わかりやすい 環境計量士試験 騒音・振動関係専門科目 環物・環音 (国家・資格シリーズ 231)




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まえがき

本書は、国家試験である環境計量士試験(騒音・振動関係)を突破することを考えておられる方に、騒音・振動関係の専門科目である環物(環境計量に関する基礎知識)と環音(音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量)の2科目について、みっちり学習していただくための学習書として執筆しました。

従来より、1冊で共通科目と専門科目までをカバーしてある学習書が多いのですが、その場合にはこの2科目をしっかり学習しようと思われる方には、ページ数の制約などのために個別の科目の学習がやや浅く短くなりがちでした。そこで、本書はそのような制約をある程度はずして、十分な学習をしていただけるものとして用意しております。

しかしながら、環境計量士の試験に出る確率がかなり少ないようなマニアックな内容までを用意することは必ずしも良策ではないと考え、出題確率が高いと思われる内容をじっくり学習いただくことを念頭に執筆しております。

なお、念のために申し添えますが、本書は共通科目については扱っておりませんので、その学習には姉妹編「わかりやすい環境計量士試験(共通科目「法規・管理])」、あるいはその他の学習書をご利用下さい。

皆様の学習のために本書がお役に立てますことを念じております。また、めでたく環境計量士試験に合格され、資格を取得されましたら、さし迫った多くの環境問題の解決に対して、皆様のおられる立場からの貢献を少しでもしていただけますように願ってやみません。

著者

目次

第1編 環境と物理
第1章 環境基本法
第2章 環境基準
第3章 騒音規制法
第4章 振動規制法
第5章 力と運動および剛体の力学

第6章 流体とその運動
第7章 熱力学および熱の移動
第8章 音波と光波
第9章 電気
第10章 磁気および電磁作用
第11章 原子と原子核第12章微分方程式とその解法

第2編 音響と振動
第1章 波の理論
第2章 音の基礎
第3章 レベル
第4章 騒音の基礎
第5章 振動の基礎

第6章 感覚量と評価量
第7章 聴覚と振動感覚
第8章 騒音振動の影響
第9章 室内の音響
第10章 周波数分析

第11章 騒音の測定
第12章 振動の測定
第13章 波動の伝搬と減衰
第14章 騒音と振動の防止

第3編 模擬問題と解説解答
1 環境と物理(模擬問題)
2 音響と振動(模擬問題)
3 環境と物理(解説と解答)
4 音響と振動(解説と解答)

索引

環境計量士の学習の仕方

騒音・振動の専門科目の学習方針
基礎物理および音響振動の2科目は、騒音・振動の専門科目として位置づけられており、これらの合計点の水準で専門科目の合否を判定されます。2科目で25問ずつの50問があり、そのうち60%の30問の正解を出せれば合格です。問題の難易度やその年に受験した人の出来具合によっては、60%より低い合格水準になることもあります。過去には、50問中28問や26問の正解で合格ということもありました。

そこで、対策は個人ごとに違ってくるでしょうが、大きく分けて2つの要素(実力問題、暗記問題)をどのように考えて、どちらにどれだけの重点を置くか、ということをお考えいただきたいと思います。もちろん、両方努力されることが前提ですが、より得意な方で他をカバーすることが、60%を取るべき環境計量士の試験ではとても大事になってきます。

●実力問題の苦手な方
物理や騒音・振動の実力問題は、できるだけ解き方のパターンを覚える学習をしましょう。そして、暗記部分として、基礎物理の中の環境法令(5問)や騒音・振動の暗記部分を確実に取って、実力問題の成績をカバーしましょう。

●暗記問題の苦手な方
暗記が苦手な方は、もちろん、暗記努力も必要ですが、物理や騒音・振製の実力問題で点を稼いで、トータルで60%になることを目指しましょう。

(1)物理の学習の方法
環境計量士の物理の試験では、大学2年生くらいまでに学ぶ物理学についての実力を問われる問題が出題されます。この部分は、公式の暗記などは役に立ちますが、基本的に暗記によって解こうとすることは難しい科目となっています。さて、どうしましょう。

①物理学の実力を付ける学習法
物理の原理や基本公式を理解して、出題された問題がどの原理でどのように解くものなのかを判断して、実際にそれを解く訓練をされることが大切です。結構たいへんな学習にはなりますが、繰り返し努力されれば解ける問題の比率がふえていくことと思います。環境計量士になってから実務をされる上でも物理の基礎力を持っていれば力強い環境計量士になることでしょう。

