電気回路を理解するためのおすすめ本 – 電気主任技術者試験などの参考書にも!




電気回路の基礎知識を身につけよう

電気回路は大きく分けると「直流回路」と「交流回路」の2つに分けられており、これらは電気通信、工学関連の資格取得において必要となる項目です。ここでは、電気回路の説明に加え、資格を取得する上でも役立つ本をご紹介します。

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出典:出版社HP

基礎から学ぶ 電気回路計算(改訂2版)

はじめに

我が国では,工学分野をめざし活躍する人の進出に期待が寄せられています.期待された人々は頑張り屋で広い専門知識と技術を持つことが要求されます.電気工学エンジニアとして活躍する人は,基礎として計算力,電気理論,電気回路の知識が必要ですが,本書は,電気回路の知識および解析力を身につけるための手助けをいたします.

めざすのはオームの法則とキルヒホッフの法則を理解することであります.オームの法則は,1827年に出版された彼の「電気回路の数学的研究」の中で明らかにされました.そして,1845年にはキルヒホッフの法則が発表されました.これらの法則によって複雑な電気回路も解析できるようになったのです.しかしながら,sinやcosを用いて表される交流回路の電圧・電流の計算は複雑で面倒でした.ところが,1897年,スタインメッツは,複素数を交流回路計算に応用し,比較的容易な手法で計算できることを明らかにしてくれたのです。

これからみなさんと共にめざすのは,こうした先人たちの研究によって導かれたオームの法則,キルヒホッフの法則,スタインメッツの記号法を理解し,応用できるようになることです.各章は,基礎的な設問からはじまります。自分の力で解答できたら,次の設問に進んでください。もし,理解できないときは解説をじっくりと読んでください。法則,計算法,考え方を解説しています.設問はだんだん難しくなりますが,みなさんはノート・エンピツ・電卓を持ち、粘り強くがんばってください。

各章の設問を終えた方には自習問題が待っています。解答できたときは、その喜びを静かにたっぷり味わってください。それは,困難を乗り越えた人だけに与えられた喜びであり実力でありますから.なお電気の歴史についての記述・資料は、東京工業大学名誉教授・山崎俊雄先生/同名誉教授・木本忠昭先生および元全国工業高等学校長協会理事長・岩本洋先生の成書によります。お礼申し上げます。

最後になりましたが,本書が電気回路を学ぶみなさんと出会う機会を与えてくださったオーム社に感謝いたします。

2015年11月25日
永田博義

永田 博義 (著)
出版社 : オーム社 (2015/12/16)、出典:出版社HP

もくじ

第1章 直流回路の計算1 オームの法則
オームの法則
電流・電圧・抵抗 電力と電力量
湯沸かし器の電力と電力量
抵抗の直列接続
直列回路の電力
キルヒホッフの電圧則 (第2法則)
電圧源の直列接続
抵抗と分圧(電圧の分割)
抵抗の並列接続
並列回路の合成抵抗
並列回路とコンダクタンス
キルヒホッフの電流則(第1法則)
未知電流
分流式
直並列回路
抵抗と消費電力
ラダー回路
電圧源と内部抵抗
電位と電位差
電位差
3端子可変抵抗器と負荷抵抗
倍率器
2台の電圧計による電圧測定
電圧計の内部抵抗
分流器
2台の電流計で測定
電流を1:2に分割
文字式計算
電流を2倍にする
短絡した時の電流
電池1個の内部抵抗
ブリッジ回路と平衡条件
ホイートストンブリッジ
最大消費電力
・自習問題 (問1-1~問1-42)

第2章 直流回路の計算2 キルヒホッフの法則とべんりな定理
キルヒホッフの法則と枝路電流法
ループ電流法
クラメルの公式
3線式電線路
電圧源と電流源-1
電圧源と電流源-2
電圧源と電流源-3
重ね合わせの理-1
重ね合わせの理-2
△-Y変換
Y-△変換
ブリッジ回路の合成抵抗
節点電圧法-1
節点電圧法-2
ミルマンの定理-1
ミルマンの定理-2
テブナンの定理-1
テブナンの定理-2
ノートンの定理
ブリッジ回路の電流
可逆の定理
・自習問題(問2-1~問2-35)

第3章 交流回路の計算1 オームの法則と記号法
正弦波交流電圧と電流の瞬時値式
最大値・角速度・周波数
交流電圧と電流の波形
ラジアンと度数
平均値と実効値
電流の和
複素数の四則計算
S(スタインメッツ)表示
S表示による掛け算と割り算
四則計算とベクトル
瞬時値式とS表示
直交表示による電流の和
電流の和
抵抗R[D]の電流と電圧
インダクタンスL [H] の電流と電圧
静電容量C [F] の電流と電圧
R-L直列回路のインピーダンス
交流回路におけるオームの法則
直列回路のインピーダンスZ [Ω] インピーダンスの端子間電圧 V [V] 未知インピーダンス・ R-C 直列回路
R-L-C 直列回路
電圧分割式
R-L 並列回路
並列回路のインピーダン
分流式
R-L-C 並列回路とアドミタンスY [S] 位相差
インピーダンスZ [2] とアドミタンス[S] の関係
電圧測定と未知インピーダンス
未知リアクタンス
有効電力P[W] 無効電力 Q [var] 皮相電力S[V・A] 電力三角形
力率改善
直交表示による有効・無効電力計算
並列回路の電力三角形
周波数変化と力率
直列共振回路
直列共振周波数
理想並列共振回路
並列共振回路
並列共振周波数-1
並列共振周波数-2
・自習問題(問3-1~問3-43)

第4章 交流回路の計算2 キルヒホッフの法則とべんりな定理
枝路電流法
枝路電流法とループ電流法
ループ電流と電力
重ね合わせの理
電圧源と電流源
節点電圧法
重ね合わせの理と節点電圧法
テブナンの定理とノートンの定理
ブリッジ回路の電流
ミルマンの定理-1
ミルマンの定理-2
A-Y変換
A-Y負荷のインピーダンス
最大消費電力定理
最大消費電力-1
最大消費電力-2
可逆の定理-1
可逆の定理-2
ひずみ波回路
ひずみ波の波形
ひずみ波回路の電圧と電流
ひずみ波電圧・電流の実効値
ひずみ波電流の実効値計算
ひずみ波回路の皮相電力
消費電力
力率
ひずみ波回路の消費電力-1
ひずみ波回路の消費電力-2
ひずみ波回路の消費電力-3
ひずみ波回路の消費電力-4
・自習問題(問4-1~問4-43)

第5章 交流回路の計算3 三相回路
三相交流電源
Y電源とA電源
相電圧と線間電圧
Y負荷とA負荷
Y-Y回路の電力
A-A回路の電力
線間電圧・線電流と電力
Y-A回路の電力
A-Y回路の電力
負荷のA-Y変換およびY-A変換
Y-A変換
A-Y変換
三相電力
三相電力の測定
不平衡Y負荷-1
不平衡Y負荷-2
不平衡△負荷
・自習問題(問5-1~問5-25)

自習問題の解答
1章自習問題の解答
2章自習問題の解答
3章自習問題の解答
4章自習問題の解答
5章自習問題の解答
付録:理解しておこう/覚えておこう 基本法則と公式
直流回路/交流回路/直角三角形と三角比/三角関数の公示
微分・積分の公式

永田 博義 (著)
出版社 : オーム社 (2015/12/16)、出典:出版社HP

電気回路が一番わかる (しくみ図解シリーズ)

はじめに

「複素数って何だろう」「複素数って聞いたことがあるけど訳がわからない」「複素数と電気回路に何の関係があるのだろう」

電気は止まっている電気と動いている電気があります。電気は動くことによっていろいろな働きをしますが、電気が動くためには電気回路が必要になります。そして、電気回路がどのように働くのかを知るためには、電気回路のそれぞれの部位にどのくらいの電流が流れ、どのくらいの電圧がかかるのかを考える必要があります。しかし、電気は目に見えないものなので、電気の理論や法則に基づいて予想しなければなりません。

直流の電気回路は、比較的簡単な計算で電気回路の状態を予想することができますが、交流の電気回路は「波形」や「位相」など直流回路にはない概念が存在するため、「複素数」という数を用いて考える必要があります。「複素数」は使いこなすことができれば非常に便利なのですが、ただでさえとっつきにくい交流の電気回路を、複雑怪奇な「複素数」で考えられるようになるのは、骨の折れる努力が必要なのではと、「複素数」が大きな壁になっているのも事実です。

