世界一やさしい「医療事務」の超入門講座 (New Medical Management)




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まえがき

医療機関に必要とされる人材をめざそう!

本書を手にしている皆さんは少なからず医療業界に興味を持たれていることと思います。医療業界や医療機関とはどのようなイメージでしょうか?大半の方は公共性が高く専門的といったイメージをお持ちではないでしょうか。

たしかに皆さんのイメージ通りのことも多くありますが、医療業界を取り巻く環境は問題が山積されています。医療費の増加、医師の離職率、医療機関の経営難、人材不足、高齢化問題、救急体制、診療報酬に関する調査等挙げるときりがないほどです。特に医療事務系職員が関係する問題の中でも、医療費の増加や医療機関経営の悪化があります。

医療費は年間10兆円を超える規模にもなっています。さらに今後も増加し続け、将来的には30兆円超えは確実で、8兆円にも届くことが予測されています。このような金額は「医療」だけの数値であり、プラス介護にかかる費用が必要です。

こちらも今後増加することが予測されることから、財源の確保は急務です。政府としては、財源確保や医療費の抑制に関する政策を実行していますが、抜本的な解決には至っていません。医療費の抑制政策として代表的なものには次のものが挙げられます。

◎診療報酬点数の引き下げ、保険料率改定、後期高齢者医療制度、スイッチOTCの推進、審査機能の強化等。

そのほかにも様々な対策が講じられていますが、なかなか解決には至りません。前記のような内容は医療事務職員が関係するものも多く含まれています。このような影響もあり、医療機関の経営は年々厳しくなっています。

医療機関の経営の根幹を成すのは診療報酬であり、この診療報酬の請求を担当するのが医療事務職員ということになります。経営難である医療機関にとって医療事務職員の担う役割はかなり大きく、医療機関の経営を左右するといっても過言ではありません。

先にも述べたように今後医療にまつわる市場はさらに増大します。とすれば、その業界で働く人材も現在よりも多くの数が必要になることは必然です。しかし市場規模が大きくなるからと言って誰でもいいということではありません。

やはり質の高い人材が求められます。ここでいう質の高い人材とはどのような人材を指すのかは、本書をお読みいただければご理解いただけると思いますが、医療事務職員を目指すなら医療機関に必要とされる人材を目指していただきたいと思います。

医療機関で事務系職種が担う領域は益々拡大しています。先にも触れた医師の離職率に対しても、医師事務作業補助などの配置が推奨され、配置する医療機関が増えています。それ以外にも、調剤薬局や今後整備が進む地域包括ケアシステムにおいても医療事務職員が大きく関わることになります。

このように医療業界にとって質の高い事務職員のニーズは日々高まっています。本書をお読みになっている方が、是非このような人材になられ、医療機関で活躍されることを真に願っています。

一般社団法人 日本医療報酬調查会代表 水口錠二

もくじ

まえがき

パート1 なぜ、医療事務は人気があるの?職場となる医療機関のしくみはどうなってるの?
1 医療事務が人気の理
2 忙しすぎる医師をサポートする“医療事務系職員”の仕事が注目されている!
3 医療事務として働く”職場”となる診療所や病院のしくみはどうなっているの?
4 医療機関では、どんな資格を持った専門職と一緒に働くことになるの?
5 「医師事務作業補助」とは、どんな仕事なのか

パート2 医療事務にはどんな仕事があるのか
1 医療事務はどんなことをするのか
2 なぜ、病院の顔となる受付業務に「観察力」が必要なのか
3 病院経営の大本となる診療費を請求する「請求業務」のしくみ
4 医療事務担当者がしっかり請求事務をしないと医療機関の経営は成り立たない!

パート3 医療事務に必要な6つの基本
1 医療事務に必要な知識とスキル
2 基本その1 患者心理を理解した上で応対する「患者接遇」が必要
3 基本・その2 診療報酬点数制度を理解する
4 基本その3 医療現場にはさまざまな医療関連法規がある
5 基本・その4 患者さんが持ってくるさまざまな保険証を理解していないと仕事にならない

6 基本・その5 レセプト審査システムの知識があればミスは防げる
7 基本・その6 医学的知識があると”レセプト点検”ができるようになる!
8 医療事務の知識はどのようなところで学んだらいいの?
9 医療事務の資格にはどのようなものがあるのか

パート4 クラーク業務から高収入も狙える専門コンサルまで医療事務で食べていく方法は多岐にわたっている!
1 メディカルクラーク、病棟クラークと呼ばれる「クラーク業務」の仕事とは何か
2 医業経営コンサルタント等の道も開かれている「診療情報管理」の仕事とは何か
3 レセプト作業代行業として独立開業する方法
4 人材派遣会社や人材紹介会社として独立開業する方法

5 医療コンサルタントとして独立開業する方法
6 派遣会社で働くことのメリットとは何か?
7 調剤薬局でも医療事務は活躍している
8 医療機関以外の一般企業にも、医療の知識を活かせる働き先はある

パート5 医療事務の実務【入門トライ編】
1 カルテとは何か?
2 診療の流れ
3 受付業務の流れと注意点
4 重要な保証証の役割と取扱い方に注意!
5 医療保険の種類と制度についての基礎知識
6 実際例でわかる「請求業務」の進め方・基礎知識

パート6 誰も教えてくれない就活成功マニュアル
1 気になる勤務状況・給料について教えて
2 どんな医療事務員が求められているのか
3 まずは自分の希望する労働条件に合った医療機関の情報収集から!
4 応募したい医療機関で実習するチャンスを狙おう

5 就職試験対策・その1 就職に対する心構え
6 就職試験対策・その2 自己分析
7 就職試験対策・その3 就職試験の傾向と対策
8 就職試験対策・その4 面接を突破する方法