よくわかる! 環境計量士試験 騒音・振動関係 (国家・資格シリーズ 110)




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はしがき

地球環境問題を始め、我々の生活環境の問題も大いに懸念される時代において、環境計量士に期待される役割も、非常に大きなものになりつつあります。この資格は取得できれば就職にも困らないという資格ですが、それだけにかなり取得の難しい資格であって合格率も10~20%程度です。

常日頃、環境技術者を目指す学生に対して環境問題について講義し、各種環境関連資格に関する国家試験受験指導を行い、また環境計量士などの受験のための通信教育をしている立場の著者は、それらの経験をもとに、先に「よくわかる環境計量士試験濃度関係」を世に出し、化学分析の立場から環境計量に寄与しようという方のための資格取得支援を行いましたが、今般は、騒音・振動関係の環境計量士を目指す人々のためにも、同様の参考書を出版して、その方面から環境問題に貢献していただく人を増やしたいと願うものであります。

最近、カラオケや携帯電話など、音を発する装置が我々の身の回りにもあふれてきていて、騒音・振動の問題も客観的に正確に測定する必要も増えており、そのような中で、騒音・振動区分の環境計量士の需要も増えています。

また一つ、特殊な考え方ではありますが、最近、濃度関係の環境計量士資格を目指す人の中で、物理や計算の得意な方は、先に騒音・振動区分の資格を取得し、その後で濃度区分の受験を考える人も出てきております。たしかに、濃度区分の範囲は化学物質の種類の多さに比例して多岐にわたっているのに対して、騒音・振動関係のそれは波動の物理を中心とした比較的狭い範囲が対象となっているために、数式アレルギーの少ない方にとってはある程度受験しやすい試験になっていると考えられます。その合格後、濃度区分を受験するに際しては、計量法規と計量管理概論は免除され、より受けやすくなるというメリットがあります。

この本は、本来騒音・振動の領域で仕事をされる方のためであることは言うまでもありませんが、濃度区分に先だって騒音・振動区分を受験される方のためにも、波動の基礎となる数学を中心に騒音および振動の理論を分かりやすく学習できるように配慮して書いております。その中で、基礎となる数学とその応用につながる美しい(と著者は思っている)体系をできるだけ分かりやすく説明しようとしたものでもあります。

いずれにしても、環境計量士の資格を目指す多くの方々がこの資格を取得され、我々の身の回りの小さな問題から地球規模の大きな環境問題までの解決のために大いにその力を発揮していただくことをこい願うものであります。

著者

久谷 邦夫 (著), 環境学園専門学校 (編集)
弘文社; 新訂1版 (2009/11/4)、出典:出版社HP

目次

はしがき
この本の勉強の仕方

・受験案内
計量士の登録
受験資格
試験科目の一部免除
試験の期日
試験地
試験の時間割
試験方法
受験申込書類
試験願書用紙及び試験案内書の入手先
受験前の心構えと準備

第1編 環境関係法規と物理基礎
1.環境基本法
1-1環境基本法制定の背景と概要
1-2目的と定義
1-3基本理念
1-4国、事業者、国民の責務
1-5環境保全に関する基本的施策
1-6環境審議会等の組織
マスター!重要問題と解説

2.騒音に係る環境基準
マスター!重要問題と解説

3.騒音規制法
3-1法の目的
3-2指定地域および特定施設
3-3規制基準
3-4特定建設作業に対する規制
マスター!重要問題と解説

4.振動規制法
4-1法の目的
4-2地域指定
4-3規制基準
4-4特定建設作業に対する規制
マスター!重要問題と解説

5.力と運動および剛体の力学
5-1質点の運動、振動および衝突
マスター!重要問題と解説(質点の運動)
マスター!重要問題と解説(ばね及び振動)
マスター!重要問題と解説(衝突)」

6.流体の力学
6-1静止流体と圧力
6-2流体の運動
マスター!重要問題と解説

7.熱およびエネルギー
7-1熱と仕事
7-2熱力学の法則
7-3伝熱の基礎式
マスター!重要問題と解説!

8.波
8-1波動
8-2音波
8-3光波とレンズ
マスター!重要問題と解説!

9.電気と磁気
9-1電気および電場
9-2磁気および磁場
9-3電気と磁気
マスター!重要問題と解説

10.原子および原子核
マスター!重要問題と解説|

11.微分方程式の解き方
11-1一階微分方程式
11-2単振動の微分方程式
11-3抵抗項のある振動の微分方程式

第2編 音響・振動概論
1.波動および音波の理論
1-1波の種類
1-2音の基礎
マスター!重要問題と解説(波動)
マスター!重要問題と解説(音の基礎)

2.騒音振動の基礎
2-1騒音の基礎
2-2振動の基礎
マスター!重要問題と解説(騒音の基礎)
マスター!重要問題と解説(振動の基礎)