そこで、本書ではまず電気の基本や直流と交流の違いを考え、その次になぜ交流の電気回路の解析に「複素数」が必要なのか、「複素数」を理解し、使いこなすコツは何か、「複素数」を実際に活用するにはどのように扱うのかという3つのポイントに着目してみました。この3つのポイントはきっと「複素数」の壁を壊す一助になると思っています。本書を手に取られた一人でも多くの方が、「複素数」というツールを自由自在に使いこなせる様になられることを、心より祈念しております。

有馬良知

有馬 良知 (著)
出版社 : 技術評論社 (2018/11/28)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 電気のしくみ
1 懐中電灯のしくみ
2 原子と電子
3 電子の振る舞い
4 電流は正電荷の流れ
5 電流の特徴
6 電子はノロノロ動く
7 電気を流す力<電圧>(1)
8 電気を流すカ<電圧>(2)
9 電気の流れを妨げる力<抵抗>(1)
10 電気の流れを妨げる力<抵抗>(2)
11 電気のエネルギー<電力>
12 電力量

第2章 直流回路入門
1 直流とは
2 電圧、電流、抵抗の関係(オームの法則)
3 ショートとは
4 抵抗の直列接続
5 抵抗の並列接続
6 電圧の配分(分圧)
7 分流
8 キルヒホッフの法則(電流則)
9 キルヒホッフの法則(電圧則)
10 電池の直列接続
11 電池の並列接続
12 電球の直列接続と並列接続の違い(1)
13 電球の直列接続と並列接続の違い(2)

第3章 静電気と磁気
1 動く電気と動かない電気
2 電界
3 クーロンの静電界の法則
4 静電誘導
5 コンデンサのしくみ
6 静電容量
7 磁石
8 磁界
9 クーロンの静磁界の法則
10 磁気誘導
11 コイルのしくみ
12 フレミング左手の法則
13 フレミング右手の法則
14 自己誘導作用
15 相互誘導作用

第4章 交流回路入門
1 交流とは
2 正弦波交流
3 周波数
4 瞬時値
5 実効値
6 最大値と平均値
7 交流回路の抵抗、コンデンサ、コイル
8 コンデンサ
9 容量リアクタンス
10 コイル
11 誘導リアクタンス
12 位相
13 位相差
14 インピーダンス
15 交流の電力
16 力率
17 力率改善
18 単相交流の配電方式
19 三相交流の配電方式
20 三相の特徴

第5章 復素数入門
1 複素数とは
2 複素数とベクトル
3 複素数の合成
4 三角関数
5 単位円
6 いろいろな三角関数
7 極座標表示
8 極座標表示の和差積商
9 60分法と弧度法
10 正弦波交流の瞬時式
11 リアクタンスのベクトル
12 インピーダンスのベクトル
13電力のベクトル
14 さまざまな複素数の表し方
15 複素数の活用(1)<力率>
16 複素数の活用(2)<三相交流>

参考文献
資料:電気公式集
用語索引

コラム 目次
電気回路のトラブル1 短絡
電気回路のトラブル2 漏電
電気回路のトラブル3 トラッキング
電気回路のトラブル4 感電
電気回路のトラブル5 雷

有馬 良知 (著)
出版社 : 技術評論社 (2018/11/28)、出典:出版社HP

基本からわかる 電気回路講義ノート

監修のことば

私たちは日ごろあらゆる場面で電気を利用し快適で便利な生活を送っています.これほどまでに電気の恩恵を享受できるようになったのは,近年電気電子工学が著しく発展したことによります。電気電子の専門家を目指すには,先ず基本原理を体系的に学び,これを理解する必要があります.

電気電子工学を修得するための第一歩は電気回路をマスターすることです。電気は直接目に見えないので、頭の中にいろいろな現象をイメージすることが大切です。電気回路の学習を通して電気の様々な動作を十分に理解したのちに,それぞれの専門分野を学ぶことが,エキスパートになるための最良・最短の道です.

本書は電気電子工学の基礎である電気回路を初心者にできるだけわかりやすく記述したものです.これまでにも、ビギナーを対象とした教科書・参考書は多数出版されていますが,電気回路の本質まで掘り下げて理解を深めることを意図したものは少ないように思われます。たとえ取り上げる項目が広範・多岐で,かつ記述が平易であったとしても,より深い理解が得られるようでなければ,専門分野を学習するための基礎力を養うことは困難でしょう。

そこで本書では、専門分野の学習に支障のない程度の基本的な力が得られるよう対象項目を限定し,それぞれについて丁寧に記述することにより深く理解できることを目指しました。これを実現するため,電気回路の教育経験の豊富な大学教員に執筆をお願いしました。執筆にあたっては、読者の理解をより容易にするため、執筆者間の連携を密にして本の統一感が損なわれないように留意しています.

本書は、全体で8章より構成されています。先ず電気回路の学習を始めるにあたり、直流の基礎を十分理解するため1章「直流は電気回路の登竜門」を記述し,電圧,電流,電力,熱などの関係や,2章以下の学習に繋がる基本事項について「説明しています。次いで、2章「直流回路」ではオームの法則ほかの基本法則や回路方程式の立て方,電源の考え方や種々の定理とその利用法などについて学習します.3章「交流の基礎」では日常利用している交流について基礎的事項を十分理解を深めたうえで,正弦波交流とフェーザや複素計算法の関連などについて学習します。

次いで、4章「交流回路」では交流の基本的な回路の理論的な取扱いについて理解したのち,共振回路の特性や2章で学んだ各種定理の交流回路における利用法などを学習します.さらに,5章「電力」では,交流回路における電力の考え方を理解し,有効電力,皮相電力,無効電力,力率などについて学習します。6章「相互誘導」では,ファラデーの電磁誘導の法則を基に二つの巻線間の電磁気的な相互作用を理解するとともに巻線のドット表示や変圧器の基本等について学習します.7章「二端子対回路」では2組の端子対を持つ回路を種々なパラメータを用いて取り扱う方法について学習します.最後に,8章「三相交流」では発電所や送配電システム各種電源などに利用される三相交流の基本的な回路について,電力も含めて学習します。

本書で扱う内容を十分学習し、理解できた方は電気電子工学の基礎的な力が十分に備わったと考えてよいでしょう。ただし,「理解した」ということは,ある事項を他の人に説明する場合,納得していただくことを意味します.この場合,皆さん自身の言葉で説明しなければならないことは言うまでもありません.それでは,電気回路の学習を始めましょう.

2014年1月
監修者 西方正司

岩崎 久雄 (著), 鈴木 憲吏 (著), 鷹野 一朗 (著), 松井 幹彦 (著), 宮下 收 (著), 西方 正司 (監修)
出版社 : オーム社 (2014/2/25)、出典:出版社HP

目次

1章 直流は電気回路の登竜門
1-1 直流とは
1-2 電圧と電流
1-3 オームの法則抵抗Rの性格を表した法則
1-4 電力
1-5 合成抵抗
1-6 分圧と分流
1-7 3-Y変換
練習問題

2章 直流回路
2-1 キルヒホッフの法則
2-2 回路方程式
2-3 電圧源,電流源
2-4 重ね合わせの理
2-5 テブナンの定理
2-6 ブリッジ回路
練習問題

3章 交流の基礎
3-1 交流とは
3-2 正弦波交流
3-3 フェーザ表示とフェーザ図
3-4 交流基本回路
3-5 交流回路の複素計算
練習問題.

4章 交流回路
4-1 交流回路とは
4-2 周波数特性と共振回路
4-3 交流回路における各種定理の適用
練習問題

5章電力
5-1 交流電力の考え方
5-2 有効電力
5-3 皮相電力と無効電力
5-4 力率
5-5 複素電力
練習問題

6章 相互誘導
6-1 相互誘導回路
6-2 ドット表示
6-3 等価回路と理想変圧器
練習問題

7章 二端子対回路
7-1 二端子対回路の定義
7-2 二端子対パラメータ
7-3 二端子対回路の接続
練習問題

8章 三相交流
8-1 対称三相交流
8-2 電源のY結線と△結線
8-3 Y結線負荷の電圧・電流
8-4 △結線負荷の電圧・電流
8-5 A-Y変換とY-A変換
8-6 三相電力
練習問題

練習問題解答&解説
索引

岩崎 久雄 (著), 鈴木 憲吏 (著), 鷹野 一朗 (著), 松井 幹彦 (著), 宮下 收 (著), 西方 正司 (監修)
出版社 : オーム社 (2014/2/25)、出典:出版社HP

これならわかる回路計算に強くなる本 (電気徹底攻略シリーズ)

まえがき

この本は、教科書のように、かしこまった本ではない.教科書は,なるべく簡潔に,そして厳密に正しく,といったことを目標に書かれているようである.したがって、読んで分かりにくい.本書はこれとは逆に,あまり厳密な記述ではないが,読んで分かりやすく,ここが大切だということを重点に,幾分おしゃべり気味に書いたつもりである.

