2021年版 司法試験&予備試験 完全整理択一六法 民事訴訟法【逐条型テキスト】<条文・判例の整理から過去出題情報まで> (司法試験&予備試験対策シリーズ)




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はしがき

★令和2年の短答式試験<民事訴訟法>の分析
予備試験では、第一審手続に関する条文・判例の知識・理解を問う問題を中心に、各分野から満遍なく出題されています。問題形式としては、全15問が条文や判例の知識・理解を問う問題でした。

なお、昨年と同様、今年も、要件事実に関する知識を問う問題は1問も出題されませんでした。とはいえ、来年以降も要件事実に関する問題が出題されないとは限りません。そのため、学習に当たっては、論文式試験で問われ得る知識の習得を十分に行った後、基本的な要件事実論を正確に理解した上で、争点整理手続、証拠調べ手続、訴訟の終了、上訴等の条文知識の習得を目指すと良いでしょう。

★令和2年の短答式試験の結果を踏まえて
今年の予備試験短答式試験では、採点対象者10,550人中、合格者(270点満点で各科目の合計得点が156点以上)は2,529人となっており、昨年の短答式試験合格者数2,696人を167人下回りました(なお、予備試験短答式試験の採点対象者数は、毎年微増しながら推移していましたが、今年は昨年の採点対象者数11,682人を1,132人下回る結果となり、大幅に減少する形となりました。)。合格率は約23.9%であり、昨年の合格率約23.0%を約0.9%上回る形となりました。

今年の「合格点」は「156点以上」と発表されています(なお、合格者の平均点は173.7点、全体の平均点は128.8点)。平成29年・平成30年はともに「160点以上」、昨年は「162点以上」と2点上昇した形となりましたが、今年は6点も下がりました。合格点が「156点以上」という数字は、受験者数が1万人を突破し、短答式試験合格者も2,000人を超えるようになった平成26年から見て、最も低い数字です。

次に、「合格率」を見ていきますと、今年は23.9%となっており、これは例年通りであるとの評価が妥当と思われます。司法試験短答式試験の今年の合格率が76.2%(採点対象者:合格者数=3,664:2,793)であったことと比べると、予備試験短答式試験は明らかに「落とすための試験」という意味合いが強い試験だといえます。

また、受験者数・採点対象者数は、平成27年から微増傾向にあり、合格者数も同様に微増傾向にありましたが、今年は一転して、いずれも減少する形となりました。とくに注目すべきは「受験率」で、平成27年から継続して80%以上を記録していた「受験率」が、今年は「69.3%」を記録し、10%以上も下落しました。これは、明らかにコロナ禍による影響と考えられるため、来年以降も同様の「受験率」が維持されるかは予想がつきにくいところですが、来年以降も、2,500~2,700人前後の合格者数となることが予想されます。

予備試験短答式試験では、法律基本科目だけでなく、一般教養科目も出題されます。点数が安定し難い一般教養科目での落ち込みをカバーするため、法律基本科目については苦手科目を作らないよう、安定的な点数を確保する対策が必要となります。このような現状の中、短答式試験を乗り切り、総合評価において高得点をマークするためには、いかに短答式試験対策を効率よく行うかが鍵となります。そのため、要領よく知識を整理し、記憶の定着を図ることが至上命題となります。

★必要十分な知識・判例を掲載
短答式試験では、基本的事項を確実におさえておけば十分合格することができますが、「確実」のレベルが相当高いことに注意が必要です。安定的に点数を取るためには、確実な知識・理解が要求されます。民事訴訟法は、手続法であることもあり、イメージを掴みにくく、特に短答式試験で問われるような細かい手続的規律の学習を苦手とする受験生も多いでしょう。さらに、論文式試験対策へ費やす時間や他の科目も学習しなければならないことを考えると、独力でゼロから知識を整理して理解することは非常に困難です。

そこで、本書は、民事訴訟法について逐条式に掲載し、重要条文については趣旨を記載することによって、理解を深める手助けをするとともに、効率的に学習できるようにしています。なお、民事執行法・民事保全法についても、条文とともに必要最低限の知識を紹介しています。また、百選掲載判例・重判掲載判例を紹介する際には、判旨の重要箇所を青字にすることで、より効率的に判例を学習できるように工夫しています。