3.デシベル
3-1レベル
3-2音の強さのレベル
3-3音圧レベル
3-4音響パワーレベル
3-5騒音レベル
3-6振動レベルと振動加速度レベル

マスター!重要問題と解説(レベル)
マスター!重要問題と解説(音の強さのレベル)
マスター重要問題と解説(音圧レベル)
マスター!重要問題と解説(音響パワーレベル)
マスター!重要問題と解説(騒音レベル)
マスター!重要問題と解説(振動レベルと振動加速度レベル)

4.評価量と感覚量
4-1音の諸量と聴覚
4-2振動の影響
マスター!重要問題と解説(音の諸量と聴覚
マスター!重要問題と解説(振動の影響)

5.測定器および測定方法
5-1騒音の測定
5-2振動の測定
マスター!重要問題と解説(騒音の測定)
マスター!重要問題と解説(振動の測定)

6.音と振動の伝搬
6-1音の伝搬
6-2遮音
6-3防振
マスター!重要問題と解説(音の伝搬)
マスター!重要問題と解説(遮音)
マスター!重要問題と解説(防振)

第3編 計量関係法規
1.総則
1-1計量法の目的に関する問題
1-2用語及び取引又は証明に関する問題

2.計量単位
2-1計量単位に関する問題

3.適正な計量の実施
3-1特定商品に関する問題
3-2特定計量器に関する問題
3-3特殊容器に関する問題
3-4定期検査に関する問題
3-5指定定期検査機関に関する問題

4.正確な特定計量器の供給
4-1計量器の製造に関する問題
4-2計量器の修理に関する問題
4-3計量器の販売に関する問題
4-4家庭用特定計量器等に関する問題

5.検定制度等
5-1検定制度に関する問題
5-2型式承認に関する問題
5-3基準器に関する問題
5-4指定製造事業者および指定検定機関に関する問題

6.計量証明の事業
6-1計量証明事業に関する問題

7.適正な計量管理
7-1計量士に関する問題
7-2適正計量管理事業所に関する問題

8.標準供給制度
8-1計量器の校正に関する問題

9.雑則・罰則
9-1立入検査に関する問題
9-2罰則およびその他に関する問題

第4編 計量管理概論
1.計量管理
1-1計量管理に関する問題
1-2工程管理に関する問題

2.量と単位、およびトレーサビリティ
2-1SI単位に関する問題
2-2尺度に関する問題
2-3トレーサビリティに関する問題
2-4標準化に関する問題

3.測定方式と測定誤差の性質
3-1測定法に関する問題
3-2測定誤差に関する問題

4.統計および推定・検定
4-1測定値の代表値に関する問題
4-2統計データに関する問題
4-3統計分布に関する問題
4-4平均と分散に関する問題
4-5誤差の伝播に関する問題

4-6正規分布表を用いる問題
4-7母平均の範囲推定に関する問題
4-8正規分布表による検定に関する問題
4-9その他の分布による検定に関する問題

5.実験計画と分散分析
5-1実験計画に関する問題
5-2一元配置の分散分析に関する問題(1)
5-3一元配置の分散分析に関する問題(2)
5-4繰返しのない二元配置に関する問題(1)
5-5繰返しのない二元配置に関する問題(2)
5-6繰返しのある二元配置に関する問題

6.回帰分析と相関分析
6-1回帰分析と相関分析に関する問題

7.校正方法とSN比
7-1校正に関する問題
7-2SN比に関する問題

8.品質管理と管理図
8-1品質管理に関する問題
8-2管理図に関する問題

9.サンプリングと製品検査
9-1サンプリングに関する問題
9-2製品検査に関する問題

10.信頼性
10-1機器の寿命等に関する問題

11.コンピュータと自動制御
11-1信号の扱いに関する問題
11-2 2進法に関する問題
11-3コンピュータに関する問題
11-4自動制御に関する問題

第5編 実践的模擬試験問題と解説・解答
解答についての留意点
1.環境関係法規と物理基礎
2.音響・振動概論
3.計量関係法規
4.計量管理概論
模擬問題解説
模擬問題解答

あとがき

久谷 邦夫 (著), 環境学園専門学校 (編集)
弘文社; 新訂1版 (2009/11/4)、出典:出版社HP

この本の勉強の仕方

本書は、必要に応じて説明から入り、あるいは、いきなり問題から始めて、演習問題集とテキストを兼ねたスタイルとして作られています。従って、問題の正解が出せない場合や、用語などの意味が分からない場合には、[解説と正解]を参照しながら勉強して下さい。

実際の国家試験問題は、各問とも五者択一式になっていますので、本書においてもその形に統一しております。学習に当たっては、どれが正解の選択肢であるかがまず重要ではありますが、同時に他の4つの選択肢が示す意味内容も学習されることによって、短い時間で効率的に学習範囲を拡大できます。あなたが今度受けられる試験では、他の選択肢に関連して出題されるかも知りません。特に、法律の学習においてこの方法は大いに有効です。

