電話応対技能検定(もしもし検定)3・4級公式問題集〈第3版〉




はじめに

メールなどのツールが全盛になった現在でも、顧客や社内のやりとりで電話応対の重要性は、ますます高まっています。

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会では、国家資格であった「電話交換取扱者認定制度」を継承し、「電話オペレータ技能検定資格」として実施してきたほか、「電話応対コンクール」「企業電話応対コンテスト」を開催するなど電話応対教育の充実に力を注いでまいりました。

その中で、「電話応対の新しい資格検定制度」への要望が各方面から寄せられました。こうしたニーズに応えて、お客様に喜ばれるビジネス電話応対のエキスパートとして即戦力になり得るチームリーダーの育成を目的に、「電話応対技能検定(もしもし検定)」を2009年にスタートしました。

本書は、「もしもし検定」3級・4級の試験に対応した問題集です。赤シートで解答や重要ポイントを隠しながら問題演習ができる過去問のページと、本試験そっくりの形式で力試しができる実力診断テストから構成されています。第3版では、2015年11月~2017年11月に実施された試験から、重要な問題を選び収録しました。

「もしもし検定」の資格取得を目指す皆さんが、ひとりでも多く合格されることを心よりお祈りいたします。

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社、出典:出版社HP

目次

はじめに
「もしもし検定」の概要
3級・4級試験の全体像
3級・4級合格のポイントとなる「到達目標」
委員名簿
本書の使い方

Part1 「もしもし検定」過去問題
1 日本語
2 コミュニケーションツール・電話メディア
3 電話応対
4 マナー
5 法的知識
6 実技問題

Part2 実力診断テスト
1回目 解答用紙
1回目 問題
2回目 解答用紙
2回目 問題
1回目 解答解説
2回目 解答解説

索引
正誤についてのお問い合わせ

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社; 第3版 (2017/12/14)、出典:出版社HP

「もしもし検定」の概要

◆「もしもし検定」とは
「もしもし検定」は、(公財)日本電信電話ユーザ協会が実施する、電話応対に関する資格試験の愛称で、正式名称を「電話応対技能検定」といいます。

企業における電話応対やビジネスコミュニケーションのエキスパートとして即戦力になり得るチームリーダーの育成を目指し、実施されています。

4級(2014年に新設)から1級までの段階別資格と、資格取得希望者を教育する「指導者級」で構成されており、そのうち4級は、筆記試験のみで認定されます。3級以上の受験者は、所定の講習を修了後、筆記試験と実技試験によって認定されます。

◆検定の概要
検定方法: 検定委員会が定める講習(授業科目および時間数)を修了し、専門委員会で定めた実技・筆記試験に合格した者に認定証を付与
※4級は筆記試験のみ実施。

検定実施月: 各級の検定実施月は下記の通り

4級 毎月第1水曜日*
3級 奇数月の第1水曜日*
2級 2、6、8、12月の第1水曜日*
1級 4、10月の第1水曜日*

※第1水曜日が祝日の場合、第2水曜日に実施
有効期間: 指導者級のみ5年間の有効期間を設け、更新制とする
実施機関: (公財)日本電信電話ユーザ協会「電話応対技能検定委員会」
事務局: (公財)日本電信電話ユーザ協会本部
詳しくは、日本電信電話ユーザ協会のホームページをご覧ください。
http://www.jtua.or.jp/education/moshimoshi/

◆級別の資格と検定料
基本的には、下位の級から順に受講・受験することが望ましいとされますが、経験がある受験者については2級からの受講・受験が認められています(ただし、後述の基本科目の受講が必要です)。

4級 ビジネス電話応対に必要なコミュニケーションの基礎知識を有する 受験料
1,000円+税
3級 ビジネス電話応対に必要なコミュニケーションの基礎能力を有する 5,000円+税
2級 ビジネス電話応対に必要なコミュニケーションの応用能力を有する 6,000円+税
1級 ビジネス電話応対に必要な社内の指導者として高度な実践能力および指導能力を有する 7,000円+税
指導者級 電話応対に関する高度な知識、技能を有し、本検定の
実施にあたっては、指導官や試験官などの役割を担う
10,000円+税

 

◆認定証と認定カード
合格者へは、希望により下記を有料で発行します。
●指導者級および1級~3級の合格者
認定証 3,000円(税別)
認定カード(写真付き) 5,000円(税別)
●4級の合格者
4級カード500円(税別)

