計測工学を学ぶためのおすすめ本 – 機械検査・保全の資格の参考書にも!
計測工学についての知識を深めよう
計測工学とは、計量学の1つであり、計測機器の開発等に用いられています。技術の発展により機械は高精度なものになっているため、これらを検査するために計測工学の理解は大変重要です。ここでは、計測工学の概要に加え、資格を取得する上でも役立つ本をご紹介します。
計測工学入門(第3版・補訂版)
第3版のまえがき
計測とは、目的とする量を計器によって求めることである。
それによって初めて、推定や予見でなく計測結果に基づいて推論を確認したり、予想との違いの原因を見極めて考え方や理論を更新することができる、その技術的な進歩が新しい現象の発見につながり、研究の発展に大きな貢献をしてきた。さらには、高度・高性能の工業製品を作り上げる根幹でもある。今では計測技術の重要性は、イノベーションを加速するためのボトルネックとして認識され、社会の発展に伴い、常に要求される計測精度の向上と計測対象の拡大を実現する革新的計測分析技術が求められている。
このような状況にあって、工学部生向けの教科書と入門書を兼ねた本書の初版発行後、2007年に抜本的に見直しを行って第2版を発行したが、この間の技術進歩の速度が速く、さらに改訂が必要とされるようになった。たとえば、SI単位系などは、不変のものと思いがちであるが、常に不確定性をより小さくしようとする努力が続けられている。長さの1次標準を光コムとしたり、重さの単位を原器から原子レベルの定数を使おうと検討しているのはそうした最新技術の流れである(また2018年の国際度量衡総会での決定で、重さの単位にプランク定数が使われることになった。これにあわせて、2020年発行の補訂版では本文を見直している)。
改訂に当たっては、計測の補助手段としての“電気信号の増幅とディジタル回路”はほかの教科書に譲るとして全文削除したうえ、初版、第2版の方針を継承して基礎的で必要な項目に絞り、計測の原理、現在実用化されている主な計測方法・手段および実用面で注意すべき事柄に重点を置いた。また、例題を見直して本文で十分理解できると思われるものは削除した。さらに、CoffeeBreakを最小限に絞り込み、Topicsの内容も見直して現在の潮流に沿うものとした。
計測技術は、製品やサービスの質および量を定量化するものであるがこれを社会・産業活動に適用するうえでは、測定対象、測定する量、測定器、測定環境、測定結果の表示およびその信頼性など、広く情報化のための社会システムとしてとらえる必要性が大きくなってきている。本書がそのお役に立てば幸甚である。
2015年10月(2019年11月追記)
著者
まえがき
計測の礎ともいえる計測量の単位について、わが国でもようやく国際単位が施行されはじめ、今までなじんできたカロリーは、栄養に関するもの以外は使えなくなるなど大きな改定が行われている。また、放射線の単位“キュリー”は使われなくなり、キュリー夫人引退という報道記事が出たこともある。さらに、天気予報でおなじみのミリバールは、ヘクトパスカルという聞きなれない単位に置き換えられている。
1959年に尺貫法から切り替わったメートル法はすっかり定着したが、ここで再び若千の戸惑いを交えながら頭の切り替えをしなければならない状況になってきている。一方、計測の最先端では、高精度、高感度、高分解能、高速応答といった従来の開発指向だけでなく、それらに加えて、複合情報、あいまい量なども積極的に計測の対象に取り入れ、人間にとって必要な情報とは何かを追求し、わかりやすく、有益な[データを提供するような努力が積み重ねられている。つまり、単に物理量だけを計測するのではなく、豊富でかつ多様なデータを集め、これを処理して有効な情報に仕上げることができる時代になってきたともいえる。その背景には、半導体の集積回路によるコンピュータ技術の大きな寄与がある、そして、それを使いこなし、いわゆるインテリジェンドな計測システムを構築するためのソフト開発に多大な努力が払われている。
