生確保について」を全国に通達した。
これを受けて、従来、条例や要綱等が制定されていなかった自治体においても、フグ取扱者等の資格認定や取扱い要領が決められた。その後、平成12年(2000) には、明治19年以来 100有余年にして、初めて致命率が0%の快記録を達成した。
しかし、この記録も一時的現象としないための努力が必要である。この数字を維持するには、フグ処理技術の向上と幅広い知識の普及、輸入フグを含む食用フグの鑑別が重要であるが、なかでも肝料理習慣の現状の是正はとくに重要である。
本書執筆にあたり、種々ご指導、ご教示を賜わった故橋本 芳郎博士、故木村重博士、ならびに安元健博士、および関係諸先生に衷心より謝意を表します。
本書が新たな資格取得の手引きとなり、その指導者の解説書となり、また市場フグ取扱者等の参考書として、些かなりともお役に立てられるならば誠に幸甚の極みと思います。
平成20年(2008)盛夏
著者
本書について
・フグの名称は標準和名(学問上の日本名)を使用した。
・省庁名については、通知が出された当時の名称を用いている。
・本文中の人名、書名、論文標題などの上に記した1)から63) までの小さな数字は、引用および参考文献・図書の通し番号を示す(178頁~参照)。
・本文中の(※1)(※2)等の※印は、注釈として説明を加えている用語で、各章ごとに通し番号をふり、各節ごと(一部は各項ごと)にまとめて解説を付している。
・本書で使用した写真で、特記のないものは、すべて著者の撮影による。
・索引は上巻の第I章~第VI章について作成した(29頁の表1、122頁~の表19および68頁~96頁については、フグの名称のみを抽出)。
新 ふぐ調理師必携 上巻 知識篇 試験篇
目次
はじめに
作表・作図一覧
フグ図鑑
第Ⅰ章
フグ食の文化
1. わが国の先史時代と古代の記録
2. 中国古書の記録
3. 古代エジプトの壁画
4. フグの俳句
5. フグの名称さまざま
6. フグ食の歴史
7. 今日のフグ料理
第Ⅱ章
フグ中毒と毒性研究
1.フグ中毒の発生状況
2. フグ中毒の症状と処置
3. 中毒学的研究と対策
4. フグ毒本体の研究
5. 毒力と毒量
6. テトロドトキシン(TTX)の特性
7. フグ毒の薬理作用
8. フグと皮膚毒
9. 部位別の毒性
10. フグの寄生虫
第Ⅲ章
フグの種類
1. フグという魚
2. フグの分類
3. フグの種類とその特徴
1トラフグ
2カラス
3シマフグ
4ゴマフグ
5マフグ
6ショウサイフグ
7ナシフグ
8コモンフグ
9ヒガンフグ
10 アカメフグ
11クサフグ
12メフグ
13 サンサイフグ
14シロサバフグ
15クロサバフグ
16 カナフグ
17ヨリトフグ
18 ハリセンボン
19ハコフグ
20ナメラダマシ
21フタッボシフグ
22コモンダマシ
23ドクサバフグ
24クマサカフグ
25センニンフグ
26ホシフグ
27キタマクラ
28 シッポウフグ
29ウチワフグ
第IV章
フグの雑録
1. 海外見聞記
2. フグの卵巣加工等
3. 異色フグについて
4. カラスとナメラダマシについての考察
第V章
フグの取締り
1.フグ取締りの歴史
2. フグ中毒事件判例
第Ⅵ章
フグ取扱い資格取得対策
1. 学科試験の概要
2. 実技試験の概要
1) 種類鑑別
2) 除毒処理と臓器鑑別
3) 調理仕上げ
第Ⅶ章
資料集
1) 厚生労働省通知
ナシフグ取扱いの経緯
2) 都道府県別 フグを扱うための資格制度
3)模擬試験問題(例)
文献・図書
索引
装丁・レイアウト/田島浩行
表紙撮影/高橋栄一
編集/網本祐子
作表・作図一覧
表1 フグの名称(フグ科の魚種より抜粋)
表2 年次別フグ中毒発生状況
表3 施設別フグ中毒発生数
表4 日本産フグの毒力(抜粋)
表5 処理等により人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類及び部位
(昭和58年厚生省局長通知・別表1より)
表6 魚類のテトロドトキシン抵抗性
表7 フグの最高毒力および最大毒量(抜粋)
表8 魚種・部位別毒力表
表9 肝臓の有毒個体出現率
表10 有毒個体の月別出現率(トラフグの肝臓)
表11 フグの魚種別産卵時期
