ネットワークスペシャリスト試験(NW)のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




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ネットワークスペシャリスト試験(NW)の概要

ネットワークスペシャリスト試験(NW)とは、ネットワークシステムの開発・運用・保守に従事し、クライアントに対して安全かつ効率的な企画、運用を行う人の試験です。経済産業省が認定する国家資格であり、情報処理技術者試験でも難易度の高い試験です。

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ネットワークスペシャリスト試験の公式テキスト

公式テキストはありませんでした。情報処理技術者試験の参考書を多く出版してきた音プレス、技術評論社などからテキスト・問題集が発行されています。難易度が高く、合格率も13.6%と低いので参考書や問題集での対策が必要となります。ここでは、ネットワークスペシャリスト試験(NW)におすすめの参考書をご紹介します。

ネットワークスペシャリスト試験(NW)のおすすめ参考書

1.「徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書 平成30年度」(インプレス)

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月(著)
出版社:インプレス(2018/3/1)、出典:amazon.co.jp

ネットワークスペシャリスト(NW)合格の王道テキスト&問題集! 合格力が「超」効率的に身につく解説+小テストの「テキスト&問題集」方式で、4年連続売上ナンバー1! 各章末には腕試しの「演習問題」、巻末付録として「平成28年度試験」の過去問題解説を掲載。さらに、平成27年から平成23年の過去問解説をWebダウンロードにて提供。

2.「平成30年度 ネットワークスペシャリスト合格教本」(技術評論社)

岡嶋 裕史(著)
出版社:技術評論社; 第14版(2018/3/9)、出典:amazon.co.jp

「ネットワークスペシャリスト」試験対策のテキストです。幅広い午前問題の出題範囲をカバー。文面だけでは理解しづらい技術の仕組みなどは豊富な図解で解説しています。難関の午後問題対策として,問題文の分析とポイントのつかみ方を徹底解説。過去問の中でも重要テーマからの出題を題材に長文問題への対応力を身に付けられます。見落としがちな午前I分野の確認用として,試験対策問題集を別冊で添付しました。付属の学習ソフト「DEKIDAS-2」(CD-ROM)は,午前I・IIの両方の問題を用意。自己採点機能も付いて苦手克服や直前対策に役立ちます。

3.「情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2018年版」(翔泳社)

ICTワークショップ(著)
出版社:翔泳社(2018/3/14)、出典:amazon.co.jp

本書は、ネットワークスペシャリスト試験の受験対策書です。出題傾向を分析した、解答テクニックやプロセスはもちろん、難関の午後問題を攻略するための様々な対策を提供します。

4.「2019 データベーススペシャリスト『専門知識+午後問題』の重点対策」(アイテック)

本書はデータベーススペシャリスト試験の午後対策を重点的に効率よく学習できるよう構成した書籍です。午前II試験に必要とされる専門知識と午後問題の解法ポイントを短時間で効率よく学習できる内容となっています。

情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2020年版

はじめに

本書は, 情報処理技術者試験の一つである, ネットワークスペシャリスト試験の受験対策書です。どうすれば合格できますか?

この問いかけに、私は確信をもって次のように答えます。

「午後試験を制する者は合格を手に入れる」
その答えを目に見える形にしたものがこの本です。本書は、次に示すコンセプトに基づいて執筆されています。

・午後試験に照準を合わせた解説
「第1部 基礎編」では,基本となる要素技術を, LAN, 特定用途向けのネットワーク, TCP/IP, アプリケーションの四つの章に分けて解説しています。

「第2部 応用編」では,午後試験で頻出のトピックを大きく設計,信頼性,性能, セキュリティ,移行・運用の五つの章に分類して解説しました。

いずれの章でも取り上げているのは、午後試験で頻出の要素技術です。午後試験まで視野に入れた解説を読み進めることで,試験合格に役立つ知識を身に付けることができます。

・豊富な試験対策情報
各章の第1節で午後試験対策のアドバイスを取り上げています。試験をよく把握した上で, 効率よく試験勉強に取り組めます。

高度な応用能力と課題解決能力が評価される,この国家試験にチャレンジする機会を通して, きっと多くのものを得られるに違いありません。私は皆様より先に合格しただけの者に過ぎませんが,「努力したことは無駄にならない」と申し上げることができます。受験勉強を通して,体系的に知識を修得することができたからです。熱心に自己研鑽に励む皆様に,本書がわずかでも参考になれば幸甚です。

この場をお借りして、お世話になった方々への謝辞を申し上げます。本文の執筆に際しては, 多数の良書,Webサイトを参考にさせていただきました。著者が本試験(平成12年度)に初めて合格したときに手厚くサポートしてくださったアイタック塾のスタッフ・塾生の方々,著者が試験対策講座で講師を担当させていただいた受講者の方々,原稿を的確にレビューしてくださった技術者の方々,前年度版の誤記を親切に指摘してくださった読者の方々,皆様からいただいたご教示によって本書がより一層磨き上げられたことを心より感謝いたします。併せて,誤記の責は全て私にあり,前年度版の読者の皆様におかれましては、不備を心よりお詫び申し上げます。

最後に,本書の発刊に当たり,企画・編集面で多大なるご尽力をいただいた翔泳社のスタッフの皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。

ICT ワークショップ
著者 山下 真吾

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP

目次

本書の使い方

第1部 基礎編

第1章 LAN
1.1 午後試験対策のアドバイス

1.2 イーサネット
1.2.1 イーサネットの種類と仕様
1.2.2 DIX 規格のフレームフォーマット
1.2.3 IEEE802.3 規格のフレームフォーマット
1.2.4 IEEE802.2 規格のフレームフォーマット

1.3 無線 LAN
1.3.1 無線 LAN の種類と仕様
1.3.2 無線 LAN 規格のフレームフォーマット
1.3.3 APと無線 LAN コントローラ

1.4 LAN 関連のプロトコル/規格
1.4.1 フロー制御
1.4.2 オートネゴシエーション/オート MDI/MDI-X
1.4.3 VLAN

1.5 スイッチ
1.5.1 アドレス学習機能と転送機能
1.5.2 スイッチの様々な機能

1.6 演習問題
問題1 MTU
問題2 VLAN のビット長
問題3 無線 LAN の標準規格
問題4 IEEE 802.1XとRADIUS
問題5 スイッチのグループ化

第2章 特定用途向けのネットワーク
2.1 午後試験対策のアドバイス

2.2 WAN
2.2.1 アクセス回線
2.2.2 WAN サービス
2.2.3 WAN 高速化装置

2.3 ストレージネットワーキング
2.3.1 SAN と NAS
2.3.2 SANのプロトコル
2.3.3 リモートバックアップ

2.4 ユニファイドコミュニケーション
2.4.1 SIP
2.4.2 VoIPネットワーク

2.5 演習問題
問題1 SAN
問題2 SIP

第3章 TCP/IP
3.1 午後試験対策のアドバイス

3.2 IP
3.2.1 IPの特徴
3.2.2 IPヘッダ
3.2.3 IPパケット

3.3 TCP/UDP
3.3.1 TCP/UDP の特徴
3.3.2 TCP ヘッダ
3.3.3 UDP ヘッダ
3.3.4 TCP コネクション

3.4 ARP
3.4.1 ARPの仕組み
3.4.2 特別な用途の ARP

3.5 ICMP
3.5.1 ICMPのパケットフォーマット
3.5.2 ICMPメッセージ
3.5.3 ICMP の利用

3.6 DHCP
3.6.1 DHCP の機能
3.6.2 DHCP による設定情報の割当て順序

3.7 NAT
3.7.1 NAT/NAPT
3.7.2 NAT 越え

3.8 ルーティング
3.8.1 ルーティングの仕組み
3.8.2 スタティックルーティング/ダイナミックルーティング
3.8.3 EGP / IGP

3.9 IPv6
3.9.1 IPv4 からの主な変更点
3.9.2 アドレス空間の拡張
3.9.3 近隣探索とアドレス自動設定機能
3.9.4 パケットフォーマットの簡略化

3.10 演習問題
問題1 アドレス設計
問題2 TCPの3ウェイハンドシェイク
問題3 TCPのフロー制御
問題4 IPv6のリンクローカルユニキャストアドレス
問題5 Gratuitous ARP
問題6 ICMPのメッセージ
問題7 ルーティング, プロキシ ARP
問題8 OSPF

第4章 アプリケーション
4.1 午後試験対策のアドバイス

4.2 DNS
4.2.1 ドメイン
4.2.2 名前解決の仕組み
4.2.3 ゾーン情報
4.2.4 プライマリDNS サーバ/セカンダリDNS サーバ
4.2.5 公開ドメイン情報/非公開ドメイン情報
4.2.6 Dynamic DNS
4.2.7 DNS キャッシュ汚染