このような状況にあって、機械系学生向けの“計測”の講義と、各種委員会における先端計測についての調査を通じて得た知見をもとに、教科書と入門書を兼ねた本書をまとめた。計調については、多くの優れた著書があるので、正面から計画を論じることよりも、少し視点を変えて計測の本質に迫り、かつわかりやすい内容にするようこころがけた。したがって、計測項目の各論では基本的かつ必須な項目に絞り、実用面で注意すべき事柄と原理に重点をおいて解説し、詳細はほかの専門書に譲った。また、実用化段階ででの最先端計画をトピックス的に取り上げ、その概要を解説した。さらに、理解を深めるために演習問題を盛り込んだ。なお、頭休めのため、CoffeeBreakを設けた。たとえば、1000の接頭語”k”の話がある。
接頭語”k”はよく間違えられる。これは大文字にする人が多いのだが、そのように間違えられるそれなりの背景がある。工学にたずさわる人のほとんどは、計測に関与する機会をもつはずである。計測の専門家ではなくても、計測の本質を理解しておくことは開発を進めるうえで大きな力になると信じている。その意味で、本書が皆様のお役に立てば幸いである。
1994年3月
著者
目次
第1章 計測の基礎
1.1計測の意味
1.2単位
1.3次元
1.4標準とトレーサビリティ
1.4.1標準
1.4.2トレーサビリティ
1.5計測用語
1.6確率分布関数
1.6.1確率密度関数
1.6.2累積確率密度関数
1.6.3代表的な分布
1.7有効数字
1.7.1有効数字と誤差
1.7.2計算における取扱い
1.7.3誤差の伝ぱん
1.8近似式
1.9測定値の信頼度―不確かさの概念とその評価
1.9.1不確かさの考え方
1.9.2不確かさの定義
1.9.3標準不確かさの評価
1.9.4合成標準不確かさ
1.9.5拡張不確かさ
演習問題
第2章 長さ、角度、形状の測定
2.1長さの測定
2.1.1ブロックゲージと標準ゲージ
2.1.2標準尺
2.1.3光波干渉による測定
2.1.4各種ゲージとマイクロメータ
2.1.5測長器
2.1.6測定顕微鏡とレーザ干渉測式
2.1.7誤差要因
2.2角度の測定
2.2.1機械的角度定規
2.2.2サインバー類
2.2.3角度ゲージ
2.2.4水準器
2.2.5オートコリメータ
2.3面積、形状、体積の測定
2.3.1面積
2.3.2面粗さ
2.3.3形状
2.3.4体積
演習問題
第3章 力、圧力等の測定
3.1質量
3.1.1てんびん
3.1.2ロバーバルの機構
3.2力の測定
3.2.1変位測定法
3.2.2ひずみ測定法
3.2.3圧電効果により発生する電荷を計測する方法
3.3トルクの測定
3.4圧力の測定
3.4.1液体圧力計
3.4.2弾性体圧力計
3.5密度の測定
3.5.1浮秤
3.5.2連通管
3.5.3気体の密度
演習問題
第4章温度、湿度等の測定
4.1温度の測定
4.1.1温度計の分類
4.1.2膨張式温度計と圧力式温度計
4.1.3熱電温度計
4.1.4抵抗温度計
4.1.5熱放射を利用した温度計
4.2熱量の測定
4.2.1熱量の単位
4.2.2熱量計測法
4.3湿度および含水量
4.3.1湿度の定義
4.3.2湿度計測法
4.3.3含水量計測法
演習問題
Topics人工衛星の姿勢制御用地球センサ
第5章 真空度の測定
5.1マクレオド真空計
5.2クヌーセン真空計
5.3ピラニー真空計
5.4電離真空計
演習問題
第6章 時間等の測定
6.1時間の測定
6.1.1振子時計の等時性
6.1.2時計の種類
6.2速度・回転数の測定
6.2.1速度の測定
6.2.2回転速度計
6.3振動の測定
