改訂新版 図解でわかる はじめての電気回路




【電気回路を理解するためのおすすめ本 – 電気主任技術者試験などの参考書にも!】も確認する

はじめに

この本を開いた皆さんは「回路初心者」だと思います。本書は初心者待に応えるように、分かりやすい簡単な表現や計算過程(途中式)を用い富な絵や図を盛り込んでいます。「本書では、次のような英語の文字を含んだ計昇がたくさん出てきますがやり方は一般的な数学と何ら変わりありません。

V=I×R(Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗を意味します)

「数字だと計算できるけど、文字の計算は苦手」と言う人も、まず最初にその英文と(量記号)がいったい何を意味しているのかを理解し、数字と変わらぬ心構えで落いて考えれば難しくありません。また計算には「単位」の考え方も必要になってきます。

ところで皆さんは、電気の存在を意識して生活していますか?電気が各家庭に送られてくるのは、ごく当たり前のようになっていますから、停電の時などに「吾気がないと生活が不便」になり、電気の存在に気が付くのでしょう。ところが、最近はほとんど停電などは起こりませんから、よけいに電気の存在は意識しなくなっています。

次に、「電気製品にはどのようなものがありますか?」と質問してみると、パソコン、テレビ、テレビゲーム、掃除機……など様々なものが浮かびます。これらの雷気製品は「電気回路の集合体」と言っても過言ではないのです。この電気回路の集まりの基本を、本書で分かりやすく説いていきます。本書では、電気回路の基本になるている電流、電圧から始まり、抵抗、コンデンサ、コイルなどの回路素子の電気的特性を学びます。

また電池のような直流だけではなく、一般家庭にも送られてきている交流についても解説しています。さらに「電気分野」は広範囲ですから、発電の原理、トランジスタ・ダイオードなどの半導体や電子回路についても簡単に触れています。最後には「ACアダプタの基本原理なども取り上げ、抵抗やコンデンサ、半導体などの回路素子をどのように組み合わせるかで、電気をどのように利用するかも学びます。

本書を電気回路の入門書として活用して頂けると思いますが、「教科書」のように読むのではなく、電気が起こす現象などを楽しんでいただきたいと思います。また応用書への橋渡し的な存在と内容となっています。従って、本書をもとにより深い内容を学ぶには、自分にあった応用書を見つけて、そちらをお読みください。

電気と回路素子の組み合わせは、まだまだ無数にあります。皆さんが発明する電気製品もこれから登場し、より便利な暮らしになるかもしれません。皆さんの電気回路のさらなるステップアップを筆者は願います。

著者

大熊 康弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2017/8/4)、出典:出版社HP

目次

第0章 本書の計算で扱う基礎
0-1 指数
0-2 指数表現と元の数への変換
0-3 指数のマイナス
0-4 接頭語
0-5 常用対数
●常用対数のかけ算、指数計算、割り算
練習問題

第1章 電流と電圧
1-1 電流とは
●原子の構造
●電子を飛び出させる
●自由電子
1-2 原子のイオン化
1-3 電荷
1-4 電流の表し方
1-5 電流と電子の流れる方向
1-6 電圧
1-7 電位
1-8 電圧の表し方
1-9 起電力

第2章 電気回路
2-1 電気回路
2-2 オームの法則
2-3 コンダクタンス
2-4 電圧降下
2-5 電位の高・低を表す矢印

第3章 合成抵抗
3-1 合成抵抗
3-2 合成抵抗の計算
●合成抵抗を実際に求めよう
●合成抵抗を求める式を導こう
練習問題

第4章 キルヒホッフの法則
4-1 キルヒホッフの第1法則(電流に関する法則)
4-2 キルヒホッフの第2法則(電圧に関する法則)
4-3 キルヒホッフの法則を用いた電流の計算例
練習問題

第5章 ホイートストンブリッジ
5-1 ホイートストンブリッジによる抵抗の測定

第6章 直流回路と回路素子
6-1 抵抗器
6-2 抵抗
6-3 抵抗値の温度変化
●抵抗の温度係数
6-4 電気エネルギーと電力量
6-5 電力
6-6 ジュールの法則
6-7 抵抗値の読み方
6-8 コイル
6-9 磁気力と磁場
6-10 磁極と磁極の強さ
6-11 クーロンの法則
6-12 比透磁率
6-13 磁界の強さ
6-14 磁束と磁束密度
練習問題

第7章 電流が作る磁界
7-1 磁力線の方向
7-2 紙面に対しての向き (ドットとクロス)
7-3 コイルが作る磁界
7-4 ビオサバールの法則
7-5 コイルの中心の磁界の強さ
7-6 アンペアの周回路の法則
練習問題

第8章 磁気回路
8-1 起磁力Fmと磁気抵抗Rm
8-2 磁気回路のオームの法則 練習問題

第9章 電磁力
9-1 電磁力
9-2 フレミングの左手の法則
9-3 電磁力の大きさ

第10章 電磁誘導
10-1 電磁誘導
10-2 ファラデーの法則
10-3 誘導起電力の方向
10-4 レンツの法則
10-5 フレミングの右手の法則
●電線が磁界を切ったときの起電力の大きさ
10-6 相互誘導と相互インダクタンス
10-7 自己誘導と自己インダクタンス
10-8 変圧器(トランス)
練習問題

