気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉




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はじめに

気象予報士試験は、学科2科目合格することではじめて実技科目の採点が行われます。学科2科目はそれぞれ15問のマークシート式であり、浅い知識だけでたまたまクリアできる場合があります。

しかし、学科科目の内容を基礎として、その上に構築されている実技科目のクリアはかんたんではありません。実技科目で出題される内容は決して難しいものではなく、ほとんどが基礎的な内容です。

それでも作図や論述による解答は、学術的な気象学を含むために、気象学に矛盾した語句の使用等で得点できない場面が多くあります。出題者が求めた解答品質に合わせた見解を論述しないといけないのです。学科科目の十分な理解は実技科目を突破するために必須なのです

気象学に精通した者、気象業務に従事した者以外の初心者において、実技に合格するために1冊の参考書だけでは合格が困難です。それはどのような著書でも同じです。初心者の方々が合格に足りる学習は、まず、お手本となる1冊の実技の良書に出会うことです。

実技に必要な知識や暗記事項、テーマ事例解説から学ぶことおよび試験的な観点の解説から総合的に実技学習の礎を築くことが最優先です。その礎を築いたあとに、十分なテーマ事例の学習や試験観点としての論述練習を重ねていくことで、次第に解析や論述および作図解析が向上していき、出題される事例に・対して合格ラインを突破する割合も増えていきます。実技の学習は気象に興味があれば楽しい科目でもあります。

本書1冊で合格すればもちろん光栄ですが、執筆に当たっては1冊で合格という観点ではなく、受験生の多くが実技学習の具体的なやり方の礎になることを強く意識した次第です。
気象予報士試験受験支援会は実技専門の通信講座を開講して2012年で12年になります。2001年から2010年の10年間の期間において、定員30人の募集を20期行いました。600人余りの受講生に対し400人以上が実技合格を果たしました。講師も生徒の質問や解答で勉強でき、学習者の苦手な部分を把握することができました。本書は講師の経験を踏まえた学習のツボを随所に含めました。本書が受験生の実技学習にお役に立てばこの上ない喜びとなります。 2012年3月 著者 気象予報士試験受験支援会 代表 荒山幸裕気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 (らくらく突破)

気象予報士試験受験支援会 (著)
技術評論社 (2012/3/2)、出典:出版社HP

目次

はじめに
気象予報士実技試験の内容と学習法
1. 実技とはどのような試験なのか
2. 実技の学習方法
3. 実技科目分野の対策
4. 実技の合格ライン
5. 実技の事例演習
本書の活用法

第1章 実技のための基礎知識
1地上実況観測や気象情報等の読み取り
1. はじめに
2. 実技に関する知識事項

2気象衛星画像解析に関する知識
1. はじめに
2. 気象衛星観測の知識

3気象衛星画像の解析
1. はじめに
2. 可視画像
3. 赤外画像
4. 層状性の雲の特徴
5. 対流性の雲の特徴(積乱雲域の場合)

4気象衛星画像解析の方法(実践解説)
1. はじめに
2. 気象衛星画像解析
3. 雲域と天気図の対応の解析
4. 雲画像解析例

5気象衛星画像の事例別解説
1. はじめに
2. テーパリングクラウド
3. 冬型の気圧配置における雲
4.JPCZ(日本海寒帯気団収束帯)に対応した帯状の雲
5. 低気圧の発達を示唆するバルジ状の雲
6. 上層寒冷渦と水蒸気画像
7. ジェット巻雲

第2章 天気図の読み方と着眼点
1地上天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2. いろいろな地上天気図の着眼点
3. さまざまな気圧配置パターン
4. アジア地上解析図

2 850hPaの天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2. アジア 850hPa 天気図
3. 日本850hPa 風・相当温位予想図

3700 hPaの天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2. アジア 700hPa 天気図
3. 700hPa 天気図(850hPa 気温・風も含む)

4500hPaの天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2. アジア 500hPa 天気図
3. 500hPa 天気図

5 300hPaの天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2. アジア 300hPa 天気図

6 予想天気図の読み方と着眼点
1. 予想天気図の読み方と着眼点1
2. 12時間予想天気図
3. 予想天気図の読み方と着眼点2
4. 12時間予想天気図

7波浪予想図天気図の読み方と着眼点
1. はじめに
2.12時間予想天気図

第3章 合格のための試験対策と作図対策
1実技試験の採点基準と論述法
1. はじめに
2. 実技問題の配点

2 作図問題の学習方法
1. はじめに
2. 地上等圧線解析
3. 等圧線作図
4. 等降水量線作図
5. 等温線解析
6. 強風・解析

3前線解析
1. はじめに
2. 寒冷前線の種類
3. 前線解析の方法
4. 前線の種類と記号
5. 閉塞前線の種類
6. 前線のキンク
7. ウインドプロファイラ観測資料による 前線解析