◆受験資格を得るために必要な講習
もしもし検定では、受検資格を得るために、下記の講習を修了することが必要とされています。ただし、4級には講習制度がなく、筆記試験のみで認定されます。

指導者級では、下記の講習に加えて、さらに25時間以上の講習を修了することが必要です。

授業内容 時間数
基本科目
10時間以上
●教養ある社会人として欠かせない人格的マナー
●話し言葉・聴くこと・話すこと・気遣うこと。
●敬語と言葉遣いの基本
●発声・発音の基本
●電話と対面コミュニケーションの違い
●様々なコミュニケーションツールと
電話メディアの特徴
●個人情報保護法(概要)
2時間以上
2時間以上
2時間以上
1時間以上
1時間以上
1時間以上1時間以上
1級
15時間以上
●クレーム電話応答
●クレーム・紛争に関する法的知識
●伝え方・聴き方の応用
●電話応対のメディエーションの応用
●電話応対のアサーションの応用
●電話応対のカウンセリング
5時間以上
1時間以上
4時間以上
1時間半以上
1時間半以上
2時間以上
2級
15時間以上
●電話応対の応用
●伝え方・聴き方の基本
●日本語の特徴
●電話応対のメディエーションの基礎
●電話応対のアサーションの基礎
●電話応対のカウンセリング
●個人情報保護法
(応対者事例によるグループワーク)
5時間以上
2時間以上
1時間半以上
1時間半以上
1時間半以上
2時間以上
1時間半以上
3級
基本科目+ 5時間以上
●電話応対の基礎
●電話の受け方、かけ方、取り次ぎ、伝言
2時間以上
3時間以上

 

◆筆記試験と実技試験
各級の検定試験の概要は、次の通りです。より上位の級に進むにつれ、試験時間が長くなります。

1級 2級 3級 4級
検定試験 ●筆記(四肢択一マークシート20問、論述1問、記述1問)
●実技(ロールプレイ)
●筆記(四肢択一
マークシート20問、記述1問)
●実技(ロールプレイ)
●筆記(四肢択一
マークシート20問)
●実技(ロールプレイ)
●筆記(四肢択一
マークシート20問)
※3級の筆記試験と同内容
試験時間 ●筆記90分
●実技3分
●筆記60分
●実技3分
●筆記40分
●実技3分
●筆記40分
配点 ●筆記100点 ●実技100点 筆記100点
合格基準 筆記試験・実技試験共に7割以上の得点 7割以上の得点

 

◆3級・4級の体系
4級合格者が次に3級を受験する場合は、筆記試験が免除されるほか、3級の講習の約半分が免除されるため、より手軽に受験できるようになっています。

受験級 基本科目 10時間 3級科目
(電話研修)
5時間以上
筆記試験
40分
実技試験
3分
心構え 知識
4級 必要
3級 4級合格者 必要
(2時間以上)
必要 必要
4級合格者
以外
すべて必要

※―は免除される科目・試験

4級合格者が免除される、講習の「基本科目」
●敬語と言葉遣いの基本
●発声・発音の基本
●様々なコミュニケーションツールと電話メディアの特徴
●個人情報保護法(概要)

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社; 第3版 (2017/12/14)、出典:出版社HP

3級・4級試験の全体像

◆3級・4級筆記試験の問題構成
3級筆記試験と4級筆記試験は同じ内容で実施されます。具体的な問題構成は、次の通りです。

筆記試験は、状況設定をもとに、場面に応じて解答を選ぶ問題が多く含まれています。

3級・4級筆記試験(20問)
下記の各領域から出題し、各領域分野の理解度を判定する。
与えられた選択肢から解答する。

●日本語(7問程度を目安に出題)
●コミュニケーションツール・電話メディア(2問程度を目安に出題)
●電話応対(3問程度を目安に出題)
●マナー(6問程度を目安に出題)
●法的知識(2問程度を目安に出題)

◆3級実技試験
3級以上で実施される実技試験では、電話応対の実践能力を判定するため、電話の模擬応対(ロールプレイング)が行われます。

試験問題は、事前に配布されます。試験問題の状況設定をもとに、3分の試験時間内で、自由に会話を展開します。

配点は100点、7割以上の得点で合格です。

採点は、次ページの「電話応対技能検定【もしもし検定】スキルチェック表」を基準に行い、3級では「ビジネス電話応対に必要なコミュニケーションの基礎能力を有するか」を評価します。

