日商簿記3級に“とおる”テキスト 第2版 (とおる簿記シリーズ)
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はじめに ~簿記は特別な知識~
みなさんは、数ある資格試験の中で、簿記を選択されました。 おめでとうございます!その選択は正解です。
簿記は3級、2級と進み、さらに、そのまま学習を進めていくと、税理士や公認会計士等の、 いわゆる士業(サムライ業)として周囲の人々に貢献し、尊敬を得られる中で収入も得られる という素晴らしい職業に就くことができる知識です。
また、そこまで昇りつめなくても、2級に合格するところまで進めば、その知識がビジネス 社会で認められて役にも立ちますし、他の資格と組み合わせてマルチに働くことも、さらには、 自分自身や周りの誰かが起業するときに協力することもできる知識です。
つまり簿記の知識は、タテに突き詰めてもヨコに広げても、また現在も将来も役立つ、他 に類を見ないほど有用な“特別な知識”なのです。みなさんは、こんな素晴らしい知識を身に つけていけるのです。
しかし、こんな簿記を学ぶにあたって、タブー(やってはいけないこと)があります。それは、 「仕訳の丸暗記」です。人間、覚えたものは忘れるだけです。しかし、理解したことは問題の解答作成にも実務に も使えるようになります。そのため、「なぜ、そうなるのか」の理解がとても重要なのです。
ですから、本書では「なぜ、そうなるのか」を徹底して書くとともに、「現実はこうなる」ということも併せて掲載しました。みなさんが、試験に合格するだけでなく、現実に使える知識を身につけ、人生を自らの力 で拓き、さらなる高みに登って行かれるよう、心から願って本書を作成しました。 ぜひご活用ください。
ネットスクール 桑原知之
本書の特徴
とにかく“わかりやすさ”とい “知識の定着(=実力アップ)”にこだわった本です!!
出題頻度を考慮し、内容としての重要度を示しています
★★★…合格に不可欠な内容
★★……知っておくべき内容
★ ……押さえておければいい内容
Sectionの本質を 一言で示しています
簿記で大切な状況設定を 「はじめに」で説明
イラストを見て状況を理解できるようにしました
ちゃんと“理由”を書いています
言葉の説明は側注で
重要ポイントを見出しにして、 復習しやすくしています
講師からのアドバイスや 別の考え方も側注で示しています
設例でわかりやすく学べるようにしています
よく間違えてしまう部分も指摘しています
わかりやすい覚え方も入っています
各 Section の終わりには Try it(確認問題)、各Chapterの終わりにはGOAL問題を掲載しているので知識の確認、定着にお役立てください。
本書の使い方
簿記の学習では“1回目のアウトプットはインプットの内”といわれます。 つまり、「テキストで学習した内容は、一度解いてみないと理解にならない」ということをまっています。
したがって、本書では、テキストだけではなくSectionごとにTry itとして基本問題も収載していますし、ChapterごとにはGOAL問題も収載しています。
そして、さらに問題を解いて本試験での合格力をつけていただくために、確認問題から過去 問題、さらには出題範囲の改定にあたって商工会議所が提示したサンプル問題に至るまで、 しっかりと収載した本書の準拠問題集“とおる”トレーニングの併用をお薦めします。
本書のSectionごとにTry itを解いたらすぐにトレーニングの問題に移って同じSectionの問題 を解答し、テキストの内容を確実に修得して、次のSectionに進むことをお薦めします。
本当に役立つ知識! 日商簿記3級のプロフィール
1 日商簿記3級とは
企業の経理事務に役立つ経理知識が身につく、簿記受験の登竜門です。
2経理だけでなく営業マンにも役立つ知識
簿記は経理の知識として必須なだけではありません。例えば営業マンは自分が獲ってきた仕 事が採算割れしていたのでは意味がないので、採算の感覚を身につける必要があり、ここでも 簿記の知識が必要になります。