4前線の解析事例

第4章 テーマ別事例演習 事例演習
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.問1の解説
3.問2の解説
4.問3の解説
5.問4の解説
6.問5の解説
7.問6の解説
8.まとめ

事例演習1低気圧 解答例
事例演習の不安定現象と北東気流
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.事例日時と地上天気図の解析
3.問1の解説
4.問2の解説
5.問3の解説
6.問4の解説
7.問5の解説
8.まとめ事例演習2不安定現象と北東気流 解答例

事例演習2四国豪雨(メソモデル事例)
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.問1の解説
3.問2の解説
4.問3の解説
5.問4の解説
6.問5の解説
7.まとめ

事例演習3四国豪雨解答例
事例演習の梅雨資料
問題
解答用紙
解説
1.GLOL
2.問1の解說
3.問2の解說
4.問3の解說
5.問4の解説
6.問5の解説
7.問6の解説
8.まとめ事例演習4梅雨解答例

事例演習5冬型
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.問1の解説
3.問2の解説
4.問3の解説
5.問4の解説
6.問5の解説
7.まとめ事例演習5冬型解答例

事例演習6台風
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.問1の解説
3.問2の解説
4.問3の解説
5.問4の解説
6.まとめ事例演習6台風解答例

事例演習7寒冷低気圧
資料
問題
解答用紙
解説
1.はじめに
2.問1の解説
3.問2の解説
4.問3の解説
5.問4の解説
6.まとめ事例演習7
寒冷低気圧解答例

付録実技の学習に必要な知識
1.日本周辺の地理知識
2.緯度・経度について
3.風について
4.地形と気流の関係・
5.関東〜東北地方の平野部の北東気流
6.現象と災害の知識
7.災害名
8.実技で問われやすい注意報や警報
9.作図練習問題
10.作図練習問題の解答・解説
さくいん
カラー問題気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 (らくらく突破)

気象予報士試験受験支援会 (著)
技術評論社 (2012/3/2)、出典:出版社HP

気象予報士実技試験の内容と学習法

1.実技とはどのような試験なのか

気象予報士試験で行われる試験には学科試験と実技試験があります。実技試験はある日時の実況天気図ならびに観測データと、その時刻を初期時刻とした予想資料を基に、実況の気象の把握および予想資料から現象の予想等を行います。また、同時に防災上観点から災害に関する知識も一定の割合で出題されます。実況把握・予想共に天気図の表現を正確に読み取って、その表現の根拠や解釈などを数十字程度で論述させます。また、作図による問題もあります。

(1)出題項目:一般財団法人気象業務支援センターHPから引用
●気象概況及びその変動の把握
実況天気図や予想天気図等の資料を用いた、気象概況、今後の推移、特に注目される現象についての予想上の着眼等
●局地的な気象の予想
予報利用者の求めに応じて局地的な気象予想を実施するうえで必要な、予想資料を用いた解析・予想の手順等
●台風等緊急時における対応
台風の接近等、災害の発生が予想される場合に、気象庁の発表する警報等と表する予報等の整合性を図るために注目すべき事項等

(2)出題形式と配点傾向
・選択式や空欄式(配点は低)
・実技に関する知識の論述(配点は中)
・実況の把握のための解析論述(配点は中~高)
・前線・等圧線・等値線・閾値線・領域指定などの作図(配点は中~高)
・予想資料から現象の予想に関する判断やその根拠の論述(配点は中~高)

実技試験は午後の時間に2回行われます。実技1回ごとの制限時間は75分です。よって、75分の実技試験が2回あります。学科試験の場合はしっかりと学習すれば60分という制限時間に対して30分から15分ほど時間余裕があることが多いのですが、実技は逆に時間が足りない場合が多いようです。問題を読んで機械的に解析・考察して短時間に解1ないと余裕はありません。逆に、過去の多くの問題を解き時間が多少余るようになれば実力が定着してきた状態といえます。

2.実技の学習方法

実技試験は学科試験の延長ということもできます。たとえば、次のような問題の場合です。いくつか例を挙げます。

(1)学科一般知識関連の出題例
「台風の低気圧性は大気上層ほど不明瞭になる理由を図Xの台風内の温度場に着目し、大気の層厚を考察して述べよ」という場合を見てみましょう。
学科一般知識で理解をしていれば、以下のように理由を考察できます。

