パーフェクト・プレゼンテーション




まえがき

今、あなたがこの本を手にした瞬間に、プレゼンテーションに成功するための“知識”と“技術”、そして、必要な“勇気”の3分の1を買ったことになる。後の3分の1は、この本を最後まで読み終える努力。残りの3分の1は、この本の指示通りに実行すること。それだけで、あなたは人前で堂々と自分の意見を主張できるようになる。プレゼンテーションの成功を保証しよう。

あなたは、一度は、大きなステージに立って拍手喝采を浴びてみたいと思ったことがあるにちがいない。一度は、多くの人を感動させてみたいと考えたことがあるにちがいない。けれども、あなたは、もう、そんなことはあり得ないと諦めているのではないだろうか。しかし、プレゼンテーションではその快感が味わえる。

今からでも遅くはない。プレゼンテーションではあなたは主役になれる。聴き手は、あなたに熱い視線を注ぎ、あなたの言葉に耳を傾け、あなたのジョークに微笑み、そして、あなたの話に感動する。あなたは、聴き手を意のままに操ることができる。プレゼンテーションの最後で、聴き手の大きな拍手に酔いしれることもできる。決して不可能ではない。

プレゼンテーションはジェット機を操縦するようなものだ。聴き手を乗せ、離陸のスリルと快感を味わい、目的地まで快適な空の旅を満喫し、スムーズに着陸する。聴き手の注意を喚起し、なめらかに話し始め、ロジカルに話を展開し、聴き手に感動を与えつつ締めくくる。これが話し手であるあなたに課せられた仕事だ。

あなたがプレゼンテーションの技術をマスターせずに聴き手の前に立って話し始めるのは、ライセンスを持たずに飛行機を操縦しようとするのと同じだ。ギクシャクした離陸は乗客に不安感を与え、グラグラ揺れたり、エアー・ポケットに落ち込んだりすると、聴き手はパニックに陥る。オーバー・ランして止まるような飛行機には二度と乗りたいとは思わない。誰もがいきなりコックピットに座って操縦することはできない。しかし、必要な“知識”と“技術”、そして、少しばかりの“勇気”があれば誰にでもできることだ。

あなたはジェット機を操縦する必要はないかもしれない。しかし、仕事を成功させるために、自分の考え方や意見を効果的に伝えなければならないケースはある。あなたにとって、プレゼンテーションの技術、スターすることは必須科目だ。

あなたがこの本でマスターすることは、プレゼンテーションを、おこなうための“知識”と“技術”、そして、“勇気”だ。いかに効果的に自分の考えを伝え、いかに相手を説得するか、そして、いかに仕事に成功するか、学習する。

まず、第1章では、プレゼンテーションの“基本構造”を理解して、もらうことにする。そして、あなたのために、プレゼンテーションの“ピラミッド”を紹介する。このピラミッドを組み立て実行すれば、あたかはプレゼンテーションに成功する。約束しよう。

第2章、第3章、第4章では、聴き手分析、目的と目標分析、場所と環境分析について学習する。そして、これらの分析結果に基づいて、プレゼンテーションの戦略を組み立てる。分析するとか、戦略を組み立てるなどといっても、決して難しいことではない。あなたには、高度な、しかし、誰にでもできる手法を伝授する。

第5章では、プレゼンテーションの“シナリオ構築方法”と“アウトライン”について学んでもらうことにする。これらを実行すれば、あなたは聴き手と快適な空の旅をエンジョイできる。そして、第6章では、あなたは、“コンセプトのまとめ方”のノウハウを身につける。3部構成のシナリオを組み立てながら、知的ゲームを楽しもう。

第7章では、聴き手を目の前にしていかに伝達するか、デリバリーの技術を学び、第8章では、効果的なビジュアルの作り方と使い方を学習する。そして、第9章では、いかに聴き手を巻き込んだプレゼンテーションを実現するか、インタラクティブ・プレゼンテーションの技術を習得する。そして、最後に、質疑応答のテクニックを学び、プレゼンテーションに磨きをかけるために、効率的なリハーサルの方法を学習する。これだけのことをマスターすれば、あなたは名パイロットになれる。

それでは、まず、プレゼンテーションの基本構造を理解することから始めよう。

八幡 紕芦史 (著)
アクセス・ビジネス・コンサルティング、出典:出版社HP

目次

まえがき

第1章
インプレゼンテーションを始めよう INTRODUCTION

001さあ、プレゼンテーションをしよう
002 プレゼンテーションの悲劇
003 悲劇を救う正しい準備
004 プレゼンテーションの基本構造
005 成功のピラミッド
006プレゼンテーションの3P分析

第2章
聴き手分析 PEOPLE

007 聴き手を分析する
008 少人数の聴き手
009 多人数の聴き手
010 聴き手同士の関係
011 デモグラフィック分析
012 男性の聴き手
013 女性の聴き手
014 若年層の聴き手
015 年輩層の聴き手
016 聴き手の地域特性
017 外国人の聴き手
018 聴き手の宗教的信条
019 聴き手の知識レベル
020 専門家の聴き手
021 一般人の聴き手
022 好意的な聴き手
023 非好意的な聴き手
024 中立的な聴き手
025 保守的な聴き手
026 革新的な聴き手
027 聴き手の社会的立場
028 ハンディキャップパーソン
029 聴き手の課題を知る
030 聴き手の中のキーパーソン
031 AIKAPP 分析

