和ハーブ検定試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




和ハーブ検定の概要

和ハーブ検定は、日本のハーブ(有用植物)に関する知識を系統的・段階的に学べる検定です。学習を通じて、取得した知識や資格を日常生活や職場などで生かしていくことができます。試験は選択・記述式で、公式テキスト「和ハーブ にほんのたからもの」から出題されます。誰でも受験することが可能で、合格後、和ハーブインストラクターなどの上位資格の取得も可能になります。

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和ハーブ検定試験の公式テキスト

公式テキストは公式ホームページから購入することができます。
和ハーブStyle

和ハーブ検定のおすすめテキスト

1.「和ハーブ にほんのたからもの」(一般社団法人和ハーブ協会)

古谷暢基 (著), 平川美鶴 (著), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集)
出版社: コスモの本 (2017/6/30)、出典:出版社HP

この本は、公式テキストで、歴史・文化・成分・食・活用など、和ハーブに関する様々な情報をまとめています。検定テキストとしてだけでなく、 和ハーブの世界を楽しめる必携の書です。

2.「和ハーブ図鑑」(一般社団法人和ハーブ協会)

古谷 暢基 (著), 平川 美鶴 (著), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集)
出版社: 和ハーブ協会; 第一版 (2017/8/26)、出典:出版社HP

本書は、130種を超える野生および栽培の和ハーブを、日本人の有用性の歴史との関連で詳述し、さらに野外観察ブックとしての機能も備えた、これまでにない植物バイブルです。

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目次 – 和ハーブ図鑑

序章 和ハーブと日本人の暮らし

食 人の身体は植物からできている

『食』は人間の生命を支える根源であり、栄養素(有機化合物)のほぼ全ては植物が生産する。本書での掲載は、主に野生種の和ハーブ、栽培種では食用以外に有用性が多いものに絞っている。

《1》「トチノキ」稲作の収穫が不安定な山村の貴重なでんぷん源であった。
《2》「ナギナタコウジュ」アイヌ民族にとって、”生活茶”であると同時に、二日酔いの特薬としても使われた。

薬 健やかさを支える植物たち

『薬』は人が生きていれば遭遇する病や怪我を癒やす自然の恵みである。本書での掲載は「和薬」といわれる日本野生原種の民間薬素材に絞り、他の薬用植物本に見られるような漢方処方に使われる中国由来種は掲載していない。

《1》「ゲンノショウコ」日本人がもっとも使ってきた民間薬。軒先に干される光景は江戸の風物詩だった。
《2》「タチバナ」絶滅寸前の日本唯一の野生柑橘は、初めて記録された最古の薬でもある。

色 匂い立つ生命の彩をいただく

『色』はそれぞれ意味を持ち、信号となる。また、人の心を癒してきた。本書での掲載は、日本の伝統色である”和色”の原料植物。石油化学が無いころに、人々は植物から抽出した色素を伝統的に染材として利用してきた。

《1》「アカネ」その根に持つ朱色の色素。生命力溢れる太陽の色、そして日本の色の原点。
《2》「クサギ」秋に実る宝石のような青い果実と赤いガクから、二種の和色を抽出する。

浴 日本の宝の習慣”香温浴”

『浴』すなわち風呂は心身を清め整える、日本人だけの宝の習慣。本書での掲載は、伝統的な入浴剤、また日本の風呂の原型である熱気風呂・蒸気風呂の燃料や蒸し材とする(石鹸や桶など入浴道具は「材」カテゴリー)。

《1》「セキショウ」素晴らしい香りと薬効を持つ、日本のお風呂ハーブ」のルー
ツである。
《2》「リュウノウギク」「重陽の節供』で使われた。花だけでなく茎葉も香り高い野菊の代表。

繊 紡ぎ綾なす草木の縁

『繊』は日本人の生活の根幹を成す材であり、元来は植物から作られた自然の素材であった。本書での掲載はいわゆる繊維素材のうち、布素材に使われる糸、紙の繊維、紐などの原料植物。葉、茎、樹皮などから抽出される。

《1》「ヒメコウゾ」大陸から伝わった紙の技術を、世界が絶賛する日本が誇る伝統に育て上げた。
《2》「クズ」蔓からとれる繊維は丈夫で美しく、その繁殖力から庶民の素材としても重宝された。

