RPAのはじめかた ~ツールを見ながら巡る! RPAの楽しい世界




はじめに

RPAの世界へようこそ

いらっしゃいませ! 「RPAのはじめかた」へようこそ!

最近、テレビのニュースやインターネットの広告などでも、『RPA』という言葉を目にすることが多くなってきました。きっとこの本を手に取ったみなさまも、「RPA」という言葉を見かけるたびに、「コレはナニモノなのかしら?」と、なんとなく気になっていたのではないでしょうか。

『RPA』、正式には「Robotic Process Automation(ロボティック プロセス オートメーション)」と言います。日本語に訳すと、「ロボットによるプロセス(仕事)の自動化」という意味になるようです。

「ロボットが人間にかわって仕事をしてくれる」、しかも、「面倒なパソコンの仕事をしてくれニュースの記事や広告の内容を読んでみると、どうやら「RPA」というものは、そんな『夢のような仕組みのこと』らしいのです。
ほほう……現代のIT技術というヤツは、いつの間にかそんなレベルにまで到達していたのですか……。「ロボットが人間のかわりに働く」なんて、マンガの中だけで起こることかと思っていましたが意外や意外。すでに実用段階にまで来ていたのですね。

……と、いうことは、ですよ?もしかしてコイツを使えば……

「うわー!どうしよう?飲み会の時間に間に合わないかも!」と、ヤキモキしながら夜遅くまで残業をすることも、「まあ別にオレー人のほうが好きだし、寂しくなんかないし」と、強がりを言いながら休日に出勤することも、今後はなくなるのかもしれません。おおー!!スゴいぞ!RPA!

今からほんの少し前のこと。ワタシもみなさまと同じように、インターネットで「RPA」という言葉を見つけ、その「未来っぽい世界」への期待に胸を膨らませながら、『RPAの基本的な考え方』や『各種RPAツール』について、情報収集をはじめました。ポチポチ、フムフム……フムムムム?

ところが。それはもう「想像以上」に大変な世界で。

何せ最先端の考え方と、最先端のツールです。見慣れない「専門用語」に加えて、随所に出ている「English」。そして頻繁に繰り返される「情報のアップデート(最新化)」と、「新機能・新製品のリリース」。たちまちワタシの頭の中は、たくさんのロボットで大渋滞をはじめました。ロボットに仕事をしてもらうはずが、逆にロボットに追いかけ回される毎日。夢のような仕組みのはずが、悪夢のような仕掛けの数々。くうー!これがロボットの反乱ってヤツかー!

……コホン。そんな大変な時間がしばらく続いて、ようやく少しだけロボット達と打ち解けてきた頃、ワタシは「RPA」に対して、ひとつの「思い」を持つようになっていました。

『ロボットと一緒に働くのは、想像以上に難しいけど、ロボットと一緒に働くのは、超楽しい!』

カワサキ タカシ (著), RPA BANK (監修)
出版社: 技術評論社 (2018/11/23)、出典:出版社HP

RPAを好きになろう

現在ワタシは、RPA総合プラットフォームメディアの『RPA BANK』で、「RPAのはじめかた」という連載記事を書いています。様々なRPAツールを「実際に」使ってみて、その「面白さ」と「難しさ」を、体験談(≒失敗談)的な形でお話しさせていただく、というのがその内容です。

RPAのことを知って、その夢のような世界にワクワクして、今まさに「RPAツールに触れてみよう!」というみなさまが、ココにいるダレかさんみたいに、『スタートと同時に転倒!』ということにならないよう、何か「ガイド的なもの」を作ることができたら……と思ったのです。

この本は、そんな連載の「思い」はそのままに、「①新しい情報の追加」と、「②混線していた情報の整理」をして、もちろん、ムズカシイ言葉はなるべくカンタンに、頭が痛くなりそうな部分には例え話を織り交ぜつつ、よりスッキリした『RPAはじめましてさんのためのガイドブック』を目指して作りました。本当に多くの方にご協力いただいて、どうにかこうにか形になった……のですが。

最初に、みなさまにひとつだけ『注意事項』がございます。

この本のゴールは、「RPAの深い概念を知り、RPAツールのエキスパートになり、業務をグイグイと改善していくこと」では、ありません。

「RPAの世界のワクワク感」と、「RPAツールの美味しい部分(カンタンで、すぐ役に立つ部分)」を、なるべく美味しく「味見(体感)」して、『RPAを好きになること!』が、ゴールです。

もしかしたら、「少し物足りないなー」と思う方もいるかもしれませんね。

でも、みなさまもワタシも、せっかくRPAの世界に興味を持った仲間です。そして、RPAは、これからワタシ達の職場にドンドン広がっていきます。まだ「はじまったばかり」なのです。だったら、いきなり「高いハードル」を設けるのではなく、まずは純粋に、「自分で作ったロボットが動く」という『楽しさ』を体感するのが大事なんじゃないかと、そう思いました。

・自分が作ったロボットが頑張って動いている姿を見たら、きっとロボットに愛着が湧いてきます。
・ロボットに愛着が湧いてきたら、もっと彼らと一緒に仕事がしたくなります。
・そして、当たり前のようにロボット達と仕事をするようになったら……。

それってもう、「RPAでバッチリ業務改善ができている」ということですよね!

