ファイリング・デザイナー検定試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




ファイリング・デザイナー検定の概要

ファイリング・デザイナー検定とは、仕事の効率を上げるため、オフィス文書を適切に管理する者を育成するために日本経営協会が行っている民間の資格試験です。発生から廃棄までを管理し、ファイリングの情報を組織内で共有できる人材は、どんな組織でも必要とされます。社内で必要とされる人材になるためにも挑戦する価値のある資格だと思われます。受験級が1から3級まであります。受験資格は特になく誰でも受験することができます。

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公式テキストは?

日本経営協会から公式テキストが販売されていて、アマゾンと協会ECサイトから購入することができます。公式テキストを学習すれば合格できるようになっている、と協会のホームページにあるので受験勉強には必須の本です。

ファイリング・デザイナー検定のおすすめテキスト

1.「組織に活かすトータル・ファイリングシステム「ファイリングデザイナー1級テキスト」」(一般社団法人日本経営協会)

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)、出典:amazon.co.jp

ファイリング・デザイナー検定 1級指定テキスト 平成23年4月1日制作/随時重版。 組織内のファイリングを取りまとめる上級者向け

2.「基礎から学ぶトータル・ファイリングシステム「ファイリングデザイナー2級テキスト」」(一般社団法人日本経営協会)

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)
、出典:amazon.co.jp

ファイリング・デザイナー検定 2級指定テキスト 平成24年10月1日制作/随時重版。 ファイリング学習のベストセラー

3.「仕事に役立つ情報活用入門「ファイリングデザイナー3級テキスト」」(一般社団法人日本経営協会)

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2010/12/1)、出典:amazon.co.jp

ファイリング・デザイナー検定 3級指定テキスト 2012年6月1日制作/随時重版。 基本学習に最適

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目次 – 仕事に役立つ情報活用入門「ファイリングデザイナー3級テキスト」

はじめに

現代社会は、仕事も生活もあふれるほどの情報に取り囲まれています。現代人は毎日、情報の海の中で働き、生活していると言っても過言ではありません。しかし、それら膨大な情報の価値は、人により、場所により、あるいは時によって千差万別であり、私たちがほんとうに役立つ情報を、必要なときにいつでも即座に取り出して活用しているかといえば、必ずしもそうとは言えないでしょう。なぜなら、情報を上手に取り扱う“技術”について、真剣に考えたり、学んだりする機会があまり多くはないからです。

今日、次々に生み出される情報をうまくさばきながら仕事の質や生産性を高めることは、どんな職場においても欠かせない要件となっており、ファイリング・デザイナー検定は、この現代人にとって必須の技能を習得するために開発された情報活用のためのライセンスです。

このテキストには、情報と仕事と人間の基本的な関わりを中心に、情報をどう整理し、ムダなく仕事に活かすかについて、さまざまなヒントが紹介されています。ファイリング・デザイナー検定試験3級用テキストとしてはもちろん、日々の仕事の中で、膨大な情報の整理と活用の方法について悩みを抱えている多くの方々の問題解決の手引書として、お役立ていただくことを期待します。

一般社団法人日本経営協会検定事務局

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2010/12/1)、出典:出版社HP

目次

プロローグ

第1章 スバル君のある1日
AM 8:40 始業15分前に席に着く
AM 9:00 大事な書類が見つからない!!
AM10:30 用紙サイズを間違えてコピーミス
AM12:00 目的地に着いてからゆっくりする
PM 1:30 在庫データが更新されていない
PM2:30 書店で情報アンテナを磨く
PM 3:50 上司から急な仕事をふられる
PM 5:00 書類整理も営業の重要な仕事

第2章 e-メールと情報 情報の本質とその役割
2-1 ビジネスにおける情報の本質
2-1-1 情報とは何だろう?
2-1-2 天気予報と情報
2-1-3 行動の指針としての情報
2-1-4 e-メールの役割
2-1-5 情報内容を評価する
2-2 情報と仕事
2-2-1 情報とつき合うさまざまな場面
2-2-2 情報をどこから収集するか
2-2-3時間管理の重要性
2-2-4 情報処理の8原則
2-3 情報使いの達人となるには
2-4 情報活用における倫理的側面
2-4-1 情報倫理
2-4-2 組織における情報に関わる不祥事

