電気工事士「1種」と「2種」の違いは? – どちらを目指すべきかチェック!
電気工事士について
電気工事士とは、住宅やビルなどの建物で電気工作物の工事を行う人のことです。電気工事士になるには、必ず国家資格の「電気工事士資格」を取得する必要があります。
従事できる電気工作物の範囲により、第一種電気工事士資格(以下、第一種)と第二種電気工事士資格(以下、第二種)に分かれています。
第二種では小規模な電気設備の工事にしか従事できないのに対し、第一種では第二種の範囲を含め大規模な電気設備の工事も行うことができます。つまり、第一種は第二種の上位に位置づけられた資格です。
電気工事士資格の試験は、誰でも受験することが可能で、47都道府県どこでも受験できます。第一種の試験は年1回行われ、第二種の試験は年2回行われます。
どちらも学科試験と技能試験があり、学科試験を先に受験して合格すれば、技能試験を受験することができます。その上、技能試験にも合格すれば電気工事士資格を取得することができます。
今回この記事では、第一種と第二種資格の試験の出題範囲や仕事内容の違いを具体的に解説していきます。
1種・2種での筆記・実技の違い
筆記試験の違い
電気工事士試験の第一関門と言われる筆記試験から違いを説明します。
筆記試験は、マークシート形式で計50問(各2点)の100点満点で出題されます。合格基準点は60点のため、30問以上正解すれば合格です。
また試験時間は、第一種が2時間20分・第二種が2時間ですが、そこまで時間がかからないため自分のペースで落ち着いて解くことができます。
第一種の筆記試験は、電気計算や一般用電気工作物、発電施設などの1問1答式の問題が計40問出題されます。また、配線図が2題出されて、1つの配線図に5問で計10問出題されます。
一方、第二種の筆記試験は、電気計算や電気機器、施工方法などの1問1答式の問題が計30問出題されます。また、配線図に関する1問1答式の問題が計20問出題されます。
実技試験の違い
次に、筆記試験に合格したら、技能試験があります。技能試験に合格すれば、はれて電気工事士資格を取得できます。
では、技能試験では第一種と第二種でどんな違いがあるのでしょうか。
まず、前提として受験生が必ず知らないと他の人と差をつけられることがあります。それは、第一種技能試験も第二種技能試験も、事前に出題される候補問題が公開されていることです。例年、第一種では10問、第二種では13問公開されていて、その中から本番も出題されることになっています。そのため、自分で材料や工具等を集められれば、対策することが簡単にできます。
必ず、受験生はこのことを把握しておき、本番までに必要な準備をしておきましょう。
試験範囲が異なる
さて、第一種と第二種の違いですが、強いて言うならば資格により許される電気工事の規模が違うため、それにより試験範囲が変わることです。
第一種では、最大電力 500kW未満の自家用及び一般用電気工作物の電気工事で行うような配線図を組み立てます。
それに比べ、第二種では、一般用電気工作物の電気工事で行うような配線図を組み立てます。
どちらも、試験でやることは変わりませんが、候補問題を見る限り、第一種の方が構造が複雑で必要な作業も多いです。
ただ、どちらも実際の問題を見ながら試験前に練習することができるので、筆記試験が終わった後から計画的に勉強を始めていきましょう。
仕事内容の違い
第一種と第二種の仕事内容の違いは、従事できる電気工事の規模です。
第一種電気工事士資格は、最大電力500kW未満の自家用電気工作物やほとんどの一般用電気工作物の電気工事を実施することができます。
第二種電気工事士資格は、低圧で受電する小規模な施設の配線や電気使用設備等の一般用電気工作物の電気工事を実施できます。
また、第二種で実施できる電気工事は、第一種でも実施することが可能です。
第一種では、ビルや工場などの大規模な施設での電気工事が許されているのに対し、第二種では、家や小規模な施設での電気工事士資格しか許されていません。そのため、第二種しか持ち合わせていない人は、すぐに第一種の人に比べて給料面でも差が出てきます。
まとめ
将来、電気工事士になる人に必須であるこの資格は、なるべく早いうちから取得することをおすすめします。とはいえ、第一種電気工事士資格では実務経験が必要なため、学生のうちは第二種電気工事士資格から挑戦して、余裕があれば第一種電気工事士資格試験も受けてみましょう。
また、第二種試験の合格率はおよそ40%で、第一種試験の合格率は、およそ30%です。どちらも、簡単に取得できる資格ではないため、時間をかけて計画的に勉強しましょう。
学生はもちろんのこと、電気設備に従事している方や少しでも興味のある方は、ぜひ勉強をして1回で電気工事士資格を取りましょう。