工事担任者2020春AI・DD総合種実戦問題
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はしがき
近年、ネットワークのIP化、ブロードバンド化が急速に進展し、それに伴い、端末設備等の機能、構造も高度化しています。利用者の端末設備等を電気通信事業者のネットワーク(電気通信回線設備)に接続するための工事を行い、又は監督するためには、国家資格である工事担任者資格が必要です。実際、電気通信事業法では、「利用者は、端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者(「工事担任者」という。)に、当該工事担任者資格者証の種類に応じ、これに係る工事を行わせ、又は実地に監督させなければならない。」と規定されています。
工事担任者試験は、毎年2回(通常、5月と11月)実施され、最新試験は令和元年11月24日(日)に行われました。本書では、この最新試験の全問題を掲載するとともに、試験の内容を徹底的に分析し、出題傾向に準拠した問題を厳選して掲載しています。本書は、工事担任者資格を目指す方々に、これをもとにどのような学習をすればよいか、特に何が重点かを理解していただくことを目的として解説し、解答例を付して編集したものです。なお、本書の内容に関しては、電気通信工事担任者の会に監修のご協力をいただきました。
本書の活用により、工事担任者資格を目指す方々が一人でも多く合格し、新しい時代の担い手として活躍されることを願ってやみません。
編者しるす
工事担任者について
1.工事担任者とは
工事担任者国家資格は、電気通信回線設備に端末設備又は自営電気通信設備を接続するための工事を行い、又は監督する者に必要な資格です。利用者は、電気通信事業者の電気通信回線設備に端末設備又は自営電気通信設備を接続するときは、工事担任者資格者証の交付を受けている者に工事を行わせ、又は実地に監督させなければなりません。
工事担任者資格者証の種類は、端末設備等を接続する電気通信回線の種類や端末設備等の規模等に応じて、7種類が規定されています。アナログ伝送路設備及び総合デジタル通信用設備(ISDN)に端末設備等を接続するための工事を行うAI種と、デジタル伝送路設備(ISDNを除く)に端末設備等を接続するための工事を行うDD種に分かれ、さらにこれらを統合したAI・DD総合種があります。具体的には表1に示すとおり区分されています。工事担任者資格者証は、工事担任者試験に合格した者又は養成課程を修了した者等に交付されます。
2.工事担任者試験について
電気通信の「工事担任者」試験は、電気通信事業法第73条に基づき実施される国家試験です。試験は、年2回(通常、5月と11月)行われており、試験事務は総務大臣の指定を受けた一般財団法人日本データ通信協会により実施されています。
試験科目は、「基礎」「技術及び理論」「法規」の3科目となっております。それぞれの科目の満点は100点で合格点は60点以上です。各問題の配点は、試験問題設問文の末尾に記載してあります。
なお、一定の資格又は実務経験を有する場合及び総務大臣の認定を受けた教育施設(認定学校)を修了した(修了見込を含む)者には、申請により一部の試験科目が免除される場合があります。受験の申請や、試験実施日、試験の免除申請等、受験に関する詳細については、一般財団法人 日本データ通信協会 電気通信国家試験センターのホームページをご覧ください。
(https://www.shiken.dekyo.or.jp/)
令和元年11月24日に実施された令和元年度第2回工事担任者試験の合格率等は表2のとおりとなっています。
なお、試験問題及び解答は、試験実施日の週の水曜日に、一般財団法人 日本データ通信協会 電気通信国家試験センターのホームページで公表されます。
表1 資格者証の種類と工事の範囲
資格者証の種類 | 工事の範囲 | |
総務省令の規定 | 工事の例 | |
AI第1種 | アナログ伝送路設備(アナログ信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事 | 中~大型PBXの取付け及び配線 |
AI第2種 | アナログ伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(端末設備等に収容される電気通信回線の数が50以下であって内線の数が200以下のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が毎秒64キロビット換算で50以下のものに限る。) | 小型PBX、ボタン電話機の取付け及び配線 |
AI第3種 | アナログ伝送路設備に端末設備を接続するための工事(端末設備に収容される電気通信回線の数が1のものに限る。)及び総合デジタル通信用設備に端末設備を接続するための工事(総合デジタル通信回線の数が基本インタフェースで1のものに限る。) | 一般電話機、ホームテレホン、ISDN端末の取付け及び配線 |
DD第1種 | デジタル伝送路設備(デジタル信号を入出力とする電気通信回線設備をいう。以下同じ。)に端末設備等を接続するための工事。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 | 中~大型IP-PBXの取付け及び配線 |
DD第2種 | デジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒100メガビット(主としてインターネットに接続するための回線にあっては、毎秒1ギガビット)以下のものに限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 | 小型P-PBX.IPボタン電話機、バケット端末の取付け及び配線 |
DD第3種 | デジタル伝送路設備に場末設備等を接続するための工事(接続点におけるデジタル信号の入出力速度が毎秒1ギガビット以下であって、主としてインターネットに接続するための回線に係るものに限る。)。ただし、総合デジタル通信用設備に端末設備等を接続するための工事を除く。 | 家庭向けIP電話機の取付け及び配線 |
AI・DD総合種 | アナログ伝送路設備又はデジタル伝送路設備に端末設備等を接続するための工事 | 以上のすべての工事 |
表2 令和元年度第2回試験の実施結果(総務省発表)
資格区分 | 申請者数 | 受験者数 | 合格者数 (合格率) |
AI第1種 | 908 | 755 | 196 (26.0%) |
AI第2種 | 246 | 200 | 63 (31.5%) |
AI第3種 | 2,501 | 2,218 | 783 (35.3%) |
DD第1種 | 2,897 | 2,295 | 649 (28.3%) |
DD第2種 | 288 | 214 | 40 (18.7%) |
DD第3種 | 6,267 | 5,748 | 2,841 (49.4%) |
AI・DD総合種 | 4,926 | 3,658 | 796 (21.8%) |
合計 | 18,033 | 15,088 | 5,368 (35.6%) |
目次
1 電気通信技術の基礎(基礎科目)
出題分析と対策の指針
1. 電気回路
2. 電子回路
3. 論理回路
4. 伝送理論
5. 伝送技術
2 端末設備の接続のための技術及び理論(技術・理論科目)
出題分析と対策の指針
1. 端末設備の技術(Ⅰ)
2. 端末設備の技術(Ⅱ)
3. 総合デジタル通信の技術
4. ネットワークの技術
5. トラヒック理論等
6. 情報セキュリティの技術
7. 接続工事の技術(Ⅰ)
8. 接続工事の技術(Ⅱ)
9. 接続工事の技術(Ⅲ)
10. 接続工事の技術(Ⅳ)
3 端末設備の接続に関する法規(法規科目)
出題分析と対策の指針
1. 電気通信事業法
2. 工担者規則、認定等規則、有線電気通信法
3. 端末設備等規則(Ⅰ)
4. 端末設備等規則(Ⅱ)
5. 有線電気通信設備令、不正アクセス禁止法、電子署名法