第3章机はあなたの情報ステーション
3-1 あなたの机まわりをチェックしよう
3-2 個人机は、仕事の始発駅であり終着駅
3-3 なぜ、机まわりが「無法地帯」になってしまうのか
3-4 仕事場を改善しよう
3-4-1 「整理」と「整頓」を区別する
3-4-2 「捨てる」でなく「拾い上げる」
3-4-3 1分以内で「要、不要」を判断する
3-4-4 「迷う」「愛着がある」「とりあえず」の書類の取り扱い
3-5 毎日5分、机まわりを見直そう
3-6 職場会議の約束事項

第4章 仕事の効率を上げよう
4-1 そもそも仕事とはなにか
4-1-1 仕事とは「問題解決の連続」
4-1-2 仕事の流れと情報の流れ
4-2 「3つのなぜ運動」を始めよう
4-3仕事には6つのタイプがある
4-4 仕事に「優先順位」をつける
4-5 仕事の「進め方」を工夫しよう
4-5-1 前の晩に「仕事メモ」をつくる
4-5-2 仕事をこなす「基本動作」とは
4-5-3 「いつでも、どこでも」仕事はできる
4-5-4 仕事を見直し、時間を有効に使う

第5章 ファイリングシステムの基礎
5-1 ファイリングシステムとは何か
5-1-1 情報に関わるムダを排除する技術
5-1-2 偶然をあてにしないのがシステムの意義
5-2 仕事と情報の関わり
5-2-1 情報整理のステップとファイリングシステム
5-2-2 仕事がうまくいかないのは情報が整理されていないため
5-3 プロの道具の取り扱いに学ぶ仕事の基本
5-3-1 プロは仕事の準備に抜かりがない
5-3-2 情報は仕事に欠かせない道具
5-4ファイリングシステムの基本技術
5-4-1 まずは仕分ける
5-4-2 置き場所を決めておく
5-4-3 ファイル道具のいろいろ
5-4-4 情報は共有されてこそ価値がある
5-4-5 不要な書類を捨ててこそ必要な情報が分かる
5-4-6 残す情報は期限を決めて持つ
5-5 ファイリング・デザイナーのすすめ

Prologue

オフィスという「場所」、知っていますか?
組織で働いているあなたなら、当然知っていますよね。
でも、就職前のあなたは、具体的にイメージできるでしょうか?

社会人になって初めて出入りするようになり、しかも社会人になったその日から、社会
生活の拠点となる、それがオフィスです。

■オフィスは部屋、オフィスはスペース
オフィスは会社や役所が置かれた建物のなかにあります。小さな会社であれば、一部屋のオフィスが会社全体ということもあります。

大規模な会社や役所の場合は、オフィスが広い部屋であったり、いくつもの部屋に分かれていたりします。支店や支社をもつ会社や出先をもつ役所であれば、建物は複数になりますから、オフィスも当然複数置かれます。

オフィスには、社員や職員が仕事をするための机や椅子があり、パソコンや電話があり、応接セットや時には会議スペースがあります。オフィスの周辺にはデジタル複合機や、書類を収納するキャビネット、私物を収納するロッカーなどを設けているところもあります。お茶を入れるための給湯コーナーや自動販売機が置かれていることもあります。

■オフィスの座席
たとえば、役所ではオフィスの入口に、職員の座席表が掲示してあるのが一般的です。掲示された座席表をみると、入口から遠い、奥まった席は課長をはじめとする管理職の席になっていることが分かります。

入口に近い席は、肩書のない一般職員の席で、多くは若い職員が座っています。入口のドアを開けて「失礼します」と声をかけると、最初にこちらを向いてくれるのは、そうした若い職員の人たちです。

他方、民間会社のオフィスの座席配置はさまざまです。肩書の高い人が入口近くの席を占める場合もありますし、仕事の内容によっては個人用の机を持たせないオフィスもあります。

なお、民間の会社では、現在セキュリティの関係で、外部の訪問者が直接職場=オフィスに通されることは少なくなりました。会社の入口に受付が置かれ、社内に通される場合は、来訪者のバッチをつけるように求められます。社員もまた、組織の一員であることを示す名前と顔写真付きのネームプレートを身につけます。ネームプレートの装着は役所でも広くおこなわれています。