4.3 電子メールシステム
4.3.1 メール送受信の仕組み
4.3.2 メールの仕様

4.4 Webシステム
4.4.1 HTTPの仕組み
4.4.2 Web アプリケーション

4.5 演習問題
問題1 DNS のレコード
問題2 DNS
問題3 DNS のセキュリティ対策
問題4 From フィールド
問題5 Get メソッドとPOST メソッド
問題6 URL の書式
問題7 通信プロトコル

第2部 応用編

第5章 設計
5.1 午後試験対策のアドバイス

5.2 仮想化設計
5.2.1 仮想化機構の構成
5.2.2 仮想マシンの設計
5.2.3 物理サーバとネットワークの設計

5.3 演習問題
問題1 仮想化設計

第6章 信頼性
6.1 午後試験対策のアドバイス

6.2 冗長化構成
6.2.1 リンク, スイッチングハブの冗長化
6.2.2 ルータの冗長化
6.2.3 サーバの冗長化
6.2.4 回線の冗長化
6.2.5 NICの冗長化

6.3 演習問題
問題1 複数の要素技術を組み合わせた冗長構成

第7章 性能
7.1 午後試験対策のアドバイス

7.2 QoS #JYP
7.2.1 QoS 制御の技術
7.2.2 IPデータグラム
7.2.3 イーサネットフレーム

7.3 演習問題
問題1 伝送時問

第8章 セキュリティ
8.1 午後試験対策のアドバイス

8.2 暗号化/認証
8.2.1 暗号化方式
8.2.2 認証方式

8.3 アクセス制御/不正アタック対策
8.3.1 ファイアウォール
8.3.2 プロキシ
8.3.3 侵入検知システム,侵入防御システム
8.3.4 ウイルス対策
8.3.5 迷惑メール対策
8.3.6 ネットワーク経由のサイバー攻撃

8.4 セキュリティプロトコル
8.4.1 認証プロトコル
8.4.2 RADIUS
8.4.3 IEEE802.1X
8.4.4 トンネリング
8.4.5 IPsec
8.4.6 SSL, TLS
8.4.7 無線LAN

8.5 演習問題
問題1 モバイル端末による VPN 接続

第9章 移行・運用
9.1 午後試験対策のアドバイス
9.1.1 移行・運用の全体像
9.1.2 運用設計
9.1.3 移行
9.1.4 運用

9.2 運用設計
9.2.1 体制・環境の整備
9.2.2 サービスの設計

9.3 移行
9.3.1 計画,実施,テスト
9.3.2 構成管理と変更管理

9.4 運用
9.4.1 通常運用の管理
9.4.2 インシデント管理
9.4.3 問題管理

9.5 ネットワーク監視
9.5.1 監視に用いられるプロトコル

9.6 演習問題
問題1 運用設計と構成管理

第3部 令和元年度秋期 本試験問題・解答・解説
午後I問題
午後I問題の解答・解説
午後Ⅱ問題
午後Ⅱ問題の解答・解説

付録 ネットワークスペシャリストになるには
ネットワークスペシャリスト試験とは
統計情報
試験の構成・採点
対象者像
出題範囲
受験の手引き

索引

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP

本書の使い方

本書は,以下のような内容で,ネットワークスペシャリスト試験合格への学習を進めていきます。

・第1部 基礎編
ネットワークに関する基礎的な要素技術を詳しく解説します。

・第2部 応用編
午後問題に頻出するネットワークの応用的な要素技術を詳しく解説します。

・第3部 令和元年度秋期 本試験問題・解答・解説
令和元年度の午後I・午後II問題と解答,ならびに解答に至るまでの着眼点や考え方を丁寧に解説します。

・読者特典
翔泳社の Web ページで、本書と併せてご利用いただけるコンテンツを提供します。

■読者特典
翔泳社のWebサイト(下記の配布サイト)で,以下のコンテンツを読者特典として提供します。

(1) 過去問アーカイブ – 13年分の試験問題,解答・解説,解答用紙
令和元年度試験の午前I・午前 II, 平成 19~30年度試験の全問題とその解答・解説及び解答用紙です。本書と併せてご利用ください。

(2) 演習問題補遺
本書の第2部(第5~9章)に掲載した演習問題に加えて,第2部の各章でさらに1問から3問の「演習問題」を提供します。

(3)「午後問題の解答テクニック」
午後I問題,午後II問題それぞれの特徴をふまえて,解答テクニックを丁寧に解説した「午後試験攻略法」です。

提供するコンテンツはすべて PDFファイルになっています。 試験問題などを配布している Webサイトは次のとおりです。表示されるリンクをクリックすると,ダウンロードページへ移動します。ファイルをダウンロードするには,本書に記載されているアクセスキーが必要になります。該当するアクセスキーが掲載されているページはWebサイトに表示されますので,そちらを参照してください。

読者特典をダウンロードする際には、SHOEISHA iDへの会員登録が必要です。詳しくはWebサイトを参照してください。

※提供するコンテンツは、本書の読者の方だけがご利用いただけます。
※コンテンツの提供は、令和元年度の午前I, 午前 IIの解説は2020年4月下旬,他は3月下旬に開始を予定しています。また,2021年9月30日にコンテンツの提供を終了いたします。お間違いないよう,お願いいたします。
※なお、読者特典の内容やダウンロード期限は予告なく変更になる場合がございます。ご了承ください。

ICTワークショップ (著)
出版社: 翔泳社; 1版 (2020/3/17)、出典:出版社HP

令和02年 ネットワークスペシャリスト 合格教本

はじめに

ネットワークスペシャリスト試験は、オンライン技術者試験(昭和 63年)、ネットワークスペシャリスト試験(平成6年)、テクニカルエン ジニア(ネットワーク)試験(平成13年)の系譜に連なるネットワークカテゴリ最高峰の資格試験です。

資格を取得する目的の1つに、自分の力量を客観的に証明し、正当 に評価されたいという理由があります。そうであれば、受験する資格 は慎重に選択する必要があります。資格試験の位置づけは世の中で相 場が決まっており、どれだけの難関資格であろうと知名度の低い資格 であれば自分の欲する評価は得られないでしょう。

他者評価など気に しない資格マニアでなければ、できるだけコストパフォーマンスのよい(支払った努力に見合うだけの見返りが得られる)資格を取得するべきです。試験対策というのは、お金もかかりますし、肉体的・精神的 にも消耗します。投資は優良な資格に集中させるのが賢明なキャリア戦略といえます。

かといって、資格バブルの一時期に見られたような「楽に取れた割に は評価の高い資格は淘汰の波間に消え、もうありません。現在は、適切な自己研算を行った人だけが取得できる真っ当な資格が、きちんと 評価される枠組みが整いました。その意味において、ネットワークス ペシャリストは手堅い選択です。そもそもIT系資格の中で唯一の国家資格であり、高いステータス性を誇る情報処理技術者試験ですが、そ の中でもネットワークスペシャリストは難関資格として高名です。ベ ンダ資格にまで視野を広げても、CCAなど特殊なものを除いて最難関 の資格であるといえるでしょう。

それだけに、資格取得後の特典は多種多彩です。多くの企業が一時 金や資格手当を用意していますし、弁理士試験などの国家試験で試験 科目の一部免除が受けられます。また、学生の場合は資格取得による単位の認定や、入学試験時における優遇制度を設けている学校があります。

もちろんこれだけの評価が得られる資格ですから、合格のハードルは高く、対策の道のりは長いですが、やりがいのある行程です。その最初のステップに本書が役立てば、これに勝る喜びはありません。

令和2年2月 岡島裕史

岡嶋 裕史 (著)
出版社: 技術評論社; 第16版 (2020/3/7)、出典:出版社HP

目次

受験の手引き

第I部 知識のまとめ 午前Ⅱ、午後I、午後Ⅱ問題対策
午前問題の傾向&対策

第1章 ネットワークの基礎知識
1.1 プロトコル
1.1.1 プロトコルとは
1.1.2 プロトコルの標準化の流れ

1. 2 OSI基本参照モデル
1.2.1 階層化
1.2.2 7つの階層
1.2.3 エンティティとサービス
1.2.4 コネクション
COLUMN 要求される下位プロトコル