粧 魅力を引き立て隠す術

『粧』は人の心を高揚させ、その状態を相手に伝え、あるいは覆い隠す。本書での掲載は口紅、化粧水、白粉、お歯黒、整髪剤などに使われた原料植物。(洗顔・洗髪などが目的のものは「材」カテゴリー)。

《1》「ベニバナ」抽出される『紅』は日本女性の美の象徴。しかし花を採取する女性の指は鋭い棘で、血の紅、に染まったという。
《2》「ヌルデ」の虫こぶからとれる五倍子は、既婚女性のサインであるお歯黒の高級素材であった。

礼 神を導き仏を癒し邪を払う

『礼』は生活の節目節目に豊かな生活を神仏に祈り、感謝する習慣だ。本書での掲載は、神事や仏教に関連が深いもの、日本古来のアミニズム的なものなど、祭事・生活儀礼に関連する有用植物。

《1》「シキミ」心地良い香りを持つが全草に毒を含み、葬儀や墓前に魔除けと死臭消しを兼ねて有用された。
《2》「アサ」油、繊維、薬など有用性が高く、含まれる麻薬成分は宗教の儀式に使われたという。

環 場を”調える”植物たちのちから

『環』植物はそこにいるだけで、人の住む環境を整えくれる機能を持つ。本書での掲載は、広い意味での環境保持の役割をもつもので、防風・防火・砂防・防雪、また街路樹や公園樹、観葉・鑑賞植物など。

《1》「センダン」生長が早く街路樹や公園樹に使われる。同時に防虫・殺菌作用を自然農薬として、また便所や棺の材に有用された。
《2》「ヤブツバキ」椿油が有名だが、海岸性の常緑樹として防風林・防潮林・砂防林としても重宝される。

材 暮らしの基本は草木が造る

『材』森林が大部分を占める日本では、生活材の大部分を植物に頼ってきた。本書での掲載は、生活用途剤、家具、食器、容器、石鹸、洗剤、塗料、防腐、防虫殺菌、玩具、その他生活用具など。

《1》「イネ」果実(米)を収穫後、薫は屋根や草履、糠は石鹸、籾殻はクッション材と、あらゆる生活用品の材としてフル活用した。
《2》「エゴノキ」妖精のような花が果実になればサポニンを多く含み、洗剤や魚の毒漁に使われた。

毒 “毒と薬は紙一重”は先人の知恵

『毒』毒と薬はその作用機序では共通し、また毒矢など毒性そのものを活かした活用法もある。本書での掲載は、有用性が低い種はフィールド観察の参考のため、有毒植物の小章を設けて掲載した。

《1》「トリカブト」最強の有毒植物は、薬・狩猟用の矢毒・観賞用など有用性が高い和ハーブといえる。
《2》「ドクウツギ」食欲をそそる見栄えと甘い味の果実は多くの子供を殺した。『ドクウツギ狩り」が行われ、今は見ることが難しい。

古谷 暢基 (著), 平川 美鶴 (著), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集)
出版社: 和ハーブ協会; 第一版 (2017/8/26)、出典:出版社HP

本書の特徴と使い方

本書は、日本人が言いより長年に渡って石川してきた植物「和ハーブ」のガイドブックです。

掲化されている植物については、

1生育環境
2観察・見分けのポイント
3有用性
4機能性(栄養成分)
5人との関わりにおける歴史
6植物としての生態の特徴

などに観点を置き、写真および解説を構成しています。

さらに分類や形態、および有用性はアイコン化し、わかりやすくしています。単なる植物観察のガイドブックとしてだけでなく、その植物がどのように人と関わり、有用されてきたかを紹介しているのが本書の主旨であり、他の図鑑などとはもっとも違った特徴でもあります。

1名前
植物の特徴を表すキャッチフレーズ、および和名(漢字表記)

2写真およびキャプション
生態特徴の見分けがしやすいよう、葉や花等の各部位を紹介、ならびに実際の有用法等

3活用分類マーク
本書で定めた生活分野別に有用性を分類
【食】…飲食(食、茶、酒)
【薬】…医療、漢方薬、民間薬
【色】…染色
【浴】…浴剤
【繊】…繊維(糸、布、紙、紐等)
【粧】…化粧、整髪等
【礼】…神事、仏事、祭事、儀礼
【環】…保安林(防風林、防火林、砂防林、防雪林等)、街路樹、公園樹
【材】…上記以外の用途材(家具、食器、容器、石鹸、洗剤、塗料、防腐、防虫殺菌、玩具等)
【毒】…有毒植物

