和食検定 入門編




はじめに

2013年に「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録されました。

このことは、世界中の人々に和食が評価されたこと、そして日本人がその重要性を再認識し、和食文化を普及、教育、改善、保護、継承していく使命を課されたこと、さらに日本人が諸外国に対しても正しい情報を発信していかなければならないことを意味します。

こうした背景を踏まえて、業界関係者だけではなく、幅広く内外の若い人や一般の人々を対象に、日本語と英語を併記した和食学習への導入教材として「和食検定・入門編」を編纂しました。

世界中どこの国にもその風土や自然環境に根ざした食文化があります。自国の食文化に誇りを持ち、祝祭日、記念日や大切なお客様が来られたときに丹精を込めて食事を作り、心からのおもてなしをすることは世界共通の習わしです。

幸いにも山海の自然に恵まれ長い歴史を持つ日本では、豊かな地域色と食材をもとに、調理技術の向上とともに素晴らしい食文化が培われてきました。加えて世界中の食材や食品が導入され、とりわけ洋食の影響を受けて和食は独特の進化を遂げています。

一方、今や世界中の人々が異国を旅する時代となり、訪れる国の文化伝統に触れて感動し、また次の目的地へと移動しています。日本を訪れる外国人の数は、政府の観光政策により年間目標4000万人に拡大しつつある中で、和食の人気度は興味関心事の常にベスト3に挙げられています。

しかしながら、私たち日本人がどれだけ和食のことを知り、どれだけ人々に説明できるでしょうか。洋食が普及した現在、若い人々の和食離れも起きています。他国民と同じように、日本人が日本人として世界に出て行ったときには、和食文化の素晴らしさを誇りを持って紹介できるようにしたいものです。

自国の伝統文化に誇りを感じる日本人は、外国人からも国際人としての日本人として評価され尊敬されます。和食に携わる業界人のみならず、世界に立ち向かう全ての日本人が、自国の伝統文化、とりわけ和食文化に興味関心を抱き、コミュニケーションの一つ、また話題の一つとして取り組んでもらいたいと思います。

こうした願いをもとに、当財団は2011年に和食検定を立ち上げ、これまで「基本レベル」と「実務レベル」の試験を実施してまいりました。本書「和食検定・入門編」は、グローバルな視点から、多くの人々への啓蒙と国際文化交流の一助となることを念願し、まとめています。自己啓発の一つとしてご活用ください。

本書制作にご協力いただいた全ての方々に感謝するとともに、和食の造詣の深い方々のご指摘、ご意見を頂戴できれば幸いです。

一般財団法人 日本ホテル教育センター
理事長 石塚勉

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2015/4/1)、出典:出版社HP

目次

はじめに

和食検定実施要領

第1章 和食文化
1 和食文化とは
(1)和食文化の成り立ち
(2)和食の基本

2 一汁三菜とは
一汁三菜の世界
【一汁三菜の世界図】

3 和食文化誕生
(1)日本の地理、地形、気候から見る和食
1)気候の特徴
2)豊かな水
3)海流がもたらす豊かな魚食文化

(2)特徴的な項目で見る和食文化の流れ
1)米文化の変遷
米から造られる酒
2)料理の変遷
道具(器・箸)
日本人と肉食
3)調味料の歴史
日本人とすし

復習

第2章 和食文化の継承
1 地域の食材と郷土料理

地域の食文化を担う郷土料理
47都道府県の郷土料理
【日本の主な郷土料理名】

北海道・東北地方
1北海道/石狩鍋
2青森県/いちご煮
3岩手県/ひっつみ
4宮城県/はらこ飯
5秋田県/きりたんぽ鍋
6山形県/いも煮鍋
7福島県/こづゆ

関東地方
8茨城県/鮟鱇鍋
9栃木県/しもつかれ
10群馬県/おっきりこみ
11埼玉県/いが饅頭
12千葉県/鰯のごま漬
13東京都/深川丼
14神奈川県/けんちん汁

北陸・中部地方
15新潟県/のっぺい汁
16富山県/鱒のすし
17石川県/治部煮
18福井県/小鯛の笹漬け
19山梨県/ほうとう
20長野県/おやき
21岐阜県/朴葉味噌
22静岡県/鰻の蒲焼
23愛知県/味噌煮込みうどん