高校で電気の勉強をした人,あるいは,電験3種・2種の勉強をしている人で,回路計算をしていて,どうもここの所は分かり難い,という所があると思う.例えば,相互インダクタンスMの前の土の符号はどう決めるか,とか,電源も負荷も△の,いわゆる△-△結線の三相回路では、キルヒホッフの電圧則の式をいくつ立てたらよいか,といったことを確信を持って説明できる人は割に少ないのではないだろうか.本書は,このような問題について,大げさにいえば、その極意を説明したいと思って書いたものである.

本書の前半は、直流回路・交流回路・三相回路といった,電気の勉強をした人にとってなじみが深い基礎的なテーマである.これに対して後半は、ベクトル軌跡・四端子回路・対称座標法・過渡現象・進行波などの,どちらかというと取りつき難いやや高級なテーマである.

前半のテーマは基礎的なもの,といっても,いろいろ問題がある,極端な話,オームの法則でも,不平衡三相回路になるとうまく使えない人が多い.電圧・電流あるいは電力の士というのは分かり難いものである.それは,正方向の考え方がシッカリしていないからである、正方向を理解することは大切である.本書では,一番最初に瞬時値の考え方を説明している.瞬時値の計算が,直流・交流・ひずみ波・過渡現象などの計算に一貫して基礎になっているからである.そこで,まず,正方向の考えを説明している.

とにかく,基礎的なことでも、いや基礎的なことだからこそ、理解を深めておかねばならないことが多いのである.前半では,基礎的なことで、大切なポイントを説明したつもりである.なお,1章の「回路計算の基礎」はやや抽象的なところもあり,分かりにくい面もあるので、読み進んだあとで、改めて読み直して戴くのも良いかと思われる.

後半のやや高級なテーマは,例えば,対称座標法はどうも取りつき難い,という人のために,その取りつき難い壁を取り払いたいと思って書いた.ベクトル軌跡・四端子回路・ひずみ波・対称座標法・過渡現象・進行波などが苦手な方も,本書を辛抱して読めば,必ず理解できると信じています.

回路計算を理解し,自由に計算できるようになるには,計算練習が必要である.頭の中で計算方法を思い浮べているだけでは上達しない.是非,鉛筆を持ち,自分で考えて,計算練習をして戴きたい、問題を解くにはいろいろな方法がある.いろいろな方法で解いてみるのは,有意義なことである.いろいろ変った方法で計算する内に,この問題は、この方法が一番早く,うまく解けるといった,最適の方法が見つかるものである.

本書では,相当丁寧に解答を書いたつもりである.解答を見ないで問題を解くべきであるが、最低のやり方でも、必ず問題を読み,解答を見て計算してみて戴きたい.また,細かいことで恐縮であるが,本書では,見開いた2頁で,記述内容をある程度まとめたつもりである.特に、文章と図とを離さないようにした.文章を読み、頁をめくって図を見て、また、文章を読み直す,といったことがないようにし、読みやすい本にすることを心掛けた.

以上、良いことばかりを並べたが,不備な点も多々あるかと思います.疑問がある点はご質問いただき,また,不備な点はご指摘いただければ幸いと思います.

昭和63年3月
紙田公

紙田 公 (著)
出版社 : 電気書院 (1988/4/1)、出典:出版社HP

目次

1 回路計算の基礎
1・1 数学をどう使うか
1・2 ディメンションは有力な武器
1・3 回路計算の根元は瞬時値の計算
1・4 正方向をきめないと回路計算はできない
1・5 -Ldi/dtか上di/dtか(逆起電力の正方向)
1・6 足すか引くかは正方向できめる
1・7 等価ということ
1・8 電圧源と電流源
1・9 双対性とは
1・10 電力と交流の平均値と実効値
1・11 答はこのように吟味しよう

2 直流回路の計算
2・1 オームの法則でも間違えることがある
2・2 並列合成抵抗の勘違い
2・3 分圧・分流計算を活用しよう
2・4 △-人変換の思い出し方
2・5 キルヒホッフの法則の式はいくつ必要か(法則の使い方)

3 正弦波交流電圧・電流の計算
3・1 ベクトルは正弦波交流の瞬時値を表している
3・2 ベクトルの加減算は瞬時値の計算である
3・3 複素数の重要公式
3・4 2を使えば直流計算と同じ
3・5 交流と直流の計算はどこが違うか
3・6 交流計算の手順
3・7 交流計算では正方向が大切である
3・8 電位差はどの経路で計算してもよい
3・9 電位差計算には地図ベクトルが便利
3・10 絶対値計算の近道
3・11 位相差の求め方

4 交流電力の計算
4・1 電力計算方法のいろいろ
4・2 電力の計算と正方向
4・3 電力はどちらに向かって流れるか
4・4 I^2Rを活用しよう
4・5 なぜ無効電力に+-があるのか
4・6 VIとVIとはどう違うか
4・7 電力は算術的,無効電力は代数的足し算

5 交流計算の諸手法
5・1 相互インダクタンスM
5・2 Mの±は極性符号と正方向できまる
5・3 MのV-Y変換と±
5・4 重ねの理のポイント
5・5電圧・電流は電源に置き換えられる
5・6 補償の理は重ねの理で考える
5・7 断線も重ねの理で考える
5・8 鳳・テブナンの理と等価電源
5・9 切ってテブナンの理を使う
5・10 鳳・テブナンの理はなぜ成り立つか
5・11 アドミタンスが便利な場合
5・12 回路の条件を求める問題

6 平衡三相回路
6・1 平衡三相回路
6・2 馴れると便利なオペレータa
6・3 中性線は有っても無くても同じ
6・4 平衡三相回路は人一人に変換できる
6・5 三相電力の式
6・6 電力がらみの問題は電力保存則を活用する
6・7 電力計の指示は、こうして計算する

7 不平衡三相回路
7・1 単純なムームなら至極簡単
7・2 オームの法則を正しく使おう
7・3 人-人はミルマンの出番
7・4 キルヒホッフの法則ならほぼ万能
7・5 電源のムース変換
7・6 和が0になるベクトルの応用

8 ベクトル軌跡
8・1 ベクトル軌跡の概要と解法の種類
8・2 図形の方程式による方法
8・3 指数関数による方法
8・4 逆図形などの図形による方法

9 四端子回路と四端子定数
9・1 電源側電圧・電流を求める式(四端子定数)
9・2 四端子定数の求め方
9・3 基本回路の四端子定数
9・4 四端子定数の性質
9・5 縦続接続は行列が便利
9・6 四端子定数を逆に使うには
9・7 分布定数回路の四端子定数

10 ひずみ波交流
10・1 ひずみ波形
10・2 基礎は瞬時値,計算は正弦波交流を活用する
10・3 平均値・実効値は面積を考えよ
10・4 ひずみ波形は高調波に分解できる
10・5 高調波の式からの平均値・実効値の計算
10・6 ひずみ波交流の電力
10・7 ひずみ波もベクトル計算ができる
10・8 三相回路のひずみ波
10・9 三相回路の第3・5・7高調波
10・10 フーリエ級数への展開

11 対称座標法
11・1 対称座標法は、どういうときに使うか
11・2 2線短絡電流を分解する
11・3 不平衡電圧・電流は、すべて対称な成分で表せる
11・4 対称分の公式はこうして記憶する
11・5 対称座標法による計算の原理
11・6 対称分回路とインピーダンス
11・7 変圧器では零相電流はどう流れるか
11・8 対称座標法を絵で解く
11・9 対称座標法をやたらに使うな

12 過渡現象
12・1 過渡現象とはどういうものか
12・2 RL:E回路で過渡現象を考える
12・3 微分方程式の解き方
12・4 再びRL:E回路について
12・5 RC:E回路の過渡現象
12・6 初期条件は大切である
12・7 Cの放電と正方向の考え方
12・8 直並列回路や状態変化を考える
12・9 重ねの理,鳳・テブナンの理も使える
12・10 RLC回路の過渡現象
12・11 Rが小さいときの近似値(LC回路)
12・12 交流でも計算の筋道は同じ

13 進行波(分布定数回路の過渡現象)
13・1 分布定数回路と進行波
13・2 進行彼の性質
13・3 反射波と透過波
13・4 反射係数と透過係数
13・5 開放端と接地端での反射
13・6 各種変異点の問題
13・7 相互サージインピーダンス

解答

紙田 公 (著)
出版社 : 電気書院 (1988/4/1)、出典:出版社HP

大学課程 電気回路〈1〉

第三版への序文

初版発刊以来30年を経たが,その間多数の読者に恵まれて,このたび第三版を世に送る運びとなったのは誠に幸せなことである.