1.3 ネットワークの種類
1.3.1 LANとWAN
1.3.2 コネクション型通信とコネクションレス型通信
1.3.3 回線交換とパケット交換

1.4 集中処理と分散処理
1.4.1 集中処理
1.4.2 分散処理
1.4.3 クライアントサーバシステム

1.5 インターネット技術
1.5.1 IPアドレスとドメイン名
1.5.2 ルーティング
1.5.3 TCP/IP

1.6 仮想化の技術とクラウド
1.6.1 仮想化
1.6.2 サーバ仮想化
1.6.3 VDI
1.6.4 仮想化によるスケーラビリティ
1.6.5 クラウドコンピューティング
章末問題

第2章 符号化と伝送
2.1 音声信号の符号化
2.1.1 アナログとディジタル
2.1.2 ディジタル化のメリット
2.1.3 標本化
2.1.4 量子化
2.1.5 符号化

2.2 画像信号の符号化
2.2.1 画像符号化の基礎知識
2.2.2 画像データ圧縮の手法
2.2.3 画像データ規格
2.2.4 動画・音楽配信データ規格

2.3 符号化したデータの伝送
2.3.1 同期
2.3.2 ビット同期
2.3.3 ブロック同期

2.4 回線制御
2.4.1 回線制御装置の種類
2.4.2 変調方式

2.5 トラフィック理論
2.5.1 アーラン
2.5.2 呼損率
COLUMN アーラン、待ち行列

2.6 待ち行列理論
2.6.1 M/M/1モデル
2.6.2 待ち行列の計算に必要な要素

2.7 誤り制御
2.7.1 誤り制御の種類
2.7.2 パリティチェック
2.7.3 パリティチェックのバリエーション
2.7.4 CRC
2.7.5 ハミング符号
章末問題

第3章 LANとWAN
3.1 LANとWAN
3.1.1 LANとWANの区別は?

3.2 物理層の規格
3.2.1 同軸ケーブル
3.2.2 ツイストペア
3.2.3 光ファイバ
3.2.4 リピータ

3.3 ネットワークトポロジ
3.3.1 ネットワークトポロジ
COLUMN 通信機器の呼称について

3.4 データリンク層の規格
3.4.1 イーサネット
3.4.2 ギガビットイーサネット
3.4.3 10ギガビットイーサネット
3.4.4 その他の伝送制御方式

3.5 データリンク層の接続機器
3.5.1 ブリッジ
3.5.2 スイッチングハブ(L2スイッチ)
COLUMN プロトコルアナライザ

3.6 ネットワーク層の接続機器
3.6.1 ルータ
3.6.2 L3スイッチ

3.7 VLAN
3.7.1 スイッチの機能、VLAN
3.7.2 論理的なLANエリアの構築
3.7.3 遠隔地LANの統合
3.7.4 VLANのMACフレーム構成

3.8トランスポート層以上の層の接続機器
3.8.1 ゲートウェイ
3.8.2 L4スイッチ
3.8.3 L7スイッチ

3.9 無線LAN①
3.9.1 無線LANの規格
3.9.2 無線LANのアクセス手県
3.9.3 無線LANのアクセス方式
3.9.4 セキュリティの向上
3.9.5 強固なセキュリティ規格の策定

3.10 無線LAN②
3.10.1 Wi-Fiメッシュネットワーク
3.10.2 広帯域通信
3.10.3 WiMAX
3.10.4 ZigBee

3.11 WANで使われる接続形態
3.11.1 フレームリレー
3.11.2 拠点間VPN

3.12 アクセス回線
3.12.1 ISDN
3.12.2 ADSL
3.12.3 CATV
3.12.4 電力線通信

3.13 光ファイバによる通信
3.13.1 SDH/SONET
3.13.2 FTTH
章末問題

岡嶋 裕史 (著)
出版社: 技術評論社; 第16版 (2020/3/7)、出典:出版社HP

第4章 インターネットの技術
4.1 インターネット技術の基本
4.1.1 インターネットの定義
4.1.2 インターネットの成り立ち
4.1.3 アクセス経路の発展
4.1.4 インターネットの利用形態

4.2 IPの基礎知識
4.2.1 IP
4.2.2 コネクション型通信とコネクションレス型通信
4.2.3 ベストエフォート型
4.2.4 パケット通信
4.2.5 経路制御
4.2.6 IPヘッダ

4.3 IPアドレス
4.3.1 IPアドレス
4.3.2 サブネットマスク
4.3.3 IPマルチキャスト
4.3.4 特別なIPアドレス
COLUMN IPアドレスクラス

4.4 IPアドレス枯渇問題に対する技術
4.4.1 IPアドレスの枯湯問題
4.4.2 プライベートIPアドレス
4.4.3 CIDR

4.5 IPv6
4.5.1 IPv6
4.5.2 IPv6の機能
COLUMN なぜマルチキャストを使うのか

4.6 データリンク層との接続
4.6.1 MACアドレス
4.6.2 ARP
4.6.3 プロキシARP
4.6.4 ICMP
COLUMN tracerouteコマンド

4.7 TCPとUDP
4.7.1 トランスポート層の役割
4.7.2 ポート番号
4.7.3 TCP
4.7.4 UDP

4.8 TCPの伝送制御
4.8.1 スライディングウィンドウ
4.8.2 高速再送制御
4.8.3 フロー制御
4.8.4 遅延ACK

4.9 ルーティング技術
4.9.1 ルーティング
4.9.2 ルーティングプロトコルの分類
4.9.3 ルーティングプロトコルのアルゴリズム
4.9.4 経路のループを回避する技術
4.9.5 RIP
4.9.6 OSPF
4.9.7 BGP-4
4.9.8 MPLS
COLUMN どうしてUDPがトランスポート層なのか?

4.10 名前解決及びアドレス管理技術
4.10.1 DNS
4.10.2 DHCP

4.11 メール関連のプロトコル
4.11.1 SMTP
4.11.2 SMTPメッセージの構造
4.11.3 POP before SMTP
4.11.4 SMTP Authentication (SMTP-AUTH)
4.11.5 送信ドメイン認証
4.11.6 POP3
4.11.7 IMAP4
4.11.8 POP3S、IMAP4S、SMTPS
COLUMN UA

4.12 Web関連のプロトコル
4.12.1 HTTP
4.12.2 HTTPのプロセス
4.12.3 HTTPメッセージのフォーマット
4.12.4 URLフォーマット
4.12.5 Cookie
4.12.6 HTTP認証
4.12.7 Webサービス

4.13 その他のアプリケーション層プロトコル
4.13.1 FTP
4.13.2 Telnet
4.13.3 SIP
章末問題

第5章 信頼性向上
5.1 信頼性設計
5.1.1 RASIS
5.1.2 QoS

5.2 耐障害設計及び性能管理
5.2.1 フォールトアポイダンス
5.2.2 フォールトトレランス
5.2.3 耐障害設計
5.2.4 ITサービス継続性管理
5.2.5 性能管理
COLUMIN システムのログ観察

5.3 バックアップ
5.3.1 バックアップの必要性と準備作業
5.3.2 バックアップ方法
5.3.3 バックアップ運用
5.3.4 遠隔地管理

5.4 ストレージ関連技術
5.4.1 RAID
5.4.2 RAIDの種類
5.4.3 ネットワーク上のストレージ

5.5 ネットワーク管理技術
5.5.1 syslog
5.5.2 NTP
5.5.3 SNMP
5.6 運用管理
5.7 アウトソーシングサービス
章末問題

第6章 セキュリティ
6.1 暗号化
6.1.1 盗聴リスクと暗号化
6.1.2 暗号の種類
6.1.3 共通鍵暗号
6.1.4 共通鍵暗号の実装技術
6.1.5 公開鍵暗号
6.1.6 公開鍵暗号の実装技術
6.1.7 ハイブリッド方式

6.2 認証システム
6.2.1 認証システムの基本的な考え方
6.2.2 パスワード認証
6.2.3 パスワード認証の運用上の注意点
6.2.4 バイオメトリクス認証
6.2.5 シングルサインオン
6.2.6 認証と認可のプロトコル

6.3 ディジタル署名
6.3.1 ディジタル署名の基本的な考え方
6.3.2 メッセージダイジェスト
6.3.3 PKI
COLUMN 認証の連鎖

6.4 コンピュータウイルス
6.4.1 コンピュータウイルスの分類
6.4.2 コンピュータウイルスの3機能
6.4.3 マルウェア
6.4.4 ルートキット
6.4.5 ウイルスへの対策
6.4.6 ウイルス感染後の対応
6.4.7 CVSS

6.5 サイバー攻撃
6.5.1 クロスサイトスクリプティング
6.5.2 DoS攻撃
6.5.3 バッファオーバフロー
6.5.4 その他の攻撃手段
6.5.5 攻撃への対応