さあ、それではみなさま、心の準備はできましたか?ワクワクドキドキの「はじめてのRPAツアー」のはじまりです。「RPAってナニモノ?」という方も、「IT自体がニガテッス」という方も、みんなで一緒に楽しみながら、RPAの世界を旅していきましょう!

カワサキタカシ

本書の読み方

RPAツアー5つの見どころ

さて、ここからは、「本書の読み方」、もとい「はじめてのRPAツアー」の「見どころ」について、ご案内します。「絶景湯けむり温泉グルメツアー」とか「ハイテク自動車工場見学ツアー」とか、ツアーには「見どころ」が必要ですもんね。

先ほどワタシは、「はじめに」のページで、「この本はロボットを動かす楽しさを体感して、RPAを好きになることを目的にしている」と書きました。ですので当初、ツアーの見どころは、単純に「RPAの世界をたっぷり満喫すること」にしようと思っていたわけです。

ところが、「RPAの世界」は毎日とてつもない勢いで「成長」を続けていて、各社から提供されているひとつひとつの「RPAツール」からも、次々と「新しい機能」が生まれている、という状況が少しずつハッキリしてきまして。端から順番にお話をしていこうと思ったら……「全然ページ数が足りない」 ことに気付いてしまったのです。

では、限られたページ数の中で、広大なRPAの世界を目一杯楽しむためにはどうしたら良いのか。 それも、「RPA はじめまして」のみなさまにご満足いただくためにはどうしたら良いのか。その難題を 解決するために、アレを削ってコレを加えて、見どころをギュギュッー!と厳選することにしました。

それではご紹介します。こちらが、「はじめてのRPAツアー、厳選5つの見どころ」です!

見どころ① ムズカシイお話は少な目に、実際のRPA ツールの画面をたくさんご紹介します

RPA は「業務改善(働き方改善)」とも深く関わっていますので、一歩奥地に足を踏み入れると、「社会的なお話」だったり、「ビジネス的なお話」だったり、ムズカシイ話題になりがちです。

「RPAが変えるこれからの働き方」
「RPA が各産業に与えるビジネスインパクト」
「ロボットVS人間 お仕事十番勝負!」

……ね?なんだか急にこの本が、『ズシッ』と重たくなったような気がするでしょう?

ズシッとムズカシイそのあたりのことは、専門の学者の先生や、百戦鏡磨のビジネスコンサルタントの方々が書かれている「シッカリ本」にお任せすることにしまして。かわりにこの本では、「実際のRPAツールの画面」を「ドッサリ」「クッキリ」ご紹介することにしました。そう、こんな感じに。

・まず、本の大きさを「B5 サイズ」にして表面積を増やす
・その上で、各ページの半分を「画面紹介エリア」にする
・さらに、「全ページフルカラー」にして画像をより鮮明にする

結果、本自体が「少々大きく」「少々ド派手に」なってしまったような……気もしますが、その分、 本当にたくさんの画面を入れることができました。どうぞ隅から隅まで「たっぷりと」RPAツールの雰囲気を味わってくださいね。

見どころ②ひとつだけではなく、複数のRPAツールをご紹介します

いくらRPAの世界が広すぎるとはいえ、さすがにこの本で取り扱うRPAツールが「ひとつだけ」や、「ふたつだけ」というのは、寂し過ぎますよね。

ということで、この本では、「入る限りたくさんのRPAツールをご紹介する」……ことにしたのですが、最近のRPAツールは、「数」だけではなく、「様々なバリエーション」も生まれてきていますので、 どれを選んだら良いのか、決めるのがとってもムズカシイのです。うーむ。

散々悩んだ結果、今回は「RPAはじめまして」のみなさま用に、数ある RPAツールの中から、『これを知っていると、後々の基準になるハズ』という、以下の「4つ」のRPAツールを選ぶことにしました。

・純国産のRPAツール「WinActor」
・日本のRPAツールの先駆け「BizRobo!」
・豊富なサポートを持つ万能RPAツール「UiPath」
・完全無料の未来型RPAツール「RPA Express」