第3章
目的と目標分析 PURPOSE

032 プレゼンテーションの位置づけ
033 話し手の目的 034 聴き手の目的
035 プレゼンテーションの必然性
036 話し手の必然性
037 情報伝達のためのプレゼンテーション
038 説得のためのプレゼンテーション
039 儀礼のためのプレゼンテーション
040 エンターテイメントのためのプレゼンテーション
041 モティベートするためのプレゼンテーション
042 複合的な目的を達成する
043 プレゼンテーションの目標を設定する
044 聴き手のベネフィット
045 明示的に聴き手の行動を促す
046 目的と目標のマトリックス分析
047 情報はプレゼンテーションの生命線
048 情報収集の目的と目標
049 情報収集3つの要素
050 情報収集の手順
051 情報を分析し主張を組み立てる
052 目標達成の戦略を立てる
053 時間をマネジメントする
054 支援要員を確保する
055 プレゼンテーションツールを調達する
056 予算を獲得する

第4章
場所と環境分析 PLACE

057 武蔵の勝利は“場所分析”
058 最大のリスク要因
059 ベストな環境を作り出す
060 プレゼンテーション会場を分析する
061 ロケーションを確認する
062 施設の設備を確認する
063 緊急事態に備える
064 ホスピタリティを提供する
065 プレゼンテーションルームを分析する
066 部屋の広さ
067 部屋の照明
068 空調に注意を払う
069 部屋の全体構造
070 設備と備品の機能を発揮させる
071 椅子とテーブル
072 ホワイトボード
073 プロジェクタとスクリーン
074 ビデオとモニター
075 演台の功罪
076 マイクと拡声装置
077 スクール型のレイアウト
078 セミサークル型レイアウト
079 多角形型レイアウト
080 ラウンド型レイアウト
081対面型レイアウト

第5章
シナリオの構築 SCENARIO

082 プレゼンテーションの設計図
083 シナリオは3部構成で作る
084 3部構成で聴き手のベネフィットを証明する
085 結論を3部構成で証明する
086 何故、3部構成か
087 アウトラインで話そう
088 アウトラインの順序
089 アウトラインで話すメリット
090 プレゼンテーションの第一印象
091 注意を喚起し動機づける
092 聴き手にインパクトを与える
093 聴き手を惹きつける
094 司会者への礼からウエルカム
095 背景の説明
096 結論とロードマップの論理
097 ボディはサンドイッチの中身
098 話題の範囲を絞り込む
099 丁寧に話を積み上げる
100 3部構成の話し方
101 3部構成にスパイスを振りかける
102 聴き手の笑いを誘う
103 要約し結論を再度述べる
104 再度、結論を繰り返す
105 聴き手に行動を促す
106 感動的に締めくくる

第6章
3部構成のシナリオツリー TRIPOD

107 アウトラインの作成手順
108 3部構成を作る
109 3部構成のルール
110 結論に収束する
111 3部構成を組み替える
112 聴き手の聴きたい順番
113 アウトラインの完成
114 時系列にまとめる
115 地理的にまとめる
116 エスカレーション的にまとめる
117 論理的にまとめる
118 帰納法でまとめる
119 演繹法でまとめる
120 弁証法でまとめる
121 立体的な3部構成のまとめ方
122 3部構成の演習
123 比較を示し理解させる
124 選択肢を示し判断させる
125 訴求力のある提案シナリオ
126 危機意識を高めるシナリオ
127 実現可能性を示すシナリオ
128 「リスクを示すシナリオ
129 ストーリーを伝える
130 3部構成のノートカードを作る
131 即興でプレゼンテーションをする

第7章
ブラデリバリー技術 DELIVERY

132 聴き手に伝える
133 言葉で伝える
134 尊敬語、丁寧語、謙譲語
135 平易な文章で話す
136 用語の使い方
137 話のスピード
138 緩急自在に話す
139 中身と外見の問題
140 プレゼンテーションの服装
141 ボディラングエッジの種類
142 使ってはいけないボディ・ラングエッジ
143 インパクトのあるボディ・ラングエッジ
144 リラックスするボディ・ラングエッジ
145 ボディ・ラングエッジのタイミング
146 聴き手の前に立つ
147 手の位置聴き手と心理戦を展開する
149 顔の表情
150 アイコンタクトの重要性
151 アイコンタクトの方法
152 話し手の悪い癖
153 聴き手が発するメッセージ
154 緊張がプレゼンテーションの原動力
155 サクセスイメージを描く
156 言語力と非言語力を身につける

第8章
ビジュアルプレゼンテーション VISUAL

157 ビジュアルの効用
158 記憶保持率
159 ビジュアル化の目的
160 聴き手の理解を助ける
161 聴き手に興味を湧かせる
162 記憶に留めさせる
163 時間を節約する
164 ビジュアルの注意点
165 パッと見てピンとくるビジュアル
166 ビジュアル化のステップ
167 ビジュアルツール
168 パソコンとプロジェクタ
169 ホワイトボード
170 プレゼンパネル
171 ビデオ/映画
172 実物/模型
173 図解の方法
174 関係性を図解する
175 色彩のメッセージ
176 ビジュアルスライドの作り方
177 アニメーションの基本
178 見せたいものだけ見せる原則
179 見せるステップ
180 説明資料と配付資料
181 聴き手の立場に立つ

第9章
双方向のプレゼンテーション DIALOGUE

182 聴き手をいかに巻き込むか
183 意思決定を求める
184 実行させるプレゼンテーション
185 双方向プレゼンテーションの進め方
186 質問の目的を決める
187 聴き手の意見を吸い上げる
188 反論はウエルカム
189 質問のステップ
190 質問のパワー
191 質問の形式を選ぶ
192 だれに質問をするか
193 聴き手の答えに対応する
194 聴き手からの質問
195 質問の種類
196 質疑応答のテクニック
197 質問を褒める
198 答えられない質問
199 本番で失敗しないために
200 リハーサルの手順
201 プレゼンテーションに成功する

あとがき
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八幡 紕芦史 (著)
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