6.6 LANにおけるセキュリティ対策技術
6.6.1 ファイアウォール
6.6.2 DMZ
6.6.3 パーソナルファイアウォール
COLUMN ペネトレーションテスト

6.7 ユーザ認証におけるセキュリティ対策技術
6.7.1 リモートアクセス技術
6.7.2 認証技術
6.7.3 Kerberos
6.7.4 SSL/TLS
COLUMN ディジタル証明書の有効期限

6.8 公共回線におけるセキュリティ対策技術
6.8.1 VPN
6.8.2 VPNの基本構成
6.8.3 VPNの2つのモード
6.8.4 VPNを実現するプロトコル

6.9 セキュリティ関連規格
6.9.1 CC
6.9.2 ISMS
6.9.3 その他のセキュリティ関連規格
6.9.4 セキュリティ関連組織
COLUMN ISMSとPDCA モデル
章末問題

第Ⅱ部 長文問題演習 午後I・午後Ⅱ問題対策
午後問題の傾向と対策

午後I問題の対策
1 迷惑メール
解答のポイント

2 eラーニングシステムの増強
解答のポイント

3 検疫ネットワーク
解答のポイント

4 仮想デスクトップ基盤の導入
解答のポイント

5 クラウドサービスとの接続
解答のポイント

6 SaaSの導入
解答のポイント

7 遠隔地バックアップ
解答のポイント

8 ネットワーク設計と運用
解答のポイント

9 ネットワーク構成の変更
解答のポイント

午後Ⅱ問題の対策
1 サービス基盤の構築
解答のポイント

2 SIP、RTP関連
解答のポイント

3 サーバの移設
解答のポイント

4 標的型メール攻撃
解答のポイント

5 無線LAN
解答のポイント

さくいん
読者特典のご案内

岡嶋 裕史 (著)
出版社: 技術評論社; 第16版 (2020/3/7)、出典:出版社HP

受験の手引き

ネットワークスペシャリスト試験の位置づけ
ネットワークスペシャリスト試験とは、情報処理関連業務に関するスキルを問う各種の試験制度のうち、唯一の国家試験である情報処理技術者試験の一分野です。情報処理技術者試験は能力の分野とレベルでいくつかの試験に細分化 されていますが、ネットワーク分野について行われる試験がネットワークスペ シャリスト試験というわけです。

情報処理技術者試験は平成21年春に制度改定が行われ、ベンダ側、ユーザ 側といった分類の廃止や、試験分野の整理統合が行われました。他の国家試験 に比べればまだ試験区分が多いものの、全体としてかなりすっきりした印象に なったといえます。

また、共通キャリア・スキルフレームワークに準拠したことで、今まで比較 的分かりにくいとされていた、資格のレベル感もはっきりしました。共通キャ リア・スキルフレームワークはレベル1(最低限求められる基礎知識)~レベル 7(世界に通用するハイエンドプレイヤー)に分けられていますが、情報処理技 術者試験は区分によってレベル1~レベル4に対応することになりました(レ ベル5以上は筆記試験による判定に馴染まないため、業務経験で判定されます)。

ネットワークスペシャリスト試験はこのうちのレベル4(プロフェッショナ ル)に該当します。もとから合格者への評価が高い試験でしたが、名実ともに 国内最高峰のネットワーク関連試験と認定されました。長年、出題委員の負担 の大きさが狙上に載せられており、過去問題の流用は高い確率で行われていま す。特に午前問題において、過去問題への取り組みは極めて有効です。

合格率は引き続き10%台程度で推移すると見られ、決して取得の容易な資格で はありませんが、合格者が得られるレビュテーションは非常に大きいといえます。

■試験実施日
ネットワークスペシャリスト試験は、年1回(10月第3日曜日)実施されます。

■出題形式と試験時間
ネットワークスペシャリストを含む共通キャリア・スキルフレームワークのレベル4に該当する試験(情報処理技術者試験で、高度試験と括られる区分)で は、従来の3分割された試験時間 (午前、午後I,午後II)が、4分割(午前I、午前Ⅱ、午後I、午後Ⅱ)へと変更されています。

試験時間 午前1 午前2 午後1 午後2
9:30~10:20 10:50~11:30 12:30~14:00 14:30~16:30
出題形式 多肢選択式 (四肢択一)
高度試験共通問題
多肢選択式
(四肢択一)
記述式 記述式
出題数と必要解答数 30問出題/
30問解答
25問出題/
25問解答
3問出題/
2問解答
2問出題/
1問解答

●午前試験
共通キャリア・スキルフレームワークのレベル4に該当する試験 (情報処理 技術者試験で、高度試験と括られる区分)では、試験時間が午前I、午前II、 午後I,午後IIの4つに分けられています。

午前Iでは各高度試験の共通問題が出題され、午前IIIではその区分の専門知 識が試されます。試験対策をする際には、どうしても専門知識を優先して習得 することになりがちですが、午前Iの点数で不合格になってしまわないように 気をつける必要があります。

具体的には、専門分野で高得点を取り、少し記憶があやふやになった基礎 知識の得点をカバーするといったテクニックが使えないので(午前1で満点の 60%を基準に足切りがあるため)、共通分野もしっかり復習することが求められます。目安としては、応用情報技術者の午前問題が7~8割解ければ問題な いでしょう。午前1には、応用情報との重複問題も見受けられます。

●午後試験
午後I試験は、3問中2問を解答させる形式で、必ず答えなければならない 問題の割合が高いため、苦手分野を作らないことが重要です。

午後II試験は、2問中1問を解答させる形式です。ここでは非常に長い文章 が提示されるため、普段から長めの文章に触れる機会を作っておきましょう。 解答テクニックとして、設問文と設問に関係のある箇所の問題文しか読まない 方法もありますが、問題文そのものにヒントが多い構成なので、情報処理試験 ではおすすめできません。

基本的にはシナリオ問題なので、問題文の流れに沿って設問が置かれていきます。この配置は易→離の順番になっていますが、最初 の問題を誤ると後続の問題をどんどん落としてしまうのが、シナリオ問題の怖さです。1周目から気を抜かずに取りかかりましょう。

■合格基準点と多段階選抜方式
ネットワークスペシャリスト試験の午前I・Ⅱ、午後I・Ⅱ試験には、それぞれ基準点が設けられています。基準点はそれぞれ100点満点中の60%となっており、各試験で基準点に達しない場合は、以降の試験の採点が行われずに不 合格となります。例えば、午前 I が基準点に達しない場合は、午前Ⅱ・午後I・午後Ⅱの採点が行われず不合格になります。

■免除制度
新試験制度では、午前1試験の免除制度が導入されます。高度試験共通の知 議を問う午前I試験では、以下の1~3の条件のいずれかを満たしていれば、 その後2年間の受験が免除されます。

条件1:応用情報技術者試験に合格する
条件2:いずれかの高度試験に合格する
条件3:いずれかの高度試験の午前 I 試験で基準点以上の成績を得る

なお、高度試験とは、以下の9つの試験を指します。
ITストラテジスト試験
システムアーキテクト試験
プロジェクトマネージャ試験
ITサービスマネージャ試験
システム監査技術者試験
ネットワークスペシャリスト試験
データベーススペシャリスト試験
エンベデッドシステムスペシャリスト試験
情報処理安全確保支援士試験

※ネットワークスペシャリスト試験を含む、高度試験の午前I試験の基準点は、いずれも満点の60%です。

■問合せ先
独立行政法人 情報処理推進機構(IPA)
〒113-8663
東京都文京区本駒込2-28-8 文京グリーンコートセンターオフィス15階
TEL:03-5978-7600(代表) FAX:03-5978-7610
ホームページ:https://www.jitec.ipa.go.jp/ (携帯:https://www.jitec.ipa.go.jp/k)

岡嶋 裕史 (著)
出版社: 技術評論社; 第16版 (2020/3/7)、出典:出版社HP

(全文PDF・単語帳アプリ付)徹底攻略 ネットワークスペシャリスト教科書 令和2年度

はじめに

ネットワークスペシャリスト試験は,情報処理技術者試験の高度区分の中でも,業務との関連が最も深いといわれる試験です。

常に新しい内容が盛り込まれるよう変化しており,特に「現場で今現在使われている技術」について問われる試験になっています。そのため, IT業界での評価も高く, 出題内容をしっかり身に付けると実務にもつながるので,いろいろと役立つ試験です。

情報処理攻術者試験の中では、ネットワークスペシャリスト試験は、前身であるオンライン情報処理技術者試験が始まった1988年(昭和63年)から数えると、30年以上もの長い歴史があります。そのため、知名度は他の試験よりも高く,評価されやすい資格でもあります。

