知的財産管理技能検定 3級公式テキスト[改訂11版]
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はじめに
本書は、厚生労働大臣指定試験機関である一般財団法人知的財産研究教育財団の一部門である知的財産教育協会が編集した『知的財産管理技能検定3級公式テキスト」です。
知的財産管理技能検定3級は、学生・社会人を問わず誰もが必ず身につけておきたい知的財産管理の初歩的な知識と技能が問われる試験です。3級を取得することで、知的財産に関する日常生活に役立つ知識を身につけられるだけでなく、業務において直面する知的財産に関する出来事に対応できる基礎的な知識も身につけることができます。
そこで、当協会では、これから知的財産の学習を始めようという方や、3級の受検のために勉強を始めた方を対象とした本書を制作しました。WIPO(世界知的所有権機構)が提供する“Worldwide Academy/ Distance Learning DL-001 Primer on Intellectual Property” (https:// welc.wipoint/acc/index.jsf?page-courseCatalog.xhtml)にも準拠しているので、知的財産に関する基礎知識が身につけられるとともに、グローバルに必要とされている知識が身につけられる内容となっています。
2008年5月に初版を発行して以来、本書は3級を受検する方を中心に多くの方にご活用いただきましたが、このたび2020年4月までの法改正に対応した第11版を出版する運びとなりました。グローバルな視点で今後の我が国の発展に貢献する人材が、本書や知的財産管理技能検定を利用してより多く育つことを祈念しています。
2020年6月 知的財産教育協会
※知的財産管理技能検定の試験問題は、「試験科目及びその範囲」に基づいて、検定職種について専門的な技能、技術または学識経験を有する者のうちから選任された技能検定委員から構成される技能検定委員会によって作成されています。試験の公正を図るために、その内容は検定実施当日まで当該委員以外のいかなる第三者に対しても開示されることはありません。本書は、技能検定委員会とは完全に分離独立している教育担当部門が、「試験科目及びその範囲の網目」(P013参照)と実施済みの過去問題を分析し、編集したものです。
目次
はじめに
本書の活用方法
知的財産管理技能検定とは
知的財産管理技能検定3級とは
Introduction
知的財産とは
特許法・実用新案法
1 特許法の目的と保護対象
①特許法の目的
②保護対象
2 特許要件
①特許要件とは
②産業上利用できる発明であること
③新しい発明であること(新規性)
④容易に思いつく発明ではないこと(進歩性)
⑤先に出願されていないこと(先願主義)
3 特許出願の手続き
①特許を受けることができる者
②特許出願
③国内優先権
4 特許出願後の手続き
①出願公開
②出願審査請求
③実体審査
④拒絶理由通知
⑤特許査定と拒絶査定.
5 特許権の管理と活用
①特許権の発生
②特許権の存続期間
③特許権の活用
6 特許権の侵害と救済
①特許権の効力
②特許権侵害を発見した場合の対応(特許権者側)
③特許権侵害であると警告された場合の対応(実施者側)
7 実用新案法
①実用新案法
②実用新案法と特許法の違い
Column 1 特許、意匠、商標の相違点
意匠法
8 意匠法の保護対象と登録要件
①意匠とは
②保護対象
③意匠登録の要件
9 意匠登録を受けるための手続き
①意匠登錄出願
②審査の流れ
③特殊な意匠登録出願
10 意匠権の管理と活用
①意匠権の発生と存続期間
②意匠権の活用
11 意匠権の侵害と救済
①意匠権の効力
②意匠権侵害を発見した場合の対応(意匠権者側)
③意匠権侵害であると警告された場合の対応(実施者側)
column 2 デザインを保護する法律
商標法
12 商標法の保護対象と登録要件
①商標とは
②保護対象
③商標登録の要件
Column 3 団体商標登録制度、
地域団体商標登録制度と地理的表示保護制度
13 商標登録を受けるための手続き
①商標登録出願
②審査の流れ
14 商標権の管理と活用
①商標権の発生と存続期間
②商標権の活用
③商標権の管理
15 商標権の侵害と救済
①商標権の効力
②商標権侵害を発見した場合の対応(商標権者側)
③商標権侵害であると警告された場合の対応(実施者側)