■「社長室」もオフィスの一つ
オフィスには、ふつうは社長の席は置かれていません。社長は社長室で仕事をするのが一般的です。社長室の入口には秘書の机がおかれ、秘書はそこで社長室へ出入りする人と情報の「交通整理」をします。社長にとっては社長室がオフィスであり、社長秘書にとっては社長室前におかれた席がオフィスです。秘書は人と情報の交通整理のためにファイリングをおこないます。

■オフィスの仕事、ファイリング
こうしてみてくると、オフィスとは、社長から入社したばかりの新人まで、組織で働くすべての人にとって、それぞれの仕事の拠点であることが分かります。では、みなさんは、オフィスにある自分の仕事の拠点で、何を使ってどのように仕事をするのか(しているのか)を考えてみましょう。

オフィスでは、管理職のもとで社員や職員が共通の目的に向かって協力して仕事をします。社員や職員は、業務を分担し、必要な情報を共有しなければなりません。そのために会社や役所ではメールや書類などをつかって、仕事を進めます。これが文書主義です。

オフィスでは文書主義による仕事がおこなわれますから、メールや書類などの「文書」が毎日たくさん作られます。その文書は適切に整理・整頓し、管理して、必要な時に素早く取り出せるようにすることが必要です。文書を適切に整理・整頓し管理する、これがファイリングです。

社長秘書がおこなう情報の交通整理と同じように、あなたも文書を適切に整理・整頓し、管理することで、課員として、また社員として、他の人たちとの情報共有がうまくできるようになります。そのことは、課員として、社員としてのあなたの存在価値を大きく高めることになるでしょう。

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2010/12/1)、出典:出版社HP

目次 – 基礎から学ぶトータル・ファイリングシステム「ファイリングデザイナー2級テキスト」

ファイリングシステムの確立は21世紀の重要経営課題

1996年12月に2・3級でスタートしたファイリング・デザイナー検定試験は、その後、産業界、行政、大学・短大・専門学校の教育機関等広く社会各層の文書情報管理に対する認識の高まりに支えられ、年間1万人が受験する検定試験として定着するに至っています。ひとえに関係各位の温かいご支援の賜物と深く感謝申しあげるしだいです。

情報技術(IT)のめまぐるしい進展は、企業や官公庁・自治体など組織体における文書情報管理のあらゆる側面に多大なインパクトをもたらし続けており、IT化が進むにつれ、書類をはじめとする各種の情報記録媒体は増加の一途をたどっています。

組織体として、増え続ける文書情報を適切かつ効率的に管理・運営していくことは、知的資産の有効活用という21世紀の重要な経営課題そのものであり、その基本的なソリューション技術としてのファイリングシステムの有効性は、今後ますます高まっていくことが確実と見られます。電子商取引や電子政府などに代表されるe-Japan構想も、その成否の鍵は適切な文書情報管理、つまりファイリングシステムの確立にあると言っても過言ではありません。

本書は初版刊行以来、単にファイリング・デザイナー検定試験対策の指定図書としてだけでなく、組織体におけるファイリングシステムの導入・維持管理の手引書として、産官学各界の広い支持を得ながら、版を重ねて今日に至っています。本書を通じてより多くの方々にファイリングシステムの重要性を認識いただくとともに、具体的な解決手法を習得した有為の人材を広く社会に輩出することこそ、ファイリング・デザイナー検定試験および本書刊行の真の狙いです。

今版からこれまで2級・3級用としていたテキストを2級用とし、序章の一部を3級に移し、3級は独立したテキストとして作成しました。各級とも、さらに多くの方々の果敢な挑戦を願ってやみません。

2011年 4月
一般社団法人日本経営協会検定事務局

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)、出典:出版社HP

目次

序章 情報高感度人間になろう
1.インターネットからクラウドコンピューティング時代へ
(1) OA・情報技術の歩み
(2) オフィスの動向

2.情報の役割を理解する
(1) 送り手のメッセージすべてが「情報」ではない
(2) 情報は限りなく加工できる
(3) 情報と行動のかかわり合い

3. オフィスにはプロフェッショナルが少ない
(1) 職場は無免許ドライバーの集団
(2) 仕事の達人集団をつくる

4. 情報感度を自己チェックしてみよう

5. 情報の公開、共有化を心がけよう
(1) ブラックボックスから「俎上の魚」(マナイタのコイ)へ
(2) 情報共有化の勘違い
(3) 情報の公開と共有化のメリット