ただ、ネットワーク技術はその間にどんどん様変わりしていますので,昔と今とで問われている内容はまったく異なります。インターネットの爆発的な普及があり, ネットワークは専門家だけでなく一般の人も使うようになったため、社会的にますます重 要なインフラとなっています。その時々でネットワークの「今」を任される専門家を育てる資格,それがネットワークスペシャリストであるとも言えます。

本書は わく☆すたAI(人工知能)がネットワークスペシャリスト試験の出題傾向を徹底分析し,試験合格に必要な知識をまとめたものです。また、情報の新しさにもこだわり, 昔の技術よりも「現在使われている技術」を優先して掲載しています。特に,近年よく使 われるようになり、試験でもよく出題される情報セキュリティ技術については,重点を置いて説明しています。さらに深く理解できるように YouTube 動画による解説も用意していますので、あわせてご活用ください。

学習するときには、ポイントを暗記するだけより、周辺知識も合わせて勉強する方が 記憶に残りやすく実力も付いていきます。すべてを暗記しようと頑張らなくてもいいので、 気楽に読み進めていきましょう。辞書として使っていただくのも歓迎です。本書をお供 にしながら、ネットワークスペシャリスト試験の合格に向かって進んでいってください。

最後に,本書の発刊にあたり,企画・編集など本書の完成までに様々な分野で多大なるご尽力をいただきましたインプレスの皆様,ソキウス・ジャパンの皆様に感謝いたしま す。また、私のITの師匠である水岡祥二様,わくわくスタディワールドの齋藤健一様を はじめ、一緒に仕事をしていただいた皆様にも感謝いたします。

そして、いろいろとご指摘,ご教示いただいた昨年度の読者の皆様,「わく☆すたセミ ナー」や企業研修での受講生の皆様のおかげで、本書を改善・完成させることができまし た。皆様、本当にありがとうございました。

令和2年2月
わくわくスタディワールド 瀬戸美月

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

本書の構成

本書は, 解説を読みながら問題を解くことで, 知識が定着するように構成されています。また,側注には,理解を助けるヒントを豊富に盛り込んでいますので,ぜひ活用してください。

本書の使い方

本書は、これまでに出題された問題を分析し,試験によく出てくる分野を中心にまとめています。ですから,本書をすべて読んで頭に入れていただければ、試験に合格するための知識は十分に身につきます。ただし、知識だけを問う試験ではありませんので,理解を深め、実力をつけることが大切です。そのためにも、本書を有効に活用してください。

・随所に設けた問題で理解を深める。
理解を深めるために,ぜひ,随所に設けた演習問題を考えながら読み進めてください。特に,午後Iや午後Ⅱ の問題は,解き方を読みながら演習を行うと、効率良く勉強していただけると思います。

・辞書としての活用もOK
文章を読むのが苦手な人,特に参考書を読み続けるのがつらいという人は、無理に最初から全部読む必要はありません。過去問題などで問題演習を行いながら,辞書として 必要なことを調べるといった用途に使っていただいてもかまいません。

・過去問題で実力をチェック
巻末に令和元年秋試験の問題と解答解説を掲載しました。また,平成 23 ~30年の秋試験の解答解説は、本書の特典としてダウンロード可能です。学習してきたことの力試しに、そして問題演習に,ぜひお役立てください。

・「試験直前対策 項目別要点チェック」を最終チェックなどに活用
P.7~12の「試験直前対策 項目別要点チェック」は、各項末尾の「覚えよう!」を一覧化してまとめたものです。重要な用語は色文字にしてあります。試験直前のチェックや弱点の特定・克服などにお役立てください。

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

目次

はじめに
試験直前対策 項目別要点チェック
ネットワークスペシャリスト試験 活用のポイント
ネットワークスペシャリスト試験の傾向と対策

第1章 ネットワーク基礎知識
1-1 ネットワークとは
1-1-1 通信の仕組み
1-1-2 OSI基本参照モデル
1-1-3 TCP/IPプロトコル群
1-1-4 通信方式の種類

1-2 ITインフラ
1-2-1 ITインフラとは
1-2-2 サーバ
1-2-3 ストレージ
1-2-4 ネットワークの構成要素
1-2-5 データセンタ

1-3 演習問題
1-3-1 午前問題

第2章 ネットワークインタフェース層
2-1 データリンク
2-1-1 イーサネット
2-1-2 無線LAN
2-1-3 PPP
2-1-4 その他のデータリンク
2-1-5 物理層

2-2 LAN間接続
2-2-1 スイッチングハブ
2-2-2 スパニングツリー
2-2-3 VLAN

2-3 通信サービス
2-3-1 通信サービスの種類
2-3-2 IP-VPN
2-3-3 広域イーサネット
2-3-4 無線通信技術
2-3-5 インターネット接続技術

2-4 演習問題
2-4-1 午前問題

第3章 インターネット層
3-1 IP
3-1-1 IPの役割
3-1-2 IPアドレス
3-1-3 ICMP
3-1-4 ARP
3-1-5 NAT
3-1-6 VRRP
3-1-7 IPv6
3-1-8 モバイルIP

3-2 ルーティング
3-2-1 ルータ
3-2-2 RIP
3-2-3 OSPF
3-2-4 BGP

3-3 演習問題
3-3-1 午前問題
3-3-2 午後問題

第4章 トランスポート層
4-1 トランスポート層の役割
4-1-1 トランスポート層のサービス

4-2 TCPとUDP
4-2-1 TCP
4-2-2 UDP

4-3 演習問題
4-3-1 午前問題

第5章 アプリケーション層
5-1 Web関連のプロトコル
5-1-1 HTTP
5-1-2 プロキシ
5-1-3 Webアクセス技術

5-2 メール関連のプロトコル
5-2-1 SMTP
5-2-2 POP, IMAP
5-2-3 その他のメール関連プロトコル

5-3 アドレス・名前解決
5-3-1 DNS
5-3-2 DHCP

5-4 その他のプロトコル
5-4-1 FTP
5-4-2 SNMP
5-4-3 IP電話
5-4-4 コンテンツ配信
5-4-5 その他のプロトコル

5-5 演習問題
5-5-1 午前問題
5-5-2 午後問題

第6章 セキュリティ
6-1 情報セキュリティマネジメント
6-1-1 情報セキュリティとは
6-1-2 情報セキュリティマネジメント

6-2 セキュリティ技術
6-2-1 暗号化技術
6-2-2 認証技術
6-2-3 アクセス制御技術
6-2-4 セキュリティ攻撃

6-3 セキュリティプロトコル
6-3-1 TLS
6-3-2 IPsec
6-3-3 IEEE 802.1X
6-3-4 無線LANのセキュリティ
6-3-5 その他のセキュリティプロトコル

6-4 演習問題
6-4-1 午前問題
6-4-2 午後問題

第7章 ネットワーク設計
7-1 ネットワーク設計
7-1-1 ネットワーク設計
7-1-2 電話,電源設備
7-1-3 信頼性設計技術
7-1-4 負荷分散

7-2 通信に関する技術や計算
7-2-1符号化・データ伝送技術
7-2-2 通信に関する計算
7-2-3 トラフィックに関する理論

7-3 演習問題
7-3-1 午前問題
7-3-2 午後問題

第8章 運用管理
8-1 ネットワーク運用管理
8-1-1 運用管理
8-1-2 システムの導入,現行システムからの移行
8-1-3 事業継続マネジメント

8-2 演習問題
8-2-1 午後問題

第9章 仮想ネットワーク
9-1 仮想化
9-1-1 仮想化機構
9-1-2 仮想化の方式

9- 2ストレージ
9-2-1 SAN
9-2-2 NAS

9-3 仮想ネットワーク
9-3-1 クラウド
9-3-2 仮想ネットワークの方式

9-4 演習問題
9-4-1 午後問題

付録 令和元年度秋 ネットワークスペシャリスト試験
午前I 問題
午前I 解答と解説
午前Ⅱ問題
午前Ⅱ 解答と解説
午後I問題
午後I解答と解説
午後Ⅱ問題
午後Ⅱ 解答と解説

索引

コラム
人と人とを安全につなぐネットワーク
パケット解析のすすめ
スイッチングハブは壊れやすい
ネットワークスペシャリストと合わせて取るといい資格
PCに設定する四つのIPアドレス
VRRPとSTP
TCPは働き者
ネットワークエンジニアと英語力
信頼性を上げるために
計算問題の鉄則
仮想化は様々な場面で使われている
仮想化を体験してみよう