4基本データ
学名/主に米田浩司・邑田仁『日本維管束植物目録』に準拠
別名/和名以外の呼称、方言名等
分類/科名および属名。原則としてAPG分類体系に準拠
分布/日本国内で自生が確認できている地域(「日本全国」の表記は北海道、本州、四国、九州、沖縄(含む南西諸島)全域に至る。栽培種は野生化しているものを含め、「栽培」と表記
樹高(木本類のみ)/低木、小高木、高木(高さ区分の詳細は第1章を参照)

5植物の形態検索マーク
見分けの指標(区分の詳細は第1章を参照)

草本類
□一年草あるいは多年草
□開花期時期の目安は
早春(1~2月)、春(3~4月)、初夏(5~6月)、夏(7~8月)、秋(9~10月)、冬(11~12月)
花色:白、黄、緑、青、紫、桃、橙、茶

木本類
□広葉樹あるいは針葉樹
□分裂葉、あるいは不分裂葉
羽状複葉あるいは掌状複葉(広葉樹)
針状葉あるいは鱗状葉(針葉樹)
□互生あるいは対生(広葉樹)
束状あるいは、羽状(針状葉)
□全縁あるいは鋸歯縁
□常緑樹あるいは落葉樹

6プロフィール本文
名前の由来、原産地、見分けのポイント、機能性、民俗文化等を説明

古谷 暢基 (著), 平川 美鶴 (著), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集)
出版社: 和ハーブ協会; 第一版 (2017/8/26)、出典:出版社HP

目次

序章 和ハーブと日本人の暮らし
本書の特徴と使い方
目次
はじめに

第1章 和ハーブの概念と植物の基礎知識

和ハーブの定義/草本植物・木本植物/和ハーブの生育環境/植物形態の名称/植物分類の基礎知識/和ハーブを採取する

第2章 和ハーブプロフィール

草本植物/木本植物/有毒植物

付録協会概要
おわりに
索引

はじめに

私の本懐は世の健康・医療情報や文化をわかりやすく世間にお伝えし、活用していただくことにある。2008年に日本の薬草文化の掘り起こし事業を依頼された時、地球上の有機物のほぼ全てを生産している植物の奥深さ、そしてそれにあまりに無知な都会育ちの自分に、愕然とした。そこから猛勉強が始まり、ヨモギも見分けられなかった植物音痴が、今は有用植物の調査を行政に依頼されるまでになった。

その成長の過程のなかで、ある自然ガイドの方から、「和ハーブ(有用植物)」という視点に絞った植物観察教室の依頼をされた。その頃は未熟者ではあったが、これも自分の研鑽になるとお引き受けした。そして当日は得意である植物の有用性を中心に案内した。

するとプロ中のプロである依頼主の方から、「いつもは植物生態や形態などに説明が偏り、一部の参加者には響かないことが悩みだったが、植物と人の関わりを話すとこんなに惹きつけられることに感動した!」という感想をいただけたのである。胸を撫で下ろすと同時に、当協会のフィールド観察における方向性が改めて明確に見えた気がした。

別書『和ハーブにほんのたからもの』でも述べさせていただいているように、私たちは足元に生える植物、すなわち和ハーブによってその命と生活を繋いできたといえる。

『日本の自然に昔から生える植物のほとんどが、私たちの祖先によって有用されていたものであること』…それは野山に限らず、市街地に生える雑草や街路樹においても実感できる。もし読者の皆様にもそれらが見え、理解できるようになれば、楽しく、そして世界が変わることは間違いないのだ。

本書では私や協会メンバーが8年に渡って全国各地を飛び回り、自分たちの目と耳で得た実践的な情報と観点を織り交ぜた、価値ある書になっていると自負する。

なお「和ハーブ」の定義には野菜や果物も入るが、食用に特化した栽培種は今後発刊予定の別書にまとめる。本書では野生種、あるいは栽培種では有用性が多岐に渡るものを中心に採用した。また有用性のストーリーに重点を置いたが、野外観察における植物の見分け機能もできる限り入れており、上手く活用いただきたい。

2017年7月1日 一般社団法人和ハーブ協会理事長 古谷暢基

古谷 暢基 (著), 平川 美鶴 (著), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集)
出版社: 和ハーブ協会; 第一版 (2017/8/26)、出典:出版社HP

