リフォームスタイリスト資格試験3級公式テキスト 住宅リフォーム実務教本 第6版




まえがき

2016年度から2025年度までの10年間における住宅政策の指針となる「住生活基本計画(全国計画)」が閣議決定された。

新しい「住生活基本計画(全国計画)」では,次の8つの目標が掲げられている。

【居住者からの視点】

目標1 結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現
目標2 高齢者が自立して暮らすことができる住生活の実現
目標3 住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保
【住宅ストックからの視点】
目標4 住宅すごろくを超える新たな住宅循環システムの構築
目標5建替えやリフォームによる安全で質の高い住宅ストックへの更新
目標6 急増する空き家の活用・除却の推進
【産業・地域からの視点】
目標7強い経済の実現に貢献する住生活産業の成長
目標8 住宅地の魅力の維持・向上

日本は世界に例のない高齢社会へ

すでに減少局面となっている国内の総人口だが,それは主に出生率の低下に伴う若年層の減少であり,高齢者人口は今後も増加が続く。高齢者の割合は2017年時点で27.7%を超え,すでに「世界に例のない高齢社会」へ突入しているとされるが,その割合がさらに高まっていき,2025年には30%を超えると見込まれる。

高齢者人口が増加しても,それと同時に若年人口,生産年齢人口が増えていけば大きな問題はない。だが,現実に出生率を上げるためにはさまざまな困難が伴うとともに,住宅政策の問題だけにとどまらない。

そのため,住生活基本計画の目標に掲げられた「結婚・出産を希望する若年世帯・子育て世帯が安心して暮らせる住生活の実現」は,人口対策のための基盤づくりの1つとして考えるべきである。

高齢者の居住に対しては、安全性の向上などに配慮した「新たな高齢者向け住宅のガイドライン」の策定,サービス付き高齢者向け住宅等の供給促進,「生涯活躍のまち」の形成,高齢者世帯や子育て世帯の支援をする地域拠点の形成,リバースモーゲージの普及などが必要である。

新たな住宅循環システムの構築について

まず、既存住宅流通の市場規模については2013年の4兆円を2025年に8兆円とすること、リフォームの市場規模については2013年の7兆円を2025年に12兆円とすることが掲げられ、既存住宅流通・リフォームの市場規模は2025年には20兆円が目標である。

2018年4月より中古住宅取引の際にホームインスペクション(住宅診断)の説明が義務化され,活用推進をはじめとした既存住宅市場の環境整備,リフォームによる住宅の安全性や質の向上,住宅ストックビジネスの多様化などが着実に進みつつある。
今後の10年間で既存住宅流通・リフォーム市場の活性化に大きな進展がみられることが期待できる。

これからの時代に望まれるリフォームは

欧米では日本に比べて、住宅の新築工事は非常に少ない。古い住宅を何度も改修し、何代も住み続けているからである。家具調度品,建具も,丈夫な物を長く使用しているため,古めかしく趣のある風合いを残し、その国の住文化を形成している。日本でも古い住宅に手を入れて、リフォームし大切に住み続ければ,快適な住まいに甦らせることができる。

高齢化社会にそなえ、要所要所に手すりを設置して,床の段差をなくし、バリアフリーを先取りするリフォームが増加している。天井,壁に断熱を入れ,窓にインナーサッシを組み込むことで省エネ住宅に改装でき、住宅性能が引き上げられて快適な生活が可能になる。

この他にも構造が堅固であれば,新耐震基準以前に建てられた住宅でも耐震補強をすれば安心安全な住宅になる。最近では技術面でリフォーム対応の部品・部材が開発され,著しい進歩もあり,また制度面からもリフォームを想定した減税制度,補助金が新しく用意されている。

マンションはリノベーションの時代に

1955年前後からわが国に普及し始めたマンションは幾度かのブームを経ながら都市部を中心に供給が続き,2016年末時点のストック総数は約634万戸に上がり,1,550万人を超える人々が生活していると推定される。このように,マンションは,わが国において重要な居住形となっており,国民生活にすっかり定着している。

築30年を超える戸数が約172.5万戸とストック総数の27.2%となっており,今後10年で築25年以上が427万戸を超えることになり,マンションリフォーム需要は確実に増え続ける。

都心では築年数が経過したマンションを終の棲家とし,限られた空間を自分の嗜好で生活を楽しむ大規模なリノベーションが増加している。修理・修繕中心の営繕型リフォームから居住者のライフスタイル・ライフステージの変化に対応できるコンサルティング型リフォームがおこなわれる傾向にある。

リフォーム担当者はマンションのリフォーム工事をするにあたって、お客様に将来をみすえてバアリアフリー性・省エネルギー性等の性能向上リフォームに加えて維持管理・更新の容易性,可変性等の提案力をつける必要がある。

スマート化リフォームで素敵な生活を

東日本大震災以降,住宅・リフォーム業界に対する社会の期待は大きく変わってきていることである。新たなまちづくりや,そのまちを形成する個々の住宅にはエネルギー問題を解決する技術が必要不可欠であり,新たな住宅の概念が注目を集めている。