ねっ!どうでしょう!?(と、今言われても困ると思いますが)、いずれ劣らぬ「超豪華」なRPAツールが揃いましたよ。しかも「4つ」も!RPAツール編では、業界でも超有名なこれらのツールを使いながら、お話を進めていきます。

「でも、4つもツールがあっても、やることが全部同じじゃつまらなくない?」と、思っているそこの アナタ、ご安心ください。それぞれのツールが「得意とすること」をメインに、「色々なロボット」を作っていきます。4つのツールを横断して、1つの大きな「RPA ツールの魅力」を体感してくださいね。

見どころ③有料のツールだけではなく、無料で使えるツールもご紹介します

IT関連のツールは、「実際に使ってみる」のが、正しい理解への近道です。まさに「習うより慣れよ」で。山ほどの言葉で説明されてもイマイチピンとこなかったことが、実際に使ってみたらすぐにわかった、なんてことがよくあります。

今回もそんな感じに、「実際に使って勉強する」ということをしたかったのですが……RPAツールには少々悩ましい問題がありまして。もしみなさまが、「実際に導入して使ってみよう」と思った場合、なんと「数十万円~数百万円」もの費用が必要になるのです。そう、安くないのです、RPAツールって。

「じゃあ、お試しで使ってみよう」と思った場合、今度は各ツールの販売代理店さんにお願いして! 週間~数ヶ月分のトライアルライセンス」を発行してもらうなど、少々煩雑な手続きが必要になります RPA ツールには、「気軽にポンッと使えるもの」が少ないのです。

「えー、せっかく本を読んでRPAに興味が湧いたのに、今すぐ使うことはできないのー!?とみなさまをガッカリさせないよう、4つの RPAツールの中に、「無料で使えるRPAツール」を入れておきましたよ。それが、「UiPath」と、「RPA Express」の2つです!(注:一部使用条件があります)

こちらの2つのツールについては、「インストールのやり方」もご紹介しますので、みなさまもぜひ、 ご自身のパソコンに「本物のRPAツール」をインストールして、実際に使ってみてくださいね。

見どころ④この本を読んだ後、次に何をすればいいのかをご案内します

さてさてみなさま、少々「気が早いお話」なのですが……、もしこの本を最後まで読み終わったら、『次』 は何をしましょうか?

RPAの世界は広大で、しかもスゴい勢いで成長を続けています。この本でRPAを好きになったみなさまが、パタッと本を閉じた後、インターネットで「RPA」を検索して、その「膨大過ぎる情報」を 前に、「やっぱりワタシには敷居が高いかも……」と立ち尽くす。

そんな悲しいことがあってはいけません!
そこで、「この本の次にすることのヒント」として、最後に『RPA情報局」を用意しておきました。

この本に登場したRPAツール、そして、この本に入りきらなかった魅力的なRPAツールまで含めた、 「厳選RPAツール」のご紹介。この本に多大なるご協力をしていただいている、RPA総合プラットフォー ムメディア「RPA BANK」のご紹介。などなど。

「次の一歩」を踏み出すみなさまにとって、役に立ちそうな情報を「まるっと」まとめておきました。ので、この本を読み終わったら、「面白そう!」と思った場所にドンドン出かけてみてくださいね!

見どころ⑤ 肩の力を抜いて読めるよう、カワイイ(?)キャラクターがご案内します

そうそう、ツアーといえば、「ガイド(案内役)」が必要です。

今回、この「はじめてのRPAツアー」をサポートする楽しいガイドとして、『ハカセ』と『コロボ君』というコンビをご用意しました。

「RPAの世界や RPAツールにとっても詳しいという設定で、ツアーの先生役を務めるハカセ」と、「ハカセが自作パソコンの余りパーツで作ったという設定で、RPAのロボット役、兼ツッコミ役を務めるコロボ君」のコンビです。

……おやおや?どうしました?ジェントルマンのみなさま。
……ふむふむ、なんだか「トキメキ要素」が少ない、ですと?

まったくもう、何をおっしゃいますか。もしもガイドが、「ショートヘアとメガネが似合う、知的で キュートなお姉さん」では、ドキドキしちゃって内容がサッパリ頭に入ってこないでしょう?

ということで、このコンビのゆるーい案内でお話を進めていきます。みなさまもどうぞ肩の力を抜いて、のんびりとツアーをお楽しみくださいませ。

それでは、はじめましょう!

さてさて、スッカリ前置きが長くなりましたが、ツアー出発前の説明は以上です!

