精神保健福祉士国家試験過去問解説集2021: 第20回-第22回全問完全解説




刊行にあたって

社会福祉士・精神保健福祉士を目指される皆様、本書をお手にとっていただきありがとうございます。

社会のさまざまな場所、場面で分野横断的、総合的かつ包括的なソーシャルワークが必要とされる中、ソーシャルワーク専門職の国家資格である社会福祉士・精神保健福祉士へのニーズが高まっています。

本連盟は、社会福祉士・精神保健福祉士養成校等を会員として、ソーシャルワーク及び社会福祉教育を充実させ、その質を上げていくとともに、一人でも多くの学生が両国家試験に合格するために試験対策書籍の出版、模擬試験の実施、インターネットで講義映像を配信する「受験対策web講座」などを行っています。本書はそのうちの出版事業の一つとして、中央法規出版株式会社のご協力をいただいて作成・刊行しました。

本書に掲載されている問題解説は、本連盟会員校でソーシャルワーク教育や国家試験対策に携わる教員が中心となって執筆しています。本書は、過去3回分の実際に行われた精神保健福祉士国家試験問題とその解説を一冊にまとめたもので、国家試験問題を解説する類書の中でも大変好評です。

現在学校等に在籍して資格取得を目指す学生の皆様のみならず、現場で活躍されながら資格取得に取り組まれる皆様などに、幅広くご活用いただけるよう、本書では、試験問題の正答とその根拠を示すだけではなく、近年の制度改正や最新の動向なども丁寧に解説しています。

一つひとつの問題を解く中で、要点を的確に把握でき、より深い知識を養い、各科目の対策が立てやすいよう工夫しています。それぞれの科目の冒頭では、近年の試験問題の傾向や問題を解くときのポイント、受験勉強の進め方など、効果的な学習の術を紹介し、試験に臨む姿勢もサポートしています。また、より皆様の学習のお役に立つように、解答用マークシートを新たに加えました。

本書が精神保健福祉士国家試験合格を目指す多くの受験生に活用され、皆様が試験に合格されること、そして、国家試験合格の暁には、ソーシャルワーカーとして多方面でご活躍されることを期待しております。

最後に、本書の出版にあたって多大な労をとっていただきました精神保健福祉士養成に携わる教員の皆様、さらに発刊元の中央法規出版株式会社の皆様に感謝申し上げます。

2020年4月
一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟会長
白澤政和

日本ソーシャルワーク教育学校連盟 (編集)
出版社: 中央法規出版 (2020/4/25)、出典:出版社HP

目次

刊行にあたって
本書の特長
第22回精神保健福祉士国家試験について
精神保健福祉士国家試験の受験にあたって
注意事項
解答用マークシート

専門科目
精神疾患とその治療
精神保健の課題と支援
精神保健福祉相談援助の基盤
精神保健福祉の理論と相談援助の展開
精神保健福祉に関する制度とサービス
精神障害者の生活支援システム

共通科目
人体の構造と機能及び疾病
心理学理論と心理的支援
社会理論と社会システム
現代社会と福祉
地域福祉の理論と方法
福祉行財政と福祉計画
社会保障
障害者に対する支援と障害者自立支援制度
低所得者に対する支援と生活保護制度
保健医療サービス
権利擁護と成年後見制度

執筆者一覧

日本ソーシャルワーク教育学校連盟 (編集)
出版社: 中央法規出版 (2020/4/25)、出典:出版社HP

本書の特長

●選択肢一つひとつに充実した解説!
第20回~第22回の直近3年分の精神保健福祉士国家試験の問題とその解説を掲載し、正誤を示すだけでなく正答に到達するまでのプロセスが理解できるように、選択肢一つひとつに丁寧な解説をしています。

●解答を隠せる赤シート付!
本書には、問題を解きながら勉強を進められるように赤シートが付いています。選択肢ごとの○×と解答番号を隠しながら問題を解くことで、知識の定着度を確認しましょう。

●正誤のポイントが色文字でわかる!
解説のうち正誤のポイントとなる箇所を色文字で強調しています。なぜ○なのか、なぜ×なのかをしっかり押さえて確実に理解していきましょう。

●繰り返し解いて知識が身につく!
各問題にはチェックボックスが設けてあります。正解した場合にチェックを入れて、自分の知識の定着具合をはかるのもいいですし、間違えた場合にチェックを入れて、苦手分野を確認するのもいいでしょう。自分なりの使い方で繰り返し解いて確かな知識として身につけましょう。

●各科目の受験対策がわかる!
第22回国家試験の問題・解説に入る前に、各科目を学習するにあたっての基本事項、受験対策をまとめています。また、各科目の出題基準と出題実績を掲載しています。出題基準は、大項目、中項目、小項目(例示)によって構成されていますが、第20回~第22回試験の問題が、どの中項目の範囲から出題されたのかを、右側に出題実績として示しました(【】内が問題番号)。

●法改正や統計数値の更新にも対応!
本書では、国家試験出題当時を基準に解説をしていますが、出題時以降に出された法令の改正、統計数値の更新などの最新情報を脚注に記載しています。また、出題時は適切な問題でしたが、法令の改正等により現在では解くことができなくなった問題については、その旨を脚注に記載しました。

●コピーして使えるマークシート付!
実際の試験では、マークシートが解答用紙として使用されます。限られた時間の中で問題を解き、マークシートを塗りつぶすのは実は大変です。正しく塗りつぶさないと、正しい答えを選んでも正答扱いにならない場合もあります。本書のマークシートを練習としてお使いください。