それはスマートハウスと呼ばれ,IT(情報技術)を使って家庭内のエネルギー消費が取適に制御された住宅のことである。

省エネ・創エネ設備を備えた住宅がエコ住宅であるのに対し、ホームエネルギーマトメントシステム(HEMS)で最適化された住宅がスマートハウス(賢い住宅)である。

今後,リフォームの事業者は,積極的に「既存住宅のスマート化リフォーム」を推していく必要があり、スマートハウスを利用して、より素敵な生活を送れるように提案をしてもらいたい。

2018年5月 赤羽嗣久

リフォームスタイリスト資格試験 実施案内

・受験資格
年齢・職業・学歴・性別・国籍を問わず、どなたでも受験できます。

・試験内容
公式テキストの知識と,それを理解したうえでの応用力を問います。
出題範囲は,基本的に公式テキストに準じますが,リフォーム現場の実践的な営業テクニックやクレーム対応術,最近の時事問題なども出題します。

・出題形式
マークシート方式による選択問題です。
合格基準:100点満点とし,70点程度をもって合格とします
(問題の難易度により得点調整を行なう場合があります)。

・受験料
1級 13,100円(税込)
2級 9,500円(税込)
3級 6,100円(税込)

・試験会場
仙台,東京,名古屋,大阪,福岡(学校や企業で5名以上の受験者がいる場合は,自前の会場で
受験できる団体受験をおすすめします。)

・申込方法
①申込:インターネットからの申込,または受験要項の払込取扱票による申込
②受験料:インターネットからの申込の場合は,ネットバンキングもしくはATMから
お支払ください。受験要項の払込取扱票による申込の場合は,郵便局の窓口
もしくはATMからお支払ください。
③受験票:払込時期にかかわらず、入金者全員へ一斉に受験票を発送します。
(注意)

・お申込みをする前に必ずホームページで,試験日時,試験会場などについてご確認ください。

・受験料は,試験の中止以外,払い戻しできません。

お問い合わせ先
〒160-0023 東京都新宿区西新宿7-16-6 森正ビル
一般社団法人日本ライフスタイル協会『リフォームスタイリスト資格試験係』
tel:03-5332-5125 fax:03-5332-5162
(土日・祝日・年末年始を除く9:30~18:00)
ホームページ https://www.lifestyle.or.jp/

目次

まえがき
第1章 リフォームのお客様への心構え
1 リフォーム事業は「サービス業」
2 リフォームのお客様の意識
3 リフォームへのお客様の期待
4 リフォームのお客様へのアプローチ
5 リフォームのお客様の満足
6 リフォームのお客様への心構え

第2章 成功するリフォームの接客方法
1 初訪時のお客様への対応
(1) お客様への態度
(2) 服装・身だしなみ
(3) あいさつ・お辞儀の仕方
(4) 名刺交換の仕方26
(5) 同行者の紹介の仕方
2 お客様との連絡のとり方
(1) 連絡の基本
(2) 電話の受け方・かけ方・取り次ぎ方
3 お客様との会話の進め方
(1) 言葉遣いの基本
(2) お客様への話し方,お客様の話の聞き方
(3) 敬語の使い方
4 打合せの進め方
(1) 面談を進めるポイント
(2) リフォームは長丁場

第3章 知らねばならないリフォームの基礎知識
1 住宅の構造と工法の基礎知識
(1) 木造軸組工法
(2) 2×4(ツーバイフォー)工法
(3) 軽量鉄骨+不燃パネル工法
(4) 重量鉄骨ラーメン工法
(5) コンクリート一体壁式工法
2 住宅設備の基礎知識
(1) 給水設備
(2) 給湯設備
(3) 排水設備
(4) 電気設備
(5) ガス設備
(6) 換気設備
(7) 冷暖房設備

第4章 最新のさまざまなリフォーム
1 場所別リフォーム
(1) 外壁,屋根のリフォーム
(2) 玄関のリフォーム
(3) リビングのリフォーム
(4) キッチンのリフォーム
(5) 浴室のリフォーム
(6) 洗面所のリフォーム
(7) トイレのリフォーム
(8) サニタリーのリフォーム
(9) 廊下,階段のリフォーム
(10) 寝室のリフォーム
(11) 収納のリフォーム
(12) 内装のリフォーム
2 耐震リフォーム
(1) 強い壁を増加
(2) 壁をバランスよく配置
(3) 床や屋根を補強
(4) 柱・はり・筋かいなどをしっかり緊結
(5) 基礎を補強
(6) 腐食した土台や柱を改善
3 高齢化対応住宅リフォーム
(1) 平面計画
(2) 部位別のポイント
(3) 介護保険
4 省エネリフォーム
(1) 窓の断熱
(2) 床・壁・天井(屋根)の断熱
(3) 省エネ機器
5 太陽光発電システム
(1) 太陽光発電システムとは
(2) 太陽光発電システムのトラブル

