DIYリフォームアドバイザー資格のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




DIYアドバイザーとの違い – DIYアドバイザー試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)

DIYリフォームアドバイザー資格認定講座公式テキスト

はじめに

DIYリフォームアドバイザーは新しい時代の新しい職能で、DIY型リフォームとDIY型賃貸借に関わるアドバイザーです。経済的な豊かさを享受してしまった今、住まいや暮らしの豊かさ(幸せ)を求める時代になっています。また住宅ストックも増え続け、将来空き家の所有者になる方も多いことでしょう。

1970年代以降に建てられた戸建住宅の多くは外材が使われ、内装は塩化ビニルでラッピングされた新建材などで造られているといっても過言ではないでしょう。こうした住まいを住み手の意志でつくるDIYリフォームは無垢木材など自然素材で健康で快適な癒しの空間に蘇らせることも出来ます。

DIY型リフォームの主な魅力は
①お金をかけずに快適な空間が造れる
②上質のエコ材料で人と地球に優しい住まい
③アーツ&クラフツの住まいづくりが楽しめる
④つくるもの同士がつながりを持てる
⑤住まいに愛着が湧きメンテナンスが出来る
ことでしょう。

DIY型リフォームの対象は持家の戸建やマンションだけではなく、DIY型賃貸借契約での借家の戸建やマンションも含み、空き家や古民家の利活用にも有効に活かされます。住宅ストックの利活用が普及しなければ、人口減少の時代背景からも空き家の増加はますます顕著となり、街の荒廃や地域の衰退にもつながりかねません。

若い世代を中心にDIY型リフォームによる自己表現ニーズは高まりをみせており、業界も行政も住生活者もDIY型リフォームを上手に活用することが求められます。これからの住まいはスクラップ&ビルドではなく、既存住宅をDIY型リフォームにより再生させ、資産価値を高めてゆくことが家族や地域社会、温暖化対策からも重要なことです。

金堀一郎

金堀 一郎 (著), 住環境教育協会 (著)
出版社: トーソー出版 (2018/2/1)、出典:出版社HP

目次

プロローグ

第1部 《基礎編》

第1章 住宅の構造と下地の基礎知識
1-1 構造と工法
1-2 木造軸組の構造と下地
1-3 マンションの構造と下地
1-4 その他の構造
1-5 古民家と戦後の住宅

第2章 リフォーム材料の基礎
2-1 断熱材料
2-2 壁下地のボード類
2-3 木材と集成材
2-4 床仕上げ材料
2-5 壁仕上げ材料(乾式)

第3章 寸法の基礎知識
3-1 単位寸法
3-2 建築図面の基礎知識
3- 3平面図の描き方
3-4 実測図面

第4章 DIYリフォームの基礎知識
4-1 DIYチャレンジ
4-2 建築関連法規
4-3 住まいの関連法規
4-4 省エネ対策の基礎知識

第2部 《実践編》

第5章 DIY 型賃貸借
5-1 DIY 型賃貸借とは
5-2 DIY 型賃貸借の手続き
5-3 DIY 型賃貸借契約の取り決め
5-4 合意書作成など

第6章 道具・工具の基礎知識
6-1 木材加工具
6-2 その他の道具
6-3 電動工具
6- 4 左官・塗装・壁装道具
6- 5釘など副資材

第7章 DIYに使う材料と資材
7-1 木材の基礎知識
7-2 左官材料
7-3 塗料と塗装
7-4 新建材
7-5 プラスチック建材

第8章 DIYリフォームの実践
8-1 住宅の現状把握
8-2 マンションリノベーション
8-3 実践事例
8-4 セルフビルド
8-5 海外の事例

第9章 住宅メンテナンスの基礎知誠
9-1 住まいのメンテナンス診断
9-2 木材の劣化と対策
9-3 結露とカビ対策
9-4 木部の塗装とメンテナンス
9-5 外装のメンテナンス
9-6 水栓類のメンテナンス

