ドローンの教科書 上級テキスト – 無人航空従事者試験(ドローン検定)2級対応 改正航空法・小型無人機等飛行禁止法・完全対応版 (ドローン検定協会)




はじめに

急速に普及が進む無人航空機が今後私たちの社会に及ぼす影響は計り知れません。日に日に技術が進歩するなかで、それらの活用現場も多種にわたるようになりました。無人航空機による空撮をはじめ、測量、輸送、救助など分野は様々です。世界的にもこれら無人航空機の活用と安全対策について議論が活発化しています。

日本では、平成27年に航空法の一部が改正され、無人航空機についての定義とその運航ルールについて定められました。また、その翌年にはアメリカで商用利用について免許制度がスタートしました。

いずれにしても、これらは無人航空機が安全に活用されることを目的としています。無人航空機は空中を飛行するという性質上、常に落下する危険性があり、操縦者はそのリスクを十分に理解したうえで飛行させる必要があります。リスクをしっかりとマネジメントするためには、なぜ空中に浮き上がることができるのか、空中ではどのような現象が生じているのか、無人航空機はどの様な構造なのか等、総合的に理解をしておく必要があります。

本書では、別版の「ドローンの教科書標準テキスト」を基礎として、無人航空機の運航管理に必要な更なる理解を深めます。無人航空機の飛行原理をしっかりと理解し、リスクを把握することで、事故を未然に防ぎ、万が一の場合も被害を最小限に抑えることが求められます。また、日本をはじめ、各国で進む法整備をしっかりと学び、世界の共有資源である空を皆が公平に活用できるようになることを願います。

著者 山下壱平

目次

ドローン検定の案内

1. 基礎知識
1-1 無人航空機の分類
1-2 ドローン(マルチコプター)について
1-3 重量
1-4 航空業界
1-5 無人航空機に関する世界の動向

2. 物理学
2-1 ニュートンの法則
2-2 慣性力
2-3 コリオリの力

3. 安定性
3-1 静安定と動安定
3-2 姿勢を乱す原因

4. 航空気象学
4-1 大気
4-2 大気圧(気圧)
4-3 高度と気圧
4-4 気圧傾度力
4-5 大気の構成
4-6 地表付近の大気
4-7 自由大気
4-8 標準大気
4-9 標準大気の性質
4-10 風の定義
4-11 風の原理

5. 電気電子工学
5-1 電気回路と電子回路
5-2 電圧と電流
5-3 直流回路と交流回路
5-4 直列回路と並列回路
5-5 導体と抵抗
5-6 合成抵抗
5-7 オームの法則
5-8 電力
5-9 電力量と熱量
5-10 配線の電力損失
5-11 バッテリーの内部抵抗

6. バッテリー
6-1 バッテリーの種類
6-2 一次電池の構造と特徴
6-3 ボタン型電池と電池種別の国際表記
6-4 二次電池の構造と特徴
6-5 充電方式の違い

7. GPS
7-1 全地球測位システム
7-2 GPSで出来ること
7-3 GPS の電波
7-4 GPS 衛星から送られてくるデータと速度

8. リスク管理
8-1 リスクの種類
8-2 他者に危害を与えるリスク
8-3 その他のリスク
8-4 リスクの分析
8-5 リスクマネジメント
8-6 安全領域の計算

9. 小型無人機等飛行禁止法
9-1 小型無人機等飛行禁止法の成立と概要
9-2 小型無人機の定義
9-3 小型無人機等飛行禁止法の目的と所管
9-4 対象施設周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止
9-5 通報
9-6 対象施設の安全の確保のための措置
9-7罰則
9-8 対象施設等

10. 航空法
10-1 航空法の目的
10-2 航空法と国土交通省令及び告示
10-3 許可及び承認申請先
10-4 許可及び承認申請書類
10-5 技能講習
10-6 ドローン教習所
10-7 航空局標準マニュアル
10-8 催事上空での飛行

11. 電波法
11-1 無人航空機と電波法
11-2 電波法
11-3 電波に関する国際的な組織と取り決め
11-4 無線局
11-5電波法における2つの免許
11-6 無線設備の操作を行う者の免許
11-7 無線従事者免許の相互関係
11-8 技術基準適合証明
11-9 アマチュア無線局の保証認定による開設
11-10 免許が不要な無線局
11-11 アマチュア無線技士と陸上特殊無線技士

索引

ドローン検定無人航空従事者試験のご案内

試験の概要
無人航空従事者試験(以下、ドローン検定)は次の試験を実施しています。

受験資格
ドローン検定協会が認定するドローン検定3級を保有している方が受験対象となります。年齢・学歴に関する条件はありません。

試験の時期
年に6回実施されます。開催月によって、平日の開催の場合と、休日に開催される場合があります。平成29年度は、1月・3月・5月・7月・9月・11月に開催される予定です。

受験申込方法と申込締切
ドローン検定は、ドローン検定協会のホームページ(http://drone-kenter.com)から受験申込が可能です。受験申込期限は、開催月の前月末日(休日ので合は翌営業日)までです。

受験料
12,000円(税込)
※本書執筆時点(2019年5月1日現在)の受験料です。
※消費税率が変更された場合、受験料も変更となる場合がございます。

受検地
受験地は、毎試験募集時に、実施要項にて発表されます。同じエリアで毎回開催されるとは限りませんので注意が必要です。具体的な受験場所は、郵送にて送られてくる受験票に記載されています。

出題方法と合否判定
試験は、筆記試験のみで行われます。解答方法は、選択肢から設問に応じた解答を選ぶマークシート方式です。各設問で4択の選択肢が用意されており、1つだけを選びます。全50問を90分で解かなければなりません。1問2点で80点以上の正解で合格となります。

合格者
合格者には、合格証(カード)が発行されます。また、2級合格者は、ドローン検定1級を受験することが可能となります。ドローン検定協会が実施する公認指導員講習受講要件にもなっています。

出題内容
ドローン検定2級では、次の範囲が出題されます。本書に掲載される内容の他に、3級の内容も出題されます。

図表1.出題内容

大項目 項目
基礎知識 用語
動作
組織
制度・国際情勢
単位
物理学 力学
工学 航空工学
電気電子工学
気象 気象学基礎
航空気象学
法令 無人航空機関係
電波関係
専門知識 機体構造
姿勢制御
バッテリー
送信機
GNSS
リスク
責任・保険
飛行計画