①台風内は周辺大気より気温が高く暖気核構造を持つ。もちろん、問題で与えられた天気図でも確認する。この構造は対流圏全体で認められ、上層ほど明瞭である(発達した台風の場合)。
②台風内は周辺大気より空気密度が小さくなっている。
③台風内は暖気核構造から、周辺大気より異なる等圧面間の大気の層厚が大きくなっている。
考察①~③より、「台風内は周辺より暖かく空気密度が小さいため地上で最も低気圧が明瞭であるが、大気の層厚は周辺より大きく上層ほど低気圧が不明瞭。」と解答を作ることができます。
以下に学科一般知識の復習が必要な分野を挙げます。試験によっては出題が少ないこともありますが、多くは下記分野の一部を使って考察する問題が含まれ、かつ配点が高くなっています。

・大気の熱力学(気温・温位・相当温位・露点・混合比などの理解。保存性から大気の運動
の軌跡を推定可能)・放射と潜熱の授受(降水が始まると気温が下降。日照があると気温が上昇しやすい。放射冷却のメカニズムなど)
・前線の立体構造(前線帯・転移層・エマグラム等の資料で観測地点と前線位置関係の判断)
・温帯低気圧の構造と大気の運動(ほぼ毎回実技試験で出題)
・台風の立体構造(風速の鉛直分布・暖気核構造・エネルギー源の知識)
・メソスケール現象(雷・メソ擾乱・冬型の筋状の雲・海陸風・竜巻・ダウンバーストなど
の知識)
・大気の成層に関する知識(対流混合層・逆転層・対流不安定層・成層状態悪化の要因など
の知識)
・フェーン現象など地形の影響のある現象(混合比の変化・露点温度の変化・相当温位の保存性)

(2)学科専門知識関連の場合
「ある現象が予想される場合に、発表すべき注意報・警報を述べよ」という場合を見てみましょう。気象予報士は警報の発表はできません。また解釈的に注意報の発表もできませんが、それでもどのような気象状況のときに注意報・警報が発表されるのか知っておくことは大切です。
また、竜巻ナウキャスト・降水短時間予報・土壌雨量指数を示す図・土砂災害警戒水短時間予報・気象レーダーに関する資料・台風進路予想図などさまざまな資料が、実技試験では使用されることがあります。これらの資料を正しく理解・解析するには、学科専門知理識の理解がとても大切です。

さらに、現象と災害の関係を理解しておくことも大切です。これは日本のどの地方でいつ頃(季節)に起き得る現象や災害なのか把握しておく必要があります。日本本土の平野部で5月中旬~9月に雪が降ることはまず起き得ません。関東平野の南岸低気圧による降雪も12月~せいぜい4月上旬までの期間でしか起き得ません。このように北日本、東日本、西日本という区分でも構わないので、日本の四季と気象と災害の知識をインターネットや読みやすい著書等であらかじめ理解しておくとよいでしょう。特に気象に関して、初心者の方々には大切な基礎学習です。

以下に学科専門知識の復習が必要な分野を挙げます。専門知識の内容は実技試験には必ず一定の割合で含まれます。むやみに細かい知識が必要というわけではなく、学科試験で問われる程度の基礎知識を確実にしておけば万全です。
・天気の種類
・現象の知識
・波や高潮の知識
・気象衛星画像の事例知識
・気象レーダー画像の知識
・注意報・警報の知識
・防災情報の知識(記録的短時間大雨情報・降水短時間予報・竜巻注意情報・竜巻ナウザー
スト・土砂災害警戒情報・流域雨量指数)
・現象と災害の関係
・日本の四季や地方別四季の特徴
・台風情報の読解や雨や風の強さの表現気象予報士かんたん合格テキスト 〈実技編〉 (らくらく突破)

気象予報士試験受験支援会 (著)
技術評論社 (2012/3/2)、出典:出版社HP

3.実技科目分野の対策

(1)知識的な対策
反籍不号図の見方、情報の解釈、地上実況通報(国際式)、全般海上警報、台風や低気圧情報(英文)などの知識事項は、正確に即答できる状態にしましょう。このあたりの知識に関する解答は我流ではいけません。参考書に表示されているように忠実に解答することで正解へとつながります。知識的な問題では時間を節約して深く考察する問題に時間が当てられる
ようにすべきです。

