最強効率仕事術 公務員の速効ライフハック




はじめに

2002年4月。バンドでプロミュージシャンを目指していた夢を諦め、2年間の公務員受験の専門学校での学びを経て、地方公務員として新しい人生の幕が開けました。

バンドと公務員。相対するものだからこそ、新しい視点でチャレンジができるのではないか。そんな期待を胸に公務員生活が始まりました。スタートは税務課。固定資産税の家屋担当でした。当時、新人・若手職員は11時45分になると、課全員分のお茶を淹れ、お昼を迎えることが全庁的なしきたりでした。税務課は職員数が多く、窓口業務もあるなかでこの慣習は非常に負担でした。

次に配属されたのは健康増進課の介護保険担当。驚いたことに、お茶くみは女性職員が行う慣習でした。

「これはおかしい」と、当時の課長に「窓口業務や事務仕事をしているなかで、15分はとても貴重です。これからは、お茶を飲みたい人は自分で淹れるように改善していただけないでしょうか」と直談判しました。すぐに納得していただいてお茶くみはなくなり、今では全庁的にお茶を淹れる慣習は皆無です。

無駄なことはしない、時間をしっかりコントロールする―。役所では、当たり前のことが意外とできていないことが多いのです。慣習的になってしまうと、前任者や内部を否定するイメージもあり、「おかしいな」と思ってもスルーしてしまうことが一つの要因です。

「おかしい」に気が付くには、先の私の体験のように配属・異動直後がとても重要です。お役所の凝り固まった固定観念がないため、ピュアな気持ちで仕事を見ることができるのです。

また、仕事以外の人生を充実させることも大切です。三芳町の男性事務職員として初めて育児休暇を3か月取得しました。妻の身体的、精神的サポートを主な目的として取得しましたが、思わぬ恩恵がありました。仕事への取り組み方、意識が劇的に変わったのです。

時間は無限ではなく有限だということ、愛する家族が一番大切で、一緒にいる時間をつくるためには、ワーク・ライフ・バランスではなく仕事より家族や自分の人生を優先する「ライフ・ワーク・バランス」が大切なんだという意識を、育児休暇を取ることで持つことができるようになりました。

一方、入庁時に比べると職員数は減り、一人ひとりの業務量が増え続けています。しかし、介護保険の時も、現職の広報でもほぼ残業はしていません。それはなぜか。

そのヒントとなるべく、約20年間の公務員生活で培った窓口対応、定時に帰れる時間のマネジメントなど、効率的な仕事のちょっとしたコツ(つまり、ライフハック)をこの本にギュッと詰め込みました。本書が皆さんのお役に立てることを願っています。

佐久間智之

佐久間 智之 (著)
学陽書房、出典:出版社HP

CONTENTS

Part1 残業が減る仕事の時短整理術

なぜ残業が減らないのか?
仕方がない無駄はない
定時に帰るデート思考
エネルギー8:2の法則
「できる人」観察&カスタマイズ
定時帰宅のタスクマネジメント
自分PDCA習慣
定時帰宅も5分前行動
「日にち_ファイル名」で徹底管理
フォルダは優先順位で整理
ショートカットで効率UP
文書づくりはメリハリづくり
COLUMN1 公務員のムダあるある① LGWANで開けない

Part2 クレームが減る住民目線の対応術

なぜクレームが減らないのか?
お役所言葉は使わない
DO質問とWHY質問
伝えるのは手段 伝わるのが目的
ネガ語→ポジ語変換
公務員こそ「見た目」勝負
公務員の「共感力」
安易な相づちは逆効果
会話の3割キャッチボール
「意見」ではなく「確認」
相手の怒りの原因予想
目の見つめすぎにご用心
「目的」より「願い」で落とす
聞く:話す=7:3
COLUMN2 公務員のムダあるある② メールが届いたか確認する

PART3 ミスが減るマインド習慣術

なぜミスが減らないのか?
メモ不足は万病の元
仕事の見える化
「隙間時間」はないものと思え
メールは備忘録
ミス忘止法
勘違いをなくす復唱術
たかが1秒 されど1秒
CCの目を借りる
「3つあります」の法則
公務員は「かもしれない運転」で
小さなミスも「怖がる」
COLUMN 3 公務員のムダあるある③ 企画が出オチ

Part4 やり直しが減る仕事のダンドリ術

なぜやり直しが減らないのか?
プラスアルファの仕事
無用な問い合わせの減らし方
相談はスタートと3割地点
調べ不足は時間泥棒
前倒し〆切で余白づくり
過ぎた情報は及ばざるが如し
「住民のため」基準
予算ゼロ事業チャレンジ
納得材料は「実物」で
COLUMN4 公務員のムダあるある④ ペーパーレスにできない

PART5 ストレスが減るコミュニケーション術

なぜストレスが減らないのか?
公務員こそ伝え方が9割
トラブらないメール管理
言い訳は質問の体で
「すみません」よりも「ありがとう」
言葉に出す前に一旦整理
「嫌いじゃない色眼鏡」をかける
「けりま」で報告
+感想で意思表示
提案はマストで
プライドは仕事の足を引っ張る
メンション機能でLINE活用
スタンドプレーはみんなのおかげ
COLUMN5 公務員のムダあるある⑤ 公務員は会議がお好き

PART6 無駄な慣習が減るたのしごと術

なぜ無駄な慣習が減らないのか?
ライフ・ワーク・バランス
「嫌メモ」のススメ
コスパのいい公務員
前例踏襲の目的チェック
SNSで仲間づくり&トレンド取得
「あの人だけの仕事」禁止
脱アナログ作業信仰
常識を超える発想の仕方
公務員「なのに」を意識
みんなのための出過ぎた杭
やって後悔の方が結果、楽
できない思い込みを捨てる
結局、たのしごと。
COLUMN6 公務員のムダあるある⑥ 公務員は副業できない?

佐久間 智之 (著)
学陽書房、出典:出版社HP