近畿地方
24三重県/てこねずし
25滋賀県/鮒ずし
26京都府/おばんざい
27大阪府/箱ずし
28兵庫県/ぼたん鍋
29奈良県/柿の葉ずし
30和歌山県/めはりずし

中国・四国地方
31鳥取県/蟹汁
32島根県/鱸の奉書焼
33岡山県/ママカリずし
34広島県/牡蠣の土手鍋
35山口県/ふく料理
36徳島県/そば米雑炊
37香川県/あんもち雑煮
38愛媛県/じゃこ天
39高知県/皿鉢料理

九州・沖縄地方
40福岡県/がめ煮
41佐賀県/須古ずし
42長崎県/卓袱料理
43熊本県/辛子蓮根
44大分県/鰤のあつめし
45宮崎県/冷汁
46鹿児島県/きびなご料理
47沖縄県/チャンプルー

土産土法

2 行事と和食
(1)冠婚葬祭と料理



(2) 年中行事と料理
【主な年中行事】
正月
お節料理/雑煮
鏡開き
節分
春彼岸
花見
夏越の祓
土用の丑
十五夜
秋彼岸
十三夜
七五三
冬至
大晦日

(3)暦と料理
1)暦とは(太陰暦・太陰太陽暦・太陽暦)
2)二十四節気と雑節
【暦一覧表(新暦による、二十四節気と雑節)】
3)五節供(五節句)
人日
上巳
端午
七夕