なお、本書の内容を100%理解しなければ試験に合格できないものではなく、80%程度以上を理解すれば合格の可能性はかなり高くなります。焦ることなくゆったりとした気持ちで勉強していただければ結構だと思います。ご健闘をお祈り致します。

※「中央省庁等改革関係法」施行後(平成13年1月6日以降)は、行政組織等の名称については、「環境庁」とあるのは「環境省」、「環境庁長官」は「環境大臣」、「通商産業省」を「経済産業省」、「通商産業局」を「経済産業局」、「総理府」を「内閣府」等と変更されました。本書は新法に基づいて記述しております。

久谷 邦夫 (著), 環境学園専門学校 (編集)
弘文社; 新訂1版 (2009/11/4)、出典:出版社HP

受験案内

1計量士の登録
計量士になろうとする人は、次の計量士の区分ごとに経済産業大臣の登録を受けることとされています。国家試験もそれぞれの区分に基づいて行われます。

・環境計量士(濃度関係)
・環境計量士(騒音・振動関係)
・一般計量士

登録の要件は次のいずれかに該当することです。
1)登録を受けようとする計量士の区分の計量士国家試験に合格し、かつ、経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合すること。
2)計量教習所の課程を修了し、かつ、経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合し、計量行政審議会が上記1)に掲げる者と同等以上の学識経験を有すると認めること。

2受験資格
3区分ともに、学歴、年齢その他の制約は一切ありません。

3試験科目の一部免除
既に、環境計量士(濃度関係)、環境計量士(騒音・振動関係)及び、一般計量士の計量士国家試験のいずれかに合格していれば、他の試験区分を受験する際には、必要な手続きをすれば、試験科目のうち「計量関係法規」及び「計量管理概論」の試験が免除されます。

4試験の期日
3区分ともに、通常は3月の第1日曜日、年によっては第2日曜日です。

5試験地
3区分ともに、次の9都市で行われます。札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、高松市、福岡市、那覇市

6試験の時間割(一般計量士については省略しています)

時間区分 濃度関係 騒音・振動関係
9:10~9:30 準備時間(試験についての注意を読む)
9:30~10:40 環境計量に関する基礎知識(環境関係法規及び化学に関する基礎知識) 環境計量に関する基礎知識(環境関係法規及び物理に関する基礎知識)
11:00~12:10 化学分析概論及び濃度の計量 音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量
12:10~13:10 昼食時間
13:10~14:20 計量関係法規
14:40~15:50 計量管理概論

 

7試験方法
3区分とも筆記試験により行われます。
試験は、上表のように各区分4科目で1科目につき問題は25問、全100問です。
出題型式は五肢択一式です。従って、1問に5つの記述事項があり、そのうち正しいものあるいは誤っているもの1つを選んでマークシートを塗りつぶします。

8受験申込書類
下記のものが必要となります。ただし、記入方法などは試験案内書を取り寄せてそれに従って作成下さい。

1)受験願書
願書用紙、試験案内書は下記の通商産業局等で入手可能です。
2)収入印紙8、000~9、000円程度
(受験手数料として願書に貼るもの。年により額は変化します。
3)写真(5cm×5cmで、裏面に氏名及び生年月日を自署)
4)郵便切手50円(受験票に貼り付け)
5)合格証書の写し(試験科目の一部免除を申請する者のみ必要)

9試験願書用紙及び試験案内書の入手先
下記の連絡先に、受験される方が直接申し込んで下さい。なお、入手目的の際には140円切手(2部は200円、3部は240円、4~8部のとき、390円切手)を貼った封筒に宛先を書き返信用封筒を同封して下さい。これらの配布期間は、通常10月初旬から願書締切日までの約一ヶ月間ですので、申込は、余裕を持って行って下さい。

10受験前の心構えと準備
一般の試験と共通ですが、以下のように計画的にご準備下さい。

1)事前の心構え
できるだけ、弱点が克服できるように計画的に学習を進めて下さい。
また、体調をあらかじめ整えておいて下さい。試験が3月なので、受験勉強の時期に風邪などを引かないようにご注意下さい。

2)直前の心構え
受験に必要なものを忘れないようにチェックリストを作って確認するくらいの配慮をお願いします。(送付された受験票も忘れずに)
試験会場の地図などを参考に、当日あわてないように会場の位置を下調べしておいて下さい。前日は、十分な睡眠をとって下さい。残業や酒席の付き合いなどは避けるようでないとなかなか合格はできません。

3)当日の心構え
試験会場には、少なくとも開始時間の30分前には到着するように出発して下さい。自分の席を早めに確認して下さい。また、用便はあらかじめ済ませておくことがよいでしょう。

4)試験に臨んで
受験番号と氏名をまず書きましょう。全問正解でなくてもよいのだと考えてリラックスしましょう。
問題は少なくとも2回読みましょう。

ご健闘をお祈りしております。

久谷 邦夫 (著), 環境学園専門学校 (編集)
弘文社; 新訂1版 (2009/11/4)、出典:出版社HP