6.3.1変位振動計
6.3.2加速度振動計
6.3.3電気的振動計
6.3.4振動計の校正
6.3.5振動レベル計
6.4音の測定
6.4.1音の大きさのレベル
6.4.2音量計
演習問題
第7章 流量等の測定
7.1流量の測定
7.1.1流量計測法の分類
7.1.2流量計
7.2粘度の測定
7.2.1粘度の定義と単位
7.2.2動粘度
7.2.3粘度の測定法
演習問題
Topicsオゾン層の測定(宇宙からの観測)
第8章 光と放射線の測定
8.1電磁波
8.2赤外線の測定
8.2.1検出器性と評価
8.2.2放射率の測定
8.2.3反射率と透過率の測定
8.3核放射の測定
8.3.1放射線と放射能
8.3.2放射線計測
8.4X線の測定
TopicsX線CTとMRI
演習問題
第9章 電気計測の基礎
9.1電磁気量の単位と標準
9.1.1電磁気量の単位系
9.1.2電気標準
9.2測定機器
9.2.1指示電気計器
9.2.2ディジタル計器
9.3電圧・電流の測定
9.3.1電流の測定
9.3.2電圧の測定
9.4抵抗とインピーダンスの測定
9.4.1直流抵抗の測定
9.4.2インピーダンスの測定
9.5周波数の測定
9.5.1標準電波
9.5.2周波数測定
9.6電力の測定
9.6.13電圧計法
9.6.2ホール効果電力計
9.6.3熱電型電力計
9.6.4電力計法
9.6.5誘導型電力量計
9.7磁気の測定
9.7.1磁界の測定
9.7.2磁束の測定
演習問題
Topics超伝導量子干渉素子(SQUID)
第10章 測定量の記録
10.1グラフ記録計
10.1.1ペンレコーダ
10.1.2X-YレコーダとX-Yプロッタ
10.2オシロスコープ
10.2.1アナログオシロスコープ
10.2.2ディジタルオシロスコープ
10.2.3信号検出とプローブ
演習問題
Topicsあいまい量の計測
演習問題解答
参考文献
索引
計測システム工学の基礎(第4版)
第4版まえがき
第3版の改訂から8年が経過し、計測を取りまく状況も変化した。
最も大きな変化が、2019年5月20日に実施された国際単位系(SI)の改定である。この改定は、SIの7つの基本単位のうち4つの基本単位が改定されたというだけではなく、7つの基本単位が7つの基本物理定数によって定義され、人工物で作られた標準や測定方法と関連付けられなくなったという点で、歴史的な改定であった。本書ではSIに関する説明を全面的に修正した、
本書ではこれまでの構成を生かしつつ、日本産業規格(JIS)の改正に対応し、新しい計測技術の資料・写真に更新し、説明を修正した。また、第3版に引き続き電子版を発行することに加え、フルカラー化を行った。現在の学生は、小学校から高等学校まで、フルカラーのわかりやすい図にあふれた教科書で学習しているが、大学ではモノクロの教科書で学習することにギャップがあると感じていた。今回のフルカラー化で、よりわかりやすく、より学びやすい教科書になったと思う。
本書においても、多くの企業・団体の方々から支援と最新の資料を提供していただき、最新の機器の写真などを掲載することができた、ご提供いただいた方々には、この場を借りて心より感謝申し上げる。
2020年9月
著者
まえがき
計測システム工学は多分野にまたがった学際的な工学であるので、1冊にまとめることが難しく、著書によって機械分野に重点をおいた精密測定技術やセンサを主題とした電気的計測法に分かれている。電気工学分野では、電気装置・電子回路を中心とした電気計測とか電気応用計測がある。本書は機械・電子システム(メカトロニクス)系の計測とデータ処理結果の知新までを含む「計測システム」の入門書と位置づけ、とりわけ正しい測り方と、的確な数値計算処理法について詳しく述べた。