3 四季の食材と料理
食材と季節感

1)春の食材と料理
貝類のお造り/蛤の潮汁
鯛姿焼
山菜の天ぷら/独活の酢味噌和え
蕗青煮/空豆塩茹で

2)夏の食材と料理
鱧ちり/鮎塩焼
鰹の叩き/泥鰌の柳川鍋
枝豆の塩茹で/冬瓜の煮物
茗荷

3)秋の食材と料理
伊勢海老姿づくり
秋刀魚塩焼
鯖味噌煮
松茸ご飯/酢蓮根
揚げ銀杏/里芋のにっころがし

4)冬の食材と料理
鱈昆布締め/甘鯛若狭焼
蟹飯/河豚のちり鍋/茶振り海鼠
金平牛蒡
紅白膾

5)季節を問わず使われる食材
干物/練り物/豆腐
塩辛/魚卵/佃煮

シルエット解説
復習

第3章 和食文化を生み出す世界
1 和食文化を生み出す食材と料理
(1)米
1)日本人と米
2)米ができるまで

3)米の種類
粳米/糯米
古代米
玄米/白米

4)糠
糠のさまざまな利用法

5)米(粳米)から作られる食べ物
【主な食べ物】
6)糯米から作られる食べ物
7)米から生まれた酒と神事

8)その他の穀類
小麦/玉蜀黍

(2)魚介類/藻類
1)魚/甲殻類/軟体類/貝類/藻類

2)赤身の魚/白身の魚/青魚
光り物

3)海藻類

4)お祝いに用いる魚
出世魚
語呂の良い魚・めでたさにつながる魚介

5)活用法
6)魚偏の漢字
7)保存法の知恵

(3)野菜類/その他
1)野菜類
【牛蒡を使った料理】
各地の伝統野菜
【日本原産の野菜】

2)芋類
3)豆類
4)茸類
5)山菜類
6)果実類
7)乾物類

8)薬味(香辛料)
山葵/生姜/芥子(辛子)
大根おろし/染めおろし/紅葉おろし
七味唐辛子
粉山椒/胡椒/柚子胡椒

(4)肉類/卵類
肉の禁忌
1)牛肉
2)豚肉
3)鶏肉
4)合鴨
5)鹿肉/馬肉/猪肉
6)鯨肉
7)卵類

2 和食の味わいを生み出す要素
(1)水
1)水が支える和食
2)日本の水の特徴
灘の酒と伏見の女酒

(2)うま味
1)うま味の活用
2)出汁に用いられる食材
節類/煮干し類
昆布/干し椎茸/その他
3)発酵食品の知恵
漬け物/糠床
味噌/しょっつる/納豆

(3) 調味料
1)塩
2)味噌
3)醤油
4)酒
5)酢
6)甘味
味林/砂糖

3 和食を演出する要素
(1)日本酒(清酒)
1)日本酒の種類/特徴/味わい
精米歩合とは?
2)日本人とお酒
お屠蘇/白酒/甘酒
三三九度/お酌のマナー

(2)日本茶
1)種類/特徴/味わい
【製法による茶の大まかな分類】
煎茶/深蒸し煎茶
番茶/ほうじ茶
玄米茶/玉露
碾茶/抹茶
2)効用
3)淹れ方/飲み方
煎茶の淹れ方
抹茶(お薄)の点て方と飲み方

(3)和菓子
季節の和菓子/年中行事と和菓子
【主な年中行事と和菓子】

(4)器
1)やきもの
【器の産地と主な分類】
京焼
染付/色絵/黄瀬戸/織部
瀬戸物

2)木の器
椀/膳(折敷)/盆

3)和食の器の特徴

(5)箸
1)日本人は箸食文化
2)日本の箸
3)正しい答の持ち方/使い方
4)箸の種類
手元箸
5)箸使いのタブー

復習

第4章 和食の技とおもてなし
1 和食と料理
和食の彩り

2 ご飯を炊く・出汁をとる
(1)ご飯を炊く
1)米を研ぐ
【米の研ぎ方】
2)ご飯の炊き方
3)ご飯のよそい方
お櫃

(2)出汁をとる
1)出汁の素材−昆布類・節類・煮干し類−
2)出汁の使い分け
3)汁物
【主な料理例】
4)出汁のとり方
【昆布と鰹節でとる出汁(一番出汁)】
【煮干し出汁】

(3)基本は五味五色五法
【五行の配当表】

3 和食の技
(1)生(切る)
切る
1)刺身と調理のポイント
懐石料理の向付
【主な料理例】
2)盛り付けの約束事
3)あしらいと効用
つま/けん/辛味
4)醤油
【主な醤油】
【お造り(刺身)盛合せ】
お造りのバリエーション

(2)焼く
炭の効用
焼き物と調理のポイント
【主な料理例】
【鯛の兜焼】
化粧塩
【鯛の照焼】
タレの基本は「四分六」
器の正面

(3)煮る(炊く・焚く)
煮物と調理のポイント
【主な料理例】
【筑前煮】
焚合せ
翡翠煮

(4)蒸す
蒸し物と調理のポイント
【主な料理例】
茶碗蒸し/吸い口
【鯛の蕪蒸し】
蓋物の扱い
蓋の開け方

(5)揚げる
揚げ物と調理のポイント
【主な料理例】
【天ぷら盛合せ】
揚げ出し豆腐
片口の器の置き方

(6)茹でる/和える
1茹で物と調理のポイント
2和え物と調理のポイント
【主な料理例】
【筍の木の芽和え】
野菜の白和え

(7)漬ける
漬け物とは
【主な料理例】
糖漬け/塩漬け
梅干し

(8)プロの料理と家庭料理
1)盛り付けの違い
2)調理プロセスの違い

(9) 調理道具
包丁/真魚板
丸鍋(やっとこ鍋)/やっとこ
落とし蓋/フライパン/菜箸
木杓子/玉杓子/泡立て器
へら/おろし金/巻き簾
すりこ木・すり鉢/バット/ボウル
笊・金笊
計量カップ・計量スプーン

4 和食のおもてなし
(1)和室のしつらい
【和室】
畳の各部の名称と敷き方
装飾を兼ねた襖と欄間
掛け軸
四季の花々の例

(2)和室での振舞
座り方(正座と跪座)
左上位

(3)和食の食事作法

(4)「いただきます」と「ごちそうさま」
【箸の使い方】
【鯛の塩焼の食べ方】

復習

終章 未来に向けて
1 未来につなぐ和食文化
(1)和食文化の継承と食育
食育基本法の制定
食育は知育・徳育・体育の基礎

(2)食料自給率を高める

2 和食の良さを見直す
(1)バランスの良い和食
うま味の効用

(2)未来に向けて

復習
復習解答

参考文献
索引

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2015/4/1)、出典:出版社HP

和食検定実施要領

1 検定試験の趣旨

2013年に「和食:日本人の伝統的な食文化」がユネスコの無形文化遺産に登録され、和食は世界的に注目を集めている。その中で、日本の持つ固有の食文化やおもてなしの精神の素晴らしさを再認識し、和食と和食文化を普及、教育、改善、保護、継承していくための努力が広く求められている。