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

ネットワークスペシャリスト試験 活用のポイント

クラウドの普及やIoT, 情報セキュリティなど,ネットワークをとりまく状況は,時代の流れに乗って大きく変化しています。これからの時代に輝くエンジニアになるために, ネットワークスペシャリスト試験の学習をうまく活用していきましょう。

・ネットワークに関するスキルは、これからの時代に必須
ネットワークスペシャリストとは、ネットワークに関係する技術の専門家であり、ネットワークを構築し,様々な分野でネットワークに関する技術支援を行います。単にネットワークに関する知識があるというだけでなく,ネットワークに関する技術を活用し, 情報システム基盤の構築を行ったり、情報システムへの技術支援を行ったりする人がネットワークスペシャリストです。

また、最近のネットワーク構築は、単にネットワークケーブルを引き,機器を設定するというだけでは終わらなくなってきています。クラウドコンピューティングなどでネットワークが仮想化し、ソフトウェアを用いて設定することも増えてきました。そのため、インフラ(情報システム基盤)全体を管理するインフラエンジニアとしての活躍が求められることが多くなりました。

さらに、日々起こっているセキュリティ犯罪などに対応するため、ネットワークのセキュリティ対策も不可欠なものとなっています。ネットワークセキュリティの専門家としての役割も、求められることが多くなっています。

・ネットワークスペシャリスト試験の対象者
ネットワークスペシャリスト試験で対 象とする技術者には、次の2つのタイプがあります。

①ネットワーク設計を行う技術者
インフラ構築の中心となるネットワーク設計を主に行う技術者です。組織全体の状況を考慮して最適なネットワークを企画し,それを実現できるようにネットワーク設計を行います。

②ネットワーク管理を行う技術者
ネットワークの機器設定や運用管理,ネットワークに障害が起こったときのトラブルシューティングなどを行う技術者です。主な業務は日々の運用であり、実際にルータやスイッチなどの機器を設定し,構築および運用作業を行います。

ネットワークスペシャリストという言葉からは、②の機器を設定する技術者がイメージされやすいのですが,実際のネットワークスペシャリスト試験は、①の設計を行う技術者についての問題が中心です。会社全体のネットワークについて、その設計段階から関わる、上位レベルのエンジニアが想定されています。

・ネットワークスペシャリスト試験のメリット
ネットワークスペシャリスト試験は30年以上の歴史がある国家試験で,情報処理技術試験の中でも知名度が高い試験です。また、インターネットの進歩に伴い,どんどん内容が変わっており,時流に合わせた内容が出題されています。そのため、ネットワー クスペシャリスト試験に合格すると,次のようなメリットがあります。

①企業からの高い評価
ネットワークスペシャリスト試験の合格を社員に奨励する企業が数多くあります。実際に,合格者に一時金や資格手当などを支給する報奨金制度を設ける企業や,採用の際に試験合格を考慮する企業などは多くあります。会社によって金額や優遇の度合いは違いますが,優遇する企業は実際に多く,いろいろな企業で資格取得を奨励しています。

②国家試験による優遇
ネットワークスペシャリスト試験の合格者には、「国家試験」による科目免除などの優 遇があります。有名なところでは,弁理士の試験で,科目の一部免除 (理工V(情報))が 行われます。その他,サイバー犯罪捜査官や公務員試験,教員採用試験などで,受験の 条件や科目免除などとして設定されています。

情報処理技術者は公的な資格なので、国や自治体関連の仕事に就く場合には有利になることが多いです。公務員を目指す人は取得しておくと役立つ資格といえます。

③自己のスキルアップ,能力レベルの確認
ネットワークスペシャリスト試験の内容は,現実の会社の事例をもとに作成されています。そのため、単なる知識だけでなく、試験勉強を通じて実践的な内容を学習することが可能です。

特に、過去問題の演習を行うことで、実際のネットワーク技術の活用方法を知り、実務に役立てることが可能です。試験合格をゴールに学習することで、漠然とした学習よりも、モチベーションが上がりやすくなります。しっかり勉強して合格することで、IT人材としての基本的な知識や技能を身に付けることができますので、ぜひ一緒に学習していきましょう。

それでは、ネットワークスペシャリスト試験のデータを分析した結果から,どのような出題傾向があり、何を学習すればいいのかをみていきましょう。

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

ネットワークスペシャリスト試験の傾向と対策

ネットワークスペシャリスト試験の傾向は、ここ数年で大きく変化してきています。単に昔の定番内容をマスターするのではなく,これからの時代を見据えて、新しいことを学習していくことも大切です。

なお,本項では試験の出題傾向の分析に, わくわくスタディワールドで開発し、現在データの学習を進めているAI(人工知能),わく☆すたAIを活用しています。

・ネットワークスペシャリスト試験の傾向
ネットワークスペシャリスト試験は午前I試験,午前Ⅱ試験,午後I試験,午後Ⅱ試験の4区分に分かれていて,それぞれ異なる方法で異なる力が試されます。まとめると、以下のようになります。

ネットワークスペシャリスト試験の構成

試験時間 出題形式 出題数・解答数 合格ライン
午前Ⅰ 9:30~10:20(50分) 多肢選択式(四肢択一) 30問・30問 60点/100点満点(18問正解)
午前Ⅱ 10:50~11:30(40分) 多肢選択式(四肢択一) 25問・25問 60点/100点満点(15問正解)
午後Ⅰ 12:30~14:00(90分) 記述式 3問・2問 60点/100点満点
午後Ⅱ 14:30~16:30(120分) 記述式 2問・1問 60点/100点満点

 

過去5回の各試験時間での突破率と全体の合格率は,次のとおりです。

各試験時間の突破率と合格率

試験時間 平成27年秋 平成28年秋 平成29年秋 平成30年秋 令和元年秋
午前Ⅰ 57.5% 54.8% 54.4% 58.2% 56.9%
午前Ⅱ 68.0% 71.7% 70.1% 78.5% 80.9%
午後Ⅰ 49.7% 50.7% 51.4% 55.2% 45.8%
午後Ⅱ 53.5% 53.5% 48.2% 45.3% 49.2%
全体(合格率) 14.6% 15.4% 13.6% 15.4% 14.4%

※情報処理技術者試験センター公表の統計情報を基に算出

全体的に、午前Ⅱの突破率は7~8割程度と高めです。午後はそれぞれ5割前後の突破率となります。全体としての合格率は13~16%程度となっています。午前Ⅰを免除されている受験者は半数以上(令和元年秋では59.6%)ですが、午前Ⅰから受験する場合, 近年の突破率は5割台であり、決して低いとはいえないハードルとなっています。

それでは,わく☆すた AIを用いて分析した結果を基に,それぞれの区分での出題傾向を見ていきましょう。

■午前I試験
午前I試験は,ネットワークスペシャリスト試験だけでなく,その他の試験(情報処理安全確保支援士,システムアーキテクトITストラテジスト, ITサービスマネージャ)と共通の,IT全般について選択式で問われる試験です。

応用情報技術者試験の80問から 抽出された30問で構成されており,全分野から出題されます。また,一度いずれかの試験の午前I試験で60点以上を獲得する,または応用情報技術者試験に合格すると,その後2年間は午前I試験が免除されます。
出題される各分野は,次のとおりです。

午前I試験の出題分野

分類 分野
class1 基礎理論(2進数、アルゴリズムなど)
class2 技術要素(ハードウェア、ソフトウェアなど)
class3_notsec 技術要素のセキュリティ分野以外(ネットワーク、データベースなど)
class3_sec 技術要素のセキュリティ分野
class4 開発技術(システム開発など)
class5 プロジェクトマネジメント
class6 サービスマネジメント(運用管理、監査など)
class7 システム戦略(情報システム戦略、企画など)
class8 経営戦略
class9 企業と法務(会計、法律など)

 

分野ごとの出題数は,次のように推移しています。

午前I分野の出題傾向(平成21年春~令和元年秋)
図で示したとおり、どの年度でも分野ごとでは同じくらいの割合で出題されており、前半の3分野 (Class1 ~ class3) からの出題が多い傾向があります。詳細な出題数は次ページのとおりです。

午前I試験の分野別出題数(平成21年春~令和元年秋)

特筆すべきは“セキュリティ”分野です。この分析では、セキュリティだけ,同じ技術要素分野として分類されるネットワークやデータベースから独立して集計していますが, その理由は、セキュリティ分野だけ出題数が多いという傾向があるからです。セキュリティ重視の方針を試験センターが公表した平成25年度以降は、毎回3~4題は出題される分野ですので、しっかり対策をしておくことが望まれます。

■午前Ⅱ試験
午前Ⅱ試験は,ネットワークスペシャリスト試験に関連する河野の知識が問われネットワーク分野が中心ですが、セキュリティ,コンピュータシステム,及び開発技術の各分野からも出題されます。
出題される各分野は,次のようになります。