電気回路理論は工学を支える大きな柱であるが,不幸にしてこれに向けられる時間は,学科目の過密化のため,近年窮屈になってきた.しかも一方では,専門に進む場合の階梯として,教科書の内容は一層の充実が求められている.このような事情に鑑み、通読の容易さや教材選択の便宜などのため,第三版では,やや進んだ内容と思われる節,小節等に大まかな目安として◇印を付けた.また,式の他重要事項にも番号を付けて、引用を密にした.これらを利用して,志望の専門に応じ,あるいは興味に任せて,随意に抜き読み,拾い読みをして戴ければ幸いである.

第三版も,これまでと変りなく,普通に交流理論といわれる分野を主な対象とし、自学自習ができることを目標としているが,今回の具体的な改訂としては,フェーザの定義を明確にしたこと,グラフの数式的議論を強化したこと,三相回路の理論を新しい構成にしたこと,演習問題を補強したこと等が挙げられる.さらに,全巻にわたって削除と補筆を行い、説明を平易にして、勉学が一層容易になるよう努めた.第三版では,時代の変化に対応すべく,新たに西が著者に加わった.なお,最終稿は大野が執筆した.

終りに,本書初版の刊行に際して共編の労を執られた故熊谷三郎大阪大学名誉教授,並びに榊米一郎名古屋大学名誉教授,尾崎弘大阪大学名誉教授に厚く謝意を表する.

1999年2月
大野克郎
西哲生

大野 克郎 (著), 西 哲生 (著)
出版社 : オーム社 (1999/3/1)、出典:出版社HP

第一版のはしがき

電気回路は,読者諸君が大学で学ぶ専門課目としては,恐らく最初のものであろう.したがって,今後の勉学に影響するところが大きいから,懇切な講義が行なわれるはずだと思う.しかし,ここで諸君におすすめしたいのは,できれば電気回路を独習されたいということである.大学で学ぶべき最も大切なことは,個個の課目ではなくて、自ら学ぶ方法を学ぶということであろう.その練習をするには,電気回路はやさしすぎず,難しすぎず,ちょうど手頃な課目ではないかと考える.その意味で本書では,なるべく天下り的な事項を避け,記述を論理的にし,また説明を多様にするように努めたつもりである.このために数式などの引用がいくらか多くなった感があるが,引用番号を忠実にたどれば,勉学上よい効果が得られると思う.読者諸君が本書を、受身の立場でなく,できれば自ら読了して理解し,さらに高度の回路理論あるいは興味ある分野の勉強に積極的に進まれることを期待している.

昭和43年5月
大野克郎

大野 克郎 (著), 西 哲生 (著)
出版社 : オーム社 (1999/3/1)、出典:出版社HP

目次

電気回路を学ぶ前に

第1章 抵抗回路
1.1 抵抗とオームの法則
1.2 直流電圧源
1.3 抵抗における電力
1.4 抵抗の接続
1.5 直流電流源と直流電圧源
演習問題

第2章 回路素子とその性質
2.1 各種の回路素子
2.2 回路素子における電力とエネルギー
2.3 回路と微分方程式
演習問題

第3章 正弦波と複素数
3.1 交流
3.2 複素数
3.3 正弦波のフェーザ表示
演習問題

第4章 交流回路と記号的計算法
4.1 インピーダンスとアドミタンス
4.2 電力
演習問題

第5章 直並列回路
5.1 簡単な直並列回路
5.2 等価回路
5.3 共振回路
演習問題

第6章 相互インダクタンスと変成器(変圧器)
6.1 相互インダクタンス
6.2 回路としての変成器(変圧器)
6.3 理想変成器(理想変圧器)
演習問題

第7章 回路の方程式
7.1 回路のグラフとキルヒホッフの法則
7.2 回路の方程式のたて方
7.3 インピーダンス行列とアドミタンス行列
7.4 グラフの数式的表現と回路の方程式
演習問題

第8章 回路に関する諸定理
8.1 重ね合わせの理
8.2 回路の双対性
8.3 相反定理(可逆定理)
8.4 等価電源(等価電圧源及び等価電流源)の定理
8.5 補償定理
8.6 供給電力最大の法則
8.7 電力の保存則
演習問題

第9章 二端子対網とその基本的表現法
9.1 二端子対網
9.2 アドミタンス行列(Y行列)
9.3 インピーダンス行列(Z行列)
9.4 縦続行列
9.5 ハイブリッド行列(H行列)
9.6 S行列
9.7 諸行列間の関係
9.8 Y-A変換
9.9 完全四端子網
演習問題

第10章 二端子対網の伝送的性質
10.1 二端子対網における入力、出力,及び伝達インピーダンス
10.2 伝送量
10.3 双曲線関数
10.4 反復パラメータ
10.5 影像パラメータ
10.6 フィルター
10.7円線図
演習問題

第11章 能動及び非相反二端子対網
11.1 能動二端子対網
11.2 理想ジャイレータ
11.3 電気機械結合二端子対網
演習問題

第12章 三相交流回路
12.1 三相電源
12.2 平衡三相回路
12.3 不平衡三相回路
12.4 三相電源の表現
12.5 回転磁界
12.6 対称座標法
演習問題

演習問題略解

索引

大野 克郎 (著), 西 哲生 (著)
出版社 : オーム社 (1999/3/1)、出典:出版社HP

電気回路を学ぶ前に

電気回路は,何種類かある回路素子(circuit element)をいくつかつなぎ合わせてできたものである.回路素子の中には,電池とか,抵抗とか,すでに読者におなじみのものがあり,本書でも順を追って現れるが,電気回路の理論では回路素子の本質には必ずしも立ち入らないで,回路素子の接続点における電位(electric potential)や電流(electric current)などを問題にする.

すなわち,回路素子の性質は分かっているものとして,それらから組み立てられた回路がどのように働くかを主として問題にする.電気回路に関しては,回路の構造が与えられたときに,その性質を調べる回路解析の分野と,回路についてある性質が要求されたとき,これを満足する回路を求める回路構成(合成)の分野とがある.

後者は本書の第2巻においてその初歩が取り扱われるが,1,2巻を通じて前者が主な対象とされる.なお,本文中の小活字の部分は参考事項あるいはやや詳細な議論である.この部分は読み飛ばすことができるが,一応目を通す程度でも全般の理解の助けとなるであろう.

電気工学に関連する諸分野,特に電力、通信,電子,情報,制御等の分野においては,電気回路が大きな役割を担っているので,これらの分野に携わる人々は電気回路の理論を基礎的教養として身につけて置くことが大切である.さらに,電気回路の理論が電気工学以外の科学の諸分野に広く係わりを持っていることにも留意すべきである.

このようなことは,電気回路の知識が進めば追々に判ることなので、お話し的な前置きはこの辺で止めて、早速電気回路そのものの勉強に取り掛かろう.

