これでわかる水処理技術 (現場の即戦力)




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まえがき

安全でおいしい水道水やボトルウォーターの供給技術,半導体産業に重要な超純水の品質向上,下水処理水の再利用の促進など,水処理技術も急速に発展している。そのなかで,水源の汚染や水資源の希少化といった流域の水環境全体に係わる課題,さまざまな病原性微生物,化学物質などに係わる問題に対し,高度化・複雑化した水質管理が求められており、設備の安定した維持・管理体制の,さらなる改善が検討されている。

わが国の水質汚濁状態は、総体的に改善されているといえる。特に重金属などの人の健康にとって有害な物質については,産業製品そのものから排除されつつあり、環境基準はほとんど達成されている。また,BOD,CODなどの有機物で生活環境の保全に関する項目についても,下水処理場での高度処理により改善傾向が見られる。しかし,一部の湖沼,内湾などの閉鎖性水域においては水交換が悪いため,窒素,りんな「どの栄養塩類の流入によって水中生物が急激に増殖し水質が累進的に悪化する、いわゆる富栄養化の問題が残されている。

一方、人への影響が懸念される,環境ホルモン,ダイオキシンなど新たな物質に対応するための安価で安定した処理技術も必要になっている。このような状況において、水処理業界に身をおく一人として、運転管理の充実、処理水質のさらなる高度化と安全性に完全を目指し、環境「負荷を低減し、水環境・水循環へ貢献しなければ,との思いが強い。

本書が水処理に興味がある人,事業所・工場の設備管理者および運転者の方々のお役に立てれば幸いである。また、執筆にあたり、諸先輩のデータおよび資料の供出,アドバイスをいただいた。加藤勇氏,北川幹夫氏,小泉求氏に感謝したい。さらに文献・報告書・指針などから数多く引用させていただいた。それらは巻末に出典としてまとめて記載した。
なお,本書は工業調査会で出版された『これでわかる水処理技術」を新装版として再出版したものである。

2011年4月 吉村二三隆

吉村 二三隆 著  栗田工業 監修 (著)
出版社 : 技術評論社 (2011/6/10)、出典:出版社HP

これでわかる水処理技術目次

まえがき

基礎編 水処理技術の基礎知識
1章 水処理装置のいろいろ
1.1 水環境の保全
1 水循環について
2 水質汚濁の現況

1.2 水処理方法

1.3 固液分離装置
1 スクリーン・粗粒分離
2 pH調整
3 凝集処理
4 沈降分離
5 浮上分離
6 ろ過

2章 用水処理
2.1 前処理
1 富栄養化工業用水を処理する上での留意点
2 凝集二層ろ過
3 凝集加圧浮上二層ろ過
4 凝集沈殿ろ過

2.2 イオン交換装置
1 イオン交換樹脂による水処理
2 2床3塔型純水装置の原理
3 その他の純水装置

2.3 膜装置
1 膜装置とは
2 膜の構造
3 モジュールの構造
4 ろ過方法
5 逆浸透の原理
6 RO膜の塩排除メカニズム
7 膜分離に影響する因子

2.4 連続電気脱イオン装置
1 装置の構成
2 装置の原理

2.5 超純水
1 超純水とは
2 超純水の水質
3 超純水製造システムの基本構成

3章 排水処理
3.1 有害物質の処理
1 従来の技術
2 置換法による重金属錯体の処理
3 銅排水の処理
4 鉛排水の処理
5 水銀排水の処理
6 砒素排水の処理
7 カドミウム排水の処理
8 ニッケル排水の処理
9 クロム排水の処理
10 ほう素排水の処理
11 ふっ素排水の処理
12 シアン化合物排水の処理
13 ダイオキシン類排水の処理
14 キレート剤(有機酸)を含む重金属の処理
15 金属含有排水の汚泥減容化システム

3.2 生物処理
1 微生物とは
2 嫌気性処理
3 標準活性汚泥法
4 2段活性汚泥法
5 膜式活性汚泥法の特徴
6 生物膜処理法
7 生物脱窒法
8 脱りん法
9 有機汚泥の減量化技術

3.3 活性炭吸着法
1 活性炭の吸着能力と破過
2 活性炭の適用試験
3 活性炭吸着装置の種類
4 排水処理への適用
5 活性炭の再生

3.4 汚泥処理
1 汚泥の種類と性状
2 脱水機の種類と機能

事例編 排水処理設備の基本設計事例
事例1自動車製造工場排水処理設備
1 処理対象排水
2 排水の水量,水質
3 処理装置の選定
4 処理プロセスの構築
5 マテリアルバランス
6 ユニットの基本設計計算

事例2 製鉄所排水処理設備
1 設計条件
2 処理対象とユニットの選定
3 処理プロセスの決定
4 マテリアルバランス
5 ユニットの基本設計計算

参考文献・使用資料
索引

吉村 二三隆 著  栗田工業 監修 (著)
出版社 : 技術評論社 (2011/6/10)、出典:出版社HP