エピローグ

第3部 《資料編》

国土交通省「DIY型賃貸借に関する契約書式例」
国土交通省「インスペクション・ガイドライン」
DIYリフォーム用語集

プロローグ

①DIYリフォームとは
DIYリフォームとは、住まい手の意志(主導)で、リフォームやリノベーション、コンバージョンの工事を行うことを意味しています。リフォームの対象が、持家であっても借家であっても、また、戸建であっても集合住宅であっても、住まい手の意志でリフォームを行うものはDIYリフォームと呼びます。
DIY(Do It Yourself)は「自分でやる」という意味で、他人任せにしないことです。これまで日本では新築やリフォームを会社(専門家)任せにすることが一般的でしたが、DIYリフォームは、住まい手がもっと積極的に関わってゆきましょうというものであり、使用する材料などの選定や工事そのものを専門業者に任せるのではなく、自らの手で自らの生活空間をより快適にするため、工事に参加することです。
DIYリフォームは、複合フローリングから無垢のフローリングへの張り替えから、ビニル壁紙や繊維壁から新漆喰など湿式塗壁への塗り直し、水回りの改装、LEDランプを活用した照明器具づくりなどまで、幅広い住宅改修により、おしゃれで心地良い住まいづくりをDo It Yourselfで楽しむことです。
「DIY女子」ということばも生まれているように「自らの手で自らの生活空間をより快適にする」というニーズが高まり、高い技能がなくても割合簡単に施工が出来る建築材料や部品が開発されています。知識さえあれば、住み手のセンスを生かして手造り感を楽しむことができる、いわゆる「アーツ&クラフツ」がDIYリフォームの魅力かもしれません。
家のまるごとDIYリフォームをすることも可能ですが、すべてをDIYで施工出来るものでもありません。住宅機器の給排水の接続や電気工事、技能を要する大工・左官工事など専門業者や設計事務所などの協力が必要なケースもあります。
DIYリフォームは、自らの手で施工をすれば施工費は安くなる、その分を材料費に回せば良質の自然素材仕上げ材が使えて、居住性の良いプレミアムリフォームが出来ます。
こうして、自然素材による、住み心地の良い、愛着の持てる住まいは、資産価値も高まります。また、的確なメンテナンスを自ら行うことで、建物の長寿命化が図れることになります。
日本の人口は減少傾向に向かっており、これまでのスクラップアンドビルド型から、住宅をきちんとメンテナンスし、長持ちさせ、愛着を持って使っていくストック型の社会への転換が求められています。

中古借家の場合に、貸主が修繕を行わず現状有姿のまま賃貸し、借主が自費で修繕やDIYを行う借主負担型の賃貸借契約を、DIY型賃貸借と呼んでいます。国土交通省では、DIY型賃貸借を「借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件」と定義しています。借家の場合、入居者が替わる都度、貸主が業者に委託し内装仕上げ材を張り替えるケースが多く、壁・天井などはビニル壁紙、床は複合フローリングやクッションフロアと呼ばれている長尺塩化ビニル樹脂仕上げが多いようですが、借主(住まい手)の意志で、無垢のフローリング、自然素材の内装仕上げにリフォームが出来れば、借家(賃貸マンション)のイメージも変わり、新しい借家市場が形成されると考えられます。

②DIYリフォームアドバイザー資格認定制度

DIYリフォームアドバイザーは“住まいのDIY型リフォームやメンテナンスを自ら行うための基礎知識とスキルを身につけ、健康的で快適な住空間創造を願う生活者やDIY型賃貸借物件に対して、アドバイスや実践指導のできる人材”が職能の定義です。
資格認定を希望される方は、認定講習会でDIY型賃貸借や既築住宅再生のためのリフォーム実践的基礎知識を学び、講習会の最終時限で認定テストを受けてください。合格には、一定水準の知識の取得が必要です。合格者はNPO法人住環境デザイン協会の名簿に登録され、「DIYリフォームアドバイザー®︎」の名称が使えるようになります。
受講対象者は、建築士、宅地建物取引士、インテリアコーディネーター、インテリアプランナー、キッチンスペシャリスト、福祉住環境コーディネーター、賃貸不動産経営管理士、又はDIYリフォーム入門講座を修了した人としています。
認定講習会では、既築住宅をより便利により快適にし、より長く住むために、DIYリフォームの基礎知識、道具と材料の基礎知識、DIYの実践事例、住宅メンテナンスの基礎知識などを学ぶほか、借家物件の再生のための、DIY型賃貸借(借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件)の基礎知識を学びます。
NPO法人住環境デザイン協会ではDIYリフォームの普及・啓発のための活動を推進し、定期的な(季刊)会報の発行を計画しており、DIYリフォームアドバイザー資格登録者には、会報やスキルアップのためのDIYリフォーム実践ワークショップ開催などの情報が送られる予定です。