電話応対に正解はありません。電話を受ける人、かける人によって会話が異なります。したがって、本書では実技試験の問題のみを掲載しております。

◆「もしもし検定」スキルチェック表の解説
実技試験では、ビジネス電話として『顧客満足度を達成するために』企業や組織を守り、人の心と言葉を大事にした人間的に温かみのある愛ある応対であったかを下記の項目ごとに審査します。

最初の印象 5点
●挨拶、社名の名乗り、取り次ぎ方など、オープニングの好感度

基本応対スキル 20点
●自然な抑揚、テンポ、表情で話しているか
●声柄や話し方は聞きやすく好感が持てるか
●敬語や応対用語など、言葉遣いは適切か
●パターン化した言語ではなく、場に合った表現の工夫がみられるか

コミュニケーションスキル 20点
●お客様の言葉をしっかり聴き取り訊きだしているか
●お客様の話を要点を押さえて正しく理解しているか
●ポイントを押さえた無駄のない、わかりやすい説明ができているか
●手際のよい応対、処理ができているか

情報・サービスの提供 20点
●お客様が知りたいことを的確に答えているか
●お客様の期待以上の情報・サービスの提供ができているか
●確かな業務知識・情報を持っているか
●この応対を通じてお客様の信頼感を高め得たか

最後の印象 5点
●挨拶、名乗り、大事なことのくり返しなど、次につながる心のこもったクロージングであったか

全体評価 30点
●全体を通して、お客様に満足していただける応対であったか
減点について(試験細則 第5章実技試験 第5条より)
●時間超過は、3分を超えた場合は、5秒ごとに試験官1名につき1点を減点する

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社; 第3版 (2017/12/14)、出典:出版社HP

3級・4級合格のポイントとなる「到達目標」

◆全領域を通しての到達目標
3級・4級では、下記のような到達目標を掲げて講習と検定試験を行っています。
筆記試験で問われるポイントにもなりますので、確認しておきましょう。

対象例 到達目標
ビジネス電話応対を行う
ためのコミュニケーションの基礎能力を有することを目指している人
【求められる意識レベル】
●一本の電話が会社の評価を定めるという、職業人意識を持つ【知っておくべき知識の範囲】
●電話応対において必要な基本応対スキル(発声・発音・敬語・応対用語等)の知識
●電話応対を理解・実践するために、前提となる社会人として必要な基本的なビジネスマナー(挨拶・訪問・接遇・身だしなみ等)の知識
●電話応対において必要な個人情報保護法の基礎知識
●様々なコミュニケーションツールの特徴【電話応対における実践レベル】
●電話応対の基本(受ける・かける・取り次ぐ・伝言する) ができる

 

◆日本語

項目 ねらいと目標
1 話し言葉・聴くこと・話
すこと・気遣うこと
●「伝えた」と「伝わった」が違うということを認識する
●ICT(情報通信技術)の時代、会話する言葉の力がいかに大事かを知る
●何を話せば満足し喜んでもらえるか、その意識が基本
●「意識」とマニュアルによる「スキル」習得は両輪
●「聞く」「聴く」「訊く」の違いを理解する
2 敬語と言葉遣いの基本 ●講譲語と尊敬語の正しい使い分けの基本の指導
●知らずに使っている「コンビニ敬語」「若者言葉」などの間違い言葉を指摘し、正しい表現を指導する
3 発音・発声の基本 ●電話で、声から受ける印象の違いに気づいてもらう
●自分の話し方の欠点を認識する
●少し高めの声で、口をしっかり開けて話す基本訓練
●母音がすべての基本。母音をしっかり出す訓練をする

◆コミュニケーションツール・電話メディア

項目 ねらいと目標
1 様々なコミュニケーションツールと電話メディアの特徴 ●一般に常識化(固定観念化)している「コミュケーション手段」の評価が各人によって異なることを理解し、その中での電話の役割を再認識する

 

◆電話応対

項目 内容 ねらいと目標
1 電話応対の
基礎
a.電話の特性 ●電話の長所・短所を知り、電話応対の重要性について理解している
b.電話のかけ方 ●電話をかけるときの基本を知り、適切で慣用的な言い回しができる
c. 電話の受け方 ●電話を受けるときの基本を知り、適切な電話の受け方ができる
d. 電話の取り次ぎ ●電話の取り次ぎ方を知り、適切な電話の取り次ぎができる
e. 伝言メモの書き方 ●適切な伝言メモを書くことができる