目次 – あなたの日本がもっと素敵になる。8つの和ハーブ物語〜忘れられた日本の宝物〜

人は植物によって生かされている
そして人類の長い歴史の大部分は
生まれ育った土地の植物が
人のいのちを支えてきた

遺伝子に受け継がれた記憶
その土地の風土、環境で育ったものが
私たちの心身にもっともなじむはず

和ハーブとは
日本を故郷にしてきた植物たち
古くからこの風土に育ち
日本人と共に生きてきた植物のこと

日本人の健やかさ美しさ
そして感性の源となり
私たちを光り輝かせてくれる

香 KAORI

ヨモギ
沖縄のフーチバー(ヨモギ)そば
オオヨモギ葉裏の白い毛が伊吹艾(もぐさ)の原料になる
ヨモギの香りはアイヌにとって神聖なもの。葉を揉んで身体に塗り、
茎を儀式の矢に使用した(川村カ子トアイヌ記念館 提供)

廣瀬大社(奈良県)「右近の橘 左近の桜」
タチバナ(12月撮影)
タチバナ・ブレスレット
タチバナのパスタ
タチバナの花は上品な香り

1つめの物語:香
都の恋人たちのアロマテラピー、アイヌ人のデオドラント

酒 SAKE

カヤ
ヤマブドウ
アケビ
ヤマブドウで作られる和の赤ワイン

サルナシ
ガマズミ
ヤマグワ
ハマナス
フッキソウ

2つめの物語:酒
神の山に生まれた“和の赤ワイン”

浴 YOKU

光明皇后大悲願図(法華寺門跡 提供)
からふろ(法華寺)外観
からふろ(法華寺)内観
水辺に生えるセキショウ

石けんとしても使われたサイカチの実
セキショウの花
端午の節供には「勝負・尚武」にあやかりショウブ湯に浸かる
ユズやヒノキで和ハーブお風呂を楽しむ
ムクロジの実も石けん素材になる

3つめの物語:浴
平城京を救った和のハーバル・サウナ

紙 KAMI

黄金色に輝くアサ繊維
アサ繊維を被って紐作り
アサは3カ月で収穫可能
アサの茎から繊維をつくる

コウゾ(5月撮影)
コウゾの樹皮を剥いだもの
採取したコウゾを蒸す
厚みをみながら紙を漉く
伝統の手漉き和紙は和の職人たちの手仕事

4つめの物語:紙
江戸職人の心が繋いだ世界文化遺産への道

茶 CHA

チャノキ
チャノキの花もよい香り
チャノキオイル
ナギナタコウジュ

伊吹山の畑での伝統的な薬草茶スタイル
和ハーブティーをゆっくり味わうひととき
アイヌお父さんのナギナタコウジュティー
在来種のヤマチャ畑は山の斜面に不規則に並ぶ(伊吹山)

5つめの物語:茶
ホッと和む、喫茶のじかん

粧 YOSOOI

<1~4:紅餅作り工程、5~8紅作り工程©外山亮一>
1 日紅花畑
2 花弁洗い
3 花弁の色変化
4 紅餅
5 ゾクを絞る
6 抽出された紅
7 紅刷き
8 紅が乾くと玉虫色に輝きを放つ
紅を唇に重ね塗り玉虫色に輝く化粧法を「笹紅」といい、江戸で大流行「今様美人拾二景てごわそう」渓斎英泉
伊勢半本店紅ミュージアム蔵

アカネ
アカネの根に赤色色素がある
アカネ染め
キブシの実
ヌルデの葉

6つめの物語:粧
“江戸コスメ”の光と影

食 SHOKU

海のミネラル豊富な琉球ハーブたち
ンジャナバー(ホソバワダン)
長命草(ボタンボウフウ)
ハンダマー
珊瑚に直接生える琉球ハーブ

アシタバの天ぷら
ンジャナバーの白和え
ハンダマーと豚肉を使った炒め物
ハーブの滋養を知り尽くした沖縄のおばぁ
八丈島に育つアシタバ

7つめの物語:食
海の和ハーブはスーパーフード

KUSURI 薬

センブリ(日本三大和薬)
ドクダミ(日本三大和薬)
ゲンノショウコ(日本三大和楽)
“THEダイエット和ハーブ”カキドオシ
“和のタイム”イブキジャコウソウは咳止めに向く

