図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図




本書は気象学試験でのために書かれたものではありませんが、まず入門として最初に読むべき書籍として多くの受験者にも読まれているものとなります。

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平易な言葉で説明がなされ、何も知識をもたない段階で理解を助けてくれます。「雲のメカニズム」、「雨のメカニズム」、「温度・気温のメカニズム」、「風のメカニズム」など、天気の基本を開設・説明をします。ぜひ本格的な受験勉強前におすすめできる一冊となります。

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図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (ブルーバックス)

古川武彦 (著), 大木勇人 (著)
講談社 (2011/3/20)、出典:出版社HP

はじめに

都会の雑踏の中にいてさえも、見上げれば広がる大気という大自然、私たちが日ごろ関心をもって探究するのにもってこいの対象です。雲、雨、風、といった大気の現象を総じて気象といいます。そして、気象への疑問を解き明かすのが「気象学」です。

もう忘れてしまったかもしれませんが、「雲はどうやってできるのか」「なぜ空に浮かんでいられるのか」といった疑問は、子どものころ誰もが一度はもったことがあるものです。もちろん雲の上に乗るというような空想は、現実的な認識に置き換わっているでしょう。しかし、雲ひとつの質量が数十トンもあると聞いたら、あながち解決済みの疑問というわけではないことに気づくにちがいありません。

本書は、何の変哲もない雲ひとつを出発点にして、気象学の扉を開ける鍵をひとつずつ確かめながら先へ進んでいきます。その先には、「低気圧や高気圧はなぜできるのか」「台風はなぜ強い風が吹くのか」「上空にはなぜジェット気流が吹いているのか」といった疑問を「なるほど」という実感をもって理解できる段階が待っています。

気象学は、「天気予報」の技術の基礎でもあります。日本のどこに住んでいても、世界のどこを旅しても、私たちはそこに現れる天気から逃れることはできません。ときには大雨や強風に見舞われ、ひとたび台風がやってくれば財産や生命を失うことさえあります。天気予報は、朝出かけるときに傘をもつか、洗濯物を外に干すかといった個人生活のニーズに応えるだけでなく、さまざまな経済活動や社会活動に必要とされています。農業はもちろんのこと、コンビニの運営には天気に合わせた商品の入れ替えが必要ですし、野外工事や各種のイベントなども天気を予測して計画・運営する必要があります。

テレビの天気予報では、気象予報士が雲画像や天気図を示しながら「気圧の谷が接近し、西から天気が崩れます」「大気が不安定で雷が発生しやすくなっています」のように解説を行っています。これらの解説では、「気圧の谷」「上空の寒気」といった気象学の用語が出てきます。さらに、インターネットを使えば、地上天気図や高層天気図、気象衛星画像、気象レーダー画像、アメダスといった高度な気象情報を見ることもでき、気象学を活用する場は私たちのすぐ手に届くところにあります。

気象予報士試験の受験者はのべ10万人を超え、試験に関連する書籍も数多く見られます。また、受験者向けではなく、天気に関心をもった初心者向けの書籍も数多く出版されています。

本書は、それらの書籍とはやや性格が異なるものです。「気象学」そのものをもっと深く知りたい、そう思い始めた入門者向けに本書は書かれています。特に、次のような人にはうってつけでしょう。

●天気の本を読んだことがあり、興味はもてたが、まだわかったような気がしない。もっと深く、くわしく知りたい。

●気象予報士試験対策の本を見たが、試験問題を解くためだけの記述なので、しくみを「なるほど」と思えるようには書かれていない。丁寧でくわしい、気象学の入門者向け解説がほしい。これらの読者に合ったものにするため、本書は次のような特徴をもって書かれています。
●中学校の理科を身につけていれば理解できるように気を配って記述してある。高校物理以上の知識を必要とする場合には、丁寧な解説をしている。

●このため、高校生以上の学生や社会人の誰もが読み進めることができる。

●わかりやすい文章だけでなく、徹底して図解している。

●通り一遍の表面的な知識の紹介を避け、「しくみ」を「なるほど」と深く理解できるように記述している。

本書を通じて獲得した気象学の基本は、身近な気象現象や、メディアを通じてふれる気象情報をより深く理解する一助になるでしょう。執筆は、天気予報や気象学を専門とする古川武彦と理科の教科書づくりを専門とする大木勇人の2人が、それぞれの長所を持ち寄り、話し合いを重ねて進めました。また、出版に至る過程では、講談社の堀越俊一氏および校閲の皆様から貴重な助言や励ましをいただきました。ここに感謝の意を表したいと思います。
2011年3月20日
著者古川武彦大木勇人図解・気象学入門 原理からわかる雲・雨・気温・風・天気図 (ブルーバックス)

古川武彦 (著), 大木勇人 (著)
講談社 (2011/3/20)、出典:出版社HP

図解・気象学入門 – もくじ

はじめに
1章雲のしくみ
1雲が空に浮かんでいられるわけ
2温められた空気を上昇させる力は何か
3水蒸気を含む空気は重くない
4水蒸気はどう雲の粒に変わるか
5雲ができる大気の構造を知る
6.雲にはどのような種類があるか

2章雨と雪のしくみ
1雲の粒から雨粒への成長の鍵は何か
2日本付近の雨はどのようにして降るか
3自分で殖える積乱雲の不思議
4豪雨はどのようなときに発生するか

3章気温のしくみ
1大気を温める「放射」を知る
21日の気温変化はどのように生じるか
3気温は緯度と季節によりどう変わるか

4章風のしくみ
1気圧の差は何によってできるか
2地上の風はどのように吹くか
3上空に吹く風はどうなっているか
4地球規模の風はどうなっているか
5大陸と海が生み出す季節風

5章低気圧・高気圧と前線のしくみ
1温帯低気圧はなぜ発達できるのか
2温帯低気圧の発生から消滅まで
3いろいろな高気圧のでき方
4梅雨はなぜ起こるのか

6章台風のしくみ
1台風は組織化された積乱雲でできている
2台風はどのようにして発生するのか
3台風を発達させるしくみ
4台風はなぜ日本にやってくるのか

7章天気予報のしくみ
1天気予報に必要な気象観測
2コンピュータはどのように予報を行うのか
3いろいろな天気予報

参考文献
さくいん

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