基礎から学ぶ 電気回路計算(改訂2版)




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はじめに

我が国では,工学分野をめざし活躍する人の進出に期待が寄せられています.期待された人々は頑張り屋で広い専門知識と技術を持つことが要求されます.電気工学エンジニアとして活躍する人は,基礎として計算力,電気理論,電気回路の知識が必要ですが,本書は,電気回路の知識および解析力を身につけるための手助けをいたします.

めざすのはオームの法則とキルヒホッフの法則を理解することであります.オームの法則は,1827年に出版された彼の「電気回路の数学的研究」の中で明らかにされました.そして,1845年にはキルヒホッフの法則が発表されました.これらの法則によって複雑な電気回路も解析できるようになったのです.しかしながら,sinやcosを用いて表される交流回路の電圧・電流の計算は複雑で面倒でした.ところが,1897年,スタインメッツは,複素数を交流回路計算に応用し,比較的容易な手法で計算できることを明らかにしてくれたのです。

これからみなさんと共にめざすのは,こうした先人たちの研究によって導かれたオームの法則,キルヒホッフの法則,スタインメッツの記号法を理解し,応用できるようになることです.各章は,基礎的な設問からはじまります。自分の力で解答できたら,次の設問に進んでください。もし,理解できないときは解説をじっくりと読んでください。法則,計算法,考え方を解説しています.設問はだんだん難しくなりますが,みなさんはノート・エンピツ・電卓を持ち、粘り強くがんばってください。

各章の設問を終えた方には自習問題が待っています。解答できたときは、その喜びを静かにたっぷり味わってください。それは,困難を乗り越えた人だけに与えられた喜びであり実力でありますから.なお電気の歴史についての記述・資料は、東京工業大学名誉教授・山崎俊雄先生/同名誉教授・木本忠昭先生および元全国工業高等学校長協会理事長・岩本洋先生の成書によります。お礼申し上げます。

最後になりましたが,本書が電気回路を学ぶみなさんと出会う機会を与えてくださったオーム社に感謝いたします。

2015年11月25日
永田博義

永田 博義 (著)
出版社 : オーム社 (2015/12/16)、出典:出版社HP

もくじ

第1章 直流回路の計算1 オームの法則
オームの法則
電流・電圧・抵抗 電力と電力量
湯沸かし器の電力と電力量
抵抗の直列接続
直列回路の電力
キルヒホッフの電圧則 (第2法則)
電圧源の直列接続
抵抗と分圧(電圧の分割)
抵抗の並列接続
並列回路の合成抵抗
並列回路とコンダクタンス
キルヒホッフの電流則(第1法則)
未知電流
分流式
直並列回路
抵抗と消費電力
ラダー回路
電圧源と内部抵抗
電位と電位差
電位差
3端子可変抵抗器と負荷抵抗
倍率器
2台の電圧計による電圧測定
電圧計の内部抵抗
分流器
2台の電流計で測定
電流を1:2に分割
文字式計算
電流を2倍にする
短絡した時の電流
電池1個の内部抵抗
ブリッジ回路と平衡条件
ホイートストンブリッジ
最大消費電力
・自習問題 (問1-1~問1-42)

第2章 直流回路の計算2 キルヒホッフの法則とべんりな定理
キルヒホッフの法則と枝路電流法
ループ電流法
クラメルの公式
3線式電線路
電圧源と電流源-1
電圧源と電流源-2
電圧源と電流源-3
重ね合わせの理-1
重ね合わせの理-2
△-Y変換
Y-△変換
ブリッジ回路の合成抵抗
節点電圧法-1
節点電圧法-2
ミルマンの定理-1
ミルマンの定理-2
テブナンの定理-1
テブナンの定理-2
ノートンの定理
ブリッジ回路の電流
可逆の定理
・自習問題(問2-1~問2-35)

第3章 交流回路の計算1 オームの法則と記号法
正弦波交流電圧と電流の瞬時値式
最大値・角速度・周波数
交流電圧と電流の波形
ラジアンと度数
平均値と実効値
電流の和
複素数の四則計算
S(スタインメッツ)表示
S表示による掛け算と割り算
四則計算とベクトル
瞬時値式とS表示
直交表示による電流の和
電流の和
抵抗R[D]の電流と電圧
インダクタンスL [H] の電流と電圧
静電容量C [F] の電流と電圧
R-L直列回路のインピーダンス
交流回路におけるオームの法則
直列回路のインピーダンスZ [Ω] インピーダンスの端子間電圧 V [V] 未知インピーダンス・ R-C 直列回路
R-L-C 直列回路
電圧分割式
R-L 並列回路
並列回路のインピーダン
分流式
R-L-C 並列回路とアドミタンスY [S] 位相差
インピーダンスZ [2] とアドミタンス[S] の関係
電圧測定と未知インピーダンス
未知リアクタンス
有効電力P[W] 無効電力 Q [var] 皮相電力S[V・A] 電力三角形
力率改善
直交表示による有効・無効電力計算
並列回路の電力三角形
周波数変化と力率
直列共振回路
直列共振周波数
理想並列共振回路
並列共振回路
並列共振周波数-1
並列共振周波数-2
・自習問題(問3-1~問3-43)

第4章 交流回路の計算2 キルヒホッフの法則とべんりな定理
枝路電流法
枝路電流法とループ電流法
ループ電流と電力
重ね合わせの理
電圧源と電流源
節点電圧法
重ね合わせの理と節点電圧法
テブナンの定理とノートンの定理
ブリッジ回路の電流
ミルマンの定理-1
ミルマンの定理-2
A-Y変換
A-Y負荷のインピーダンス
最大消費電力定理
最大消費電力-1
最大消費電力-2
可逆の定理-1
可逆の定理-2
ひずみ波回路
ひずみ波の波形
ひずみ波回路の電圧と電流
ひずみ波電圧・電流の実効値
ひずみ波電流の実効値計算
ひずみ波回路の皮相電力
消費電力
力率
ひずみ波回路の消費電力-1
ひずみ波回路の消費電力-2
ひずみ波回路の消費電力-3
ひずみ波回路の消費電力-4
・自習問題(問4-1~問4-43)

第5章 交流回路の計算3 三相回路
三相交流電源
Y電源とA電源
相電圧と線間電圧
Y負荷とA負荷
Y-Y回路の電力
A-A回路の電力
線間電圧・線電流と電力
Y-A回路の電力
A-Y回路の電力
負荷のA-Y変換およびY-A変換
Y-A変換
A-Y変換
三相電力
三相電力の測定
不平衡Y負荷-1
不平衡Y負荷-2
不平衡△負荷
・自習問題(問5-1~問5-25)

自習問題の解答
1章自習問題の解答
2章自習問題の解答
3章自習問題の解答
4章自習問題の解答
5章自習問題の解答
付録:理解しておこう/覚えておこう 基本法則と公式
直流回路/交流回路/直角三角形と三角比/三角関数の公示
微分・積分の公式

永田 博義 (著)
出版社 : オーム社 (2015/12/16)、出典:出版社HP