司法書士試験 独学で働きながら合格する方法




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はじめに

2008年に行政書士試験,2013年に司法書士試験,2014年には公認会計士試験に私は働きながら独学で合格しました。

前著「公認会計士試験社会人が独学合格する方法』(中央経済社)では,その経験をもとに方法論をまとめ,「勇気をもらった」「合格できると自分を信じられるようになった」と,たくさんのポジティブな感想をいただきました。

そのような反響の中,ありがたいことに司法書士試験の独学体験についても詳しく知りたいという声が多く寄せられ,今回,本書にまとめることになりました。

司法書士試験の受験生は,苦労人が多い印象です。研修で知り合った合格者は大抵,4回以上の受験経験があり,聞いた話では16回目の挑戦で合格を果たした人もいるそうです。寝る時間を惜しんで勉強した社会人も多く,「二度と受験生活には戻りたくない」と言っていました。

私もかつて,仕事と勉強の両立に悩みました。勉強時間が足りなくて,広すぎる試験範囲に気が遠くなったこともあります。そうして何度も挫折する中で,気づいたことが2つありました。

それは,「努力を続けることは難しい」ことと「適切な努力を続ければ,目標を達成することはそれほど難しくない」ことです。これは前著でお伝えした内容から一貫した考えです。このことがわかってからは,「楽に努力を続ける」ことを心がけるようにしました。

具体的には,やるべきことを細分化してスキマ時間に組み込み,日常生活を変えずに勉強時間を確保するようにしました。そして,これをオリジナル学習法として「フラグメンツ学習法」と名づけました。

司法書士試験,公認会計士試験を受験していた時,私は上場企業の経理部に勤務しており,残業が月に100時間を超えることも多くありました。専門学校に通う時間が取れないため,独学を選びました。

独学は生真面目な人がするもの,ずば抜けた頭の持ち主がするものと思う人もいるかもしれません。しかし自慢になりませんが,私はテストでは赤点の常連,大学は2回留年し,卒業の年まで1年生と一緒に授業を受けていました。残念ながら,子供の頃からまったく勤勉ではありませんし,もちろん天才でもありません。

合格に必要なのは,効率的に勉強時間を確保し,適切に努力することです。フラグメンツ学習法ができてからは,仕事に出かけて帰宅するまでの間に,ほとんどの勉強を終えていました。また,週に1日は完全に勉強を休み,テキストを開きませんでした。

今でも,司法書士試験に落ちたときや,模試の成績が上がらずに悔しい思いをしたときの気持ちが,昨日のことのように思い出されます。ですが,合格発表で自分の番号を見つけたとき,そんな日々の努力が認められたような気がして,胸が熱くなりました。

司法書士を志しながら,合格できずに受験をやめた人も数多くいるでしょう。不合格者の全員に共通することは1つだけです。それは,「受験をあきらめたこと」です。この本が,かつての私のような悩める受験生の救いになることを祈ります。今は苦しい状況にあるとしても,あきらめずに夢に向かって進んでください!

株式会社SEEHO
石動龍

石動龍 (著)
中央経済社 (2016/11/16)、出典:出版社HP

目次

はじめに

第1章 司法書士としての未来
1 司法書士の仕事とは
2 司法書士の登記業務
3 一部の裁判業務を代行できる
4 ニーズが高まる成年後見業務
5 司法書士のプロボノ活動

第2章 なぜ,独学でリベンジ合格できたのか
1 独学合格はできる!
2 プロフェッショナルへの憧れとあきらめ
3 「あきらめたこと」はいつまでも忘れない
4 リベンジ合格を決意した日
5 敗因分析をして気づいたこと

6 独学合格を実現させる「フラグメンツ学習法」
7 受験勉強を楽しむ秘訣①
意識的にメリハリをつける
8 受験勉強を楽しむ秘訣②
知識を日常生活に引きずり出す
9 合格したときのこと

第3章 独学合格のためのフラグメンツ学習法
1 「フラグメンツ学習法」のポイント
2 受験の目的を常に意識する
3 平日にスキマ時間を作る
4 過去問を解いて,レベルを確認する
5 わからないときの対処法
6 やる気が出ないときの対処法
7 勉強を続けるための対処法

第4章 私の受験記録
1 勉強スケジュール
2 テキスト・問題集・条文の読み方
3 テキストの選び方
私に合った教材・合わなかった教材
4 間違いノートの作成
5 模試の日程と目標

第5章 「午前の部」の受験対策学習方針と択一式の解き方
1 試験の概要と近年の傾向
2 憲法の学習方針
3 民法の学習方針
4 刑法の学習方針
5 商法・会社法の学習方針

6 択一式の問題形式
7 択一式の解き方
8 解答の時間配分を決める
9 マークシート対策

第6章 「午後の部」の受験対策学習方針と記述式の解き方
1 民事訴訟法の概要と方針
2 民事執行法・民事保全法・司法書士法の概要と方針
3 供託法の概要と方針
4 不動産登記法の概要と方針
5 商業登記法の概要と方針
6 記述式の解き方

第7章 合格後の研修と就職状況
1 研修日程と費用
2 司法書士の就職状況
3 社会人を経験していてよかったこと

石動龍 (著)
中央経済社 (2016/11/16)、出典:出版社HP