……おっと、最後にもうひとつだけ。

この本の中には、みなさまが普段あまり聞き慣れない『RPA専門用語』がポコポコ出てきます。

ハカセやコロボ君が、なるべくわかりやすい言葉に置き換えてお話をしてくれると思いますが、もしも、万が一眠くなってしまった時のために、頭をスッキリさせる『苦ーいコーヒー』と、気持ちを元気にする『甘ーいチョコレート』のご準備はお忘れなく。

さあ、これで準備はバッチリです!それではみなさま、RPAの世界へ行ってらっしゃい!

カワサキ タカシ (著), RPA BANK (監修)
出版社: 技術評論社 (2018/11/23)、出典:出版社HP

CONTENTS

はじめに
本書の読み方

第1章 RPAってなんだろう?
01 RPAってなんだろう?
RPAとは?/RPAツールとは?
02 RPAロボットができること
RPAロボットはものまねロボット/RPAロボットは何に使うの?
03 RPAロボットと○○の違い
Excelマクロと何が違うの?/AIロボットと何が違うの?
04 RPAツールを見ていくポイント
RPAとRDA/RPAとお金の考え方/休憩タイム

第2章 純国産のRPAツールを見てみよう~WinActor
05 WinActorってどんなツール?..
純国産のRPAツール/RPAツールとしての第一印象/WinActorの動作環境
06 WinActorの画面を見てみよう
WinActorの画面
07 メモ帳に文字を書くロボットを作ろう
はじめてのロボット作り/WinActorでロボット作り①
08 Excelを使って計算するロボットを作ろう
WinActorでロボット作り②/休憩タイム

第3章 先駆的なRPAツールを見てみよう ~BizRobo!
09 BizRobo!ってどんなツール?
日本のRPAツールの先駆け/RPAツールとしての第一印象/BasicRobo!の動作環境
10 BizRobo!の画面を見てみよう
Design Studioの画面/Management Consoleの画面
11 Webから情報を取得するロボットを作ろう
BasicRobo!でロボット作り①
12 管理機能でロボットにスケジュールを設定しよう
BasicRobo!でロボット作り②/スケジュールを設定しよう/休憩タイム

第4章 万能型のRPAツールを体験しよう ~UiPath
13 UiPathってどんなツール?
豊富なサポートを持つRPAツール/RPAツールとしての第一印象/UiPathの動作環境
14 UiPathをインストールしよう
UiPathのインストール
15 UiPathの画面を見てみよう
UiPath Studioの画面
16 電卓とメモ帳を連携させるロボットを作ろう
UiPath Studioでロボット作り①
17 条件分岐でロボットの動きに変化をつけよう
WiPath Studioでロボット作り②/休憩タイム

第5章 未来型のRPAツールを体験しよう〜RPA Express
18 RPA Expressってどんなツール?
完全無料のRPAツール/RPAツールとしての第一印象/RPA Expressの動作環境
19 RPA Expressをインストールしよう
RPA Expressのインストール
20 RPA Expressの画面を見てみよう
WorkFusion Studioの画面
21 ペイントで絵を描くロボットを作ろう
WorkFusion Studioでロボット作り①
22 色々なサンプルロボットを動かしてみよう
WorkFusion Studioでロボット作り②/休憩タイム

第6章 もっとRPAを知るための「RPA情報局」
23 厳選!注目のRPAツール15選
24 「RPA BANK」で最新情報を入手しよう
RPA BANKとは?/さあ!出かけよう!
25 RPAの楽しみかた ~RPA BANK 武藤氏インタビュー
RPAとの出会い/RPA BANKが果たす役割

おわりに
索引

ご購入・ご利用の前に必ずお読みください

●本書に記載された内容は、情報提供のみを目的としています。したがって、本書を用いた運用は、必ずお客様自 身の責任と判断によって行ってください。これらの情報の運用の結果について、技術評論社および著者はいかなる責任も負いません。
●本書で紹介しているRPA ツールは、以下のバージョンのものを使用しています。その他の記述は、特に断りのないかぎり、2018年10月での最新情報をもとにしています。これらの情報は更新される場合があり、本書の説明とは異なってしまうことがあり得ます。あらかじめご了承ください。
WinActor「5.1.3」
BasicRobo!「10.3.0.7」
UiPath「2018.3.1」
RPA Express「2.1.2.816」
●インターネットの情報については、URLや画面などが変更されている可能性があります。ご注意ください。

以上の注意事項をご承諾いただいた上で、本書をご利用願います。これらの注意事項をお読みいただかずに、お問い合わせいただいても、技術評論社および著者は対処しかねます。あらかじめご承知おきください。

本書に掲載した会社名、プログラム名、システム名などは、米国およびその他の国における登録商標または間は、 本文中では、マークは明記していません。

カワサキ タカシ (著), RPA BANK (監修)
出版社: 技術評論社 (2018/11/23)、出典:出版社HP