(2)作図対策
まず、地上天気図くらいは描けるようにしておきましょう。誰でも20回~30回程度練習すればある程度作図ができるようになります。この地上天気図の作図が一番難易度は高いものです。気象庁のHPにはNHKラジオ気象通報のデータが3回分表示されていますから利用するとよいでしょう。天気図用紙は書店で注文できます。前線解析や強風軸解析、さらにトラフ解析も練習して対策しましょう。本書の付録に少しですが作図演習がありますから利用しましょう。

(3)低気圧の勢力予想
高頻度で出題があります。低気圧の勢力は中心気圧で象徴されます。発達する低気圧は進行方向前面で暖気移流と上昇流、後面で寒気移流と下降流という運動が卓越しています。この運動の度合いが強化するほど低気圧の発達度合いも大きくなります。

(4)前線解析
高頻度で出題があります。前線の構造を平面的にも立体的にも理解しておく必要があります。平面としては地上天気図や850hPaの天気図上での前線解析です。立体的には高層鉛直断面上での前線面解析が該当します。梅雨前線は九州以西で前線としては水平温度傾度の小さい構造を呈し、寒冷前線においても教科書的ではなく非活発なカタ型寒冷前線もあります。閉塞前線は温暖型や寒冷型もありますので基礎的な構造を確認しましょう。

(5)気象衛星画像解析
ほぼ毎回出題されます。まずは、衛星画像から雲を推定できることが重要であり、推定した根拠を問われることも常時あります。まずは積乱雲域の解析・上層雲域の解析・下層の雲や霧の解析が完璧に行えるようにしましょう。これだけでも雲の推定に関した解析のほとんどを対策できます。

次に、固有の輝度特徴を持つ雲域の解析や成因および気象状況の把握についても理解しておきましょう。たとえば、冬期やその前後の季節において大陸から寒気の吹き出しが生じると、相対的に暖かい海面上にいわゆる「筋状の雲」が広がります。この筋状の雲は主に積雲や層構重で構成されていますし、多くの場合に雲頂高度は3km未満と下層大気に存在します。また成因る相対的に暖かい海面から潜熱や顕熱を受け取り、大気の成層状態が悪くなって対流活動が活発になって生じたものです。

このように固有の輝度状態を持つバルジ、ジェット巻雲(トランスバースライン・シーラスストリーク)、テーパリングクラウド、ドライスロット、水蒸気画像におけるバウンダリー等は、その解析や気象状況および成因なども理解して論述できるようにしておきましょう。

(6)予想資料の解析
予想資料からある地点の予報概況文の作成を空欄式で出題される可能性もあります。本来は論述式で出題する方がベターなのですが、多少難易度が高くなるために空欄式であらかじめ文章を誘導することになるでしょう。対策としては100字~150字程度で気象要素別(風・降水量・予想される現象・期間・防災上留意事項)に原稿を作る練習をしておくと、予想に関する試験対策に大変有効です。

4.実技の合格ライン

一般財団法人気象業務支援センターは明確な設問毎の部分点等の公表はしていません。しかし、本書を執筆している気象予報士試験受験支援会への実技採点依頼を参考にすると、過去10年の追跡調査から、論述に関しては、次のように推測されます。
全体の主旨が正解とできる場合に、重要な解答キーワードが不足しているときは、その不足に対応した減点方式で採点されているようです。
しかし、気象学の理論的な論述は厳格な採点となっていると思われ、物理学に矛盾することは0点となります。

この採点方法についての根拠は、採点依頼者数十名の中で、たとえば、合格の正解率が68%以上だとすると、当会が採点した結果の通りに、ほぼ合否が分岐しているからです。たとえば、次のような問題があったとします。
地上気温が2~3℃と同じでも相対湿度が低いほど雪になりやすい理由を述べよ。
模範解答例乾燥しているほど落下中の雪片表面から昇華しやすく、潜熱を吸収して雪片自体は低温で落下するため。  [8点]

受験者解答例①
乾燥しているほど落下中の雪片表面から昇華しやすく、潜熱を放出して雪片自体は低温で落下するため。
→下線部が気象学的に矛盾であるため、他がすべて正解でも0点となります。

受験者解答例②
乾燥しているほど落下中の雪片表面から昇華しやすく潜熱を吸収するため。
→港熱の吸収が起きる主語が不足しています。大気から吸収なのか雪片から吸収なのかです。しかし、全体としては気象学的に矛盾がなく正解の範囲であるため、2点程度の減点と考え6点とします。

もちろん他にも多数の正解とみなすことができる解答はあります。1つの解答例ことはありませんので安心して学習しましょう。ただし、解答文の中に重要なキーワードが必要なことがあります。これは気象学を考慮して理論的な説明をすれば必然的に含まれるようになります。