第I章 組織情報の発生と流通
1.文書の役割 文書は情報記録の基本

2.仕事のタイプによる情報の種類
(1) 定型的な情報
(2) 非定型的な情報

3.組織内における情報の流通
(1) 階層間の情報流通
(2) 部門間の情報流通

4.情報発生に役立つ道具
(1) 紙
(2) パーソナル・コンピュータ(パソコン)
(3) デジタル複合機
(4) ファクシミリ
(5) ディスプレイ

第Ⅱ章 ファイリングシステムの基礎知識
1. ファイリングシステムの用語
(1) ファイルとファイリング
(2) バーティカルファイリングと簿冊式整理法
(3) ファイリングシステムとレコードマネジメント
(4) 保管と保存
(5) 移換えと置換え(引継ぎ)

2. 文書整理上の問題点
(1) 文書の私物化
(2) 不要文書の氾濫

3. 問題解決策としてのファイリングシステム
(1) ファイリングシステムとは
(2) ファイリングシステムの目標と目的

4.ファイリングシステムの歴史
(1) 米国のファイリングシステムの歴史
(2) 日本のファイリングシステムの歴史

5.ファイリングシステムとオフィスワークのIT(情報技術)化
(1) 情報技術の浸透とファイリングシステム
(2) マイクロフィルムの特徴

第Ⅲ章 保管システムに関する知識

1.ファイリングシステムの対象

2.保管単位とキャビネットの配列
(1) 保管単位
(2) キャビネットの配列

3.保管容器と用具
(1) キャビネット
(2) ファイルボックス
(3) 個別フォルダー
(4) 第2ガイド、第1ガイド
(5) やりかけフォルダー
(6) フォルダーラベル、ガイドラベル
(7) ハンギングファイリング
(8) バーティカルファイリング以外の用具と所在カード

4. ファイル作業の要領
(1) 個別フォルダーへの文書の入れ方
(2) 文書の探し方、取り出し方、戻し方

5.文書分類の考え方
(1) 保管システムの考え方
(2) ツミアゲ式分類の考え方
(3) 文書のまとめ方の実際
(4) ファイルの並べ方の実際

第IV章 保存・廃棄システムに関する知識
1.保管から保存・廃棄へ
(1) 保管から保存への文書の流し方
(2) 移換え・置換えの時期
(3) 定期置換え法のあらまし
(4) 置換え手続きの実際

2.ファイル基準表のはたらきと作り方
(1) ファイル基準表のはたらき
(2) ファイル基準表の作り方

3.保存年限の決め方

4. 文書保存箱と文書庫の棚分け
(1) 文書保存箱
(2) 文書庫の棚分け

5.保存文書の検索方法と廃棄の仕方
(1) 保存文書の検索方法
(2) 廃棄の仕方

第V章 ファイリングシステムの導入と維持管理
1.ファイリングシステムの導入

2. ファイリングシステムの指導方式
(1) 実地指導型方式
(2) セミナー型指導方式

3. ファイリングシステムの効果的な導入方法
(1) 第1ステージ 準備段階
(2) 第2ステージ 減量作戦
(3) 第3ステージ ファイリングルールの構築
(4) 第4ステージ ファイル改善作業
(5) 第5ステージ とりまとめ段階

4.ファイリングシステムの維持管理方法
(1) 維持管理の必要性
(2) ファイリングルールの見直し
(3) 定期点検の実施
(4) 置換え作業の励行
(5) 年中行事化の工夫
(6) マニュアル制作と周知徹底
(7) 新人、未経験者の教育研修など

5.導入と維持管理を成功させる8つのポイント

第VI章 これからのファイリングシステム
1. ファイリングシステムのこれからの方向
(1) 文書管理と情報管理
(2) ペーパーレス化の方向
(3) 電子化とペーパーレス化の違い