午前Ⅱ試験の出題分野

分類 分野
nw1 ネットワーク方式
nw2 データ通信と制御
nw3 通信プロトコル
nw4 ネットワーク管理
nw5 ネットワーク応用
sec セキュリティ
sys コンピュータシステム(構成要素など)
dev 開発技術(システム開発など)

分野ごとの出題数は、次のように推移しています。

午前Ⅱ試験の分野別出題傾向(平成21年秋〜令和元年秋)

午前Ⅱは、年度によって出題数がかなり異なっています。全25問中,ネットワーク分野全体の出題数は14 ~ 17問,セキュリティが4~6問,残りの3~4問がコンピュータシステム及び開発技術です。ネットワーク分野の中で年度を通じて特に出題数が多いの は通信プロトコルで, IPやTCPなど,定番のプロトコルについての出題が中心です。その他の分野としては、セキュリティ分野の出題が増えており,現在はだいたい5問程度 が出題されています。詳細な出題数は以下のとおりです。

午前Ⅱ試験の分野別出題数(平成21年秋~令和元年秋)

年度によってばらつきがあり,基本的にネットワークやセキュリティに関する各分野 が出題され、「ここさえやっておけばいい」という内容は存在しません。過去問題の再出題も多いため、過去問をひととおり学習しておくことが最も安全な対策となります。

■午後I試験
午後Iでは、記述式の問題が3問出題され,そのうち2問を選択して解答します。午後で出題される内容は、大きく分けて次の五つ(4分野+その他) となります。

午後I試験の出題内容

分類 分野 頻出内容
low_layer ネットワーク下位層 物理層〜トランスポート層、MACアドレス、IPアドレスなど
high_layer ネットワーク上位層 セション層〜アプリケーション層、HTTP、SMTPなど
security セキュリティ 暗号化、認証、アクセス制御、FWなど
virtual 仮想化 仮装ネットワーク、OpenFlow、SDN、VDIなど
other その他 負荷分散、設計など

 

それぞれの分野が単独で出題されることもありますし、同じ問題でまとめて出題されることもあります。過去10年の問題を設問ごとに集計して,それぞれのテーマでの出覇 割合をまとめると、次のようになります。

午後I試験の分野別出題割合(平成20年~令和元年)

午後I試験の分野別出題数(平成20年~令和元年)

全体的な傾向としては、10年前には、ネットワークの各レイヤ (階層)のプロトコルに関する出題がほとんどでしたが、近年になって、セキュリティや仮想化など,ネットワークの応用技術に関する出題が増えてきています。

しかし、「仮想化」「セキュリティ」などと単独で出題されるわけではなく,それぞれの階層のプロトコルと組み合わせた応用問題となっています。

具体例として、Webのセキュリティ問題があります。ネットワークスペシャリスト試験の問題では、HTTPに関する詳細が定番で出題されます。それを前提として問われ, さらにセキュリティ問題として, SSL/TLSを組み合わせたHTTPSについて問われる,といったかたちで出題されます。仮想化の例でも,まず,イーサネットやスイッチに関する内容が問われ、それを仮想化したネットワークについて問われるというかたちになっています。

つまり、ネットワークスペシャリスト試験の問題を解くためには,基本技術としてそれぞれの階層 (OSI基本参照モデルの物理層~アプリケーション層, TCP/IPプロトコル群ではネットワークインタフェース層~アプリケーション層)についての知識が必須です。その上でセキュリティや仮想化などの応用技術を知ることで、合格するだけの実力を身につけることができます。

なお、分析の基となった問題内容は、次のとおりです。

午後I試験の出題テーマと設問数(平成20年~令和元年)

■午後Ⅱ試験
午後Ⅱでは、記述式の問題が2問出題され,そのうち1問を選択して解答します。

午後Ⅱのテーマは事例解析といわれ,組織の中でのネットワーク設計や運用について出題されます。午後Iよりは問題の量が多く、内容が複雑ですが,出題される分野は同じです。

午後Iと同様,設問ごとに集計して,それぞれのテーマでの出題割合をまとめると, 次のようになります。

午後Ⅱ試験の分野別出題割合(平成20年~令和元年)

午後Ⅱ試験の分野別出題数(平成20年~令和元年)

全体的な傾向としては、テーマがセキュリティや仮想化などの応用技術であっても, 具体的なプロトコルやパケットの動きなど,ネットワーク下位層や上位層の内容を問われる設問が多くあります。例えば,無線LANのセキュリティについて問われるときには, まず無線LANの規格 IEEE 802.11に関する内容が問われ,その上で暗号化などのセキュリティについて問われます。

仮想化も同様に,仮想化のプロトコルの知識は問題文に書かれていることが多く、問われるのは主にネットワーク下位層(データリンク層やネットワーク層など)のパケットの動きです。そのため、午後Ⅰと同様,基本をしっかり固めておく必要があります。

また、問題文が長く,設問が多いため、時間内に解くにはかなりの読解力が必要です。応用的な知識は問題文に書いてあることが多いのですが,それを読みこなして時間内に解くためには、ある程度の知識を身に付けておくことが大切です。

なお,分析の基となった問題内容は、次のとおりです。

午後Ⅱ試験の出題テーマと設問数(平成20年~令和元年)

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

ネットワークスペシャリスト試験に向けての学習ステップ

以上の傾向を踏まえ,また,過去の合格者の学習方法なども合わせて考えると、ネットワークスペシャリスト試験合格に向けた学習ステップは次の四つになります。

ステップ1. IT全般についてひととおりの知識を身に付ける
ステップ2. ネットワークの基本的な知識を身に付ける
ステップ3. ネットワーク, セキュリティ,仮想化などがイメージできるようになる
ステップ4. 試験問題の事例に合わせて、問題が“解ける”ようになる

現在のネットワーク技術は、インターネットの中核技術であるTCP/IPプロトコル群が基本となり、セキュリティや仮想化などの応用技術が積み重なっています。そのため、現在に通用するネットワークについてのスキルを身に付けるためには,特に次の四つのことが大切です。

・パケットの動きをイメージできるようになること
・OSI基本参照モデルを使いこなせるようになること
・暗号化,認証, アクセス制御などのセキュリティ技術を身に付けること
・仮想化されたパケットをイメージできるようになること

これらのスキルは,“知ってる”ことと“使いこなせる”ことに大きな差があります。単に知っているだけ、理論が分かっているだけでは役に立たないのです。そのため、ひととおり知識を身に付けた後に実践してみることが大切になります。では、それぞれのステップでの学習方法を見ていきましょう。

ステップ1. IT全般についてひととおりの知識を身に付ける
試験では午前Ⅰに対応しますが、ネットワークの学習をするためには、ネットワークを構築するためのハードウェアやソフトウェア, コンピュータサイエンス,データベースなど,IT全般の幅広い基礎知識が必要です。すでに応用情報技術者試験に合格しているレベルであれば問題ありませんが,そうでない場合には,一度,応用情報技術者試験の学習を行ってみることをおすすめします。

姉妹書『徹底攻略 応用情報技術者教科書』で学習されると万全です。一見まわり道に見えますが、基礎が分かっていると応用的な学習が進みます。試験に合格する必要は特 にありませんし、午前1問題がひととおり解けるようになれば十分です。

ステップ2. ネットワークの基本的な知識を身に付ける
試験では午前Ⅱに対応しますが、ネットワーク全般についてひととおりのことは知っておく必要があります。このとき、「パケットの構造」や「プロトコルの仕組み」についてしっかり学習しておくと応用が効くようになり,試験だけでなく業務やスキルアップに も役立ちます。本書では1章から5章で定番の基本的な内容を取り扱っていますので, 読み進めてみてください。ひととおり読んで本文中や巻末の午前演習問題を解けば,全体的に学習することができます。

テキストだけの学習ではあまり身に付いたという実感がない場合は,いろいろ実践してみるのがおすすめです。具体的には、ネットワークを実際に流れているパケットを観 察するパケット解析がおすすめです。コラム「パケット解析のすすめ」(P.45) にその方法を記載していますので参考にしてみてください。

ステップ3. ネットワーク、セキュリティ,仮想化などがイメージできるようになる
試験では主に午後Ⅰに対応しますが、ネットワークの基本技術や応用技術は,単に覚えただけでは意味がありません。過去問演習を兼ねて、実際に問題を解きながらネットワークの動きや、セキュリティ,仮想化などをイメージしてみることが大切です。本書では、6~9章で応用的な内容を取り扱っていますが、午後問題の演習も合わせて行う ことで、効果的に学習することができます。