なお、実技1と実技2の合計を2で割って平均正解率を算出してボーダーライン以上であれば合格と考えられています。過去の試験では正解率が62%~72%の間を難易度に応じて調整しているようです。概ね70%以上正解すれば合格と考えてよいでしょう。

5.実技の事例演習

日本周辺でよく見られる気象事例は一通り演習しておくべきでしょう。以下に演習しておくべき気象事例を列挙します。
・南岸低気圧
・急速に発達する低気圧
・台風
・冬型
・北東気流型
・寒冷低気圧(寒冷渦)
・梅雨
・不安定事例

実技に関してほとんど知識のない方で、気象予報士試験を目指して学習し、学科2科目の合格を果たした方は比較的います。その方々が実技試験に合格するまでに学習した事例数は、当会のアンケートでは15~25事例位という方が大半でした。実際この位の事例演習は妥当な数といえます。実技試験では、天気図や他のデータ資料を解析する力の他にも、解答が論述や作図で行うために、十分な慣れも必要だからです。たとえば低気圧でも南岸低気圧・日本海低気圧・二つ玉低気圧というようにさらにカテゴリー別に分類できます。一度は一通りの事例を学習する方が経験的にも慣れ、効率的に対策できます。

●お知らせ
本書は、気象予報士試験受験支援会において合格率有数の実技講座のノウハウを随所に反映させ、読者の学習に役立てられるように解説してあります。実技は独学でも対策は十分に可能です。しかし、専門性が高い科目であることや、論述や作図主体の科目であることから、なかなか短期で結果を出すことができない方もいらっしゃるかもしれません。気象予報士試験受験支援会の実技講座はさまざまなメニューがあり、かつ超少人数個人指導体制ですから、多少の費用を掛けても構わない方は講座利用も一考の余地ありと思います。必要と思う読者は、インターネットで「気象予報士試験受験支援会」を検索してみて講座資料を請求してはいかがでしょうか。
氣象予報士試驗受驗支援会

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本書の活用法

はじめに第1章および第2章の実技に関する知識や天気図・気象衛星画像等の資料の見方を徹底して学習しましょう。暗記事項やポイントは大きめの単語帳カードに書きとって覚えたり、ノートの左ページに問題を右ページに答えをまとめたりして、自分で問題を作ってもよいでしょう。知識的な問題は95%以上正解できるように徹底した学習をしてください。その後は作図や付録等の解説をした第3章を理解することを重点に学習しましょう。暗記事項や用語は正しく覚えましょう。
以上の学習を行った上で、テーマ別事例演習である第4章の学習に入りましょう。まだまだ問題を解くことは難しいかもしれませんが、解ける問題も多くあるはずです。事例①を解き、すぐに解説で復習しましょう。初学生は制限時間を気にせず時間を掛けましょう。暗記事項は正しく暗記し、理解項目は理解に努めます。すべて暗記では実技は対応できないからです。
本書の事例数はページ数の関係から、初学生が合格に足りる十分な数ではありません。初心者の合格に足りる事例は15~25事例というのが講師側で統一の見解です。不足分は過去問を足してみるのもよいでしょう。論述解答は特に使用語句の意味も考え、厳格に復習することが大切です。気象学的な見解の論述問題は厳格な採点、主観が入り込む余地のある論述や作図は、正解許容が比較的あると考えられています。

謝辞 気象予報士試験の実技科目は論述主体で行われています。このため正しい理論的な文章表現が大変重要であり、校正作業には細心の注意を払いました。次に示した多くの著名な方々に協力していただき、完成度の高い執筆を行うことができました。あらためてここに厚い御礼を申し上げます。
気象予報士試験受験支援会 荒山裕

村井昭夫様(気象予報士)
気象に関する著書出版経験が豊富であり、第4章の事例における文章表現の構成に関した厚いご指導をいただきました。

山本耕一様(九州朝日放送:お天気キャスター・気象予報士)
元アナウンサーという仕事柄から、第1章、第2章、付録の的確な文章校正をしていただきました。

田平耕治様
(気象予報士、田平耕治気象予報士事務所気象庁予報業務許可第154号(個入))
本書での資料として鮮明な気象衛星画像の一部を提供していただきました。

日隈誠(気象予報士)
気象に関するさまざまな本を読書する趣味から、文章の流れに関するアドバイスをいただきました。

佳留耕太様(気象予報士)
気象会社に勤務経験があることから、第4草の一部事例の文章校正をしていただきました。

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