図解 モチベーション大百科




Prologue

私たちには意思があります。そして私たちは意思を持って行動しています。しかし私たちの意思とは別に私たちを動かしているものがあります。

“モチベーション”

それは一体どんなものなのか?この本は“モチベーション”の正体を突き止めるべく、研究者たちが実験によって解き明かした心理・行動パターンを、より身近なものに感じていただくために、その要点だけを図解し、私なりの解釈を加えたコレクションです。

“モチベーション”は、見えないところで、私たちを動かしている力。どこからともなくやってきて、私たちを行動させ、いつの間にかいなくなるもの。しかし雲のように自由気ままなものではなく、ある決まった法則に従って、私たちを動かしています。

その法則を理解すれば、ずぼらな自分も、頑固な上司も、動かない部下も、気まぐれな顧客たちも、なぜそうしないのか?あるいは、なぜそうしてしまうのか?そんな答えのないような問題も、あらかじめそうなることがわかっていたように、スムーズに解決できるようになることでしょう。

それだけではありません。なにをしたいのか。どこに行きたいのか。誰と過ごしたいのか。人生で起こることの大半は、この“モチベーション”が決めています。その気になれば、なんでもできる。まさにそう。これからの人生がどうなるかは、すべてモチベーションとの付き合い方次第なのです。だからこそ面白い。

モチベーション”の秘密解明に魅了されている私は、世界的なモチベーターであるアンソニー・ロビンズ氏の考え方を学んで以来、“モチベーション”に関する古今東西の文献を読み漁りながら、そこから得た“モチベーション”の法則を、一つひとつお伝えする毎日を送っています。

そんな私の講座には、ビジネスパーソンだけでなく、パイロットやプロボクサー、画家、スポーツジムのトレーナー、工場長、歯医者、幼稚園の園長、弁護士、整体師、声優、スカウトマン、風水師、作家、主婦、高校生などが話を聴きにやってきます。

これだけバラエティに富んだ人たちが“モチベーション”に強い関心を寄せているのは、どこで、誰と、なにをするにしても、結局「モチベーションとどう付き合っていくか?」が重要な鍵を握っていると、誰もが気づいているからでしょう。感情と行動のメカニズムを知ってください。そして人とのかかわり、自分との対話をより豊かなものにしてください。

この本が皆様にとって、現状打破の一助となれば幸いです。

池田貴将 (著)
サンクチュアリ出版 (2017/6/12)、出典:出版社HP

Contents

Prologue

CHAPTER1 動機づけのモデルケース
・目標勾配 ゴールを間近に感じさせる。
・キャンディ効果 スモールプレゼントをする。
・消費ゴール 報酬を予定する。
・自問式セルフトーク 自分にもお伺いを立てる。
・マインドセット 価値観と行動を結びつける。
・内発的動機づけ 報酬は一つにする。
・小分け戦略 手数を増減させる。
・同調状態 動きを合わせてから、取り掛かる。
・課題の妥当性 噂に気をつける。
・証明型と習得型 当人比で評価する。
Column 6つのニーズを意識して、相手の行動とくっつけよう。
・親近効果 すすめたいものは右側に置く。
・罰金と報酬 あげるよりも、取り上げる。
・学習動機 向こうからやりたい気持ちにさせる。
・心理的リアクタンス やりたがることを尊重する。

CHAPTER2 人材育成のモデルケース
・焦点の移動 思い込みを再評価する。
・プライミング効果 セルフイメージを守る。
・特異性信用 意見する前に、協力する。
・集合的無知 ピンチの時は「ピンチだ」と宣言する。
・マシュマロ実験 悪習をただちにやめさせる。
・役割の力 役を割り振る。
・道德的行動 行動を叱り、存在をほめる。
・同族嫌悪 似ている者同士は離す。
・モラルの逸脱 顔と名前をオープンにする。
・自信過剰バイアス うまい話は聞き流す。
Column 相手の視点から、痛みと快感を見つけよう。
・社会貢献 仕事のずっと先を想像する。
・学習性無力感 ダメだったものも、また試す。
・無意識の適応 「できる人」と勘違いさせる。
・遺伝と環境 憧れの輪に飛び込む。
・人格保護 自己評価を守ってあげる。

CHAPTER3 目標設定のモデルケース
・目標設定理論 目標を具体的にする。
・非競争的報酬 自分自身と競争させる。
・泥棒洞窟実験 共通の目標を作る。
・セレンディピティ 「運がいい」と思って仕事をする。
・社会的手抜き 全員にミッションを与える。
・ピリオダイゼーション 締め切りを細かく区切る。
・行動思考 まず手続きをする。
・悲観的戦略 「次は失敗するかも」と考える。
・妥当性の論理 他人への影響を伝える。
Column もっとカジュアルに目標設定しよう。
・計画の誤り 今できることは今やる。
・自分事と他人事 他人の視点でアドバイスしてみる。
・点と領域 最大と最小を考える。
・ゴールと持久力 多めにやろうと決める。

