保険調剤Q&A 令和2年版 (調剤報酬点数のポイント)
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序
令和2年度診療報酬の改定率は,令和元年12月の厚生労働大臣および財務大臣による折衝を踏まえ、消費税財源を活用した救急病院における勤務医の働き方改革への特例的対応分(プラス0.08%)を除き,本体分でプラス0.47%(うち,調剤報酬はプラス0.16%)という内容に決まりました。
その後,翌年3月初旬に告示された新たな調剤報酬点数表では、かかりつけ機能の評価をはじめ,「対物業務から対人業務への構造的転換」のさらなる推進として,対人業務の評価の拡充と併せて対物業務等の評価の見直しが行われました。
特に、医療機関と薬局による「連携」に係る取り組みについて重点が置かれ,外来がん化学療法の質向上のための総合的取り組みとして,薬局でのレジメンを活用した薬学的管理(特定薬剤管理指導加算2),吸入薬の使用方法に関する指導と、その内容に関する医療機関へのフィードバック(吸入薬指導加算),インスリン製剤等を使用している糖尿病患者に対する調剤後を含めた副作用確認および服薬指導と、その結果に関する医療機関へのフィードバック(調剤後薬剤管理指導加算)のほか,経管投薬が行われている患者への簡易懸濁法に関する必要な支援(経管投薬支援料)などについて,新たな評価が設けられています。
その一方で,令和2年度改定の議論と並行して、令和元年12月には改正薬機法が公布され、患者の服薬期間中のフォローアップなどの法制化,機能別の薬局認定制度の導入,服薬指導の対面義務の例外としてオンライン実施の規定などが行われることになりました。1890年に我が国の薬剤師・薬局が法律で規定されて以来,「薬局の定義」と「薬剤師の役割」が,その概念を大きく変えて時代のニーズに沿ったコペルニクス的転換がなされたと言えるでしょう。
また、その翌年2月以降には、横浜港に寄港した外洋クルーズ船の乗員・乗客への対応をはじめ,その後,世界各国で猛威を振るった新型コロナウイルスの感染拡大防止の対応に追われる中での新点数表の施行という、非常に大変な状況の中での診療報酬改定となりました。
令和2年度改定は、改正薬機法の趣旨である「住み慣れた地域で患者が安心して医薬品を使うことができる環境を整備する」という考え方を踏まえ,薬剤師・薬局がこれまで以上に地域包括ケアシステムの中で活躍するよう期待が込められたものです。薬局ならびに薬剤師は,こうした期待に的確に応えられるよう多職種と連携しながら地域住民・患者への安全・安心な医薬品の提仕のため、より積極的に取り組むとともに,その業務や機能をより見える化」くの国民が医薬分業のメリットを実感できるようにしていかなければなりません。
本書では,保険薬剤師が調剤の現場で感じた疑問を点数表の項目に合わせてわかりやすく解説しました。保険調剤に従事する薬剤師の指針あるいはこれから調剤実務に就く薬剤師の座右の書として活用していただければ幸いです。
本書の刊行にあたり,企画,編集に携わった諸氏に改めて謝意を表します。
令和2年6月
公益社団法人 日本薬剤師会
会長 山本信夫
初版の序
医薬分業は,薬価基準制度や診療報酬体系の見直しなど,一連の医療改革を背景に急速に進みつつあり,処方せんの発行枚数は平成10年度に4億枚に達すると推計されています。医薬分業の進捗状況を示す処方せんの受取状況も全国平均で30%を超え,外来患者の3人に1人は処方せんを持って保険薬局から調剤を受ける状況になりました。
医薬分業は,本来リスクマネージメントシステムであり,薬剤師は患者の薬歴管理をはじめ処方の二重チェック,薬歴に基づく服薬管理指導,薬剤に関する情報提供,副作用のモニタリング,また必要に応じ患者に関する情報を医師へフィードバックするなど医薬品の有効性,安全性を担保することにより,医薬品の適正使用の推進に寄与しています。また、在宅医療の推進や平成12年度からの介護保険の施行など、患者の居宅へ活動の範囲も拡がっています。
一方で、21世紀に予想される少子高齢社会においても安定した保険財政を確保する観点から、わが国では新たな医療提供体制を構築するための検討が始まっています。医療費の適正化もその対策のひとつであり,その一環として保険請求の審査業務の充実,医療機関等の指導監査の強化への取り組みが課題とされ,保険調剤も例外ではありません。医薬分業により国民が受けるメリット,医療保険への財政効果の検証,薬剤師の業務に対する現行調剤報酬点数の適否,21世紀の調剤報酬体系のあり方などが、医療保険制度の中で再評価を受ける時代に入っていると言えます。