第5章 リフォーム現場で今すぐ使える集客の方法
1 販売促進の基本
(1) 販売促進とは
(2) 販売促進の体系
(3) ターゲットに対応した販売促進
(4) 販売促進のポイント
2 販売促進の方法
(1) 販売促進手段の体系
(2) イベントの構成とそれぞれの狙い
(3) その他の販促手段とそれぞれの狙い
(4) 販売促進計画
3 主要なイベントの進め方
(1) セミナー&相談会
(2) 完成現場見学会
(3) 完成披露パーティ
(4) 現地出張相談会
4 フォローの進め方
(1) イベント後のフォローの進め方
(2) キャンセル客・長期保留客のフォロー
参考;応酬話法例
5 ウェブサイト営業について
(1) インターネット集客とは
(2) リフォーム業のインターネット集客

第6章 マンションリフォーム 現場施工のすべて—
1 マンションリフォーム施工の基礎知識
2 着工前の業務のポイント
3 工事中の業務のポイント(1)
4 工事中の業務のポイント(2)
5 2部屋を1部屋へのリフォームポイント
6 キッチンリフォームのポイント
7 浴室リフォームのポイント
8 トイレリフォームのポイント
9 電気工事のポイント
10 竣工時の業務のポイント
参考; マンショントラブル事例集

第7章 雨漏り調査の依頼があったとき、慌てない ために
1 屋根について
(1) 陸屋根
(2) 大屋根・勾配屋根
2 外壁について
(1) モルタル下地吹付け仕上げ
(2) サイディング張り仕上げ&タイル張り仕上げ
3 外部開口部まわりについて
4 バルコニーについて

第8章 リフォームのクレームが発生したときに
1 クレームについて
(1) クレーム防止のために
(2) クレーム発生の原因となる要素
(3)お客様との折衝について
2 クレーム対応のフローチャート
3 クレーム対応のポイント
4 クレーム対策のためのチェックリスト

第9章 知らねばならないリフォームの法律知識
1 住宅の品質に関する法令
(1) 住宅品質確保促進法
(2) 住生活基本法
(3) 長期優良住宅
(4) 住宅瑕疵担保履行法
2 建築に関する法令
(1) 建築基準法
(2) 消防法
(3) 建設業法
(4) 建築士法
(5) 労働安全衛生法
(6) 廃棄物処理法
(7) 建設リサイクル法
(8) 家電リサイクル法

3 消費者に関する法令
(1) 消費者契約法
(2) 特定商取引法
(3) 消費生活用製品安全法
(4) 個人情報保護法
(5) 介護保険法
4 性能向上に関する法令
(1) 省エネ法
(2) 耐震改修促進法
(3) バリアフリー新法
5 マンションに関する法令
(1) 区分所有法と管理規約・細則

第10章 知らねばならないリフォームの税制
1 住宅リフォームの減税制度について
1. 所得税の控除
(1) バリアフリーリフォームの減税制度
(2) 省エネリフォームの減税制度
(3) 耐震改修リフォームの減税制度
(4) 世代同居に対応した住宅リフォームの減税制度
(5) 長期優良住宅化リフォームの減税制度
2. 固定資産税の減額
3. 住宅リフォームに関する減税制度の重複適用の可否
2 住宅リフォームの融資制度について
3 贈与税の住宅取得資金の特例について

第11章 現場で役立つ,リフォームマニュアル
1 相談受付
(1)お客様ニーズを把握する
(2) 相談受付票を活用する
(3) 情報収集と普段の勉強が大切
2 訪問・調査
(1) 訪問する
(2) 調査をする(ニーズの調査・情報収集)
(3) 調査をする(建物・設備・環境の調査)
(4) 調査・打ち合せの終了
3 プランニング
(1) 設計提案を作成する
(2) 概算見積を作成する
(3) 事前準備をする
(4) 提案する(プレゼンテーション)
(5) 提案を修正し再提案をする
(6) 見積書作成のテクニック
4 契約締結
(1) 最終調整案を提示し合意を確認する
(2) 契約を締結する
(3) 小規模工事の際の契約
5 工事の着工準備・発注
(1) 工事の内容の確認
(2) 工事発注先の選定・発注
(3) 諸手続き
(4) 着工前打ち合せ
(5) 近隣への配慮・案内
(6) 工事の着工

6 施工
(1) 品質管理
(2) 工事監理
(3) 安全管理
(4) 工事中の留意事項
7 引渡し・工事の評価
(1) 竣工検査
(2) 引渡し
8 満足度調査
(1) 満足度調査を行う
(2) 調査の結果を次に活かす
9 アフターサービス
(1) サンクスレター
(2) アフターフォロー
(3) アフターサービス基準

第12章 現場で役立つ, リフオームマニュアル ~帳票一式~
I 営業活動 編
1 お客様カルテ
2 現場調査シート(戸建)
3 現地調査シート(マンション)
4 住宅リフォーム工事請負契約書
5 注文書
6 約款(1)
7 約款(2)
8 御見積書
9 仕上げ表
10 工程表
11 工事請書
12 お打合せシート

Ⅱ 施工 編
1 緊急時連絡表
2 リフォーム工事のお知らせ
3 工事内容変更合意書
4 完了報告書
5 完了確認書
6 工事保証書

III アフター 編
1 お客様満足度調査アンケート
2 サンクスレター
3 保証基準一覧表
4 1年後挨拶状
5 1年後お客様アンケート

あとがき