ドローンの教科書 標準テキスト – 無人航空従事者試験(ドローン検定)3級4級対応 改正航空法・完全対応版 (ドローン検定協会)




はじめに

2010年代に入り、安価で操作が簡単な機種が登場したことで、急速に普及が進むドローン(マルチコプター)ですが、その手軽さ故に、世界各地で事故が発生しています。一部の経済研究所の発表では、執筆時点から十数年でドローンの市場規模は数千億円になると予想されています。これは、ドローンがホビー用途にとどまらず、産業用途として広い分野で活躍することが見込まれるためです。

そのような中、各地で起こる事故が原因で、その危険性がクローズアップされ、規制の動きが進んでいます。注目される事故は、ドローンの高性能化により、本来墜落等の危険を伴う現象に気づかず飛行をさせてしまうなど、操縦者の知識や経験が不足していることによって発生したものがほとんどであると考えられています。十分な操縦者教育がなされないまま、ドローンの流通だけが先行して進んでいるのが現状です。操縦者教育の現状を見てみると、書店に並ぶドローン専門書も、機種の紹介や、簡単な操作方法の説明にとどまり、航空工学等を意識したものがほとんど市場に出回っていません。

このような状況では、事故が減るどころか、増える一方になってしまいます。そこで、我々ドローン検定協会は、ドローンに関する正しい知識を身に着ける機会を設けることを目的にドローン検定を実施することにしました。本書は、操縦者教育が追い付いていない現状を打開すべく、操縦者として知っておくべき重要な情報をしっかりと記載しております。ドローンは、空の産業革命と言われるほど、将来有望な技術でありますので、安全に運用し、出来るだけ多くの方に活用して頂けることを願っております。

山下 壱平 (著), 寳金 敏明 (監修)
出版社: デジテックブックス; 第3版 (2016/11/23)、出典:出版社HP

目次

ドローン検定の案内

1. 基礎知識
1-1 無人航空機の種類
1-2 ドローン(マルチコプター)について

2. 機体の動き
2-1 前後左右の動き
2-2 回転の動き
2-3 揚力を生み出す仕組み
2-4 上昇と下降の動き
2-5 特殊な機体の動き
2-6 フレア操作
2-7 その他の動きを表す用語
2-8 動きを表現する方法

3. 機体にかかる力
3-1 機体にかかる4つの力
3-2 失速
3-3 部品にかかる力とフェイルセーフ

4. 気象と風
4-1 風速と風向
4-2 自然が作り出す上下に吹く風
4-3 地表と風の摩擦
4-4 その他の風
4-5 地面効果

5. 機体の構造と姿勢制御
5-1 機体を構成する部品
5-2 ローター
5-3 GPS
5-4 機体の状態を計測するセンサー類
5-5 姿勢制御

6. 送信機
6-1 モードについて
6-2 プロポのチャンネル数
6-3 トリム操作
6-4 テレメトリーシステム
6-5様々な送信機

7. バッテリー
7-1 バッテリーの種類
7-2 リポバッテリーの性能表示
7-3 リポバッテリーの出力特性
7-4 リポバッテリーの充電
7-5 リポバッテリーの保管
7-6 リポバッテリーの廃棄

8. ブレードの回転
8-1 回転の表現
8-2 ブレードの組み合わせ

9. 基礎力学
9-1 速度と加速度
9-2 加速する物体の移動量
9-3 重力
9-4 水平投射

10. 単位
10-1 国際単位系
10-2 非国際単位系
10-3 SI接頭辞

11. 操縦者の責任

12. 賠償保険と機体の保険

13. マルチコプターの飛行
13-1 準備と初期設定
13-2 フライト前の準備
13-3 フライト

14. トラブルの予測とフライトプラン
14-1 マルチコプターが墜落する原因を考える
14-2 電波トラブル
14-3 フライトプランの作成
14-4 飛行記録

15. 航空法
15-1 航空法の目的
15-2 航空法と国土交通省令
15-3 航空機の定義
15-4 無人航空機の定義
15-5 無人航空機の飛行禁止空域
15-6 空港等周辺の安全(制限)表面
15-7 無人航空機の飛行方法
15-8 無人航空機の飛行に関する許可及び承認申請
15-9 実績報告義務
15-10罰則

16. 電波法
16-1 無人航空機と電波法
16-2 電波法

17. 小型無人機等飛行禁止法
17-1 小型無人機等飛行禁止法の成立と概要
17-2 小型無人機の定義
17-3 小型無人機等飛行禁止法の目的と所管
17-4 対象施設周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止

付録
プラスワンポイント 法の関わり

索引

ドローン検定無人航空従事者試験のご案内

試験の概要
無人航空従事者試験(以下、ドローン検定)は次の試験を実施しています。

受検資格
ドローン検定3級および4級は、年齢・学歴などの制限は一切なく、誰でも受験することができます。

試験の時期
年に6回実施されます。開催月によって、平日に開催される場合と、休日に開催される場合があります。通常1月・3月・5月・7月・9月・11月に開催されます。(開催日時は年度によって異なる可能性がありますので、ドローン検定協 会ホームページにて最新情報をご確認ください。)

受験申込方法と申込締切
ドローン検定は、ドローン検定協会のホームページ(https://drone-kentei.com から受験申込が可能です。受験申込期限は、開催月の前月末日までです。

受験料
3級 5,500円(税込)
4級 3,000円(税込)
※消費税率が変更された場合、受験料も変更となる場合がございます。

受験地
受検地は、毎試験募集時に、実施要項にて発表されます。同じエリアで毎回開催されるとは限りませんので注意が必要です。具体的な受験場所は、郵送にて送られてくる受験票に記載されています。

出題方法と合否判定
試験は、筆記試験のみで行われます。解答方法は、選択肢から設問に応じた解答を選ぶマークシート方式です。各設問で4択の選択肢が用意されており、1つだけを選びます。全50問を90分で解かなければなりません。1問2点で80点以上で合格となります。

合格者
合格者には、合格証(カード)が発行されます。また、3級合格者は、ドローン検定2級を受験することが可能となります。基礎技能講習を受講する際には、座学の一部が免除されます。

出題内容
ドローン検定3級及び4級では、次の範囲が出題されます。

図表1.出題範囲

大項目 項目
基礎知識 用語
動作
単位
物理学 力学(3級のみ)
工学 航空工学
気象 気象学基礎
専門知識 機体構造
姿勢制御
バッテリー
送信機
責任・保険
飛行計画
法令 無地航空機関係
電波関係
山下 壱平 (著), 寳金 敏明 (監修)
出版社: デジテックブックス; 第3版 (2016/11/23)、出典:出版社HP