図解入門 よくわかる最新レンズの基本と仕組み[第3版]




レンズについて勉強するおすすめ本 – 仕組みと役割も理解!も確認する

図解入門 よくわかる最新
レンズの基本と仕組み
身近な現象から学ぶレンズの科学と技術
桑嶋幹著
「第3版] 光学技術の最前線

口絵① レンズマメ

人類とレンズマメの付き合いはとても古く、レンズマメは紀元前から食物として栽培されてきた植物である。旧約聖書の創世記にも登場する。
レンズマメはこの写真のようにムレンズに似た形をしている。現代の私たちはレンズマメを見て「レンズに形が似ている」と思うかもしれないが、本当はその逆でレンズの形がレンズマメに似ていたからレンズと名付けられた。

口絵②カメムシの背中の水商

カメムシの背中の模様が水滴レンズで拡大されて見える

口絵③凸レンズつきのカメラオブスクラ

蛇腹の長さでピントを合わせる

凸レンズで光を集めて、スクリーンに物 体の像を鮮明に映すことができる。

口絵④トンネルの中のナトリウムランプ

トンネルの照明には散乱しにくく、視認性の良いナトリウムランプの黄色光が使われることが多い

口絵⑤懐中電灯とレーザーポインターの光線

レーザーポインターの光はほとんど広がらずに直進する

口絵⑥プリズムによる光の分散

ニュートンは虹色の帯をスペクトルと名付けた

口絵⑦主虹と副虹

上側が副虹で、下側が主題である。光の色の順番が逆になっていることがわかる。

口絵⑧連続スペクトル

黒い暗線はフラウンホーファー線といい、太陽の上層や地球の大気中に存在する元素によって 吸収された光である

口絵⑨ナトリウムランプの線スペクトル(D線)

D線は実際にはごく近い波長のD1 線 (589.60m)、D2線 (589.0 nm)からなる

口絵⑩シャボン玉

石けん膜の外側と内側で反射する光が干渉して、虹のように色づいた干渉縞ができる

口絵⑪1CD-ROM

CD-ROMの裏面を電灯にかざすと、光がCD-ROMの満で回折し、 反射光が干渉して、虹のように色づいた干渉縞ができる

口絵⑫光と色の三原色

R赤、G:緑、B:青、C:シアン、Mマゼンタ、Yイエロー、W:白、K:黒

口絵⑬絵の具に光の三原色で作った白色光を当てた場合

R:赤、緑、B:青、C:シアン、M:マゼンタ、Yイエロー、W:白.K:黒

口絵⑭灯台のフレネルレンズ

口絵⑮面ガラスの透明度

厚さが1.5cmのガラスを2枚重ねて撮影。 左側が3cm、右側が 1.5cmの厚さ。左側の方が暗くなっている

口絵⑯2004年の暮れに北海道白老町の海岸で観察された下位蜃気楼

ロ絵⑰の重力レンズ効果で4個に分裂したクエーサー

厚さが1.5cmのガラスを2枚重ねて撮影。左側が3cm、右側が1.5cmの厚さ。左重カレンズ効果で4個に分裂したクエーサー。アインシュタインクロスとも呼ばれる。
The Einstein Cross Gravitational Lens Image Credit & Copyright: Credit: NASA, ESA, and ST Scl

よくわかる最新
レンズの基本と仕組み
身近な現象から学ぶレンズの科学と技術
桑嶋 幹著
[第3版]

桑嶋幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)、出典:出版社HP

はじめに

21世紀の科学技術は「光の時代」と言われています。現在、光の先端技術を応用したものが、私たちの生活の中にたくさん入ってきています。

光の技術があるところでは、必ずといってよいほどレンズが活躍しています。レンズはカメラや望遠鏡だけではなく、CD/DVDプレーヤーやコピー機、レーザープリンタをはじめとする、光を使った様々な製品に使われているのです。レンズは光技術の立役者であるといっても過言ではありません。

本書の構成にあたっては、レンズの専門家ではない人や、物理は少し苦手と思っている人が、「レンズについて知りたい」「勉強したい」と思ったときに、どのような入門書があればよいのかを中心に考えました。

レンズを勉強するためには、光の基本的な性質を理解しておく必要があります。なぜなら、光とレンズは切っても切れない間柄だからです。この本では、光の基本的な性質についても、ページをかなり割いて説明しました。本書で取り上げたものは、レンズを学ぶ上で必要となる知識です。本書1冊で光の基本からレンズの仕組みまでを理解できるように、あるいはレンズの専門書で行き詰まったとき、理解を助けるために読んで頂けるように心がけて、執筆を進めました。また、数式がたくさん出てきますが、数式を読み飛ばしても図解と説明で概要が理解できるように執筆したつもりです。

本書は2005年3月に第1版、2013年3月に第2版が発売され、初版から15年を経て、ここに第3版を出版する運びとなりました。今回の改訂にあたっては、本書の基本的な主旨は踏襲し、読者の皆さんから頂いた質問や意見などを参考に、最新情報なども加えて、よりわかりやすい内容に仕上げることをめざしました。