理解できない問題を解く学習法
そういう虫のよい方法は普通にはなかなかありませんが、しかし、よく出題される問題であれば、内容の理解はともかくとして、解き方のパターンを覚えることによって正解できる問題もあります。失礼ながら「頭より馬力だ」という方にはこの方法はおおいに役に立つことと思います。

(2)騒音・振動の学習の方法
騒音・振動、いわゆる音響と振動は、環境計量士試験に合格されて、環境計量士として登録された後に、実務としてお仕事に直結する科目となります。それだけに物理の応用のような問題もあり、また、暗記で得点を稼げる問題もあります。物理の苦手な方は、暗記部分で対処することも受験のための一法であろうと思います。

①実力問題
計算問題もそれなりに出題されます。物理と似た学習方法で理論を理解するか、あるいは、理解できなくても解き方を訓練して臨むかの両方のスタイルがあると思いますので、どちらかを選ばれることでよいでしょう。いずれにしても過去問を中心として問題演習は何度も行って下さい。

②暗記問題
騒音および振動の測定法、あるいは、聴覚や振動感覚、各種の評価量など、物理に比べれば暗記で対処できる問題もそれなりに多いので、このあたりは時間を掛けて繰り返しの学習などで頑張れば頑張っただけの効果は出てくるものと思います。

本書における学習の方法

学習の方法は、基本的に学習される皆さんが、ご自分にあったものと思われる方法が最適です。ただ、一般的な形として申し上げますと、本書につきましては、

①各編各章ごとに、試験によく出る重要事項と、試験によく出る問題(基礎問題、訓練問題、実戦問題)
②最後に、模擬問題

という構成となっておりますので、通常の方法としては、順次取り組まれることが望ましいと思います。なお、これらの問題は、出題頻度にある程度の差はありますが、いずれも試験によく出る問題を選んで、基礎的なものから発展的なものへと順序だてて並べております。しかし、これまでの学習のご経歴によっては、編や章の順序を必ずしも本書の並べ方の通りに学習されることはありません。

個々人ごとの学習のしやすさや優先的に征服したい分野など、学習される方の事情によって、学習順序を入れ替えていただいてもかまいません。環境計量士の国家試験では、科目ごとにさまざまな範囲の問題が出題されますが、それらを万遍なく学習されることもたいへんです。ご理解の状況に応じて重点的に学習されることも必要になってきます。

この国家試験の問題は、基本的に五肢択一式(5つの選択肢の中より、1つを選ぶ)となっておりますので、本書もそのような形式で問題を作成しております。学習に際しては、5つの選択肢の正解部分だけを学習されるよりも、5つの選択肢のすべてを「なぜ正しいのか」「なぜ誤っているのか」という見方で学習されることで、その分野の学習が大きく進まれることと思います。

最後に申し添えますが、試験に合格される方は「60%以上の問題を正解される方」です。合格されない方は、「60%の問題の正解を出せない方」です。合格される方の中には、「すべてを理解してはいなくても、平均的に60%以上の問題について正解が出せる方」が含まれます。多くの合格者がこのタイプと言ってもそれほど過言ではないかもしれません。

合格されない方の中には、「高度な理解力をお持ちであっても、すべてを理解しようとして途中で学習を中断される方」も含まれます。優秀な学力をお持ちの方で、受験に苦労される方が時におられますが、およそこのようなタイプの方のようです。いずれにしても、試験勉強はたいへんです。その中で、最初から「すべてを理解しよう」などとは思わずに、少しでも時間があれば、一問でも多く理解し、一問でも多く解けるように努力されることがベストであろうと思います。皆様のご健闘を願っております。

受験案内

[1]計量士の登録
計量士になろうとする人は、次の計量士の区分ごとに経済産業大臣の登録を受けることとされています。国家試験もそれぞれの区分に基づいて行われます

・環境計量士(濃度関係)
・環境計量士(騒音・振動関係)
・一般計量士

登録の要件は次のいずれかに該当することです。
①登録を受けようとする計量士の区分の計量士国家試験に合格し、かつ、「経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合すること。
②計量教習所の課程を修了し、かつ、経済産業省令で定める実務の経験その他の条件に適合し、計量行政審議会が上記1に掲げる者と同等以上の学識経験を有すると認めること。