2. パソコンを利用した文書管理支援システム
(1) ファイル基準表のメンテナンスが簡単に
(2) ファイル基準表のメンテナンスに活用するソフト

3. パソコンを利用したペーパーレスファイリング
(1) 文書ファイリングとペーパーレスファイリングの接点
(2) ペーパーレスファイリングの種類

4.電子化を促進する法制度の改革
(1) 電子帳簿保存法
(2) e-文書法

5. ECMへの展開
(1) 文書管理の歴史とECMの登場
(2) ECMとは

第Ⅶ章 文書保存関連法規
1.保存年限に対する考え方
(1) 原本とコピーの価値の違い
(2) 保存年限の起算日
(3) 民間企業と官庁の保存年限の違い

<用語の手引き>
<ファイリング・デザイナー検定2級参考問題>
<参考図書>

序章 情報高感度人間になろう

1. インターネットからクラウドコンピューティング時代へ

時代は大きく変わろうとしています。

なかでも、情報ネットワークの進展はめざましく、私たちの社会や企業のあり方を大きく変えてしまう勢いです。

インターネットの利用によって、居ながらにして地球規模でコミュニケーションを図ることができます。

これは、情報社会の到来という時代の大きな変化を反映したものですが、バスに乗り遅れまいとするように組織体も個人も闇雲に「方法や道具」を追いかけまわしてはいないでしょうか。

一方、私たちが働いているオフィスは、組織経営の重要拠点となり、さまざまな情報の受発信基地として、知的生産活動を行っています。

したがって、これまでの「事務所」あるいは「事務作業」といった固定観念を捨てなければなりません。

そこで、もう少し立ち入って、オフィス・オートメーション(以下、OAと略します)、情報技術(IT:インフォメーション・テクノロジー)の歩みとオフィスの動向をたどってみましょう。

(1) OA・情報技術の歩み
OA・情報技術は、技術革新と時代の要請によって、15年間で大きな変化を遂げています。

1965年~1980年汎用コンピュータ時代
1981年~1995年 パソコンを中心とするOA時代
1996年~2010年インターネットを中心とするネットワーク時代
2011年~クラ ウドコンピューティング時代

第1期の汎用コンピュータ時代は、急激に増加する仕事量を、人手を増やすことなく、コンピュータの保有する能力によって消化できました。

また、人手では手間ヒマのかかる大規模な予約システムや、銀行のキャッシュ・ディスペンサー(CD)など多くのメリットをもたらしたのも事実です。

しかし、行き過ぎたMIS(Management Information System = 経営情報システム)のような幻想や、各職場で素早く手軽に使えない道具であったことも否定できません。

第2期のパソコンを中心とするOA時代は、第1期の問題点を解決するため各職場単位(エンドユーザー)で使いこなせるような、ダウンサイジングの機器、簡易パッケージソフトウエア、ユーザーに易しい操作方法などが、主としてスタンドアローン形式で導入されました。

まさにEUC(エンドユーザー・コンピューティング)の時代ですが、ペーパーレスを標榜しながら、皮肉にも紙の洪水、氾濫現象を呼び起こしているのも軽視できません。

第3期のインターネットを中心とするネットワーク時代は、異なったメーカーの機種を通信回線に接続し、優れた通信機能ソフトや移動体通信機器が開発され、音声まで含めたデジタル情報によって、インターネットのようにグローバルなコミュニケーションを図れるようになりました。

それだけに情報リスクも高まり、電子保存の証拠性や人間性疎外など、数多くの課題を投げかけています。

第4期のクラウドコンピューティング時代は、本格的な普及にはかなりの時間を要しますが、インターネット時代が「情報分散処理タイプ」であるのに比べ、「情報集中処理タイプ」である点が特長です。

そもそも、コンピュータを購入したユーザー企業は、コンピュータそのものが欲しいのではありません。「雲=クラウド」の中に隠れている多彩な情報資源を有効利用することが目的なのです。

 

水道の蛇口をひねれば水を得られるように、どこに情報が保管され、どのソフトウエアで処理されているかをユーザーは気にする必要はありません。

要するに、クラウドはコンピュータの利用方法の根本的な転換を促し、情報や業務ノウハウといった情報資源をより一層利用しようと動き出したところです。

(2) オフィスの動向
民間企業では、右肩上がりの経済成長から減速経済へと移行するプロセスで、とくに中高年層のリストラ(雇用調整)に力を入れました。
パソコン・ネットワークの普及が、さらに追い撃ちをかけている事実も見逃せません。

また、諸官庁では、行政サービスの向上のため、情報公開制度を確立し、情報化の促進と、行政文書の管理体制の整備に取り組んでいます。

このようなオフィスの動向は、管理・間接部門の生産性向上はいうまでもなく、組織情報の管理体制の見直し、オフィス業務標準化の促進など、数多くの重要課題をもたらしています。