表12 有毒個体の月別出現率(トラフグの卵巣)
表13 卵巣の有毒個体出現率
表14 フグの分類
表15 中国の主な地区の河鈍中毒
表16 都道府県別フグの取扱いに関する条例、要綱等の制定状況
表17 都道府県別フグ処理を行うための資格取得方法
表18 都道府県別 無資格者の処理済みフグの取扱い可否
表19 主要可食種フグ等の簡易鑑別表
表20 都道府県別フグを扱うための資格制度一覧
図1 皮の構造
図2 フグの魚体の部分名称
図3 フグの骨格略図
図4 頭骨、カマ(お骨)、腎臓、脳の位置関係
図5 皮引き
下巻/料理篇
まえがき
淡白ながら滋味に富む身、独特の食感を持つ皮や白子、味わい深いアラにいたるまで、素材としてさまざまな顔を持つ魚、フグ。しかし、フグが他の魚と大きく違う点は、いうまでもなく「毒を持つ」 こと。有毒部位は絶対に食べてはならず、ゆえにフグを扱うためには資格が必要だ。その資格については上巻に詳しいが、取得方法も、試験の受験要件や難易度も、また適用範囲(身欠きを扱うのに資格が必要かどうかなど)についても、それぞれ各自治体によって規定があり、内容はまちまちなのが現実である。
また、フグは地方によって別の名称で呼ばれることがある。これはフグに限ったことではなく、他の魚にも地方名は多々あるが、特筆すべきは同じフグの仲間でも魚種によって毒性が異なることだ。つまり、呼び名の認識の違いで命にかかわる危険性がある。フグについては地方名ではなく、必ず標準和名で呼ぶよう厳しく通達される所以である。
いずれにしても大切なことは、フグ毒について正確な知識を持ち、まちがいなく、確実に除毒処理を行うことである。そうしてはじめて、お客の安全・安心を確保でき、心から料理を楽しんでもらえるのである。
フグ料理と言えば、フグ刺にちり鍋、雑炊がその代表格として挙げられるのは昔も今も変わらない。しかしフグを取り巻く生産・流通事情はここ数十年の間に大きく様変わりしてきた。「彼岸から彼岸まで」の言葉のように、おおむね9月~4月頃が季節とされるフグだが、養殖技術の進歩はめざましく、今では年中、入手可能。養殖が市場に占める割合は8割とも9割以上ともいわれ、天然と養殖の違いも素人目にはわからないほどだ。そうした周辺環境の変化の中で、確固として変わらない部分と、新たな可能性を感じさせる部分を併せ持つことが、フグ料理の大きな魅力であろう。
たとえば刺身。フグ刺とひと口に言っても、シンプルな菊盛りから、芸術的といえるほどの美を追求したひと皿まで、実に奥深い。身の引き方、盛り方から、薬味、ぽん酢のつくり方まで、店によって技法も考え方も千差万別だ。また、今やフグ料理として完全に市民権を得た感のある唐揚げや焼きフグのたれ一つにも各店の個性があらわれており、他に、寄せもの、和えもの、蒸しもの、ご飯等々、そのバリエーションは多彩な広がりを見せる。
本書ではそうした料理の数々の紹介に加え、資格を取得した後、実際の現場で参考になるように、営業店向けのフグの扱いについても詳しく解説した。
資格を取得するにはそのための勉強や訓練が必要である。しかし、ある専門店のご主人の弁を借りれば、「免許を取ったからといってそれで一人前ではない。お客さんにきちんとフグ料理を提供できるようになるには、さらに何年も修業が必要」なのである。そうした諸氏の前進に、少しでも本書を役立てていただければ幸いである。
柴田書店書籍編集部
新 ふぐ調理師必携 下巻 料理篇
目次
まえがき
第I章
営業店向けのフグの扱い 三浦國男(浅草三浦屋)
1. フグの選び方
2. 丸フグのさばき方
3. 各部位の処理
4. 小フグのぐるむき
第Ⅱ章
フグ料理いろいろ
フグ刺
造り
酒
寄せもの・和えもの・珍味
椀
おしのぎ
焼きもの
揚げもの
煮もの
蒸しもの
鍋
ご飯・汁
調理/
三浦國男(浅草三浦屋)
荒川健一(寿司・割烹 浪花)
中西孝夫(割烹奈可越)
野崎洋光(とく山)
岸原紘(お半)
中川敏行(茶懐石 中伴)
森口冨士夫(翠徳亭)
山下茂(やました)
宮武尚弘(博多い津み)
桜田栄一(さくら田)
揭載店鋪一覽
装丁・レイアウト/田島浩行
編集/網本祐子
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