③住まいのアーツ&クラフツ
アーツ・アンド・クラフツ運動(Arts and Crafts Movement)は、アールヌーボーの前、1880年代にイギリスで興った美術工芸運動です。これは、18世紀半ばからイギリスで興った産業革命(工業化)によりイギリスの経済が豊かになった反面、公害や失業者の増加などにより都市がスラム化し、また、魂の入っていない劣悪な生活用品の量産化により、市民の心までも荒廃したことに危機感を持ったラスキンの思想に、ウイリアム・モリスたちが共鳴し主導した、手づくりデザイン運動といわれています。日本は第二次世界大戦直後の住宅不足を短期間に充足させるために、建築材料、建築部品などの工業化が急速に進んだ経緯があり、シックハウスや味気ない画一的な住まいの弊害を感じている人々がいま、住まいのアーツ&クラフツに関心を寄せているという時代背景があるように思われます。
豊かな居住体験を持ち、居住性や空間デザインに対する要求のレベルが高く、工業化された均質な建築材料やマニュアル化された建築施工に満足できない人々が、アーツ&クラフツのリフォームを求めているのかもしれません。デザインリフォーム、デザインリノベーションという言葉がよく登場する時代となっています。DIYリフォームはその一つの手法と思われます。DIYリフォームの実践で、住まいのアーツ&クラフツを楽しみましょう。

「アーツ&クラフツ運動がアールヌーボーを生む」
ロンドンで興ったアーツ&クラフツ運動の影響を受け、19世紀末にヨーロッパでは急速に美意識が高まり、パリとブリュッセルで同時期にアールヌーボーが生まれた。
ブリュッセルではヴィクトル・オルタがアール・ヌーボー様式最初の建築と云われるタッセル邸を、アンリ・ヴァン・デ・ヴェルデが美しいカトラリーなどの作品をつくり、パリではエクトル・ギマールやエミール・ガレらが活躍した。
このアール・ヌーボーが20世紀の世界の美意識を創ったと云っても過言ではなかろう。

19世紀末のムーブメント
①産業革命「道具から機械へ」(18世紀後半~)
②アーツ&クラフツ運動「手工業による新しい美」(1860~)
③アール・ヌーボー「新しい芸術」(1890~1910)

④DIYリフォームアドバイザーの活躍のステージ

DIYリフォームでいう“リフォーム”という言葉を、リノベーション、コンバージョンとの違いから少し掘り下げてみましょう。
これまでの一般的概念では、リフォーム(reform)は住宅の増改築、内部の改装を云い、リノベーション(renovation)は既存の建物を大規模改装し新しい価値を加えること、コンバージョン(conversion)は既存の建物を用途変更して再生させることの意味で使われています。
最近は、マンションリフォームなどを、マンションリノベーションあるいは略してマンションリノベと呼んだりしています。これは内装の模様替えではなく、間取りから仕上げ、設備まで大規模改修することをイメージして使われているようです。
あるシンクタンクでは「リノベーションとは不動産の改修等により、新たな機能や付加価値を増大させ、不動産の再生を図る取組み」と定義していますが、DIYリフォームアドバイザーの職能は、このDIY型リノベーションのアドバイザーと考えて頂ければ将来の活躍のステージが描けるかと思います。
どの資格も同じですが、資格を取得したからといってその職能の仕事がすぐに出来るというものではありません。例えば資格の取得が割合難しいとされる一級建築士であっても、資格を取得したばかりの人はビルなどの設計が出来るものではなく、経験やたゆまぬ研鑽がなければ木造戸建住宅の設計さえままならないのが現状です。
DIYリフォームアドバイザーも同様で、資格取得後に経験や研鑽を積みながら、その名にふさわしい職能人を目指してください。
板を買ってきて家の何処かに棚をつくる、ベンチをつくるなどの日曜大工から始めるのも良いし、自ら参加・体験するDIYリフォームのワークショップで学ぶことも大切かもしれません。

活躍のステージには
1) 持家のDIYリフォームの実践
2) DIY型賃貸借物件のDIYリフォームの実践
3) DIYリフォームのアドバイス&サポート
4) 空き家利活用のアドバイス&サポート
5) オフィス・店舗などの改装サポート
などがありますが、それぞれのジャンルに応じた専門知識も必要ですので、将来の目標に向かって一歩一歩経験や研鑽を積んでください。

金堀 一郎 (著), 住環境教育協会 (著)
出版社: トーソー出版 (2018/2/1)、出典:出版社HP