大野 克郎 (著), 西 哲生 (著)
出版社 : オーム社 (1999/3/1)、出典:出版社HP

電気回路論 (電気学会大学講座)

序言

電気学会は,1888年に創立された学者,技術者および電気関係法人の会員組織であり,そのおもな目的は「電気に関する研究と進歩とその成果の普及を図り,もって学術の発展と文化の向上に寄与する」ことにある.創立120周年を機に活動の範囲を一段と広げようとしている。

電気学会は上記の目的を出版を通して達成するために,大学講座シリーズをはじめとする図書出版を企画し,その多くが大学,高専等の教科書として使用されている.また,これらの図書は教材として多様な職場の社会人に読まれており,電気主任技術者,エネルギー管理士または情報処理技術者等の資格を取得するのに役立てられ、技術者の養成に預かっている。

一方,科学技術の進歩に伴い、新しい技術分野が次々に生まれ,また従来分野を横断した学術的知識が技術者に要求されるようになっている。これを反映して,大学工学部の講義科目とその内容,時間配分は,多様化の傾向にある。

電気学会では,技術の進歩と教育方法の改編に対処することを編修方針の一つとしており,例えば,全国の大学の電気工学および関連学科の講義科目,内容,時間数を分析し,さらに当会発行図書について実際に講義に使用されている先生方のご意見を拝聴するなどして,今日の講義科目に適した教科書の制作,または改訂を行っている。

さらに,産業界からの要望に応えて、現場技術者,研究者にすぐ役立つような内容の専門技術書を時宜を得て発行することにも努力している。

電気工学,さらには電子工学の成果は、今日あらゆる産業,技術に取り入れられ,その発展に寄与しているといっても過言ではなかろうしたがって,電気・電子工学の知識の学習と更新は,それを専攻する学生および技術者のみならず,他の各種技術分野に携わる人達にとっても不可欠である.一方,電気・電子技術者にとっては関連技術分野の知識の学習がますます必要とされてきている.すでに電気学会の教科書,図書で学んだ人達の数は数百万人におよんでおり,当時の学生で今日,各界の指導者として活躍されておられる方も多く,一つの伝統を生むに至っている。

以上のような目的と背景のもと、組織的に制作された叡知の所産である本書の内容が,読者にいかんなく吸収されて能力養成の一助となり,「ひいては,我が国技術の発展に一段と資することを願って止まない次第である。

の終りに,数々の貴重なご意見、資料のご提供を賜った大学および高専等の先生をはじめ、関係者各位に厚く御礼申しあげると共に,編修制作の推進に当たられた役員,編修委員,執筆委員諸氏に深謝の意を表するものである.また,実務に携わって努力されてきた職員諸氏の労を多とし合わせて感謝の意を表するものである.

2008年5月
社団法人 電気学会
出版事業委員会

平山 博 (著), 大附 辰夫 (著)
出版社 : 電気学会 (2008/5/1)、出典:出版社HP

3版改訂にあたって

本書は,1951年の初版発行以来,1970年の「改訂版」の発行,2002年の「2版改訂」を経て,今回の「3版改訂」に至っている.今回の改訂においては,時代の流れにつれて陳腐化した部分の削除や,説明不足の部分の改良に加えて,全体を構成する各章のつながりや位置づけを最初の部分(第1章)で明確にすることに注意を払った.さらに,各章の末尾の演習問題の更新も併せて行った.

第1章では,回路を構成する3種類の基本素子(R,L,C)の定義および回路解析の基本となるオームの法則とキルヒホッフの法則を導入し,それに基づいて電源と抵抗だけから成る直流回路の解析法を説明している.

第2章では,正弦波交流電源で駆動された単純なRLC回路の定常状態を三角関数を用いて解析する手順について説明する.また,異なる周波数の正弦波を重ね合わせたひずみ波交流(周期波)の扱い方についても説明を加えている.

第3章では,交流回路の電圧/電流を複素数で表示し,さらに直流回路における抵抗を複素数値をとるインピーダンスに置き換えることによって、交流回路の定常解析の問題が複素数の四則演算に帰着されることを示す。引き続き第4章では,交流回路のさまざまな現象を複素数の四則演算に基づいて解析する方法を説明している。

第5章では,グラフ理論に基づく回路方程式の定式化の手順を体系的に整理するとともに、一般線形回路網の諸性質に関してわかりやすく単純な説明を導入した。さらに、トランジスタを含む線形能動回路についても簡単な解説を加えた。

第6章では,本書の他の章で扱っている「回路解析」の問題とは逆に、与えられた周波数特性を持つ一端子対回路を実現するという「回路構成」の問題を扱っている.

第7章では,電気を特定の情報を表す信号として利用することを想定して(一方の端子対が入力信号に,他方の端子対が出力信号に対応する),二端子回路の基本的性質を論じている。これとは異なり,第8章では,電気をエネルギーとして利用することを想定して,周波数がで位相の異なる交流起電力を重ねた多相交流の問題を扱っている。

第9章では,まず単純な回路の過渡現象の工学的意味を説明したうえ3000とに,ラプラス変換に基づく演算子法による一般的な過渡現象解析の手順を説明している.

最後の第10章では,伝送線路に沿って回路定数が一様に分布しているとみなした分布定数回路を対象として,その定常状態と過渡現象の解析法を論じている。

大学や高等専門学校の教育課程における「電気回路論」を広く解釈すれば,直流・交流理論から過渡現象まで,また集中定数回路から分布定数回路まで,回路解析から回路構成論まで,さらにトランジスタの線形モデルに基づく能動回路の理論までの内容にわたっている。本書は,これらの内容のほとんどをカバーしており,電気回路の基礎としてのいわゆる「交流理論」は第4章までに十分説明されている.第5章以下で「は、より高度な内容に関して各章が独立して完結するように記述されているので,教科書として利用される個々の先生方が独自の教育方針に沿って必要な部分だけを抜粋していただければよいと思われる.

今回の改訂によって、本書がいままで以上に,学習者にとってよりわかりやすく役に立つものとなることを望む次第である。

2008年5月
著者

平山 博 (著), 大附 辰夫 (著)
出版社 : 電気学会 (2008/5/1)、出典:出版社HP

目次

第1章 電気回路の基礎
1.1 概説
1.2 キルヒホッフの法則
1.3 電気回路の素子
1.4 直流回路の基礎
1.5 直流の電力および電力量
1.6 直列回路
1.7 並列回路
1.8 ホイートストンブリッジ
1.9 消費電力最大のための負荷抵抗
1.10 回路の定常状態と過渡現象
1.11 問題

第2章 交流電圧・電流・電力
2.1 正弦波電圧・電流
2.2 ひずみ波交流(周期波)
2.3 抵抗素子の交流特性
2.4 インダクタンス素子の交流特性
2.5 静電容量素子の交流特性
2.6 RLC直列回路の交流特性
2.7 正弦波電圧・電流と電力
2.8 ひずみ波電圧・電流と電力
2.9 問題

第3章 交流回路の複素計算法
3.1 正弦波の複素数表示
3.2 インピーダンスとアドミタンス
3.3 電力の複素数表示
3.4 ベクトル図
3.5 ベクトル軌跡
3.6 問題

第4章 交流回路
4.1 交流回路の基礎
4.2 直列回路と並列回路
4.3 RL直列回路とRL並列回路
4.4 RC直列回路とRC並列回路
4.5 RLC直列回路とRLC並列回路
4.6 並直列回路
4.7 はしご形回路
4.8 相互誘導回路
4.9 ブリッジ回路
4.10 問題

第5章 一般線形回路網
5.1 概説
5.2 回路の接続関係のグラフによる表現
5.3 キルヒホッフの法則とテレヘンの定理
5.4 基本カットセットと基本ループ
5.5 双対グラフと双対回路
5.6 回路方程式の定式化
5.7 双対性
5.8 相反定理
5.9 テブナンの定理とノルトンの定理
5.10 電力とエネルギー
5.11 能動線形回路
5.12 問題

第6章 一端子対回路re
6.1 概説
6.2 RLC一端子対回路
6.3 リアクタンス一端子対回路
6.4 RL一端子対回路
6.5 RC-端子対回路
6.6 逆回路
6.7 定抵抗回路
6.8 問題

第7章 二端子対回路
7.1 概説
7.2 インピーダンスパラメータ
7.3 アドミタンスパラメータ
7.4 Hパラメータsen
7.5 Gパラメータ
7.6 Fパラメータ
7.7 基本的な二端子対パラメータとその相互変換
7.8 影像パラメータ
7.9 反復パラメータ
7.10 二等分定理
7.11 問題

第8章 三相交流
8.1 概説
8.2 対称三相交流
8.3 対称Y形起電力とY形負荷
8.4 対称Y形起電力と△形負荷
8.5 対称込形起電力とY形負荷
8.6 対称△形起電力と△形負荷
8.7 三相交流回路の電力
8.8 対称座標法
8.9 インピーダンスの対称座標変換
8.10 三相交流電源電圧
8.11 対称分による電力表示
8.12 対称三相交流による回転磁界
8.13 問題