また、2016年に訪日外国人旅行客が2400万人を超え、観光庁のビジット・ジャパン・キャンペーンの取り組みに沿って、海外の方々へ正しい知識を広めていくことも重要な課題の一つである。日本の観光資源に対する関心の高まりを受けて、接遇の現場においても、日本の伝統的な食を通した国際文化交流の窓口としての努力を始める必要がある。

本検定制度は、日本の食文化を正しく理解し、正しく伝えるための基礎知識の普及と、和の食文化を継承、発信していくために必要な専門知識と実務知識の理解度を測るものである。具体的には

(1)和食文化の正しい理解と継承
(2)日本古来のおもてなしを中心とした業界人のレベルアップ
(3)日本文化の魅力を国内外に発信できる人材の育成

以上の3点を目的としている。和の食文化に対する興味関心を高め、その普及と継承への意識を向上し、また業界の人材育成に寄与するため、多くの関係者の協力を得ながら、一般財団法人日本ホテル教育センターが実施する。

2 検定試験の特徴

(1)和食の基本知識から和食接遇に関する実務知識を幅広く習得できるように配慮した。
(2)和食に関する基本知識、和食接遇に関する現場での実務知識、キャリアアップに向けた専門知識を3つの大きな柱とした。
(3)和食検定初級レベルは和の食文化のベースとなる基本的な知識を習得するための学生、外国人、一般の方を対象としている。
(4)和食検定基本レベルは和食に興味関心を持つ一般の方から実務経験者までを対象としている。
(5)和食検定実務レベルは実務経験者を対象としている。
(6)公式テキストである入門編(初級レベルに準拠)、基本編(基本レベルに準拠)、実務編(実務レベルに準拠)ともに、英語で和食や日本の文化を紹介するための学習を組み込んだ。
特に基本的な知識を学ぶ入門編は日英併記版とした。
(7)和食検定は、一般財団法人日本ホテル教育センターが認可する制度である。

3 検定試験の名称および本部
(1)名称 和食検定

(2)検定本部
一般財団法人日本ホテル教育センター
和食検定本部
〒164-0003 東京都中野区東中野3-15-14
TEL (03) 3367-5663
FAX (03) 3362-5940

4 検定試験の内容および範囲
(1) 内容
和食文化の基本知識、和食接遇における実務知識習得の目標達成度を測定する。

(2) 範囲
初級レベルはマークシート方式による4択問題とし、100問を出題、問題数100問の内10%を英語学習の習得度を測る問題とする。基本レベル、実務レベルはマークシート方式による4択問題とし、合計200問を出題する。

(3)認定基準
初級レベルは1級、2級、3級ともに共通問題を使用し、全体の正解率による認定級を設ける。基本レベルと実務レベルは、それぞれ1級、2級ともに共通問題を使用する。基本レベルと実務レベルの「2級」は各区分の正解率が60%以上、かつ全体の正解率が65%以上。「1級」は各区分の正解率が80%以上、かつ全体の正解率が85%以上。

それぞれのテキストでの学習内容

実務編テキスト:和食サービスから店舗運営までの専門知識と実務知識を学び指導力を培います。
基本編テキスト:和食の実務に必要とされる基本的な知識を体系的に幅広く学び、プロとしての意識を高めます。
入門編テキスト:和食を生み出した日本の食文化についての初歩的な知識を日英併記版で解説しています。

5 受験対象者および評価基準

(1)初級レベル
1受験対象者 希望者全員
2評価期待基準
a. 和食と和食文化の成り立ちに関する初歩的な知識を持っている。
b. 身近な食の慣習や食習慣などの意味合いを理解している。
c. 和食の特徴を理解し、和の食文化継承への高い意識を持っている。
d. 英語による和食文化発信の重要性を理解している。