Column 4 商標と商号の関係
条約
16 パリ条約
①パリ条約とは
②パリ条約の三大原則
17 特許協力条約(PCT)
①特許協力条約(PCT)とは
② PCT 出願の流れ
③PCT出願のメリット
18 その他の条約
①TRIPS協定
②マドリッド協定議定書
③ハーグ協定
④特許法条約(PLT)
⑤ベルヌ条約
⑥商標法に関するシンガポール条約(STLT)
Column 5 知的財産に関わる条約
著作権法
19 著作権法の目的と著作物
①著作権法の目的
②著作物とは
③著作物の例示
④その他の著作物
⑤保護対象とならない著作物
20 著作者
①著作者とは
②共同著作
③職務著作(法人著作)
④映画の著作物
21 著作者人格権
①著作者の権利
②著作者人格権とは
22 著作(財産) 権
①著作(財産)権とは
②著作権の発生と存続期間
③著作権の移転と譲渡
④出版権
23 著作権の制限
①著作権の制限規定
24 著作隣接権
①著作隣接権とは
②著作隣接権の発生と消滅
25 著作権の侵害と救済
①著作権侵害とは
②登録制度
③著作権侵害に対する救済
Column 6 肖像権とパブリシティ権
その他の知的財産に関する法律
26 不正競争防止法
①不正競争とは
②なぜ不正競争行為は禁止されるのか
③不正競争行為の類型
④不正競争行為への対応
27 民法
①民法と契約
②契約の有効要件
③契約内容が実行されない場合の措置
28 独占禁止法
①独占禁止法とは
②禁止される行為
③知的財産権法と独占禁止法の関係
④独占禁止法の運用
29 種苗法
①種苗法の目的と保護対象
②保護方法
③品種登録要件
④出願手続
⑤育成者権の効力とその制限
30 弁理士法
①弁理士法の使命
②弁理士の業務
本書の活用方法
知的財産を初めて学ぶ方へ
本書を利用するにあたって、身の回りにある知的財産に関連する物事を思い浮かべながら、まず一度通読することをおすすめします。最初はよくわからない箇所もあるかと思われますが、細かい点にとらわれず、とにかく最後まで読んでみましょう。
知的財産法という分野には複数の法律が含まれていますが、どれも人の頭から産み出された成果物を保護している点においては共通しています。はじめに知的財産制度全体を概観し、それぞれの法律が、どのような目的で、どのような知的成果物を保護しようとしているのかを把握することが大切です。各法律を大まかに知ることができれば、それぞれの違いもわかります。
・本書の構成
本書の特徴と、効率的な学習方法を紹介します。
(1)「事例とQuestion」「Lesson」「正解と解説」の3部構成
本書は、日々の業務や生活で接する機会の多い身近にある出来事をベースとした知的財産関連の事例を扱っている「事例とQuestion」、「事例」で取り上げた内容についての法律知識を解説する「Lesson」、学習成果とQuestionの正解を確認できる「正解と解説」の3部構成になっており、法律ごとに全6章・30項目から構成されています。「事例とQuestion」→「Lesson」→「正解と解説」と進めることによって、知識をより深く理解し、着実に習得できるようになっています。本書で学習を進めることで、身近にある出来事に対処するための知識や技能を身につけることができます。
(2)身近にある出来事をベースとした「事例とQuestion」
「事例とQuestion」では、日々の業務や生活で接する機会の多い身近にある出来事を題材とした知的財産関連の事例をベースとしています。場面を想像しやすい事例から入ることで、後の「Lesson」で解説されている知的財産に関する法律や知識をより理解しやすくしています。
(3)法律ごとの6章に分け、知識を解説した「Lesson」
本書は、法律ごとに全6章・30項目に分けた構成にし、それぞれの項目について「Lesson」で知的財産に関する法律や知識を細かく解説しています。重要な用語は赤字にしており、また、わかりやすさを追求し、図表も多数掲載していますので、学習を進めやすい仕様となっています。
(4)「Lesson」での学習成果と「Question」の「正解確認のための「正解と解説」
「Lesson」で学習した成果と「Question」の正解確認のための「正解と解説」を掲載しています。一つひとつの選択肢について詳細に解説していますので、「Lesson」で学習した成果を確認でき、知識を定着することができます。