変化を続ける状況の中で、私たちはいかに賢く生き抜いていったらよいのでしょうか。

すくなくとも、パソコンやネットワークは、私たちが効率のよい仕事をしたり、豊かな生活を送るための「道具」であると割り切りましょう。

より大切なことは、あなたが収集し、つくり出した情報や知恵を、どのように生かし、大きな成果をあげるかにあります。

2.情報の役割を理解する
今の世の中、本人の努力しだいで、質・量ともに満足のいく情報をキャッチし、活用することができます。情報は時間の次に、公平に所有できる財産と言ってもよいでしょう。

さて、あなたは次のどのタイプにあてはまりますか?

1 情報を見過ごしてしまっている人
2 情報を集めて、貯めておくだけの人
3 情報を活用してアイデアを出す人
4 アイデアを実行して成果をあげる人

もし、はじめの2つに該当していたら、これまでの人生において大損してきたことになります。

(1) 送り手のメッセージすべてが「情報」ではない
あなたの周りに集まってくるメッセージを、すべて情報と受け止めていないでしょうか。

まず、送り手から事実を伝えるために、メッセージ(データ、資料、知らせ)が受け手に発信されます。

ところが、送り手は不特定多数の場合が多いですから、「すでに知っていること」や「自分のキーワードに無関係なこと」も、大量に送られてきてしまいます。このようなメッセージは思い切って捨ててしまわないと、メッセージの洪水に溺れてしまい、自分にとって本当に必要なものが何かを見失う可能性があります。

キーワードと呼ばれるスクリーンを持っていると、1知識、2情報、3知恵といった3種類の受け皿にメッセージが収集されることになります。

ここでいう知識とは、情報を加工した知識ではなく、たんに知っておけばよいメッセージという意味のものです。

知識の皿は、単に知っておけばよいメッセージであって、この皿しか持っていない人を「雑学の大家」とか「もの知り博士」と呼びます。

次に情報の皿ですが、これは受け手の行動に役立ち、成果を生み出すためのメッセージです。

情報をやや学問的に定義付けてみますと、「人間が最適な行動をするための意思決定に影響を与える事柄の知らせ」ということになります。知恵の皿は、受け手の人生観に役立つ最高のメッセージと言えましょう。

(2) 情報は限りなく加工できる
メッセージや情報は、目に見える「モノ」ではなく、それ自体、形がなく手で触ることもできない「コト」です。

書類や図書、フロッピーディスクは、情報の乗物=記録であって、情報そのものではありません。このようなメッセージや情報は、あなたの知的生産活動によって限りなく加工することができます。

産みだされた加工情報は、次のステップへの「ナマ情報」として投入されます。情報の価値は、加工されるほど高まり、その範囲と量の拡大を図っていくことになります。

(3) 情報と行動のかかわり合い
情報はあくまで「地図」であり、決して事実という「現地」ではない点を十分に認識しておきましょう。

したがって、「情報の良し悪しをハダで見分ける」といった基本姿勢が必要で、読む・聴く・見るから、手足を使って確かめることが大切になります。

前に述べたように、情報は最適行動に不可欠なものですから、情報と行動の関連性を図解しておきましょう。3級でも学びましたが再度確認しておきましょう。

3. オフィスにはプロフェッショナルが少ない

(1) 職場は仕事の素人集団である
組織経営の重要拠点であり、情報を活用して知的生産活動を行っているオフィスは十分に整備され、機能しているでしょうか。

例えば、こんな質問を投げかけてみます。

「なぜ紙の氾濫を断ち切れないのか」
「なぜ書類取扱いの属人主義から抜け出せないのか」

答えはは人によってさまざまでしょうが、少なくとも次のようなことが阻害要因となっています。

まず、公認のルールが存在しないこと、仮にルールが決められていても、現状に合わず形骸化し、そのうえ誰も守ろうとしていない点などを指摘できます。

次に、オフィスでは生産現場と違って、経験のみがまかり通り、目由放任主義が行き渡っている事実も見逃せません。

換言すれば、秩序だった組織的活動が行われていないのです。

このような事実を深く掘り下げてみますと、職場で働く人たちが「無免許ドライバー」の集団であることに気付きます。

例えてみますと、免許を持たないドライバーが無手勝流に狭い道路(執務スペース)で、新車(電子機器や新しいオフィス家具)を乗り回しているというわけです。

もちろん信号(文書取扱い規程)や交通巡査(総務部文書係)は存在しているのですが、完全に無視して交通事故(ムダな時間、ムダなコスト、ムダなスペースの発生)を連発しているのです。