CHAPTER4 意思決定のモデルケース
・プロスペクト理論 得失の視点から見る。
・情報の偏り 事情は双方から聞く。
・経験の自己と記憶の自己 不合理なことを選ぶ。
・情報処理の特性 欠点は出し切り、利点は出し惜しむ。
・フォールス・コンセンサス効果 自分と反対側との中心点を見る。
・おとり効果 比較対象を見ないで選ぶ。
・計画と誘惑 自分の作業計画書を作る。
・導かれる服従 まずは相手の結論を聞く。
・創造性の不思議 大事なことは、休憩を挟んでから決める。
・機会費用 他の選択肢を探す。
・無意識のパターン認識 ベテランの直感を信じる。
・ブレインストーミング 奇抜なアイディアから出発する。
Column 得たい結果を見据え、決定の数を増やそう。
・価格と価値 迷ったら少し高めに設定する。
・リーダー気質 とにかく最初に発言をする。
・グロウスマインド 「今からでも遅くない」を口癖にする。
・印象と本性 初対面は参考程度にする。

CHAPTER5 人脈作りのモデルケース
・返報性の原理 こちらから先に好意を寄せる。
・模倣効果 一字一句を素直にまねる。
・マルチトラッキング 候補は複数出す。
・初頭効果 初対面に全力を注ぐ。
・スポットライト効果 自意識を捨てる。
・段階的要請 小さな一回をお願いしてみる。
・好奇心の効能 相手のことばかりに関心を持つ。
・視点取得 相手の視点から見る。
Column 自分の関心をゼロにして、相手に没頭しよう。
・透明性の錯覚 もっとおおげさに伝える。
・一貫性原理 見ず知らずの人を頼る。

CHAPTER6 自己管理のモデルケース
・遅れの影響 忙しくさせない。
・感情変換 興奮状態を生かす。
・意思の消耗 我慢を続けない。
・感情のコントロール 怒りは体現しない。
・パワーポーズ 姿勢と呼吸に気をつける。
・分析病の罠 選択量を加減する。
・交互練習 何冊も並行読みする。
・同調圧力 共感からはじめる。
・コントロール欲 「求められている以上」のことをする。
・理想と行動 まず夢の足跡をつける。
Column 「忙しい」という言葉の定義を変えよう。
・ジャムの法則 選択肢は5、6個に絞る。
・学習阻害 「これも一種のリハーサルだ」と思う。
・創造的エクササイズ やり方を変えながら練習する。
・感情表現 なにが起きても「良かった!」と言う。
・連想ネットワーク 笑顔ではじめてみる。
・プロトタイプ 印象に気をつける。

CHAPTER7 発想転換のモデルケース
・反証的質問 問題は「あるもの」として話す。
・批判者の知性 提案には否定も加える。
・損失回避 備品は厳選させる。
・魔術的思考 神頼みをする。
・単純化 わかりやすいイメージを疑う。
・ネッカーの立方体 評価を反対からも見る。
・マスト思考 命令は願望に変える。
・記憶のすり替え 「理想の状況」としてとらえ直す。
・問題の客観視 問題はぜんぶ外に出す。
・変化の見落とし できることの幅を広げる。
・偽陽性と偽陰性 評価は同業他社にたずねる。
Column 目的を言語化して、世界を見直してみる。
・要請と理由 添えられた理由を疑う。
・先見的後知惠 別世界として考える。
・権威者の指示 「納得のいく理由」のないものには抵抗する。
・観察と人間性 細かく描写してあげる。
・フォーカスの更新 良い点だけを記録する。

Epilogue

池田貴将 (著)
サンクチュアリ出版 (2017/6/12)、出典:出版社HP

図解モチベーション大百科とは?

●主に行動経済学、実験心理学を扱った国内外の文献から、人の心理・行動に関する実験とその結果を抜粋し、編著者なりの解釈を加えています。各実験の説明は、読者の皆様がスムーズに理解できるよう、内容の一部または全部を簡略化しています。特に細かい数値や、実験をおこなうことになった経緯、被験者の抽出法などの多くは省略しています。

●編著者による説明は、ビジネスの現場に沿うように解釈された独自のものであり、実際の研究者の意図とは異なる場合がございます。

●以上をご理解いただいた上で、人間の感情の不思議さ、行動の不合理さをお楽しみいただきながら、交渉、問題解決、アイディア出し、スケジュール管理…などさまざまな局面でご活用ください。

池田貴将 (著)
サンクチュアリ出版 (2017/6/12)、出典:出版社HP