第1章では計測を支える単位と、その換算に力点をおいた。第2章では測定値の確からしい値について解釈の仕方を、第3章ではふさわしい係数関係を与える最小二乗法を扱った。初学生にとっては有効数字の意味、最小二乗法のしくみや、周波数を考えるときに必要なlogスケールが難しいようであるので、さわりをやさしく解説した。第4章では、コンピュータを使って実験データの近辺に曲線を引く手法を解説した。最近は製図もCAD化されてきたので役立つと思う。第5章ではとくに分散分析を取り上げ、やさしく解説した。これは材料の開発過程とか、製品のユーザビリティーに関して、測定したいくつかのデータが互いに本質的に違いがあるかどうかを判定したい要求が強いからである。そのため確率統計学を学んだことのない人にも容易に理解できるように配慮した。
第6章機械的測定では、機械工場のみならず、われわれの周辺で長さ、角度、圧力などの機械量を計器と目で読み取る方法について、第7章では、検出した値を電気信号に変換するセンサについて扱ったが、ページ数の関係で範囲を切りつめざるを得なかった。代わりに、特に初学生にとって難しいとされるホイートストンブリッジによる抵抗計測法と、周波数の概念(ダイナミクスとフィルタの関係)をていねいに解説した。第8章信号の計測法では、OPアンプの利用に関する注意事項と、計測の大敵であるノイズ、およびわれわれができるノイズ対策方法、アナログ・ディジタル変換(ADC)などについて、よく使われる技術を述べた。第9章信号の処理では、ディジタル信号処理法の初歩を述べた。最近では、測定値を直接コンピュータに取り込み、図表にしたりデータ加工を行うソフトウェアが普及している。本章はそれらの機能のうち、簡易フィルタ、時間軸・周波数軸の関係などを理解するのに役立つと思われる。
本書は、1995年大学機械システム工学系に開設した“計測システム工学”の講義録をまとめ、最新情報を加えたものである、基礎電気電子回路を土台としてこれを学び、センサ工学、制御工学などへつなげる接着剤の役目を果たしている。本書の特徴はできるだけ箇条書きにして斜め読みしやすくしたこと、例題と問題の解答を詳しくしたこと、また、利用が高いと思われる数式アルゴリズムには、C/C++プログラムを添えたことである。
最後に本書の執筆にあたって、数年にわたり森北出版(株)の水垣氏、石田氏には勇気づけられ、多大の有益なアドバイスをいただいたことを記して謝意を表します。
2001年10月
著者
目次
第1章 計測のはじめに
1.1測定と計測
1.1.1量
1.1.2測定と計測
1.2物理量の単位
1.2.1基本量と組立量
1.2.2次元
1.2.3国際単位系
1.3機械力学におけるSI組立単位
1.3.1速度と加速度
1.3.2質量と重量と力
1.3.3周波数と振動数
1.3.4ばね定数1
1.3.5減衰係数(ダンピング係数)
1.4電気工学・熱力学におけるSI組立単位
1.4.1電気工学でよく使う単位
1.4.2熱力学でよく使う単位
1.4.3電気と熱の関係
演習問題1
第2章 測定の誤差と精度
2.1測定の誤差と有効数字
2.1.1誤差
2.1.2数値の丸め
2.1.3有効数字
2.1.4有効数字のしくみ
2.1.5誤差率を考慮した測定
2.2計算過程での誤差
2.2.1四則演算の桁どり
2.2.2計算機での誤差
2.2.3算術の工夫
2.3測定の精度
2.3.1誤差の種類
2.3.2記号とexpの意味
2.3.3誤差の正規分布
2.3.4精密さと正確さ
2.3.5信頼性
2.4精度の表し方
2.4.1ばらつきの程度
2.4.2誤差の定義式
2.4.3確率誤差の計算
2.5間接測定と誤差
2.6測定の不確かさ
2.7計量計測トレーサビリティー
2.8測定精度を向上させる
演習問題2
第3章 最小二乗法
3.1基準の方程式
3.1.1最小二乗法
3.1.2実験式を1次式で近似する
3.1.3 2変数の最小二乗法