第9章 回路の過渡現象と演算子法
9.1 総説
9.2 RC直列回路の過渡現象
9.3 演算子法による過渡現象解析の概要
9.4 演算子法の理論
9.5 基本RLC回路の過渡現象解析
9.6 ラプラス変換の公式
9.7 問題

第10章 分布定数回路
10.1 分布定数回路の基礎方程式
10.2 正弦波交流における分布定数回路
10.3 特性インピーダンスおよび伝搬定数
10.4 端条件による電圧・電流分布
10.5 位置角
10.6 分布直列インピーダンスおよびアドミタンスの測定
10.7 有限長線路の等価二端子対回路
10.8 反射および透過
10.9 分布定数回路の過渡現象解析
10.10 無ひずみ(無損失)線路の過渡現象
10.11 RC線路の過渡現象
10.12 問題

問題解答
引索

平山 博 (著), 大附 辰夫 (著)
出版社 : 電気学会 (2008/5/1)、出典:出版社HP

改訂新版 図解でわかる はじめての電気回路

はじめに

この本を開いた皆さんは「回路初心者」だと思います。本書は初心者待に応えるように、分かりやすい簡単な表現や計算過程(途中式)を用い富な絵や図を盛り込んでいます。「本書では、次のような英語の文字を含んだ計昇がたくさん出てきますがやり方は一般的な数学と何ら変わりありません。

V=I×R(Vは電圧、Iは電流、Rは抵抗を意味します)

「数字だと計算できるけど、文字の計算は苦手」と言う人も、まず最初にその英文と(量記号)がいったい何を意味しているのかを理解し、数字と変わらぬ心構えで落いて考えれば難しくありません。また計算には「単位」の考え方も必要になってきます。

ところで皆さんは、電気の存在を意識して生活していますか?電気が各家庭に送られてくるのは、ごく当たり前のようになっていますから、停電の時などに「吾気がないと生活が不便」になり、電気の存在に気が付くのでしょう。ところが、最近はほとんど停電などは起こりませんから、よけいに電気の存在は意識しなくなっています。

次に、「電気製品にはどのようなものがありますか?」と質問してみると、パソコン、テレビ、テレビゲーム、掃除機……など様々なものが浮かびます。これらの雷気製品は「電気回路の集合体」と言っても過言ではないのです。この電気回路の集まりの基本を、本書で分かりやすく説いていきます。本書では、電気回路の基本になるている電流、電圧から始まり、抵抗、コンデンサ、コイルなどの回路素子の電気的特性を学びます。

また電池のような直流だけではなく、一般家庭にも送られてきている交流についても解説しています。さらに「電気分野」は広範囲ですから、発電の原理、トランジスタ・ダイオードなどの半導体や電子回路についても簡単に触れています。最後には「ACアダプタの基本原理なども取り上げ、抵抗やコンデンサ、半導体などの回路素子をどのように組み合わせるかで、電気をどのように利用するかも学びます。

本書を電気回路の入門書として活用して頂けると思いますが、「教科書」のように読むのではなく、電気が起こす現象などを楽しんでいただきたいと思います。また応用書への橋渡し的な存在と内容となっています。従って、本書をもとにより深い内容を学ぶには、自分にあった応用書を見つけて、そちらをお読みください。

電気と回路素子の組み合わせは、まだまだ無数にあります。皆さんが発明する電気製品もこれから登場し、より便利な暮らしになるかもしれません。皆さんの電気回路のさらなるステップアップを筆者は願います。

著者

大熊 康弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2017/8/4)、出典:出版社HP

目次

第0章 本書の計算で扱う基礎
0-1 指数
0-2 指数表現と元の数への変換
0-3 指数のマイナス
0-4 接頭語
0-5 常用対数
●常用対数のかけ算、指数計算、割り算
練習問題

第1章 電流と電圧
1-1 電流とは
●原子の構造
●電子を飛び出させる
●自由電子
1-2 原子のイオン化
1-3 電荷
1-4 電流の表し方
1-5 電流と電子の流れる方向
1-6 電圧
1-7 電位
1-8 電圧の表し方
1-9 起電力

第2章 電気回路
2-1 電気回路
2-2 オームの法則
2-3 コンダクタンス
2-4 電圧降下
2-5 電位の高・低を表す矢印

第3章 合成抵抗
3-1 合成抵抗
3-2 合成抵抗の計算
●合成抵抗を実際に求めよう
●合成抵抗を求める式を導こう
練習問題

第4章 キルヒホッフの法則
4-1 キルヒホッフの第1法則(電流に関する法則)
4-2 キルヒホッフの第2法則(電圧に関する法則)
4-3 キルヒホッフの法則を用いた電流の計算例
練習問題

第5章 ホイートストンブリッジ
5-1 ホイートストンブリッジによる抵抗の測定

第6章 直流回路と回路素子
6-1 抵抗器
6-2 抵抗
6-3 抵抗値の温度変化
●抵抗の温度係数
6-4 電気エネルギーと電力量
6-5 電力
6-6 ジュールの法則
6-7 抵抗値の読み方
6-8 コイル
6-9 磁気力と磁場
6-10 磁極と磁極の強さ
6-11 クーロンの法則
6-12 比透磁率
6-13 磁界の強さ
6-14 磁束と磁束密度
練習問題

第7章 電流が作る磁界
7-1 磁力線の方向
7-2 紙面に対しての向き (ドットとクロス)
7-3 コイルが作る磁界
7-4 ビオサバールの法則
7-5 コイルの中心の磁界の強さ
7-6 アンペアの周回路の法則
練習問題

第8章 磁気回路
8-1 起磁力Fmと磁気抵抗Rm
8-2 磁気回路のオームの法則 練習問題

第9章 電磁力
9-1 電磁力
9-2 フレミングの左手の法則
9-3 電磁力の大きさ

第10章 電磁誘導
10-1 電磁誘導
10-2 ファラデーの法則
10-3 誘導起電力の方向
10-4 レンツの法則
10-5 フレミングの右手の法則
●電線が磁界を切ったときの起電力の大きさ
10-6 相互誘導と相互インダクタンス
10-7 自己誘導と自己インダクタンス
10-8 変圧器(トランス)
練習問題

第11章 静電気とコンデンサ
11-1 静電気と静電力
●静電力
11-2 静電気に関するクーロンの法則
11-3 電界と電界の強さ
11-4 電気力線
11-5 電気力線密度と電界の強さ
11-6 電荷Q[C]から出る電気力線数
11-7 電束と電束密度.
11-8 静電誘導
11-9 コンデンサと静電容量(その1)
11-10 静電容量の読み方
11-11 コンデンサと静電容量(その2)
11-12 コンデンサの合成容量
① 直列接続の合成静電容量
② 並列接続の合成静電容量
11-13 コンデンサの蓄(充)電作用と放電作用
練習問題

第12章 交流の基礎
12-1 直流と交流
12-2 交流電圧の発生
12-3 弧度法
12-4 角速度
12-5 瞬時値
12-6 周期と周波数
12-7 交流を表す振幅、平均値、実効値
12-8 位相差
●交流電圧の式
12-9 ベクトルとベクトル表示
12-10 ベクトルの計算
12-11 ベクトルの分解

13章 交流回路
13-1 抵抗だけの交流回路
13-2 コイル(インダクタンス)だけの交流回路
13-3 コンデンサだけの交流回路
13-4 抵抗RとコイルLの直列回路
13-5 抵抗Rとコンデンサの直列回路
13-6 抵抗R、コイルム、コンデンサCの直列回路
① X>Xcの場合(誘導リアクタンス>容量リアクタンス)
② X<Xcの場合(誘導リアクタンス<容量リアクタンス)
③ XL=Xcの場合(誘導リアクタンス=容量リアクタンス)
13-7 RLC並列接続回路
① X<Xcの場合(誘導リアクタンス<容量リアクタンス) ② X>Xcの場合(誘導リアクタンス>容量リアクタンス)
③ X=Xcの場合(誘導リアクタンス=容量リアクタンス)
13-8 交流の電力
13-9 抵抗だけの回路の電力
13-10 コイルまたは、コンデンサだけの回路の電力
13-11 RLC直列回路の電力
練習問題