(2) 基本レベル
1受験対象者 希望者全員
2評価期待基準
a. 日本料理の基本的な歴史、概要を理解している。
b. 日本料理の特徴を理解している。
c. 日本料理の食材の知識を持っている。
d. 日本料理のしきたりを理解している。
e. 日本料理に欠かせない器や日本酒などの基本知識を持っている。
f. 会席料理の食事作法を理解している。
g. 異文化の食事作法を理解している。
h. 接遇に必要な基本英語、食材や料理の単語の知識を持っている。

(3)実務レベル
1受験対象者 基本レベル1級または2級の認定を受けた者
2評価期待基準
a. 日本料理の接遇の基本を理解している。
b. 着物に関する基本的な知識を持っている。
c. 和室に関する基本的な知識を持っている。
d. 時間帯や顧客などによるさまざまな対応の基本を理解している。
e. 接客用語を理解している。
f. 安心安全につながる基本的な知識を持っている。
g. 店舗運営に関する基本的な知識を持っている。
h. 接遇に必要な英会話の知識を持っている。

6 受験の手続き
試験は以下の手続きにより行われる。

(1)定期試験日
年2回、2月、10月に実施する。実施団体には、事前に受験マニュアルを送付し試験案内を行う。

(2) 試験会場
原則として検定本部が指定した場所とする。

(3) 試験時間
初級レベル:60分基本レベル/実務レベル:90分

(4) 出願方法
財団HP (www.jec-jp.org) を参照、あるいは和食検定本部まで問い合わせ。

(5)受験者の心得
・日本料理の接遇に焦点を当てた試験である以上、おもてなしの精神を有する受験者であることが絶対条件である。よって、受験にあたり、服装や身なりにおいても、試験官によってふさわしくないと判断された場合は受験できないものとする。
・受験に必要なものとして、筆記用具(鉛筆またはシャープペンシルHB以上のもの・消しゴム)と受験票を用意する。
・指定された時間前に着席して筆記試験を待ち、約10分間の説明後、試験が開石。 解答は、選択肢の中から選び、その番号を解答用紙に鉛筆で黒く塗り潰すマークシート方式。間違った番号を選択した場合は、丁寧に消しゴムで消さないと重複解答と見なされ、間違いと判断される。
・交通事情等により、著しく時間を変更せざるを得ないケースが生じた場合、検定本部の指示により時間変更を行うことがある。

凡例

日本文の表記について
1漢字表記の原則:料理の食材名(魚介類、野菜類、豆類など)は、それぞれの漢字を理解することが大切であるとの考えから、その大部分を漢字で表記している。
2振り仮名表記の原則:各ページごとに初出(初めて出てくる単語)の食材名や料理名、暦名、年中行事名などは、原則として振り仮名を付けている。

英文の表記について
1日本語のアルファベット表記の原則:日本語のアルファベット表記は、原則として斜体(イタリック体)とする(例:Osechi-ryon〈お節料理〉, Setsubun〈節分〉)。地名は原則として正字体(一般的な書体)とする(例;tofu skin in Nikko〈日光の湯波〉、Fisher men in Fukagawa〈深川の漁師たち〉に食材名や料理名などの名詞が付いた場合は、その名詞(複合名詞)は食材名や料理名を示すので、地名は斜体とする(例:Nikko yuba〈日光湯波〉、Fukagawa-donburi rice〈深川丼〉)。
2原則の例外:既に英語として認識されている食材名は正字体とする(例:sushi sake miso, dashi, tõfu ,wakame, azuki , kuzu (kudzu), daikon など)。

その他
「うまみ」について:和食の特徴的な味わいを生み出す「うまみ」の表記は、日本語では「うま味」、英語ではそれぞれの場合に応じて「umami」または「umami (deliciousness)」とし、一般的なおいしさを表す「うまみ」については、日本語では「旨味」、英語では「deliciousness」とする。

年代の表記について:時代名に続く年代(例:江戸時代〈1600-1867〉)は、原則として各章の時代名の初出に入れることとする。

日本ホテル教育センター (編集)
出版社: 日本ホテル教育センター (2015/4/1)、出典:出版社HP