ヤマトタケルは伊吹山に生えるトリカブトで絶命したといわれる
伊吹山には280種もの有用植物が生きている
キハダ樹皮は黄色い苦味健胃薬
採取した和ハーブを洗って軒下で乾燥させる
伊吹山麓の村では薬草を畑で栽培・管理する

8つめの物語:薬
「薬局が無い村」にある和ハーブストリート

平川美鶴、石上七鞘 (著), 総合監修・古谷暢基 (監修), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集), 辻沙織 (イラスト)
出版社: 産学社; A5判版 (2015/4/18)、出典:出版社HP

目次

はじめに

1つ目の物語 香
2つめの物語 酒
3つめの物語 浴
4つめの物語 紙
5つめの物語 茶
6つめの物語 粧
7つめの物語 食
8つめの物語 薬

和ハーブに突き動かされた“私の日本”
和ハーブ協会の社会活動
あとがきにかえて
著者紹介

平川美鶴、石上七鞘 (著), 総合監修・古谷暢基 (監修), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集), 辻沙織 (イラスト)
出版社: 産学社; A5判版 (2015/4/18)、出典:出版社HP

はじめに

はじめまして。和ハーブライフスタイリストの平川美鶴です。
『あなたの日本がもっと素敵になる』……この本の題名は、私の経験に基づくものです。

私と和ハーブの出会いは、2010年春の沖縄でした。その頃の私は、子どものころからの植物好きが高じてアロマテラピーやハーブの魅力や楽しみ方を伝える活動をしていました。けれども素材のほとんどが日本から遠い海外由来のものだったり、ハーブたちの発する香りや味が、不自然に強く感じたり、何か腑に落ちない感覚が拭えませんでした。

そんな折、まだ設立されたばかりの和ハーブ協会で企画されていた沖縄を訪ねるフィールドワーク『琉球ハーブ塾』の文字が目に入ったのです。何かをつかみたい、自分の目で確かめたい、と。あの日、祈るような気持ちで那覇行きの飛行機に乗り込んだのを覚えています。

沖縄の地で出会ったのは、まさに日本の宝物」でした。見事なまでの海や森。見たことも聞いたこともない琉球ハーブたち。それだけではありません。足元の植物を深く信じ、慈しみ、対話をしながら生き生きと、迷いなく自らの人生を楽しむ地元のハーブ名人たち。彼らの植物を通じた“日本人としての生き方”に、心を打ち抜かれたのです。

それからというもの、自分が今まで見ていた風景は一変しました。「ヨモギやドクダミって、こんなすごい植物だったんだ!」「日本の山には、ブルーベリーやキウイフルーツにそっくりな果実がある!」クロモジ、ナギナタコウジュ、カキドオシ。今までほとんど聞いたこともなく、見分けできなかった植物たちにも、世界のハーブに負けない香りや薬効があったなんて。

日本人に寄り添ってきたハーブ……『和ハーブ』。ご先祖様たちもお世話になり、私が生まれたときからきっと足元にあったのに気づかずに見過ごしていた知恵でもあったのです。

以来、私は北海海道から沖縄まで全国各地での和ハーブを訪ね歩き調査や講演に伺わせていただくようになりました。日本の植物たちの饒舌さ、頼もしさ、繊細さにいつも感動し、そこから生まれる発見とインスピレーションを肥やしにして、自分を育てています。

同時にこの知恵を絶やしてはいけない、自分だけに留めてはいけない、日本人として生きる私の目線を変え、“導いてくれた宝物たち”を、より広く、未来へつなげていかなくてはいけない。その思いは、日々深まるばかりです。

南北に細長い国土に豊かな四季をもち、山林・海岸・清流など、さまざまな自然を見せてくれる日本。この国で生きてきた人々の生きる糧は植物でした。

つまり和ハーブを学ぶことは、日本人の生き方そのものを学ぶことだと思います。この本では、“私の日本を素敵にしてくれた”知られざる和ハーブ・ストーリーを、テーマ別に8つ、まとめてみました。

本書に出会ってくださった皆さまが、日本という国、ここに生きる私たち、そして
ずっと以前からいのちをつなげてきた和ハーブたちの素晴らしさに気づき、豊かであなたらしい人生を送るための“種”をみつけてほしい。今、そんなことを願っています。

平川美鶴、石上七鞘 (著), 総合監修・古谷暢基 (監修), 一般社団法人和ハーブ協会 (編集), 辻沙織 (イラスト)
出版社: 産学社; A5判版 (2015/4/18)、出典:出版社HP