第14章 複素数による交流の計算
14-1 虚数と複素数
●複素数
14-2 ガウス平面(複素平面)
14-3 複素数に「j」または「-j」をかけてみよう
14-4 複素数を使った交流回路の計算
練習問題

第15章 三相交流
15-1 三相交流の発生
15-2 三相交流のベクトル
15-3 三相交流回路の基礎
15-4 星形(スターまたは、Y)結線の電圧と電流
15-5 Y-Y結線回路
15-6 4-4結線の電圧と電流
15-7 4→XY→A変換
練習問題

第16章 半導体
16-1 半導体とは
16-2 半導体の基本的な材料
16-3 ホールの流れとキャリヤ
16-4 真性半導体
16-5 p形半導体
16-6 n形半導体
16-7 多数キャリヤと少数キャリヤ
16-8 pn接合ダイオード
16-9 ダイオードの特性
16-10 その他のダイオード
16-11 トランジスタの構成と動作原理
16-12 トランジスタの接地法
16-13 トランジスタの電流増幅率
16-14 トランジスタの静特性
16-15 トランジスタのカパラメータと等価回路
16-16 トランジスタの名前と外形
16-17 バイアス
16-18 バイアス回路
練習問題

第17章 トランジスタを使った簡単な低周波増幅回路の設計
17-1 負荷線と動作点
17-2 入力信号と出力信号の関係を明確にしよう
17-3 動作点の位置
練習問題

第18章 トランジスタ増幅器の増幅度・利得・周波数特性
18-1 増幅度と利得.
●増幅度
●利得
18-2 周波数の変化による利得の変化
18-3 負帰還増幅回路の周波数特性
練習問題

第19章 電界効果トランジスタ
19-1 電界効果トランジスタの動作原理.

第20章 交流電源から安定な直流電源を作ろう(直流安定化電源)
20-1 整流回路
① ダイオードによる半波整流回路
② 整流ブリッジを利用した全波整流回路
20-2 平滑回路(フィルタ)
20-3 定電圧回路(安定化回路)
●定電圧回路
練習問題

column
指数表現のあれこれ
人間はlog?
急に会いたい!
テントウ虫で覚えましょう
抵抗の直列回路と並列回路の電圧と電流の関係
並列接続は「和分の積」で合成抵抗を求めよう
ちょっと電気製図の話
同じ抵抗値の並列合成抵抗
愛情は熱いもの?
sin. cos, tan
電・磁力
渋柿はイヤー!!
コンデンサでも和分の積
交流を表す記号
AC 100[V]
基準はどっち?
増幅度の計算は対数が便利

CHALLENGE CORNER
その他の抵抗値の測定方法を調べてみよう
交流電源について調べてみよう
「力率改善」について調べてみよう
MOS形FETの電流制御原理を調べてみよう
トランス(変圧器)とダイオードでできる全波整流回路を調べてみよう

大熊 康弘 (著)
出版社 : 技術評論社 (2017/8/4)、出典:出版社HP

カラー徹底図解 基本からわかる電気回路

はじめに

本書は、これから独学で電気回路を学ぼうとする人、大学や専門学校、高専などで電気回路を学んでいる人を対象にした入門書です。電気回路を学ぶうえでの、必要不可欠な部分を順を追って説明しているので、過去に学んだ電気回路の知識を再確認しようとしている人の手引書にも使っていただけます。

扱っている内容は、中学校で習うオームの法則から資格試験などで必要とされる三相交流まで多岐にわたりますが、教科書や専門書だけではわかりにくい内容も、なるべくかみ砕いた表現をしつつ専門用語を習得できるよう配慮しています。数学が苦手という人のために微分・積分は使っていません。三平方の定理、三角関数、複素数を知っていれば理解できるよう配慮し、三角関数と複素数については本書でも説明しています。

また、電気回路では、抵抗、コイル、コンデンサという素子を扱いますが、本書ではそれらの素子の動作原理を物理的、電磁気学的に説明するページを設けています。電気回路を解析するには、これらの知識がなくても公式さえ覚えていれば答えを導けますが、それ以上のことはできません。原理を知ったうえで、公式や定理がどのような意味を持つのか、それを理解するように心がけて読み進めていただければ、理解はより深いものとなり、複雑な回路の解析にも十分応用ができる知識を身につけることができると思います。

最初に述べたように、本書はこれから電気回路を学ぼうとしている人も対象にしていますので、既に電気回路を学んだ人や習得の早い人にとっては少し冗長でくどい構成ととれる部分があるかもしれません。しかし、電気回路の解法はひとつとは限りません。より多くの解法を理解し、回路解析の経験を積むことが電気回路をマスターする一番の近道です。本書では、回路の解析によく用いられる、記号法と呼ばれる方法の他に初心者が理解しやすいベクトル法によるも紹介しています。既に知識のある方も、確認のつもりで読んでいただけると幸いです。最後に、本書が皆様の勉学の糧となることを願っております。

高崎和之

高崎 和之 (著, 監修)
出版社 : ナツメ社 (2015/11/6)、出典:出版社HP

目次

[電気と回路の基礎編] Chapter 01 電気の基礎知識
Section 01:電気の役割
Section 02:電荷と自由電子
Section 03:導体と絶縁体
Section 04:電流
Section 05:電圧
Section 06:オームの法則
Section 07:直流と交流
Section 08:電力と電力量

Chapter02 電気回路の基礎知識
Section 01:電気回路と電子回路
Section 02:回路図
Section 03:電気回路の解析
Section 04:電源と素子
Section 05:電流と電圧の表示
Section 06:定常状態と過渡状態

[直流回路編] Chapter03 直流回路の基本
Section 01:直流の抵抗回路
Section 02:直列と並列
Section 03:合成抵抗
Section 04:直列抵抗回路
Section 05:並列抵抗回路
Section 06:直並列抵抗回路
Section 07:回路図の変形
Section 08:コンダクタンス
Section 09:直流回路の電源
Section 10:直流回路の電力と電力量

Chapter04 複雑な直流回路の解析
Section 01:キルヒホッフの法則
Section 02:キルヒホッフの法則の活用
Section 03:網目電流法
Section 04:節点電圧法
Section 05:重ねの定理
Section 06:テブナンの定理
Section 07:電圧源と電流源の変換
Section 08:抵抗のΔ-Y変換
Section 09:ブリッジ回路

[回路素子編] Chapter05 ジュール熱と抵抗器
Section 01:ジュールの法則
Section 02:抵抗率と抵抗値
Section 03:抵抗器

Chapter06 電磁気とコイル
Section 01:磁気の基礎知識
Section 02:コイルと電磁石
Section 03:電磁誘導作用
Section 04:ファラデーの法則
Section 05:自己誘導作用
Section 06:相互誘導作用
Section 07:コイルとトランス

Chapter07 静電気とコンデンサ
Section 01:静電誘導と誘電分極
Section 02:コンデンサと静電容量
Section 03:合成静電容量
Section 04:コンデンサ

[交流回路編] Chapter 08交流を知るための数学
Section 01:角度と角速度
Section 02:三角関数
Section 03:ベクトル
Section 04:複素数

Chapter09 交流の基本知識
Section 01:正弦波交流起電力
Section 02:正弦波交流の大きさ
Section 03:正弦波交流の位相と位相差
Section 04:正弦波交流のベクトル表示
Section 05:正弦波交流の複素数表示

Chapter10 交流回路の基本
Section 01:交流回路の素子と電解
Section 02:交流抵抗回路
Section 03:交流コイル回路
Section 04:交流コンデンサ回路
Section 05:交流回路素子

Chapter 11 合成インピーダンス回路
Section 01:RL直列回路
Section 02:インピーダンス
Section 03:RC直列回路
Section 04:RLC直列回路
Section 05:RL並列回路
Section 06:アドミタンス
Section 07:RC並列回路
Section 08:RLC並列回路

Chapter12 記号法による解析
Section 01:記号法と複素インピーダンス
Section 02:インピーダンスの合成
Section 03:複素アドミタンス
Section 04:R,L,Cの直列回路
Section 05:R,L,Cの並列回路
Section 06:記号法による計算

Chapter13 交流回路の電力
Section 01:瞬時電力と有効電力
Section 02:皮相電力と無効電力
Section 03:カ率
Section 04:複素電力

