図解 介護保険のしくみと使い方がわかる本 (介護ライブラリー)




【介護保険を理解するためのおすすめ本 – 介護・福祉の資格の参考書にも!】も確認する

まえがき

介護保険制度ができたのは二〇〇年。高齢者の増加、核家族化など、さまざまな面からの需要があって、保険としてのしくみができました。

そもそも「保険」とは、提供する側と受ける側が共同でつくりあげるものです。これを「共同連帯の理念」といいますが、お互いの助け合いで成り立つしくみです。今は介護が必要ではない人も、介護保険料を支払って、この制度を維持していく義務があります。

介護が必要になった人に対しては、身の周りのお世話だけでなく、自立を支援することが介護保険の理念です。あくまでも利用者本位ということで、利用者本人の選択が基本です。強制されるわけではありません。とはいえ、介護は長期にわたります。介護される人もする人も、介護保険を利用して、介護生活をのりきってほしいと思います。介護の手助けだけでなく、利用者の自立をめざし、介護が必要となる状態が軽減されること、または体調の悪化防止になることを目標にしてください。

介護保険制度ができてから一八年たち、介護のニーズはますます高まっています。介護が必要な人も年々増え、財源も介護スタッフも余裕はなく、厳しい状況です。むだのないよう、しかし不足しないよう、利用したいものです。利用者は、自宅で過ごしたいという気持ちをもっているので、介護保険制度は、自宅でサービスが受けられるように組み立てられています。その希望に沿ったサービスを選べるよう、本書では利用者側に立った解説をしています。

介護保険制度は、三年に一度、改正されます。本書では、二〇一八年四月現在の情報をもとにしていますが、金額等、細かい内容が変わって いることがあります。細心の注意をもって監修にあたりましたが、介護保険のサービスを利用する際には、ケアマネジャーや市区町村の窓口 等で、確認することをおすすめします。なお、本書は私個人による監修であり、所属する組織の見解等とはなんらかかわりはありません。

本書がみなさまのお役に立つことを祈念しております。

パラマウントヘルスケア総合研究所長
牛越 博文

牛越 博文 (監修)
出版社 : 講談社 (2018/7/26)、出典:出版社HP

もくじ

まえがき
ケース1 認知症が進み、いっときも目が離せない
ケース2 突然の事故で、夫を介護してくれる人が必要
ケース3 一人暮らしの母親が買い物に不自由している
介護保険について知るなら、まず、基本的なしくみから
介護保険証を呈示するだけでは、介護保険は利用できない

1 申請から介護サービス開始まで
全体の流れ 自分たちがやることはこれだけある
申請1 住んでいる市区町村の役所に申請する
申請2 申請には二種類の書類を提出する
調査 本人のありのままの状態を見てもらう
認定 要介護度が記された認定通知書が届く
要介護度 要介護、要支援の七段階がある
ケアマネ決定 キーパーソンとなるいいケアマネを探す
ケアプラン作成 ケアマネの原案をみんなで検討する
担当者会議 介護サービスに関わるメンバーが集合
契約 信頼できるサービス事業者と契約する
コラム 認定結果に納得できないときはどうすればいい?

2 利用できる介護サービスを知る
要介護の場合1 介護保険を利用できるサービスは三種類
要介護の場合2 三つの介護サービスを柱に組み立てる
要支援の場合 介護予防のためのサービスがある
非該当の場合 利用できるサービスが二つある
ケアプラン サービスの組み合わせ方を見てみよう
ケアプラン例1 一人暮らし・軽い半身マヒがある (70歳・男性)
ケアプラン例2 夫婦二人暮らし・認知症の進行がみられる (80歳・男性)
ケアプラン例3 家族と同居・骨折で入院後、車椅子で生活 (90歳・女性)
不足を補う 「介護保険+α」や「地域資源」の活用を
認知症の場合
遠距離で一人暮らしの場合
コラム ボランティアは利用も参加もおすすめ

トピックス 2018年度改正で利用者が知っておきたいポイント
改正の目標 自立支援・重度化防止が重視された
お金1 収入が多い人は自己負担額が3割に
お金2 40~64歳の人の保険料が変わる
お金3 福祉用具、住宅改修の費用をわかりやすく
施設1 介護と福祉が1つの事業所にまとまる
施設2 「介護療養型医療施設」から「介護医療院」へ
支援チーム 認知症介護の支援チームを設置する

3 介護保険料について知り、見通しを立てる
財源 税金と被保険者が納めたお金で運営
支払い1 所得に応じて自己負担額が違う
支払い2 サービスが使える上限額が決まっている
支払い3 上限額を超えた分は戻ってくる
コラム もし、保険料を支払っていなかったらどうなるの?

4 自宅で暮らしながら介護サービスを受ける
来てもらう1 訪問介護(ホームヘルプ)ヘルパーさんが来てくれる
来てもらう2 訪問入浴介護 自宅に簡易浴槽が運ばれてくる
来てもらう3 訪問看護 病気の看護も必要なら
来てもらう4 訪問リハビリテーション 自宅でリハビリを進める
来てもらう5 居宅療養管理指導 療養のしかたを管理してもらう。
来てもらう6 定期巡回・随時対応型訪問介護看護 24時間態勢でホームヘルパーや看護師が対応
来てもらう7 夜間対応型訪問介護 深夜から早朝までのサービス
施設に通う1 通所介護(デイサービス) 食事や入浴などを楽しみながら
施設に通う2 通所リハビリテーション (デイケア) 自立を目指してリハビリを受ける
施設に通う3 認知症対応型通所介護 認知症に限定したデイサービス
コラム 介護する人は自分の心身の健康も大切に
施設に宿泊1 短期入所生活介護/短期入所療養介護 (ショートステイ) 短期間宿泊して機能訓練などを受ける
施設に宿泊2 小規模多機能型居宅介護/看護小規模多機能型居宅介護 来てもらう、通う、宿泊のセットサービス
その他1 福祉用具貸与/特定福祉用具販売 福祉用具のレンタルと購入
その他2 住宅改修 自立に向けてバリアフリーに
コラム ホームヘルパーには「やってはいけないこと」がある

5 施設で暮らしながら介護サービスを受ける
施設の種類 介護保険施設と、それ以外の介護施設等
施設の選び方 施設を選ぶときのチェックボイント
介護保険施設1 介護老人福祉施設 (特別養護老人ホーム/特養) 福祉+介護の生活の場
介護保険施設2 介護老人保健施設(老健) 医療+介護で在宅復帰を目指す
介護保険施設3 介護療養型医療施設 (介護医療院へ) 長期の療養が必要な人は
介護施設等1 認知症対応型共同生活介護 (グループホーム) 認知症の人が一緒に暮らす
介護施設等2 有料老人ホーム 特定施設入居者生活介護を受けられることも
介護施設等3 サービス付き高齢者向け住宅(サ高住) 特定施設入居者生活介護を受けられることも
介護施設等4 その他の介護施設等、探せばまだまだいっぱいある

巻末資料
困ったときの相談窓口/特定疾病/ マイナンバー確認のために必要な書類/ 高額医療・高額介護合算療養費制度の基準額/ 地域区分の適用地域

牛越 博文 (監修)
出版社 : 講談社 (2018/7/26)、出典:出版社HP