またIT環境の整備が進み、起業する人もいます。起業家は商品の開発・営業・経営管理 とマルチに業務をこなすことになります。この中で簿記の知識が必要不可欠だ、ということを痛感する人が多くいます。本書を使って、このように役立つ簿記3級の知識を得てください。
3 受験資格
年齢、性別、学歴、国籍など、一切制限はありません。
4試験日
年間3回(2月、6月、11月)実施されます。※ただし2月は1級を除きます。
5試験会場
全国の商工会議所、もしくは商工会議所の指定する会場。 詳しくは最寄の商工会議所へお問合せください。
【検定試験ホームページアドレス http://www.kentei.ne.jp】
6過去の合格率
毎回約10万人の申し込みのある日商簿記3級ですが、合格率は回数によって若干の開きが あるものの、平均すると40%台半ばとなります。同じパターンの問題が、繰り返し出題されて いるので、既出の問題をしっかり解答できるようにしておきましょう。
7合格ライン
100点中70点以上で合格となります。
合格までのプロセス
みなさんの合格までのプロセスを、あらかじめ見ておきましょう。仮にみなさんが、学習スケジュール通りに学習を進め、試験当日には合格ライン(70点)を 超えるだけの実力を身に付けるとしましょう。すると、みなさんの『実力線』は原点から始まる右 上がりの直線で描くことができます。そこに、みなさんのヤル気度を示す『意欲線』と、本試験での得点力を示す『得点線』を加えてみましょう。
A:スタート期
スタートした当初は高い意欲を持ち、学習がスラスラ進んでいくため、さらに意欲が高まっていくことでしょう。この時期に学ぶ内容は、基礎的なものですが、これから学習を進めていく上で、基盤となり ますから、軽視してはいけません。
B:進行期
学習が個別の内容に進んでくると、論点が少しずつ難しくなり、理解できているのかが不安 になり、意欲が少しずつ減退していく頃です。それでも、みなさんの頭の中には少しずつ知識は増えていますから、ポジティブに考えること が大切です。 この時期には、少しずつ正答できる問題が増えていくので得点線は徐々に伸びていきます。
C:陥没期(スランプ期)
最初に過去問題を解いてみると、思うように点数が取れず、「これで合格できるのだろうか」 と思い、意欲が大きく下がってしまう方が出てくる頃です。しかし、「合格への扉に手を掛けている」 時期でもあります。「もうひと頑張りで突破できる」 と信じて、焦らず丁寧にテキストに戻りながら学習していきましょう。
D:復活期(『ヨコ解き』で陥没期を抜けることができます)
試験2~3週間前くらいに、同じ論点の問題を続けて解く『ヨコ解き』を始めるようになると、 これまでの蓄積も活かすことができ「結局、問われていることは同じだ」と気づき、合格が見え てきます。 この時期になると、意欲線も得点線も大きな上昇カーブを描き始めます。
E:仕上げ期
試験1~2週間前には、予想問題などを試験時間(2時間)で解くという『タテ解き』をしなければなりません。この時期に、合格のための解答順序や「絶対に正解しないといけないところ」 といった意識が持てるようになります。 また、得点的にも安定して合格ラインを超えていけるようになり、意欲も高まります。学習を始める前から、今後このような時期が来ることを、あらかじめ想定しておきましょう。 そうすることで、合格への歩みを一歩一歩、確実に進めていくことができます。
日商簿記3級の得点計画
その順番でよいですか
「第1問から順に解く?」
みなさんは、試験問題を第1問から解きますか? 第1問から解くよりも、むしろ配点の大きい第5問や第3問から解き始める方が合理的です。
そこで、簿記3級の得点計画を考えましょう。
【第3問、第5問の対策】chapter10~chapter12の内容は完璧に!
かりと練習しましょう。 第3問と第5問は配点が高いことが特徴です。ここではパーフェクトに得点できるようにしっかりと練習しましょう
【第1問の対策】 chapter3 ~ chapter 9の内容をしっかりと!