◆マナー

項目 内容 ねらいと目標
1 教養ある社会人として
欠かせない人格的マナー
a. 美しい動作と身だしなみのマナー ●立った姿勢と座った姿勢、正しい着席と立ち上がり方を知る
●美しい歩き方、正しいおじぎの使い分け、スマートなドアの開閉を知る
●ビジネスの服装・髪型・持ち物等について知る
b. 仕事の基本マナー ●命令・指示の上手な受け方を知る
●報告の仕方を知る
●社内での人間関係を円滑にするための考え方を知る
●欠勤・遅刻・早退をするときの注意点を知る
●仕事に対する熱意の持ち方や考え方を知る
●ビジネス文書・FAX・電子メールの 基本を知る
c. 紹介のマナー ●自己紹介の仕方を知る
●人を紹介する時の注意点を知る
●名刺の取り扱いの基本を知る
●来客応対の基本の手順を知る
●会社訪問の基本の手順を知る
d. いろいろな席順の決まり ●食事の席(料亭・レストラン・中華・立食等)を知る
●応接室や会議室の席を知る
●乗り物(車・飛行機・列車等)の席を知る
e.冠婚葬祭のマナー ●贈答・進物のマナー
●慶事のマナー
●弔事のマナー

◆法的知識

項目 ねらいと目標
1 個人情報保護法 ●個人情報保護制度(法・ガイドライン等)について理解している
●保護されるべき個人情報とは何かについて理解している
●個人情報を取得する際のルールについて理解している
●個人情報を利用する際のルールについて理解している
●個人情報の安全確保のルールについて理解している
●個人情報の開示・訂正の請求のルールについて理解している
●個人情報に関する苦情制度について理解している

 

「電話応対技能検定委員会」委員名簿 敬称略 委員50音順

役職 現職 氏名
委員長 特定非営利活動法人日本語教育研究所理事
元文化厅文化審議会会長
西原鈴子
委員 中京大学法科大学院教授
元大阪地方裁判所判事
稻葉一人
委員 国立情報学研究所客員教授
弁護士
岡村久道
委員 (公財)日本電信電話ユーザ協会 会長
みずほ信託銀行(株)常任顧問
野中隆史
委員 統合的心理療法研究所 顧問 平木典子
委員 劇作家·演出家
東京藝術大学COI推進機構特任教授
平田オリザ
委員 (公財)日本電信電話工-協会 理事長 三ツ村正規
委員 (一財)NHK放送研修センター理事
日本語センター長
渡部英美

「電話応対技能検定專門委員会」委員名簿 敬称略 委員50音順

役職 現職 氏名
委員長 (一財)NHK放送研修センター元理事
日本語センター長
岡部 達昭
委員 中京大学法科大学院教授
元大阪地方裁判所判事
稻葉 一人
委員 現代礼法研究所 主宰 岩下 宣子
委員 (公財)日本電信電話ユーザ協会事務理事 畑 秀樹
委員 (株)ジャパンEAPシステムズ 代表取締役社長
臨床心理士
松本 桂樹

(2017年6月25日現在)

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社; 第3版 (2017/12/14)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は、もしもし検定の過去問題を一問一答形式でまとめたPart1と、本試験そっくりの形式で力試しができる実力診断テスト2回分を収録したPart2で構成されています。

Part1 過去問題

1厳選した過去問題
過去の試験問題から、繰り返し出題されている重要問題を厳選。3・4級で出題される分野を完全カバー。

2.学習日の記入欄で計画的に学習
見開きごとに学習日を記録しておける記入欄。

3.一目でわかる重要度
特に重要な問題がわかる重要度アイコンを用意。時間がないときは重要度3★★★を優先して解こう。

4.重要事項をおさらいできるワンポイントアドバイス
テーマごとに頻出ポイントを丁寧に解説。

5.正答番号

Part2 実力診断テスト

6.本試験そっくりの問題で合否判定
解答用紙に付いている配点表で、合格ラインに達しているか判定できる。

公益財団法人 日本電信電話ユーザ協会 (編集)
出版社: 日本経済新聞出版社; 第3版 (2017/12/14)、出典:出版社HP