[2]受験資格
3区分ともに、学歴、年齢その他の制約は一切ありません。 [3]試験科目の一部免除
既に、環境計量士(濃度関係)、環境計量士(騒音・振動関係)および、一般計量士の計量士国家試験のいずれかに合格していれば、他の試験区分を受験する際には、必要な手続きをすれば、試験科目のうち「計量関係法規」および「計量管理概論」の試験が免除されます。

(4)試験の期日
3区分ともに、通常は3月の第1日曜日、年によっては第2日曜日です。日程等は変更されることがあります。必ず早めに事前の確認をして下さい。

[5]試験地
3区分ともに、次の9都市で行われます。
札幌市、仙台市、東京都、名古屋市、大阪府、広島市、高松市、福岡市、那覇市 [6]試験の時間割と試験科目
表中の科目名は、本書ならびに一般に行われている略称です。正式科目名を下記に示しています。
時間区分 環境計量士 一般計量士
濃度関係 騒音・振動関係
9:10~9:30 準備時間(試験についての注意を読む)
9:30~10:40 環化 環物 一基
11:00~12:10 環濃 環音 計質
12:10~13:10 昼食時間
13:10~14:20 法規
14:40~15:50 管理

 

科目名の略称とその正式名称

受驗区分 科目名称等 正式科目名称
環境計量士
(濃度関係)
環化 環境計量に関する基礎知識 (環境関係法規及び化学に関する基礎知識)
環濃 化学分析概論及び濃度の計量
環境計量士
(騒音・振動関係)
環物 環境計量に関する基礎知識 (環境関係法規及び物理に関する基礎知識)
環音 音響・振動概論並びに音圧レベル及び振動加速度レベルの計量
一般計量士 一基 環境計量に関する基礎知識
計質 計量器概論及び質量の計量
全区分共通 法規 計量関係法規
管理 計量管理概論

 

[7]試験方法
3区分とも筆記試験により行われます。試験は、上表のように各区分4科目で、1科目につき問題は25問、全100問です。出題型式は五肢択一式です。したがって、1問に5つの記述事項があり、そのうち正しいもの、あるいは誤っているもの1つを選んでマークシートを塗りつぶします。 [8]受験申込書類
下記のものが必要となります。ただし、記入方法などは試験案内書を取り寄せてそれに従って作成して下さい。

①受験願書
願書用紙、試験案内書は下記の通商産業局等で入手可能です。
②収入印紙(8,000~9,000円程度)
(受験手数料として願書に貼るもの。年により額は変化します。)
③写真(5cm×5cmで、裏面に氏名及び生年月日を自署)
④郵便切手50円(受験票に貼り付け)
⑤合格証書の写し(試験科目の一部免除を申請する者のみ必要)

[9]試験願書用紙および試験案内書の入手先下記の連絡先に、受験される方が直接申し込んで下さい。
なお、入手目的の際には140円切手(2部は200円、3部は240円、4〜8部は390円切手)を貼り、自分の宛先を書いた返信用封筒を同封してください。これらの配布期間は、通常10月初旬から願書締切日までの約1ヶ月間ですので、申込は、余裕を持って行って下さい。 [10]受験前の心構えと準備
一般の試験と共通ですが、以下のように計画的にご準備下さい。

①事前の心構え
できるだけ、弱点が克服できるように計画的に学習を進めて下さい。
また、体調をあらかじめ整えておいて下さい。試験が3月なので、受験勉強の時期に風邪などを引かないようにご注意下さい。

②直前の心構え
受験に必要なものを忘れないようにチェックリストを作って確認するくらいの配慮をお願いします。(送付された受験票も忘れずに)
試験会場の地図などを参考に、当日あわてないように会場の位置を下調べしておいて下さい。前日は、十分な睡眠をとって下さい。残業や酒席の付き合いなどは避けるようでないとなかなか合格はできません。

③当日の心構え
試験会場には、少なくとも開始時間の30分前には到着するように出発して下さい。自分の席を早めに確認して下さい。また、用便はあらかじめ済ませておくことがよいでしょう。

④試験に臨んで
受験番号と氏名をまず書きましょう。全問正解でなくてもよいのだと考えてリラックスしましょう。
問題は少なくとも2回読みましょう。

ご健闘をお祈りしております。