3.1.4 2変数1次式の測定例
3.2実験式の簡便な導出方法
3.2.1選定法
3.2.2平均法
3.2.3平均法の計算例
3.2.4対数(log)スケールの問題
3.2.5対数値の平均法の計算
3.32次形式の最小二乗法
3.3.1直接的な方法
3.3.2多項式を1次式に変換する方法
演習問題3
第4章 データの補間
4.1ラグランジュの補間
4.1.1内挿法と外挿法
4.1.2階差
4.1.3ラグランジュの補間公式
4.2スプライン補間法
4.2.1スプライン
4.2.2雲形定規スプライン
演習問題4
第5章 測定量の関係
5.1回帰分析と相関
5.1.1回帰分析
5.1.2線形回帰分析
5.1.3相関関係
5.2分散分析
5.2.1測定と統計処理
5.2.2分散分析のしくみ
5.2.3一元配置法
5.2.4式と表を理解する
5.2.5F分布
5.2.6分散分析の評価
5.2.7一元配置法の計算
演習問題5
第6章 機械的測定
6.1長さの測定
6.1.1ゲージ
6.1.2ノギス
6.1.3マイクロメータ
6.1.4空気マイクロメータ
6.1.5アッベの原理を満たす測長器
6.2角度と面の測定
6.2.1角度
6.2.2オートコリメータ
6.2.3角度標準用多面鏡
6.2.4精密水準器
6.3質量、力、圧力の測定
6.3.1質量計と重量計
6.3.2精密天びん
6.3.3密度の測定
6.3.4力の測定
6.3.5圧力
6.4流速と流量の測定
6.4.1流速と流量
6.4.2ピトー管
6.4.3流量の測定
6.4.4粘度
6.5衝撃と材料硬さの測定
6.5.1衝撃
6.5.2硬さ
6.6振動試験
演習問題6
第7章 センサとセンシング
7.1センサのあらまし
7.1.1センサとセンシング
7.1.2センサと物性現象
7.2機械量「空間量]の計測
7.2.1変位、長さ、距離
7.2.2接触、近接、変位〈静電容量方式〉
7.2.3変位、長さ《ディジタル式〉
7.2.4移動〈ディジタル式)
7.2.5近距離
7.2.6回転角
7.2.7角速度
7.2.8高G高性能加速度計
7.2.9MEMS加速度センサ
7.2.10加速度計の応用
7.2.11流速、流量
7.3機械量[力]の計測
7.3.1力の測定
7.3.2圧力の計測
7.3.3圧電素子
7.4磁界の計測
7.4.1ホールIC
7.4.2磁気抵抗素子
7.5光の計測
7.5.1フォトセル
7.5.2フォトダイオード
7.5.3CCDとCMOSイメージセンサ
7.6温湿度の計測
7.6.1サーミスタ
7.6.2熱電効果
7.6.3測温抵抗体
7.6.4焦電素子
7.6.5湿度センサ
演習問題7
第8章 信号の計測法
8.1信号出力の方式
8.2アナログ前処理
8.2.1前処理の必要性
8.2.2OPアンプの基本回路
8.2.3反転増幅回路
8.2.4電圧フォロワ
8.2.5シグナルコンディショナ
8.2.6電流・電圧変換
8.3高精度の計測用IC
8.3.1高精度OPアンプ
8.3.2計装用差動増幅器
8.3.3アイソレーションアンプ
8.4直流ブリッジによる抵抗の測定
8.4.1ブリッジ電圧
8.4.2抵抗変化
8.5フィルター
8.5.1雑音とフィルタ
8.5.2フィルタの種類
8.5.31次RCフィルタ
8.5.4アクティブフィルタ
8.5.5デシベル(dB)
8.5.6デカードとオクターブ
8.6ダイナミックセンシング
8.6.1加速度計のダイナミクス
8.6.2フィルタの必要性
8.6.3サンプリング周波数
8.6.4接触共振の問題
8.7ノイズ対策
8.7.1アナログ回路の雑音
8.7.2アナログ・ディジタル混在回路
8.8観測機器と記録機器
8.8.1ディジタルストレージオシロスコープ
8.8.2ディジタルマルチメータ
8.8.3ファンクションジェネレータ
8.8.4パソコンによる計測