保険調剤に携わる薬剤師の果たす役割は益々比重を増しています。薬剤師は、その中心となる保険調剤を通して職能を発揮し、地域におけるチーム医療の一員として医療の一翼を担い、地域住民からの信頼を得,社会の要請に十分応えなくてはなりません。従って,薬剤師は保険薬局において処方せんに基づく正確な調剤と適正な保険請求をする上から,調剤報酬点数表を正しく理解し習得しておくことが必要です。
本書は、現場の一線で調剤業務に従事する薬剤師から日常の業務の中で出てきた調剤報酬に関する解釈上の疑義について、「調剤と情報」の創刊時より「処方・調剤・保険請求Q&A」に寄せられた質問を調剤報酬点数表の構成に沿って再編集したもので,点数解釈上把握していなければならない基本的事項や頻度の高い疑義事項を中心に,平易に解説しています。調剤報酬の解釈及び保険請求上の指針として本書を有効に活用いただければ幸いです。
本書の発刊に当たり、企画,編集に携わった諸氏に深甚の謝意を表します。
平成11年5月
社団法人 日本薬剤師会
会長 佐谷 圭一
Contents
第1章 調剂技術料
調剤基本料 Q001~Q031
令和2年度改定变更点 Q001~Q004
処方箋受付、受付回数 Q005~Q009
算定点数Q010~9015
妥結率 Q016~Q017
地域支援体制加算Q018~2021
後凳医菜品調劑体制加算 Q022~0023
分割調剂1024~C031
調剤料 Q032~Q122
令和2年度改定变更点 Q032
内服薬 Q033~0054
嚥下困難者用製劑加算 Q055~Q059
一包化加算Q060~Q070
內服用滴剂Q071
屯服薬 Q072~Q075
注射薬 Q076~Q078
外用薬 0079~2080
麻薬加算および精神薬,覚せい剤原料未毒薬加算 Q081~Q082,
自家製剤加算Q083~Q092
計量混合調剤加算Q093~Q102
時間外加算,休日加算,深夜加算Q103~Q106
夜間・休日等加算Q107~Q110
在宅患者調剤加算Q111~Q116
長期投与Q117~Q122
第2章 薬学管理料
令和2年度改定による変更点Q123
薬剤服用歴管理指導料Q124~Q135
重複投薬・相互作用等防止加算Q136~Q160
特定薬剤管理指導加算Q141~Q142
乳幼児服薬指導加算Q143~Q144
かかりつけ薬剤師指導料, かかりつけ薬剤師包括管理料Q145~Q149
令和2年度改定による変更点Q145
かかりつけ薬剤師指導料、かかりつけ薬剤師包括管理料Q144~Q149
服薬情報等提供料,服用薬剤調整支援料Q150~9159
令和2年度改定による変更点 Q150.
服薬情報等提供料1, 2 Q151~Q156
服用薬剤調整支援料1 Q157~Q159
外来服薬支援料Q160~Q165
在宅患者訪問薬剤管理指導料Q166~Q188
令和2年度改定による変更点Q166
在宅患者訪問薬剤管理指導料Q167~ Q186
麻薬管理指導加算Q187
在宅患者重複投薬・相互作用等防止管理料Q188
退院時共同指導料 Q189
第3章 藥劑料
薬剤料 Q190~Q194
第4章 その他の関連項目
葉担,療担 Q195~Q198
自己負担金 Q199~Q204
領取証,明細書 Q205~Q207
評価療養,実費徴収など Q208~Q212.
麻葉 Q213~Q217.
後発医薬品への変更調剤 Q218~Q230.
他 Q231~Q256
資料
1.調剤技術料
(1)調劑基本料
(2) 地域支援体制加算
(3)後凳医藥品調劑体制加算
(4)分割調剂
(5)調劑料(內服藥,外用藥)
(6)嚥下困難者用製劑加算
(7) 一包化加算
(8)浸煎菜·湯菜
(9) 無菌製劑处理加算
(10) 自家製剤加算
(11) 計量混合調剤加算
(12)時間外加算等、夜間・休日等加算
(13) 在宅患者調剤加算
2. 薬学管理料
(1) 藥劑服用歷管理指導料
(2) かかりつけ薬剤師指導料,かかりつけ薬剤師包括管理料
(3)服用菜剂調整支援料
(4)服藥情報等提供料
(5)外来服藥支援料
(6)在宅患者訪問藥劑管理指導料
(7) 在宅患者緊急訪問薬剤管理指導料
(8) 在宅患者緊急時等共同指導料
(9) 経管投薬支援料
(10) 退院時共同指導料
3 その他
(1)領取証,明細書
(2)評個療養
(3) 消費税
(4)揭示
(5)誤発医薬品への変更調剤
(6) 他医療機関の受診
(7)湿布菜
(8)その他(医科点数表)
・調剤報酬
・介護報酬