2020-2021年版 徹底マスター 美容師国家試験過去問題集




はじめに

本書は、国家試験である美容師試験の筆記試験対策の問題集です。
JHEC(日本美容教育委員会)では、『美容師国家試験合格対策&問題集(2020年版)』を編集し、日本能率協会マネジメントセンターから出版しています。それが応用力の向上に最適な本であるのに対し、本書はこれまでに出題された過去問題を豊富に取り上げ、美容学校の授業に合わせて理解を深めていただくことを想定して執筆・編集しました。教科書に掲載されていない用語や内容でも、実際に試験で出題されたものは著者の判断で取り上げています。

本書が、美容師を目指している方々をご指導されている先生方のお役に立てましたら幸いです。また、美容師を目指している読者の皆様が本書をご利用くださり、美容師試験に合格なさることを心よりお祈りしています。

JHEC事務局長
石井至

※本書は2019年9月1日時点の情報をもとに作成されています。
※最新の国家試験に関する情報は、公益財団法人理容師美容師試験研修センター(https://www.rbc.or.jp/index.html)の「お知らせ」等でご確認ください。

石井 至 (著), JHEC[日本美容教育委員会] (編集)
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/29)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに
美容師試験の基本知識
過去問題の傾向と対策
本書の活用法・学習アドバイス

I部 過去問題に挑戦しよう
第36回過去問題
第37回過去問題
第38回過去問題
第39回過去問題

II部 分野別問題で理解を深めよう
Chapter 1 関係法規・制度
関係法規・制度の過去問題に挑戦しよう(問1~問15)

Chapter 2 衛生管理
衛生管理の過去問題に挑戦しよう(問1~問75)

Chapter 3 美容保健
美容保健の過去問題に挑戦しよう(問1~問45)

Chapter 4
美容の物理・化学
美容の物理・化学の過去問題に挑戦しよう(問1~問45)

Chapter 5 美容理論
美容理論の過去問題に挑戦しよう(問1~問46)

III部 本番を想定して実戦力を養おう
直前対策チェック
ダウンロード特典について

別冊・解答と解説

●略称について●
本文では下記のように略称を用いています。
法…美容師法
施行令…美容師法施行令(政令)
施行規則、規則…美容師法施行規則(厚生労働省令)

●過去問題の出題年情報について●

※「改題」とついているのは、出題時点以降に法律や施行規則が改正されたため、現行法制上ふさわしい問題となるように、問題文を変更したものです。また、平成12年以降、美容師試験の実施団体では通し番号で呼ぶようになりました。本書も、この通し番号に合わせた表記をしています。

石井 至 (著), JHEC[日本美容教育委員会] (編集)
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/29)、出典:出版社HP

美容師試験の基本知識

◎美容師になるには
美容師について定める美容師法という法律では、第3条1項で「美容師試験に合格した者は、厚生労働大臣の免許を受けて美容師になることができる」と定めています。つまり、美容師試験に合格した人だけが美容師になれるのです。

◎美容師試験とは
美容師試験は、同法第4条の2で、厚生労働大臣が指定試験機関を指定して試験の事務を行わせることができると定めており、現状では、公益財団法人理容師美容師試験研修センターが唯一の指定試験機関になっています。

公益財団法人理容師美容師試験研修センター問い合わせ先
〒135-8507 東京都江東区有明3-7-26 有明フロンティアビルB棟9F
TEL 03-5579-0911 または各ブロック事務所・府県支部等

◎受験資格
美容師試験の受験資格は、同法第4条3項の規定により、「厚生労働大臣の指定した美容師養成施設において厚生労働省令で定める期間以上美容師になるのに必要な知識及び技能を修得したものでなければ受けることができない」とされています。つまり、美容学校を卒業した人でないと受験できないことになっています。また、美容学校の期間は、美容師法施行規則第11条に定められているとおり、昼間・夜間課程は2年間、通信課程は3年間になっています。

◎試験科目
現在の枠組みで行われた最初の試験(平成12年7月2日)以降、以下の形で出題されています。なお、解答時間は1時間40分で、60%以上の正答率で合格となります(ただし、いずれの課目においても無得点がないこと)。なお、平成31年3月に試験科目と出題数の変更が発表されました。主な変更点は、「運営管理」「文化論」が加わったことです。「運営管理」は経営、労務管理、マーケティング等の内容を含んでおり、現場の美容所の運営に必要な内容です。また、「文化論」は美容業の歴史、日本と西洋のファッション文化史、洋装を含む礼装についての内容になっています。

<平成12年~令和3年(経過措置)>

課目(科目) 出題数
関係法規・制度 5問
衛生管理 15問
美容保健 10問
美容の物理・化学 10問
美容理論/美容技術理論 10問
合計 50問

 

<令和2年~>

課目(科目) 出題数
関係法規・制度及び運営管理 10問
衛生管理 15問
美容保健 10問
香粧品化学 5問
文化論及び美容技術理論 15問
合計 55問

 

◎美容師免許
美容師試験に合格した人は、同施行規則第1条のとおりに、免許申請書に戸籍謄本(または抄本、住民票の写し)と医師の診断書をそえて、厚生労働大臣の指定登録機関に提出します。審査を通過すると、美容師名簿に登録され、指定登録機関から美容師免許証明書が交付されることになります。

石井 至 (著), JHEC[日本美容教育委員会] (編集)
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/29)、出典:出版社HP

過去問題の傾向と対策

◎関係法規・制度
第36回、第37回に続き、第38回、第39回でも生活衛生関係営業の運営の適正化及び振興に関する法律(略称:生衛法)について出題されました。また、めずらしい出題としては、第37回・問題1選択肢dでは、外国の美容師の資格についての記述がありました。第39回では、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(略称:医薬品医療機器等法)や個人情報の保護に関する法律(略称:個人情報保護法)についても出題されています。