読者の皆さんが、本書を手にすることによって、光とレンズに関する基本知 識を身につけられ、本書がレンズ光学の専門書への橋渡しの役割を果たすことができたとしたならば、著者としてこれほど嬉しいことはありません。

最後になりますが、本書の作成にあたっては、北海道理科サークル Wisdom96(初版当時)の皆さんに、文章を読んで意見を頂いたり、写真を提供して頂いたり、お世話になりました。この場を借りてお礼を申し上げます。また、編集作業を担当していただいた秀和システムの編集部の皆さんに深くお礼を申し上げます。

2020年3月
桑嶋 幹

桑嶋幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)、出典:出版社HP

目次

はじめに
第1章 レンズとは何か
1-1 そもそもレンズとは?
1-2 レンズの働きをするものを探してみよう
1-3 レンズの歴史
コラム世界最古のレンズ? ニムルドのレンズ
1-4 望遠鏡と顕微鏡の歴史
1-5 カメラの歴史
コラム 活動写真の発明

第2章 光の基本的な性質
2-1 光はどのように進むのか① 光の直進性
コラム 鏡の歴史
2-2 光はどのように進むのか② 光の反射と乱反射
2-3 光はどのように進むのか③ 光の屈折と反射.
コラム 光通信と光ファイバー
2-4光はどのように進むのか④
フェルマーの原理とスネルの法則

CONTENTS
2-5 光の分散
2-6 光の回折と干渉
コラム シャボン玉でできる虹
2-7 光が偏るとは? 偏光
2-8 どうしてものが見えるのか
コラム 物体はどのようにして見えるのかを研究した人びと
2-9光と色の三原色
2-10 「光る」とはどのようなことか
2-11 光の速度はどれぐらいか
コラム光速の測定が光の波動説の完全勝利をもたらした
2-12 光の正体は何か
2-13 電磁波とは何か
2-14 幾何光学と波動光学
コラム ナノテクノロジーとは

第3章 レンズの基本的な仕組みと働き
3-1 影や像のできかた
3-2 レンズの仕組みと働き
コラム 老眼鏡と近視眼鏡のレンズの種類を確かめる
3-3 レンズの構成
3-4 レンズを通る光の進みかた
3-5 レンズでできる像
3-6 レンズの式と倍率
3-7 焦点距離から結像を考える
3-8 2枚のレンズを通る光
3-9 レンズの簡易な作図方法
コラム 平行光で凸レンズの焦点距離を求める
3-10 凹面鏡と凸面鏡
コラム 凹面鏡を利用した太陽炉

第4章 レンズの分類
4-1 レンズの基本的な分類のしかた
4-2 レンズ面で光を屈折するレンズ① 球面レンズと非球面レンズ
4-3 レンズ面で光を屈折するレンズ② シリンドリカルレンズ、フレネルレンズ、トロイダルレンズ
4-4 レンズ面での屈折を利用しないレンズ
コラム 光を回折させてみよう
4-5 レンズを作る材料
コラムガラスはなぜ透明か
4-6 光学ガラスの屈折率とアッベ数
4-7 光学ガラスの分類
4-8 ガラス以外の材料
4-9 レンズのつくりかた
コラム光学ガラスやレンズの製造工程を詳しく知りたい人は

第5章 レンズの収差と性能
5-1 収差とは何か
5-2 球面収差
5-3 コマ収差と非点収差
5-4 像面湾曲と歪曲収差…
5-5 軸上色収差と倍率色収差
5-6 Fナンバー
5-7 開口数NA
5-8 絞りと瞳
5-9 絞りの位置とテレセントリック
5-10 焦点深度と被写界深度
5-11 レンズの解像力と伝達関数 MTF
コラム 偏心収差レンズ製造やとりつけで生じる収差
5-12 アッベの不変量とラグランジュの不変量.
コラム レンズの設計

第6章 レンズを使った製品と技術
6-1 光学系とは何か
6-2 眼の働き
6-3 眼鏡と眼の屈折異常① 近視
6-4 眼鏡と眼の屈折異常② 遠視、老視、乱視
6-5 コンタクトレンズの仕組み
6-6白内障と眼内レンズ
コラム昆虫の複眼の仕組み
6-7 ルーペの仕組み
6-8 顕微鏡の仕組み
6-9 望遠鏡の仕組み
コラム 双眼鏡の仕組み
6-10 カメラの仕組み
6-11 CD-ROMとCD-ROMドライブの仕組み
6-12 レーザープリンタの仕組み

6-13 バーコードリーダーの仕組み
6-14 半導体産業を支えるステッパーレンズ
6-15 自然現象とレンズ

索引
参考文献

第1章 レンズとは何か
この章では、レンズがどのようなもので、どのような働きがあるのかを、難しい話は抜きにして簡単に説明します。
またレンズが、どのようにして発明され、どのように利用されてきたのか、その歴史を振り返ってみましょう。

桑嶋幹 (著)
出版社 ‏ : ‎ 秀和システム; 第3版 (2020/3/31)、出典:出版社HP