★司法試験短答式試験、予備試験短答式試験の過去問情報を網羅
本書では、司法試験・予備試験の短答式試験において、共通問題で問われた知識に〈共マーク、予備試験単独で問われた知識に〈予マーク、司法試験単独で問われた知識に、〈司マークを付しています。また、司法書士試験についても効率的な試験対策を行えるよう、過去12年分(平成21年~令和2年)の司法書士試験で問われた知識に、〈書マークを付しています。複数のマークが付されている箇所は、各短答式試験で繰り返し問われている知識であるため、より重要性が高いといえます。

★最新法改正対応
本書では、常に法改正の動向に注目しています。最新の情報をいち早く皆様に提供するために、令和2年9月末日までに公布された法改正を盛り込みました。本書は、令和2年4月1日に施行された改正民事執行法(債務者の財産状況の調査に関する規定が整備され、不動産競売における暴力団員の買受け防止に関する規定が新設された他、子の引渡しの強制執行に関する規定等が整備されました)に対応しています。

★最新判例インターネットフォロー
短答式試験合格のためには、最新判例を常に意識しておくことが必要です。そこで、LECでは、最新判例の情報を確実に収集できるように、本書をご購入の皆様に、インターネットで随時、最新判例情報をご提供させていただきます。

2020年10月吉日
株式会社東京リーガルマインド
LEC総合研究所司法試験部

東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部 (著, 編集)
東京リーガルマインド; 第12版 (2020/12/2)、出典:出版社HP

司法試験・予備試験受験生の皆様へ

LEC司法試験対策総合統括プロデューサー
反町雄彦 LEC専任講師・弁護士

◆競争激化の短答式試験
短答式試験は、予備試験においては論文式試験を受験するための第一関門として、また、司法試験においては論文式試験を採点してもらう前提条件として、重要な意味を有しています。いずれの試験においても、合格を確実に勝ち取るためには、短答式試験で高得点をマークすることが重要です。とりわけ、司法試験の短答式試験は、科目が憲法・民法・刑法の3科目に絞られたことにより、益々競争が激化することが予想されます。これまで以上に、短答式試験対策の重要性が増してくるといえるでしょう。

◆短答式試験対策のポイント
司法試験における短答式試験は、試験最終日に実施されます。論文式試験により心身ともに疲労している中、短答式試験で高得点をマークするには、出題可能性の高い分野、自身が弱点としている分野の知識を、短時間で総復習できる教材の利用が不可欠です。また、予備試験における短答式試験は、一般教養科目と法律基本科目(憲法・民法・刑法・商法・民事訴訟法・刑事訴訟法・行政法)から出題されます。広範囲にわたって正確な知識が要求されるため、効率的な学習が不可欠となります。本書は、短時間で効率的に知識を整理・確認することができる最良の教材として、多くの受験生から好評を得ています。

◆短答式試験の知識は論文式試験の前提
司法試験・予備試験の短答式試験では、判例・条文の知識を問う問題を中心に、幅広い論点から出題がされています。論文式試験においても問われうる重要論点も多数含まれています。そのため、短答式試験の対策が論文式試験の対策にもなるといえます。

先ほど述べましたように、司法試験短答式試験の科目は憲法・民法・刑法に絞られました。しかし、それ以外の科目も論文式試験では条文・判例知識が要求されます。短答式試験過去問を踏まえて解説した本書を活用し、重要論点をしっかり学んでおけば、正確な知識を効率良く答案に表現することができるようになるため、解答時間の短縮につながることは間違いありません。司法試験合格が最終目標である以上、予備試験受験生も、司法試験の短答式試験・論文式試験の対策をしていくことが重要です。短答式試験対策と同時に、重要論点を学習し、司法試験を見据えた学習をしていくことが肝要でしょう。

◆苦手科目の克服が肝
司法試験短答式試験では、短答式試験合格点(令和2年においては憲法・民法・刑法の合計得点が93点以上)を確保していても、1科目でも基準点(各科目の満点の40%点)を下回る科目があれば不合格となります。本年では、憲法で47人、民法で435人、刑法で376人もの受験生が基準点に達しませんでした。本年の結果を踏まえると、基準点未満で不合格となるリスクは到底見過ごすことができません。試験本番が近づくにつれ、特定科目に集中して勉強時間を確保することが難しくなります。苦手科目は年内に学習し、苦手意識を克服、あわよくば得意科目にしておくことが必要です。

