19-20年版 福祉住環境コーディネーター®3級短期合格テキスト
【福祉住環境コーディネーター3級試験のおすすめ参考書・テキスト（独学勉強法/対策）】も確認する
はじめに
早いもので、「福祉住環境コーディネーター」(東京商工会議所主催)の検定試験が発足して21年目を迎えました。福祉住環境コーディネーター検定受験者は、1級、2級、3級合わせて143万人以上となり、合格者も全体で62万人(2018年11月検定まで)に達しています。
東京商工会議所の検定試験の普及により、福祉、建築の両分野の人材を中心に福祉住環境コーディネーター検定取得者が多数輩出され、介護、医療、建築現場でそのスキルが生かされています。一方で私が理事長を務めますNPO法人福祉・住環境人材開発センターは、検定合格者のスキルアップを目的とした研修を実施しながら、“高齢社会に必要とされる専門職”の養成機関として、多くの卒業生を広く産業界に輩出してきました。
わが国は、世界に類をみない速さで少子・高齢化が進んでおり、特に後期高齢者が増えています。それにともない認知症高齢者も増えるなど、わが国の福祉・介護問題は深刻化しています。しかし、誰もが高齢になっても、たとえ障害のある場合でも、自宅で地域で家族や親しい友人たちとできるだけ自立した生活をおくりたいと願っており、そのためには、福祉サービス、生活の基盤である住宅・住環境の整備が急がれます。
NPO法人福祉・住環境人材開発センターでは、平成26年度老人保健健康増進等事業国庫補助事業を受託し「介護保険制度における住宅改修研修のあり一方に関する調査研究事業調査・研修結果報告書」と「介護保険制度における住宅改修事業者研修テキスト」を作成し厚生労働省に提出しています。報告書、研修テキスト等については、当NPO法人のHPをご覧いただくか、事務局へお問い合わせください。
また、2009年より始まった「認知症ライフパートナー」3級・2級・1級試験(一般社団法人日本認知症コミュニケーション協議会主催)についてもご紹介いたします。認知症の人が460万人、MCI(軽度認知障害)の人が400万人といわれその7割が在宅ケアをうけており、認知症ケアと住環境整備もより強く求められるようになりました。そのためには福祉住環境コーディネーターをはじめ広く一般の方々にも認知症に関する知識やコミュニケーション手法を身につけることが求められます。詳細は同協議会までお問い合わせください。
本書は、福祉住環境コーディネーター3級受験のために、その要点整理、項目別チェック問題と実践的な内容となっています。さらに項目別での学習ポイント、欄外に用語解説、分かりやすいイラストなどを工夫しました。本試験の対策書としてぜひ本書を有効にご活用ください。
NPO法人福祉・住環境人材開発センター
理事長 渡辺光子
本書の特徴と学習の仕方
・本文の特徴
出題範囲となる東京商工会議所編『改訂5版福祉住環境コーディネーター検定試験®️３級公式テキスト(以下、公式テキスト)』をもとに、要点および出題の可能性が高い内容をまとめています。また、脇注には、重要な用語の解説、あるいは、その他の試験対策に役立つ情報が掲載されています。
・確認問題○×チェックの特徴
福祉住環境コーディネーター3級検定試験の過去問題の選択肢を抜き出し、章別に整理しています。選択肢を分解し、1問ずつ○×で解答することで、より確実な知識が身につきます。確認問題○×チェックは読者特典としてダウンロードしてご覧いただくこともできます。
CONTENTS
本書の特徴と学習の仕方
3級検定試験の傾向と対策
第1章 暮らしやすい生活環境をめざして
第1節 少子高齢社会と共生社会への道
1-A少子高齢社会の現状と課題
1-B地域社会、社会全体の取り組みの必要性
第2節 福祉住環境整備の重要性・必要性
2-A・B日本の住環境の問題点と福祉住環境コーディネーターの役割
第3節 在宅生活の維持とケアサービス
3-A高齢者の自立生活を支える介護保険制度
3-A介護保険サービスの種類
3-B障害者総合支援法のしくみ①
3-B障害者総合支援法のしくみ②
●確認問題O×チェック
第2章 健康と自立をめざして
第1節 高齢者の健康と自立
1-A・B健康な一生をおくるために役立つ老化のとらえ方
1-C・D元気な高齢者をめざすために必要な食事と運動
1-EF高齢者の健康に欠かせないヘルスプロモーション
第2節 障害者が生活の不自由を克服する道
2-A障害の種類によって変わってくる自立の方策
2-B・C障害に影響を及ぼす種々の要因と社会参加を可能にする要因
●確認問題O×チェック
第3章 バリアフリーとユニバーサルデザイン
第1節 バリアフリーとユニバーサルデザインを考える
1-Aバリアフリーとユニバーサルデザインの考え方
1-A・Bわが国でのバリアフリーとユニバーサルデザイン
第2節 生活を支えるさまざまな用具
2-A・B生活のなかの問題点と用具の活用