第11章 静電気とコンデンサ
11-1 静電気と静電力
●静電力
11-2 静電気に関するクーロンの法則
11-3 電界と電界の強さ
11-4 電気力線
11-5 電気力線密度と電界の強さ
11-6 電荷Q[C]から出る電気力線数
11-7 電束と電束密度.
11-8 静電誘導
11-9 コンデンサと静電容量(その1)
11-10 静電容量の読み方
11-11 コンデンサと静電容量(その2)
11-12 コンデンサの合成容量
① 直列接続の合成静電容量
② 並列接続の合成静電容量
11-13 コンデンサの蓄(充)電作用と放電作用
練習問題

第12章 交流の基礎
12-1 直流と交流
12-2 交流電圧の発生
12-3 弧度法
12-4 角速度
12-5 瞬時値
12-6 周期と周波数
12-7 交流を表す振幅、平均値、実効値
12-8 位相差
●交流電圧の式
12-9 ベクトルとベクトル表示
12-10 ベクトルの計算
12-11 ベクトルの分解

13章 交流回路
13-1 抵抗だけの交流回路
13-2 コイル(インダクタンス)だけの交流回路
13-3 コンデンサだけの交流回路
13-4 抵抗RとコイルLの直列回路
13-5 抵抗Rとコンデンサの直列回路
13-6 抵抗R、コイルム、コンデンサCの直列回路
① X>Xcの場合(誘導リアクタンス>容量リアクタンス)
② X<Xcの場合(誘導リアクタンス<容量リアクタンス)
③ XL=Xcの場合(誘導リアクタンス=容量リアクタンス)
13-7 RLC並列接続回路
① X<Xcの場合(誘導リアクタンス<容量リアクタンス) ② X>Xcの場合(誘導リアクタンス>容量リアクタンス)
③ X=Xcの場合(誘導リアクタンス=容量リアクタンス)
13-8 交流の電力
13-9 抵抗だけの回路の電力
13-10 コイルまたは、コンデンサだけの回路の電力
13-11 RLC直列回路の電力
練習問題

第14章 複素数による交流の計算
14-1 虚数と複素数
●複素数
14-2 ガウス平面(複素平面)
14-3 複素数に「j」または「-j」をかけてみよう
14-4 複素数を使った交流回路の計算
練習問題

第15章 三相交流
15-1 三相交流の発生
15-2 三相交流のベクトル
15-3 三相交流回路の基礎
15-4 星形(スターまたは、Y)結線の電圧と電流
15-5 Y-Y結線回路
15-6 4-4結線の電圧と電流
15-7 4→XY→A変換
練習問題

第16章 半導体
16-1 半導体とは
16-2 半導体の基本的な材料
16-3 ホールの流れとキャリヤ
16-4 真性半導体
16-5 p形半導体
16-6 n形半導体
16-7 多数キャリヤと少数キャリヤ
16-8 pn接合ダイオード
16-9 ダイオードの特性
16-10 その他のダイオード
16-11 トランジスタの構成と動作原理
16-12 トランジスタの接地法
16-13 トランジスタの電流増幅率
16-14 トランジスタの静特性
16-15 トランジスタのカパラメータと等価回路
16-16 トランジスタの名前と外形
16-17 バイアス
16-18 バイアス回路
練習問題

第17章 トランジスタを使った簡単な低周波増幅回路の設計
17-1 負荷線と動作点
17-2 入力信号と出力信号の関係を明確にしよう
17-3 動作点の位置
練習問題

第18章 トランジスタ増幅器の増幅度・利得・周波数特性
18-1 増幅度と利得.
●増幅度
●利得
18-2 周波数の変化による利得の変化
18-3 負帰還増幅回路の周波数特性
練習問題

第19章 電界効果トランジスタ
19-1 電界効果トランジスタの動作原理.

第20章 交流電源から安定な直流電源を作ろう(直流安定化電源)
20-1 整流回路
① ダイオードによる半波整流回路
② 整流ブリッジを利用した全波整流回路
20-2 平滑回路(フィルタ)
20-3 定電圧回路(安定化回路)
●定電圧回路
練習問題

column
指数表現のあれこれ
人間はlog?
急に会いたい!
テントウ虫で覚えましょう
抵抗の直列回路と並列回路の電圧と電流の関係
並列接続は「和分の積」で合成抵抗を求めよう
ちょっと電気製図の話
同じ抵抗値の並列合成抵抗
愛情は熱いもの?
sin. cos, tan
電・磁力
渋柿はイヤー!!
コンデンサでも和分の積
交流を表す記号
AC 100[V]
基準はどっち?
増幅度の計算は対数が便利

CHALLENGE CORNER
その他の抵抗値の測定方法を調べてみよう
交流電源について調べてみよう
「力率改善」について調べてみよう
MOS形FETの電流制御原理を調べてみよう
トランス(変圧器)とダイオードでできる全波整流回路を調べてみよう

大熊 康弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2017/8/4)、出典:出版社HP