ここでは8割(5題中4題)の正解を目指しましょう。また、正解が4割(5題中2題)を下回る と合格はおぼつきません。
【第2問および第4問】「棄てる権利」を行使
勘定記入や伝票など典型的なパターンの問題は、解けるようにしておく必要はありますが、 見慣れないタイプの問題が出題されることも考えられるので、場合によっては「棄てる権利」 行使すべき問題でもあります。
100点満点で70点以上なら合格です。そのため30点は「棄てる権利」があります。これを上手に行使していきましょう。
みなさんは、まだまだ開始段階ですが、今からアウトプットの姿を意識しながら学習すると、 ムダな時間を使わずに済むことも多くあります。 ぜひこの得点計画を活かして頑張ってください。
脳の仕組みと学習方法
脳科学の成果より
考えるのも脳なら、記憶するのも理解するのも、また脳の働きです。 近年の研究の成果で、脳の仕組みが明らかになってきました。 脳の特徴を知って学習に役立てましょう。
脳の特徴1:丸暗記できるのは中学生ぐらいまで 高校生ぐらいになると、脳は「理解しないと記憶しづらい」理解型に変わっていきます。 大人が学習するには、何よりも理解が大切です。
脳の特徴2:使うから記憶する 脳は、頻繁に使う知識を重要な知識だと認識し、記憶に留めようとします。 つまり、問題を解くことで記憶に残るのです。 本書は、SectionごとにTry it(基本問題)を入れて知識の確認を通じて記憶していただける ように制作しています。
脳の特徴3:寝ている間に整理する 脳は寝ている間に、今日起きたことの意味や内容を整理してくれるそうです。ですから、寝る前の学習は学んだ内容を整理してくれるだけでなく、翌日の学習も始めやすくなるので効果的です。
脳の特徴4: 緊張感があると頭に入りやすい 「時間が制限されている」といった緊張感があると集中して頭に入りやすくなります。 朝の出勤前の時間や、昼休みの時間を活用して効果的に学習しましょう。
脳の特徴5:描いた姿が実現されてゆく 合格した後の成功した自分の姿を描くと、それが実現する方向へ向かっていくそうです。 勉強につまづいてしまったら、勉強を始めたときの自分を思い返してみましょう。
また、これは私の経験からですが、「忘れることを恐れると頭に入ってこなくなる」ように思い ます。人は忘れる生き物です。 「忘れることを恐れない」ことも重要だと思います。
目次
Chapter1 身のまわりの簿記
Section 0 簿記の自己紹介
Section 1 自分貸借対照表を作ろう!
Section 2 自分損益計算書を作ろう!
Section 3 貸借対照表と損益計算書の関係
Section4 決算の基本思考
Chapter2 仕訳と転記
Section 1 仕訳ってなに?
Section2 勘定口座への集計
Chapter3 現金と預金
Section1 現金
Section 2 当座預金
Section 3 普通預金・定期預金
Chapter4 収益と費用
Section 1 収益の計上
Section2 費用の計上
Chapter5 商品売買
Section1 三分法
Section2 掛取引
Section3 返品
Section4 商品売買の諸費用
Section 5 前払金・前受金と商品売買
Section 6 クレジットカードによる商品売買
Section7 商品券による商品売買
Section 8 分記法
Chapter6 固定資産
Section1 固定資産
Chapter7 その他の債権債務
Section1 約束手形
Section2 電子記録債権・電子記録債務
Section3 貸付金・借入金
Section4 手形貸付金・手形借入金
Section 5 役員貸付金・役員借入金
Section6 未収入金・未払金
Chapter8 一時的な処理
Section1 仮払金・仮受金
Section 2 利益にかかる税金(法人税等)
Section 3 消費税の処理
Section 4 立替金・預り金と給料の支払い
Section 5 現金過不足
Chapter9 会社の設立と利益の計上・配当
Section1 株式会社の設立
Section 2 純利益の算定と締切り
Section 3 利益の配当
Chapter10 試算表作成
Section 1 試算表の作成
Section 2 訂正仕訳
Chapter11 決算整理
Section1 決算整理事項
Section2 売上原価の計算
Section3 貸倒れの見積もり
Section4 当座借越の計上
Section5 費用の前払い・収益の前受け
Section6 費用の未払い・収益の未収
Section7 再振替仕訳の必要性と解き方
Chapter12 精算表・財務諸表
Section1 精算表
Section2 損益計算書と貸借対照表
Section3 月次決算
Chapter13 帳簿
Section0 会社の帳簿
Section1 主要簿の記帳
Section2 現金・預金に関する帳簿
Section3 商品売買に関する帳簿
Section4 その他の帳簿
Chapter14 伝票会計
Section1 3伝票制
Section2 仕訳日計表