2-C福祉用具の基本性能
2-C移動・移乗のための福祉用具①(つえ・歩行器、スロープ)
2-C移動・移乗のための福祉用具②(車椅子)
2-C移動・移乗のための福祉用具③(段差解消機・階段昇降機、移動用リフト)
2-C起居・就寝のための福祉用具
2-C排泄入浴のための福祉用具
2-Cコミュニケーション支援用具・自助具
●確認問題O×チェック
第4章 安全・安心・快適な住まい
第1節 住まいの整備のための基本技術
1-B・C段差と床材
1-D・E手すりと建具
1-F・G幅・スペースや家具・収納への配慮
1-H~K色彩・照明計画、インテリア、冷暖房、非常時の対応、経費・維持管理への配慮
第2節 生活行為別に見る安全・安心・快適な住まい
2-B屋外移動・外出(アプローチ・外構計画、玄関)
2-C屋内移動(廊下、階段)
2-D水回り①(トイレ、洗面・脱衣室)
2-D水回り②(浴室)
2-E・F調理(キッチン)、起居・就寝(寝室)
2-E・G清掃・洗濯、妊婦・子どもに対する配慮、その他
●確認問題O×チェック
第5章 安心できる住生活とまちづくり
第1節 ライフスタイルの多様化と住まい
1-A・Bライフスタイルの多様化と暮らし方の変化
第2節 安心できる住生活
2-A~C高齢者、障害者や子育て世帯に対応した住宅・住環境整備
第3節 安心して暮らせるまちづくり
3-A・B人にやさしいまちづくり
●確認問題○×チェック
●応用問題
索引
3級検定試験の傾向と対策
・合格率と平均点
福祉住環境コーディネーター検定試験は毎年7月と11月の年2回実施され、2018年度は7月8日(日)に第40回試験、11月25日(日)に第41回試験が実施されました。試験の結果は、第40回試験は実受験者数：4,585人、合格者数：2,595人、合格率55.6%、平均点：71.7点でした。また、第39回試験は実受験者数：5,294人、合格者数：2,934人、合格率55.4%、平均点：70.1点でした。
・問題形式と問題数
問題はマークシート方式で出題され、問題数は全部で40問程度です。そして、それを2時間で解答し、合格するには70%以上(100点満点中70点)をとる必要があります。形式としては、適切不適切な肢を選ぶ問題が中心ですが、○×組み合わせ問題や穴埋め問題も出題されています。なお第33回以降は、長文の穴埋め問題、穴埋めの組み合わせ問題、複数の選択肢を1肢ずつ正しいか・間違っているかを選ぶ問題など、形式が多様化しており、それらを「その他」に分類しています。また、O×組み合わせ問題では、おおよそ○と×が2つずつの組み合わせの選択肢でしたが、全部○や×、3つ○や×など、さまざまなパターンの組み合わせも出題されています。
・出題の特徴と最近の傾向
3級試験の特徴は、公式テキストの記述通りの問題が中心に出題されていることです。また、ほぼテキストの目次の順序に沿って、章別に出題されていることも特徴の一つです。全体的には、基本的な知識を問う問題が多く、公式テキストをしっかりと読み込んでおけば正答を導き出せるものばかりです。
→出題範囲に注意!
2019年に実施される第42回試験(7月)と第43回試験(11月)については、『改訂5版3級公式テキスト』から出題されることが東京商工会議所より発表されています。
直近の法改正など、新たに追加された内容は特に出題の可能性が高くなりますので、よく確認しておきましょう。
→新傾向の事例問題に注意!
これまでの傾向として、第5章「安心できる住生活とまちづくり」は、第4章に次いで出題が多い章で、特に2節は出題数も多く施策や法制度の名称を問うやや難しい問題が目立ちました。第33回には傾向が変わり、細かい施策や法制度に関する出題が大きく減少し、代わりに事例形式の問題が2問ほど出題されました。ただし、その後の第34回以降は出題がありません。対策としては各高齢者施設や施策が誰を対象にしたもので、どんな内容なのかを意識しながら学習を進めることになります。例えば、シルバーハウジングに入居できる人はどんな人か?、どんなサービスを受けられるのか?などです。本書のP.147~149に表形式でまとめてありますので、うまく活用して下さい。
→イラスト・図表問題に要注意!
最近の傾向として注意したいのが公式テキスト中のイラストを使った問題や、あるいは表を使った問題です。対策としては、テキスト本文を読む際に、イラスト・図表もセットで目に入れるように意識することが必要です。なお、図表についてはその横や下に付いている説明文もよく出題されています。忘れずに押さえておきましょう。
→欄外の用語解説・コラムに注意!
試験問題全体の特徴として「テキストからまんべんなく出題がなされる」という点を挙げましたが、欄外の用語解説についてもどこから出題されても対応できるように正確に押さえておくことが必要です。また、コラムの内容から出題されることもよくあるので一通りは目を通しておきましょう。
