忙しい教師に向けたガイドブックをご紹介! 悩める教員の経典になるのか!?【教師の仕事術 10の原理・100の原則】
時間は使い方や考え方次第で短縮できる
近頃、長時間労働などサラリーマンの働き方改革について議論が交わされていますが、教育現場でも同じことが話されています。教師は生徒に授業をするのみならず、事務処理や学級運営などバックオフィスの業務も多くあります。また、たまにテレビや新聞などで取り上げられるように、教員の長時間労働や保護者のクレーム、部活動などが働く上で問題となっています。
今回、紹介する本は、明治図書の「教師の仕事術 10の原理・100の原則」です。毎日遅くまで働いているのに成長や成果などの実感がないまま1年が過ぎていると感じている教師に向けた本です。教師の業務時間を短縮しつつ、教師が抱えている悩みなどについて書かれています。
この本の著者は、札幌市内の中学校に勤務している堀裕嗣氏です。北海道教育大学を卒業後、札幌市中学校教員として採用。1992年に「研究集団ことのは」を設立し、代表を務めています。これまで、『一斉授業10の原理・100の原則』や『特別支援教育すきまスキル』などを執筆・編集しています。
本書は1章と2章に分かれており、1章では仕事術の原理、2章では仕事術の原則が収録されています。特に、全編を通して仕事時間の短縮に繋がる方法が紹介されています。まず、大前提として仕事をしている中で、時間を限定して作業に取り組んでいる人がどれほどいますか? 「仕事量が多く、残業ばかりで仕事が辛い」と思っている人でも、1日の中でボーッとしていたり、書類を探していたり、大して重要ではないことを調べていたりと無駄な時間があるのではないでしょうか。
そこで大切なことが時間を限定するということです。大きな問題は仕事が早い遅いではなく、時間が無限にあると思っているところにあります。突発的なことが起こらない限り、定時で帰ることを前提としていれば、それに合わせて業務の進め方を工夫し、先々を考えたイメージを頭の中に描くようになるのです。時間を限定していないと、最初から残業をあてにすることを考える人間になってしまうのです。これが著者の語る仕事術の原理の一つです。
また、これに追従した原理に短期拙速があると筆者は述べています。どういうことかと言うと、完璧に仕事をこなすといった考えを捨てることです。例えば、保護者に配布するプリントを作成するときのことを考えましょう。前年度のプリントが存在せず、1から作るかもしれません。フォーマットを作ることを考えると思いますが、インターネットで何時間もかけて調べることは無駄な時間です。
ではどうすれば良いかと言うと、1枚でもワークシートを作って提出するのです。大前提として、文章は最終的に管理職にチェックを受けなければならないものです。それならば、挨拶など分からない箇所は、日常的にフォーマットを作っている管理職に赤ペンを入れてもらった方が、結果的に早く作業を終わらせることができるのです。「丁寧な仕事がしたい」と言う人もいるとは思いますが、自己満足に過ぎません。それは、「丁寧な仕事」とは本来、誰もが納得できる仕事をすることだからです。それ故、短期的なルーティンワークであれば「拙速」が一番なのです。
ここで紹介した原理はあくまでも一例に過ぎません。このように教員の仕事に関する10の原理と100の原則が収録されています。仕事に対して悩んでいる教師にとって救世主となり得る本ですので、ぜひ読んでみてはどうでしょう。