8.9ADコンバータ
8.9.1AD変換の基礎
8.9.2AD変換方式
8.9.3データ転送方式
演習問題8
第9章 信号の処理
9.1サンプリング
9.1.1時系列信号
9.1.2ノイズの性質
9.2信号のアベレージングとスムージング
9.2.1アベレージング
9.2.2移動平均法
9.2.3単純移動平均法
9.2.4多項式適合法による移動平均
9.3相関関数
9.3.1相関法
9.3.2相互相関関数
9.3.3自己相関関数
9.4周波数領域における信号解析
9.4.1基本となる三角関数の公式
9.4.2単振動の記述
9.4.3フーリエ級数展開
9.4.4周波数スペクトル
9.4.5周期的な実験曲線
9.5離散フーリエ変換
9.5.1離散フーリエ変換
9.5.2フーリエ変換の複素表示
9.5.3高速フーリエ変換
9.5.4離散フーリエ変換の性質
9.5.5高速フーリエ変換の実際
9.5.6エイリアシング
9.6window(窓)関数
9.6.1周波数領域法によるフィルタ
9.6.2ギブスの現象
9.6.3window(窓)関数
演習問題9
付録
演習問題解答
参考文献
索引
現場技術者のための計測技術入門―正しい計測が品質をかえる
まえがき
日常の暮らしに欠かすことのできない“はかる”、普段は見過ごしている“はかる”が、実は身の周りにたくさんある。熱をはかる体温計、タクシーの走行距離をはかるメータ、体重計、血圧計、騒音計、振動計、このように私たちの生活の中では“はかる”が満ちあふれている。
産業界においても、さまざまな分野で“計測”は行われているが、実際に計測が行われる作業現場では、正しい計測の基本が理解されていないように思われる。また、ISO9001(品質マネジメントシステム-要求事項)として、”7.6監視機器及び測定機器の管理”が定められ、その中で必要な精度をどのように決めて実行するかが求められているが、監視機器・測定機器の管理に確信がもてない、又は十分理解されていないと思われるケースも多々見受けられる。このような状況の中で、計測に関する本は多数出版されてはいるが、あまりにも学術的・専門的で、現場において利用できていないように思われる。
本書は、こうした悩みをもつ現場技術者・担当者に、“どの程度、正確に測定する必要があるのか”という基準を示し、“どのようにしたら、これに満足する結果が得られるのか”について考えるヒントを紹介している。そして、ISO認証取得企業・組織の品質管理責任者・担当者向けに、確信をもって計測管理業務が遂行できるように、難しいと思われる計測の話をやさしく解説した初歩的専門書として、かつ実務に役立つように編集した。また、最近、注目を集めているISO10012(計測マネジメントシステム測定プロセス及び測定機器の要求事項)への対策としても、本書で述べる14対1理論」をベースに、計測精度について確信をもって取り組むことができるように具体的に記述してある。
さらに、実際の現場技術者・品質管理責任者・担当者向けの教材としても利用できるように、図表等を多数用いて、目で見てもわかるように工夫した。本書があなたの座右の銘として末永く活用いただければ、編著者にとって、これ以上の幸せはないと考える次第である。
最後に、本書の出版にあたって貴重なご意見をいただいた日本NCSLI幹事の皆様、財団法人日本規格協会及び株式会社山武*各関係者皆々様の多大なご協力に深く感謝申し上げます。
2008年11月吉日
山口徹
伊林洋志
新陽介
江口忠登美
磨田光夫
*株式会社山武は、2012年4月1日にアズビル株式会社へ社名を変更いたしました。
目次
まえがき
1.計測に関する基本的な疑問
1.1なぜ計測するのか?
1.2高価な計測器を使えば正しい測定ができるか?
1.3適切な計測器を選定しているか?
1.4計測の必要性をどの程度理解しているか?