第39回・問題3では「業務独占資格」という言葉が使われました。外国の一部の国では、美容師の資格がない人でも美容師と名乗らなければ美容の業を行ってもいいのですが、日本では、美容師と名乗ろうと名乗らなくても美容の業は美容師だけが行うことができます。これが業務独占資格です。教科書に載っていない言葉ですが、この問題では他の選択肢が容易に正しいまたは誤りだとわかるので、支障はなかったと思います。

◎衛生管理
公衆衛生・環境衛生の分野の問題は、全回ともオーソドックスな問題ばかりで、ここは全問正解を目指したいところです。まぎらわしかったのは第39回問題・問題9の選択肢2です。美容所から大量に排出される毛髪は産業廃棄物ではなく、事業系一般廃棄物に該当するのですが、教科書の記載が曖昧なため誤解しやすい問題です。

試験問題は世相を反映するところがあり、最近毎年ニュースで話題になるデング熱についての出題が、第36回・問題10・選択肢1、第38回・問題10・選択肢1、(感染症の分野の問題として出題されましたが)第39回・問題13・選択肢2と頻出しています。
感染症の分野と衛生管理技術(消毒法)の問題も、全回ともオーソドックスな問題で得点源にすべきところです。

◎美容保健
人体の構造及び機能の分野では、第36回・第37回・第38回はおおむねオーソドックスな問題でしたが、第39回は出題がまれなところが問われました。たとえば、問題21の「赤唇縁」というのは教科書に記載があるのですが、今まで見かけることがあまりなかった言葉です。問題22の滑液も同様です。ただし、いずれも正解を求めるという点では、他の選択肢を見れば容易に誤りまたは正しいことがわかる問題です。

第39回・問題23では正解が2つある問題が出題されました。左右の半球に分かれているものはどれか、という問題ですが、教科書に明記されているのは大脳なので、大脳を選べば問題ありません。ただし、小脳も左右の半球に分かれているため、どちらの選択肢を選んでも正解になったことと思います。皮膚科学の分野では、前回とも一般的な出題になっています。

◎美容の物理・化学
美容の物理・化学の問題は、全回ともおおむね基本的な問題でしたが、一部、出題がまれなものが問われました。たとえば、第36回の問題32では、教科書に登場しない「臨界温度」という用語が問題文中に使われました。第38回・問題38・選択肢3ではフィナステリドという言葉が使われました。医薬品の育毛成分フィナステリドは教科書で小さな字で記載はありますが、出題はおそらく初めてだと思われます。第39回・問題36・選択肢3の抗炎症効果のある成分アラントインも、おそらく初めての出題ではないかと思います。いずれも、その言葉がわからなくても、頻出問題をしっかり勉強していれば正解を得るには支障ありません。

◎美容理論/美容技術理論
美容理論の問題も全回ともおおむね基本的な問題でしたが、一部、出題がまれなものが問われました。たとえば、第37回・問題41の「ルヌーラ」という言葉はおそらく試験では初めて登場する言葉です。

第38回・問題47では酸化染毛剤による染毛で染まりやすい部位についての出題がありました。教科書の図と類似の図ではありますが、おそらく過去に出題されたことがない問題でした。ただし、自分の髪の毛を触れば、どこが柔らかくて染まりやすいかわかるため、常識で解答できる問題ではありました。第39回・問題45ではパーマネントウェーブのテストカールで見るウェーブの状態についての出題がありましたが、これもめずらしい問題です。教科書の図と類似の図がそのまま出題されていました。過去に出題されていなくても、教科書で図で示されているところは重要なので、ポイントとしてよく覚えておくとよいでしょう。

全般的に、難易度は最近になるほど難しくなってきていると思いますが、過去問題をしっかり勉強しておけば合格点を取ることに関しては支障ありません。しっかりと頻出問題を繰り返し勉強することが合格への近道です。

石井 至 (著), JHEC[日本美容教育委員会] (編集)
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/29)、出典:出版社HP

本書の活用法・学習アドバイス

(1) まずは最新の過去問を1回分解いてみる
筆記試験は60%以上の正解(ただし、いずれの課目も無得点がない場合)で合格になりますから、まずは、自分が今どのくらいの点数をとれるかをチェックしてみるとよいでしょう。半分も正解できない場合は、これからしっかりと勉強しないと合格できないことは明らかですから、腰を据えて勉強する覚悟が必要です。

(2) 課目別に勉強する
次に、課目別に勉強します。1課目ずつ繰り返し勉強し、知識が定着したと思ったら次の課目に進む、という具合です。課目別の学習は、ダウンロード形式の「過去問セレクト○×問題」、II部の課目別の過去問題の順で取り組み、わからないところは本書の解答を見るだけでなく、教科書の該当部分も見返すとよいでしょう。全課目が終わったら、復習のためにもう一度、ダウンロード形式の○×問題と過去問を通しでやりましょう。毎日1時間勉強しても2~3週間はかかると思います。つまり、最低でも試験前の2週間は対策に集中する必要があるということです。

(3) 実力を試す
4回分掲載している最新の過去問の残り1回分を解いてみます。これで70%以上とるのが目標です。余裕があったら、『集中マスター美容師国家試験合格対策&問題集』(日本能率協会マネジメントセンター刊)で問題を解く時間のペース配分などを含めた実践的な演習をするとよいでしょう。

石井 至 (著), JHEC[日本美容教育委員会] (編集)
出版社: 日本能率協会マネジメントセンター (2019/11/29)、出典:出版社HP