Chapter14 共振回路
Section 01:交流回路の周波数特性
Section 02:直列共振回路
Section 03:並列共振回路

Chapter15 複雑な交流回路の解析
Section 01:記号法の活用
Section 02:交流回路の法則と定理
Section 03:キルヒホッフの法則
Section 04:重ねの定理
Section 05:テブナンの定理
Section 06:交流電圧源と交流電流源のが
Section 07:インピーダンスのΔ-Y変換
Section 08:定電流回路と定電圧回路
Section 09:定抵抗回路
Section 10:交流ブリッジ回路

[三相交流回路編] Chapter16 三相交流の基礎知識
Section 01:対称三相交流
Section 02:三相交流の大きさ
Section 03:三相交流回路の結線

Chapter17 三相交流回路の解析
Section 01:Y-Y結線回路
Section 02:ΔΔ結線回路
Section 03:Y-Δ結線とΔ-Y結線
Section 04:特殊な三相交流回路
Section 05:三相交流電力

高崎 和之 (著, 監修)
出版社 : ナツメ社 (2015/11/6)、出典:出版社HP

例題と演習で学ぶ 電気回路(第2版)

まえがき

電気電子工学や情報通信工学を専攻しようとする学生にとって,電気回路は,電磁気学と並ぶもっとも大切な基幹となる科目です。電気回路は,現代の先端的なエレクトロニクス関連科目のような派手さはありません.古典中の古典ともいうべき、とても地味な科目です.しかし,その重要度と応用発展の可能性から考えますと,格段に高い価値をもった学問といえるでしょう.

本書は,大学低学年の,この分野を初めて学ぼうとする学生を対象にして書かれたものです。重要ないくつかのポイントを確実におさえながら,電気回路の基礎を,体系的に理解できるように,いろいろな工夫をしました.

電気回路は、中学や高校で学んだ数学や物理をベースにして、順を追って学んでいけば、本来は、無理なく理解できる教科です.しかし,初学者にとって,電気回路をマスターすることは、少し辛い作業のようです。そのハードルは必ずしも低くありません。どうしてでしょうか?一つには,小さいころに乾電池に豆電球や模型モーターをつないで遊んできた皆さんにとって、今までの常識とは少しかけ離れたいくつかの概念を勉強しなければならない点が挙げられます。

たとえば,乾電池は1.5[V]の電圧を供給してくれる小さな電力供給装置です。しかし,これを電流を供給してくれる装置,すなわち電流源として考えるには、ちょっと努力が必要です。もう一つには、複素数や行列といった数学をひんぱんに使う点があるからだと思います.電気回路の勉強も終わりになったころになって、「複素数をいっぱい使ったのだけれど,果たして,複素数は何のために必要だったのだろう?」と疑問に思う学生は少なくありません。このように、導入部においていくつかの理解のつまずきが重なると,途中で挫折してしまうこともあります。何よりも,勉強する意欲がそがれてしまいます.

本書は、筆者が、立命館大学の電気電子工学科において,1年生および2年生の学生に対して講義を行った経験に基づいて書かれています。学生との質疑応答やアンケート結果を十分に踏まえ,以下のような工夫を行いました。

(1) 内容を精選しました。学ぶべきことは多いのですが、重要度の高い項目を,学生が納得し余裕をもって勉強できるようにしました.学生にとって負担の重い部分は割愛しています。

(2) 15週の1セメスターに合うように、全体を14章で構成しました。各章の内容が、90分程度の一回の講義で,ゆったり勉強できるようにしています。

(3) 基本的ではあるものの、学生が十分に納得しにくい項目に対しては、紙面を十分に割いて解説しました。たとえば,先ほど述べた電流源の概念や,交流用に複素数を導入することの必要性が挙げられます。三相交流回路の仕組みについても,丁寧に説明を加えました。

(4) 確実にマスターしなければならない項目に対しては,囲みをつけ,予習・復習の便宜を図りました。

(5) 考え方の流れが理解しやすいように,複数の図を組み合わせて説明する方法を随所に採用しました.

(6) 問題の解答は、読者が自習しやすいように、丁寧に記載しました.

この本は、前述しましたように,電気回路の基礎的な内容について書かれています。2端子対回路,ひずみ波交流,過渡現象,あるいは分布定数回路等の,やや高度な項目については,この本の続巻である「例題と演習で学ぶ続・電気回路」で説明します。この本と併せてご覧ください。この本が,電気回路の要点を,皆さんが納得して理解できる一助となりますと幸いです.

最後になりますが,本書の出版の機会を与えてくださり,また執筆に関しまして数々のアドバイスを頂きました,森北出版株式会社の富井晃さんに深く感謝致します。

2011年1月 著者

■ 第2版の発行にあたって
第1版の発刊以来6年が経過し、幸いにも多くの読者に恵まれ,貴重なご指摘も頂いて参りました。このたび、よりわかりやすい電気回路の書を目指して,さまざまな改良を加え,第2版を世に送ることとなりました。第2版の内容は,実質的に第1版の内容と変わっておりません。

しかし,2色刷にして、図や表,さらに本文中の重要項目が、より明瞭に、また理解しやすくなるように工夫しました。やや複雑な内容の部分につきましては説明を随所に補い、文章の表現や技術用語を全面的に吟味し直しました。講義の教科書として、また自学自習の書として、十分にその役割が果たせるように努めました。

第2版の改訂にあたりまして、数々のアドバイスを頂きました森北出版の千先治樹さんに、感謝致します。

2017年9月 著者

服藤 憲司 (著)
出版社 : 森北出版 (2017/11/29)、出典:出版社HP

目次

1章 直流回路の要素
1.1 乾電池と豆電球の回路
1.2 電流
1.3 電圧と電位
1.4 電力と電力量
1.5 オームの法則
演習問題

2章 直流回路の解析
2.1 乾電池の直列接続と並列接続
2.2 抵抗の直列接続
2.3 抵抗の並列接続
2.4 直列回路における分圧の法則
2.5 並列回路における分流の法則
2.6 キルヒホッフの法則
演習問題

3章 電圧源と電流源
3.1 電池の内部抵抗
3.2 定電圧源と定電流源
3.3 電気回路の線形性
3.4 重ね合わせの理
3.5 テブナンの定理
3.6 ノートンの定理
3.7 最大電力の法則
演習問題

4章 正弦波交流の基礎
4.1 正弦波交流の表現法
4.2 回転運動と正弦波曲線
4.3 正弦波交流の位相
4.4 平均値と実効値
4.5 交流の発生 演習問題

5章 交流の複素数表示
5.1 複素数の基礎
5.2 複素数の指数関数表現
5.3 複素数の四則演算
5.4 共役複素数
5.5 回転オペレータ
5.6 正弦波交流の複素数表示
演習問題

6章 基本素子の交流回路
6.1 抵抗Rのみの回路
6.2 インダクタンスLのみの回路
6.3 キャパシタンスCのみの回路
6.4 インピーダンス
演習問題

7章 組み合わせ素子の交流回路
7.1 RL直列回路
7.2 RC直列回路
7.3 RLC直列回路
7.4 並列回路とアドミタンス
演習問題

8章 交流の電力
8.1 瞬時電力
8.2 有効電力
8.3 皮相電力,無効電力と力率
8.4 電力の複素数表示
演習問題

9章 共振回路
9.1 直列共振回路
9.2 Q値(尖鋭度)
9.3 並列共振回路
演習問題

10章 回路方程式
10.1 交流のキルヒホッフの法則
10.2 枝電流法
10.3 閉路電流法
10.4 節点電位法
10.5 Y-Δ変換
10.6 交流ブリッジ回路
演習問題

11章 交流回路の定理
11.1 重ね合わせの理
11.2 テブナンの定理
11.3 ノートンの定理
演習問題

12章 相互誘導回路
12.1 自己誘導
12.2 相互誘導
12.3 直列接続したインダクタンスの合成
12.4 電源と負荷をもつ相互誘導回路
演習問題

13章 三相交流電源と結線方法
13.1 Y結線による三相交流の表現
13.2 Δ結線による三相交流の表現
13.3 電源のY-Δ変換
13.4 負荷のY-Δ変換
演習問題

14章 対称三相交流回路
14.1 Y結線電源-Y結線負荷
14.2 Δ結線電源-Δ結線負荷
14.3 三相電力
演習問題

演習問題解答

付録
A.1 三角関数
A.2 マクローリン展開
A.3 クラメールの公式

参考文献
索引

服藤 憲司 (著)
出版社 : 森北出版 (2017/11/29)、出典:出版社HP