2.計測における【4対1理論】
2.1[4対1理論]
2.2なぜ、“4対1″で良いのか
2.3合否判定基準をどのように決めるか
3.計測の基本的知識
3.1計測結果には必ず誤差が含まれている
3.2誤差の大きさを考えながら測定することが重要である
3.3精度について
3.4不確かさについて
3.5不確かさの取扱いについて
4.正しい計測
4.1正しく測るための心構え
4.2正しく測れていることの確認
4.3測定原理の理解
4.4測定場所の環境
4.5測定の精度を上げるには
5.計測と品質管理
5.1品質管理の原点は計測にあり
5.2定期的な校正を実施する目的
5.3計測のトレーサビリティ
5.4計測プロセスの構築
5.5現場技術者に求められること
5.6品質管理とコスト
6.まとめ
7.計測管理に関するQ&A
8.補足
8.1精度比とリスクのイメージ
8.2精度比の計算例
8.3精度比の歴史的背景
8.4リスク2%の意味するもの
卷末資料
【4対1理論】に関する補足説明
索引
絵ときでわかる計測工学(第2版)
はじめに
機械工学では、形のある動くものをつくるときに、部品の長さを計測する場面がある。
このとき、長さ1ミリメートルをいい加減に取り扱っていては、きちんとしたものづくりはできない。金属部品の製作では、少なくとも20分の1ミリメートルまでの測定ができるノギス、さらには100分の1ミリメートルまでの測定ができるマイクロメータを使用する必要がある。
最近、ナノテクノロジーという言葉をよく聞く、ナノメートルとは10億分の1メートルのことであり、そのレベルで寸法を測定しながら、新たな物質をつくったり、それらを組み合わせてコンピュータや微小機械などをつくったりしている。そこでは、もちろんナノメートルを計測することができなければ、技術は成り立たない。また、計測で扱うのは長さだけでなく、質量や温度、時間など、さまざまな物理量がある。それらの定義や単位をきちんと理解し、適切な方法で測定ができることも、計測を学ぶときに重要なことがらである、ものづくりが技術から工学に発展するためには、その過程を数量的に表す必要が出てくる。すなわち、計測を通して、ものづくりは工学の世界へと近づいていくのである。
本書は、ものづくりの観点から、計測の基本をまとめたものであり、できるだけ実際の測定場面を再現しながらの解説を心掛けている。それぞれが計測の原理や種類を学び、実際の測定を行うときの手引きとして活用していただきたい、
2006年4月
著者しるす
第2版改訂にあたって
2006年4月に初版が発行された本書は、幸いにも10年以上版を重ねることができた。この間、数多くの大学や高専等の教科書等に採用されてきたことは著者として嬉しい限りである。
この度、第2版の改訂にあたり、各計測について、2018年に質量の国際基準が変更されたことなどに修正を加えるとともに、教科書として、より利用しやすくするため、章末問題を充実させることとした。機械工学に必要となる計測工学について、初心者向けにまとめた本書は意外に類書が少ない。ビッグテータが注目され、工学の各分野でもますます各種の計測データの扱いが重要となるはずである。
そのデータを正しく計測するための基本事項について、この改訂版を活用して学んでいただきたい。
2018年1月
著者しるす
目次
第1章 計測の基礎
1-1計測とは
1-2国際単位系
1-3誤差
1-4計測器の性能
1-5計測器の構成
1-6有効数字
章末問題
第2章 長さの計測
2-1長さの基準と単位
2-2長さの計測
2-3長さの測定誤差
章末問題
第3章 質量と力の計測
3-1質量と力の基準と単位
3-2質量の計測
3-3力の計測
3-4動力の計測
章末問題
第4章 圧力の計測
4-1圧力の定義と単位
4-2圧力の計測
4-3真空の計測
章末問題
第5章 時間と回転速度の計測
5-1時間の計測
5-2回転速度の計測
章末問題
第6章 温度と湿度の計測
6-1温度の定義と単位
6-2温度の計測
6-3湿度の計測
章未問題
第7章 流体の計測
7-1流体を表す物理量
7-2流体の計測
章末問題
第8章 材料強さの計測
8-1材料強さとは
8-2材料試験
章末問題
第9章 形状の計測
9-1角度の計測
9-2形状の計測
章末問題
第10章 機械要素の計測
10-1ねじの計測
10-2歯車の計測
章末問題
章末問題の解答
索引