人気の社会保険労務士ってどんな仕事をするの? 「基本から実務まで 社会保険労務士事務所の仕事がわかる本」から読み解いてみた
社会保険労務士(以下、社労士)を目指す人、事務所のスタッフとして働きたい人、社労士として独立したい人など様々な人がいると思いますが、意外と知らないのが社会保険労務士事務所での働き方です。日本実業出版社が発売している「基本から実務まで 社会保険労務士事務所の仕事がわかる本」では、「どのような業務があり、どう働くのか」が詳しく書かれています。さっそく、どのようなものかご紹介しましょう。
社労士の業務・働き方がわかる本
社労士という職業について名称は知っていても、どういった内容の仕事をしているのか知らないという人は多いのではないでしょうか。社労士は、年金の相談など個人の相談もありますが、業務の多くは企業と契約を結んで、社員の手続きなどを行います。社労士の中心業務は労働保険・社会保険の手続き、労働相談、給与計算などになります。業務範囲は非常に広く、社員の採用から退社まで関わるので、人事部を設置できない中小企業の人事部として機能しています。
また、社労士を目指す人や現に社労士の人の中には、将来的に独立をしたいと思っている人もいるはずです。では、事務所を開くにはそうすればいいかというと、社会保険労務士試験に合格してから全国社会労務士会連合会に登録します。都道府県の会員となることで、社会保険労務士として開業することができます。また、活躍の場が広がったことでニーズが高まり、大人数の職員を抱える事務所も増えています。個人事業は所得税が多くなるので、法人化する場合があります。平成15年より2人以上の社労士が1つの法人で業務を遂行する社会保険労務士法人の設立が可能になりました。
それでは社労士事務所での働き方についてご紹介します。本書では、第2章から事務所での具体的な働き方が述べられています。実際の働き方の例が載っているので、どのように働くのかイメージしやすいです。社労士の仕事は1年間の間で変化していきます。例えば5月であれば労働保険年度更新準備、12月なら年末調整といった具合で、時期が来たら各企業に出向き、必要な手続きを行います。そのほか介護保険や雇用保険など年齢による処理事項もありますので、年齢を確認して処理を行います。
同じく、社労士の業務は、社会保険の手続きなど基本的に社内でもできる「アウトソーシング」の業務があります。一方、企業の抱える課題の解決や企業の指針を分析して提言する「コンサルティング」も社労士の業務の1つです。人事コンサルタントを名乗るのに特別な資格は必要ありませんが、専門性が求められる業務なので、コンサルタントの指導を受けたり、民間の資格を取得したりして知識を積む必要があります。
しかし、コンサルティングは1回あたりの報酬が大きい代わりに1回の仕事で終わることが多いです。また失敗した場合、損害賠償を求められる場合もあります。対して、手続き業務は月の報酬が少ないですが、継続するので安定した収入が見込まれます。あくまでも手続き業務が社労士の基礎業務だと認識しなければなりません。
本書では、より社労士の業務について詳しく書かれています。コンサルティングやセミナー講師などの社労士の業務の中でも比較的新しいことにも言及していますが、あくまでも手続き業務を主体に説明されています。社労士の業務範囲はとても広いので、まずは手続き業務を理解する必要があります。社労士を目指す人や事務所のスタッフとして働く人、また人事労務部に従事する人向けの本だと思います。