これをこのまま無策で放置しておけば、オフィス業務の機会損失は大きく、トータルコストの上昇をもたらすに違いありません。

(2) 仕事の達人集団をつくる
このように考えてきますと、職場で働く人たち一人ひとりが仕事の達人(プロフェッショナル)になることが必要です。

具体的には情報の収集、整理作業ばかりではなく、短文を要領よく作ったり、相手を十分に説得する能力、情報をフルに活用した発想力、あるいは仕事のスケジュール化、電子機器の操作能力が含まれます。

大切なことはオフィスで働き、生活している人たち自身の意識が変わり、当然なされるべき基本動作が条件反射的に励行できていなければなりません。

どんなに性能のよいハードウェアが導入されても宝の持ち腐れとなり、オフィス業務の効率を低下させ、働く環境をも自らが破壊してしまう危険性をはらんでいます。

このような意味で「ファイリング・デザイナー」の資格は大いに役立つでしょう。開始は決断、継続は力なりです。

4. 情報感度を自己チェックしてみよう
近頃のように交通戦争が激しくなり、交通事故が多発してきますと、子供の時から交通感覚を養成することが必要になります。

例えば、クルマが突然横から出てきた時の身の避けかた、クルマが衝突した時の対応など、身体で覚えていなければなりません。

最近のオフィス内は、業務情報が量的に増大しているのみならず、質の面でも多様化し、さらに情報技術の普及も加速していますので、情報感度の問題についても、これと全く同じことがあてはまるでしょう。

ところで、情報を使いこなすには3つのカン(感、勘、観)が必要とされます。時代感覚、情報感度といった「カン」、仕事の勘や判断、意思決定に役立つ勘といった「カン」、そして人生観、人間観、世界観などといった「カン」のことです。

このようなカンは、体系的に訓練によって習得できるものではなく、かなり先天的な素質による部分が多いと考えられがちです。

しかし諦めることはありません。

人生を真剣勝負の場として送り、基本動作を繰り返し励行することによって、カンは磨かれるものです。

だれでも意識して努力していれば、カンは身についてくるに違いありません。

5. 情報の公開、共有化を心がけよう

(1) ブラックボックスから「俎上の魚」(マナイタのコイ)へ
オフィスにおける仕事や書類は、長年にわたって属人主義が進行しているため、ブラックボックス化、すなわち「視えるカタチ」になっていません。

その結果、不要不急の仕事や情報の廃棄、削減はもちろんのこと、処理手続あるいは道具の規格化、標準化、さらには機械化といった一連の改善手法を導入できないでいます。

したがって、全組織的規模で、仕事や情報を「狙上の魚」(マナイタのコイ)にするよう工夫しましょう。

ところで、次の質問に答えてみてください。

1 あなたの机の最下段引出し(A4サイズ収納可)を他人に開けられても抵抗感を持ちませんか。
2 共有什器(キャビネットなど)から借りてきた書類、図書などを必ず元の場所に戻していますか。
3役立つ情報をひとり占めしないで、周囲の人たちに公開していますか。

すべて「YES」だったら、あなたの情報共有化度は非常に高いと評価できます。

(2) 情報共有化の勘違い
私たちは情報の共有化についてこんな勘違いをしていないでしょうか。
冷静にチェックして間違いを正してください。

1 すぐに書類や図書を一カ所に集めてしまい、運用スタッフを置きたがります。
ところが、図書室や資料センターの利用度が低く閑古鳥が鳴いたり、雑談のスペースになっては困りものです。

管理方法は一元化しても、書類や図書は、本当によく使う職場に配置しておくのが効率的でしょう。

2 職場には何でも知っておこうとする「勉強家」がいます。その人はコピーをもらいたがり、すぐコピーする癖があります。

一方、情報の共有化というと、全員にコピーして配ることと勘違いしている人たちがいます。本来は、自分の担当する仕事に必要な情報だけを把握しておけば良いはすです。それ以外の情報は、どこに保管されているかをおさえておけば、事が足ります。