演習量の目安としては,午後」の過去問を3~5回分 (9~15問)解けば十分です。本 書には、ダウンロード特典の付録も含め、過去8回分の解説が付属していますので,で 活用ください。

ステップ4. 試験問題の事例に合わせて、問題が”解ける”ようになる
試験では主に午後Ⅱに対応しますが、試験問題の長文を読みこなしてそれぞれの企業のネットワークの特徴をつかみ、それをもとにネットワーク設計や運用を行うには、かなりの練習が必要です。実務経験を積むのがベストなのですが、試験問題の演習をしっかり行うことでも対応できます。午後Ⅱ問題は分量が多く,1問解くだけでも大変ですが,一つ一つ丁寧に解いていくことによって、必要な実力を身に付けることができます。

演習量の目安としては、午後Ⅱの過去問を3~5回分(6~10問) 解けば十分です。本書には、ダウンロード特典の付録も含め、過去8回分の解説が付属していますので,ご活用ください。

株式会社わくわくスタディワールド 瀬戸美月 (著)
出版社: インプレス (2020/3/19)、出典:出版社HP

ネスペR1 - 本物のネットワークスペシャリストになるための最も詳しい過去問解説

はじめに

本書は、ネットワークスペシャリストを目指す皆さんが、試験に合格されることを願って書いた本です。

これまでのこの「ネスペ」シリーズは「剣」「道」「魂」「知」などの漢字一文字をテーマとしてタイトルに入れていました。新しい「令和」の時代になり、今年は東京オリンピックも開催されます(楽しみです!)。

ネットワークの技術では、今までの100倍の速度も可能ともいわれる5Gサービスも始まります。5GのGはgeneration(世代)です。2020年、まさに新しい時代がはじまるかのような新鮮さもあります。そういう新しい時代に合わせ、(若干ではありますが)タイトルも付け直そうと考えました。

編集者と相談し今回『ネスペRI」としました。また、サブタイトルには「本物のネットワークスペシャリストになるための」と付けました。それは、本書は、「最も詳しい」過去問解説であるだけでなく、「本物のネットワークスペシャリスト」になってもらうことを意識して書いた本だからです。

資格だけ持っていて、業務がまったくできないネットワークスペシャリストでは意味がありません。プロ中のプロ、「さすがネットワークスペシャリストは違うなあ」「彼(彼女)は本物だ!」といわれるような知識・経験を身に付けられるような本を目指しました。

この「ネスペ」シリーズは毎年のことですが、わずか1年分の、しかも午後解説しか記載していません。ですが、単に正解を解説しているだけでなく、実務での実情や、実際の設定も紹介しています。また、各技術の裏側にある本質的なところも、なるべく丁寧に解説しました。

これまで書籍やセミナーでも何度もお伝えしていますが、ネットワークスペシャリストに合格するための勉強方法は、基礎を学習し過去問を解くことです。この二つの勉強を、愚直に、真剣に取り組んだ方が合格しているのです。

基礎の学習に関しては、拙書の『ネスペ教科書改訂第2版』(星雲社)や『ネスの基礎力』、そして過去問解説は本書を含む「ネスペ」シリーズを活用し、ぜひとも合格を勝ち取っていただきたいと思います。

皆さまがネットワークスペシャリスト試験に合格されることを、心からお祈り申し上げます。

2020年2月 左門至峰

左門 至峰 (著), 平田 賀一 (著)
技術評論社 (2020/3/27)、出典:出版社HP

もくじ

第1章 本書の使い方/過去問を解くための基礎知識
1.1本書の使い方と合格体験記
1.2ARPおよびARPスプーフィングについて
1.3DNSについて

第2章 過去問解説 令和元年度 午後1
2.1令和元年度 午後Ⅰ 問1
ネットワークSE Column1
スマホを見る時間があったら手帳を見よう

2.2令和元年度 午後I 問2
ネットワークSE Column2
青春

2.3令和元年度 午後Ⅰ 問3
ネットワークSE Column3
やりたいことって何?

第3章 過去問解説 令和元年度 午後Ⅱ
3.1令和元年度 午後Ⅱ 問1
ネットワークSE Column4
自分が誰かを知る

3.2令和元年度 午後Ⅱ 問2
ネットワークSE Column5
本気でとりくむ楽しさ

第4章 基礎知識を確認!
一問一答300問にチャレンジ

左門 至峰 (著), 平田 賀一 (著)
技術評論社 (2020/3/27)、出典:出版社HP

2020 ネットワークスペシャリスト 「専門知識+午後問題」の重点対策 (重点対策シリーズ)

まえがき

2009年(平成21年)から実施されたネットワークスペシャリスト試験は、情報処理技術者試験の中でも、古い歴史をもつ試験の一つです。

情報処理技術者試験は、1969年(昭和44年)から1種、2種という二つの試験区分から開始されました。その後、特種、システム監査が追加され、1988年(昭和63年)にはオンライン情報処理技術者試験が加えられました。ネットワークスペシャリスト試験は、オンライン試験の流れを受け継ぐ試験です。

オンライン試験の時代には、出題の中心は待ち行列問題などでした。この試験は、1993年(平成5年)まで実施され、その6年間における累計の応募者数は228,255名、受験者数は116,205名、合格者数は5,648名、合格率は4.9%にすぎませんでした。1993年に試験制度が改正され、1994年(平成6年)からオンライン試験は、ネットワークスペシャリスト試験として実施されることになりました。

オンライン試験では計算問題が大半でしたが、ネットワークスペシャリスト試験では記述式の問題が多くなり、出題内容も、WAN技術から、LANやTCP/IPなどの技術へと変化してきました。

その後、試験制度の改正に伴い、ネットワークスペシャリスト試験は、2001年(平成13年)からテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験に名称を変更して実施されることになりました。

なお、1994年から2000年までの7年間における累計の応募者数は335、211名、受験者数は180、034名、合格者数は11、068名、合格率は6.1%でした。このネットワークスペシャリスト試験でも、オンライン試験と同様に、合格することは極めて難しい試験であったといえます。

テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験は、2001年(平成13年)から2008年(平成20年)までの8年間にわたって実施されました。その間の累計の応募者数は325,206名受験者数は191,094名、合格者数は16,960名、合格率は8.9%です。テクニカルエンジニア(ネットワーク)試験は、2005年以降、合格率が11~12%台で推移するようになりましたが、8年間を平均すると、相変わらず難しい試験であったといわざるを得ません。

2009年(平成21年)に第1回の試験が行われたネットワークスペシャリスト試験は、従来のテクニカルエンジニア(ネットワーク)試験の延長線上にある試験です。そこで、本書では、過去の試験で出題された問題を分類し、頻出の技術テーマごとに体系化しました。

そして、その技術に対応する演習問題を解いて理解度を深めていくような構成にしたので、試験対策として有効に活用できると思います。本書をうまく利用して学習に励まれ、合格という栄冠を手に入れられることを心からお祈りしています。

長谷和幸

目次

まえがき

第1部 ネットワークスペシャリスト試験の出題ポイント
・第1章 出題傾向分析
・第2章 学習方法
・第3章 本書の使い方

第2部 午前II(専門知識)試験の対策ポイント

第3部 午後問題の重点対策
・第1章 午後試験に対する取組み方
1.1試験問題への対応方法
1.2答案の作成方法
1.3答案作成の具体例
1.4午後II試験問題の解き方

・第2章 LANの方式
2.1伝送媒体とアクセス制御方式
2.2無線LAN(IEEE802.11)
2.3ADSLとFTTH
2.4PPPPPPoE

・第3章 IPとTCP/UDP
3.1IPアドレスとルーティングテーブル
3.2アドレス変換
3.3IPマルチキャスト
3.4DHCP
3.5VRRP
3.6IPv6
3.7TCPとUDP

・第4章 DNSの仕組み

・第5章 電子メールの仕組み

・第6章 アプリケーションプロトコル
6.1HTTPとクッキー情報
6.2FTP
6.3SNMP.
6.4NTP

・第7章 VoIP

・第8章 ネットワーク機器
8.1ブリッジとルータ
8.2ルーティングプロトコル
8.3LANスイッチ
8.4NASとSAN
8.5IP-VPNと広域イーサネット

・第9章 ネットワークセキュリティ
9.1暗号化技術
9.2認証技術
9.3ファイアウォールとIDS
9.4IPsec.
9.5SSL/TLS
9.6その他のセキュリティプロトコル

・第10章 ネットワークの設計・運用
10.1ネットワークの設計構築
10.2ネットワークの運用管理

索引

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