◆本書の特長と活用方法
完全整理択一六法は、一通り法律を勉強し終わった方を対象とした教材です。本書は、司法試験・予備試験の短答式試験における出題可能性の高い知識を、逐条形式で網羅的に整理しています。最新判例を紹介する際にも、できる限りコンパクトにして掲載しています。知識整理のためには、核心部分を押さえることが重要だからです。本書の活用方法としては、短答式試験の過去問を解いた上で、間違えてしまった問題について確認し、解答に必要な知識及び関連知識を押さえていくという方法が効果的です。また、弱点となっている箇所に印をつけておき、繰り返し見直すようにすると、復習が効率よく進み、知識の定着を図ることができます。

このように、受験生の皆様が手を加えて、自分なりの「完択」を作り上げていくことで、更なるメリハリ付けが可能となります。ぜひ、有効に活用してください。司法試験・予備試験は困難な試験です。しかし、継続を旨とし、粘り強く学習を続ければ、必ず突破することができる試験です。

皆様が本書を100%活用して、試験合格を勝ち取られますよう、心よりお祈り申し上げます。

東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部 (著, 編集)
東京リーガルマインド; 第12版 (2020/12/2)、出典:出版社HP

CONTENTS

はしがき
司法試験・予備試験受験生の皆様へ
本書の効果的利用法
最新判例インターネットフォロー

民事訴訟法
●第1編 総則
第1章 通則

第2章 裁判所
第1節日本の裁判所の管轄権
第2節管轄
第3節裁判所職員の除斥及び忌避

第3章 当事者
第1節当事者能力及び訴訟能力
第2節共同訴訟
第3節訴訟参加
第4節代理人及び補佐人

第4章 訴訟費用
第1節訴訟費用の負担
第2節訴訟費用の担保
第3節訴訟上の救助

第5章 訴訟手続
第1節訴訟の審理等
第2節専門委員等
第1款専門委員
第2款知的財産に関する事件における裁判所調査官の事務等
第3節期日及び期間
第4節送達
第5節裁判
第6節訴訟手続の中断及び中止

第6章 訴えの提起前における証拠収集の処分等

第7章 電子情報処理組織による申立て等

●第2編 第一審の手続
第1章 訴え

第2章 計画審理

第3章 口頭弁論及びその準備
第1節口頭弁論
第2節準備書面等
第3節争点及び証拠の整理手続
第1款口頭弁論を充実させるための手続
第2款準備的口頭論
第3款弁論準備手続
第4款書面による準備手続
第5款進行協議期日

第4章 証拠
第1節総則
第2節証人尋問
第3節当事者尋問
第4節鑑定
第5節書証
第6節検証
第7節証拠保全

第5章 判決

第6章 裁判によらない訴訟の完結

第7章 大規模訴訟等に関する特則

第8章 簡易裁判所の訴訟手続に関する特則

●第3編 上訴
第1章 控訴
第2章 上告
第3章 抗告

●第4編 再審

●第5編 手形訴訟及び小切手訴訟に関する特則

●第6編 少額訴訟に関する特則

●第7編 督促手続
第1章 総則
第2章 電子情報処理組織による督促手続の特則

●第8編 執行停止

民事執行法
第1章 総則

第2章 強制執行
第1節総則
第2節金銭の支払を目的とする債権についての強制執行
第1款不動産に対する強制執行
第2款船舶に対する強制執行
第3款動産に対する強制執行
第4款債権及びその他財産権に対する強制執行
第5款扶養義務等に係る金銭債権についての強制執行の特例
第3節金銭の支払を目的としない請求権についての強制執行

第3章 担保権の実行としての競売等

第4章 債務者の財産状況の調査
第1節財産開示手続
第2節第三者からの情報取得手続

第5章 罰則

民事保全法
第1章 通則

第2章 保全命令に関する手続
第1節総則
第2節保全命令
第1款通則
第2款仮差押命令
第3款仮処分命令
第3節保全異議
第4節保全取消し
第5節保全抗告

第3章 保全執行に関する手続
第1節総則
第2節仮差押えの執行
第3節仮処分の執行

第4章 仮処分の効力

第5章 罰則

東京リーガルマインド LEC総合研究所 司法試験部 (著, 編集)
東京リーガルマインド; 第12版 (2020/12/2)、出典:出版社HP