(3) 情報の公開と共有化のメリット
情報の共有化は公開することが前提となります。ところが「自分で釣った魚は、刺身にして新鮮なうちに食べてしまう」「鮮度が落ちた食べ残りを冷蔵庫という、共用キャビネットや資料センターに収納し、皆で食べようではないかと呼びかける」、こんな比喩があてはまるほど、情報の公開は至難の業といえます。

しかしながら情報技術利用の加速、オフィス・スペースの有効利用、業務ノウハウの蓄積と再利用など、情報公開のニーズは高まるばかりです。

情報公開、共有化のメリットを再確認しながら、長時間かけて意識改革を行う必要があります。

メリットの主なものをあげてみます。

1 より広い範囲で、役立つ情報を選べる。
2 質の高い情報を得られる。
3 収納スペースの節約がはかれる。
4 整理に要する時間が少なくてすむ。
5 パソコン・ネットワークに対応できる。

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)、出典:出版社HP

目次 – 組織に活かすトータル・ファイリングシステム「ファイリングデザイナー1級テキスト」

はじめに

本格的な高度情報化社会に突入したいま、やっておくべきことのひとつに、オフィスに氾濫するさまざまな情報の管理があります。日々の業務の中で収集・整理され、廃棄されていく膨大な情報を、経営資源として私たちはどれだけ有効に活用しているでしょうか。あるいは有効に活用するための仕組みをつくっているでしょうか。ますます重要度を増す経営記録管理の中核を担うファイリング・デザイナーの育成は、高度情報化の波に乗り遅れないためあらゆる組織体において必須かつ喫緊の課題です。

社団法人日本経営協会では1996年から「ファイリング・デザイナー検定試験」(2・3級)を実施し、21世紀を担う経営記録管理のスペシャリスト育成を通じ、産業界のみならず広く官界、学界へもトータル・ファイリングシステムの普及・啓発を推進しています。受験者の便宜を図るべく、検定試験スタートと同時に刊行された「ファイリング・デザイナーテキスト」はトータル・ファイリングシステムを基礎から学ぶうえで必要な要素を網羅した好著として、受験者のみならず各方面から高い評価を得ています。

本書はより高度かつ実践的なファイリングシステムをめざすかたがたのために発刊され、今日に至っています。「ファイリング・デザイナーテキスト」を学び終えた人の次のステップとして、またファイリング・デザイナー検定試験1級の対策用としてご活用ください。

2011年4月
一般社団法人日本経営協会
ファイリング・デザイナー検定事務局

一般社団法人日本経営協会 (編集)
出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)、出典:出版社HP

目次

第I章 組織経営とオフィスの基礎知識
1 パソコンネットワークが組織体に与えるインパクト
2 組織経営にオフィス革命が要請される背景
3 オフィス革命とは何か
4 経営職能の分化とオフィス業務の役割
5 情報資源管理とトータル・ファイリングシステム

第Ⅱ章 導入・維持管理の知識と実務-
1 システム導入推進組識
2 システム導入手順
3 調査・視察等
4 試行導入
5 ブロック別導入
6 切換えの準備
7 切換えの手順
8 切換えの実施
9 維持管理の実務

第Ⅲ章 トータル・ファイリングシステム推進メンバーの役割と必要能力
1 発想の転換を図る
2 電子化への取り組みと危機管理
3 役割と必要能力~職場内ファイリングマネジャーから社内コンサルタントまで~
4 先進事例の分析と評価能力の身につけ方
5 オフィス業務のムダ取りに取り組む

第Ⅳ章 ファイリングシステムの情報化と関連法規の動向
1 紙に替わる情報媒体の特性
2 文書ファイリングとパソコンファイリングの相違
3 パソコンネットワークの活用
4 環境変化対応能力
5 保存媒体の法的証拠性
6 会社法と日本版SOX法

第V章 トータル・ファイリングシステムの現状と将来
1 記録と情報
2 トータル・ファイリングシステムの定義
3 トータル・ファイリングシステムの業務内容と構成要素
4 これからのトータル・ファイリングシステム

巻末資料
●行政文書の管理方策に関するガイドライン抜粋

付録 ファイリング・デザイナー検定1級参考問題と解答

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出版社: 一般社団法人日本経営協会 (2011/4/1)、出典:出版社HP