日本ソーシャルワーク教育学校連盟 (編集)
出版社: 中央法規出版 (2020/4/25)、出典:出版社HP

第22回精神保健福祉士国家試験について

●第22回試験の概要
第22回精神保健福祉士国家試験は、2020(令和2)年2月1日(土曜日)、2日(日曜日)に実施されました。試験の時間及び試験科目は以下のとおりです。

科目別出題数
筆記試験は16科目群に分かれており(「精神保健福祉に関する制度とサービス」と「精神障害者の生活支援システム」は一つの科目群とみなされる)、出題数は全163問です。試験は、2日間に分かれ、マークシート方式で行われました。

出題形式
出題形式は、五つの選択肢の中から「正しいもの(適切なもの)」「多いもの」「最も用いられているもの」を一つもしくは二つ選ぶ形式がとられました。

●第22回試験の科目別出題数

試験時間 試験科目 出題数
2月1日・午後
(13時30分〜15時50分)
2時間20分
精神疾患とその治療 10
精神保健の課題と支援 10
精神保健福祉相談援助の基盤 15
精神保健福祉の理論と相談援助の展開 25
精神保健福祉に関する制度とサービス 12
精神障害者の生活支援システム 8
小計 80
2月2日・午前
(10時~12時15分)
2時間15分
人体の構造と機能及び疾病 7
心理学理論と心理的支援 7
社会理論と社会システム 7
現代社会と福祉 10
地域福祉の理論と方法 7
福祉行財政と福祉計画 7
社会保障 7
障害者に対する支援と障害者自立支援制度 7
低所得者に対する支援と生活保護制度 7
保健医療サービス 7
権利擁護と成年後見制度 7
小計 83
合計 163

 

●第22回試験合格基準
次の2つの条件を満たした者を合格者とします。
(1)ア 総得点163点に対し、得点90点以上の者(総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した。配点は1問1点である。)。

イ 試験科目の一部免除を受けた受験者(精神保健福祉士法施行規則第6条)
総得点80点に対し、得点40点以上の者(総得点の60%程度を基準とし、問題の難易度で補正した。配点は1問1点である。)。

(2)(1)のア又はイを満たした者のうち、(1)のアに該当する者にあっては1から10の16科目群、イに該当する者にあっては1から5の5科目群すべてにおいて得点があった者。

1精神疾患とその治療
2精神保健の課題と支援
3精神保健福祉相談援助の基盤
4精神保健福祉の理論と相談援助の展開
5精神保健福祉に関する制度とサービス精神障害者の生活支援システム

6人体の構造と機能及び疾病
7心理学理論と心理的支援
8社会理論と社会システム
9現代社会と福祉
10地域福祉の理論と方法

11福祉行財政と福祉計画
12社会保障
13障害者に対する支援と障害者自立支援制度
14低所得者に対する支援と生活保護制度
15保健医療サービス
16権利擁護と成年後見制度

●これまでの試験の結果(過去6回分)
公益財団法人社会福祉振興・試験センターより公表された受験者及び合格者数は次のとおりです。

第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回
受験者数 7,183人 7,173人 7,174人 6,992人 6,779人 6,633人
合格者数 4,402人 4,417人 4,446人 4,399人 4,251人 4,119人
合格率 61.3% 61.6% 62.0% 62.9% 62.7% 62.1%

 

第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回
得点率 56% 53% 56% 57% 53% 55%
合格ライン 91点 86点 91点 93点 87点 90点

※全科目受験者の得点率・合格ラインです。
※満点は163点(共通科目83点+専門科目80点)

(参考)
・共通科目免除受験者の得点率・合格ラインは次のとおりです。

第17回 第18回 第19回 第20回 第21回 第22回
得点率 55% 53% 55% 53% 51% 50%
合格ライン 44点 42点 44点 42点 41点 40点

※満点は80点

日本ソーシャルワーク教育学校連盟 (編集)
出版社: 中央法規出版 (2020/4/25)、出典:出版社HP

精神保健福祉士国家試験の受験にあたって

●受験手続きについて
試験の実施に関する事務は、指定試験機関である公益財団法人社会福祉振興・試験センター(〒150-0002東京都渋谷区渋谷1丁目5番6号SEMPOSビルTEL03-3486-7559(国家試験情報専用電話案内番号))が行います。

試験期日、試験地、試験科目で受験資格及び受験手続き等の試験に関する問い合わせ、手続きに関する書類の要求先、提出先もこの試験センターになります。

●受験準備について
精神保健福祉士国家試験は、精神保健福祉士という国家資格の専門職として最低限必要と思われる知識が試されますが、その出題は多岐にわたります。

国家試験を受験される方は、保健福祉系大学等を卒業(卒業見込みを含む)、精神保健福祉士一般又は短期養成施設を卒業、また通信制・夜間制などの多様なルートで受験資格を得られているはずです。しかし、専門的な精神保健福祉の理論的学習は、今までの学習や実務経験のみでカバーするのは大変難しいものです。国家試験合格率が毎年60%前後という壁を突破するには、小手先の学習では歯が立たず、日常の継続的な学習が必要です。

学習の仕方
国家試験を突破するための学習の仕方としては、科目ごとに出版されている精神保健福祉士養成カリキュラムに準拠したテキストでの学習はもちろんのこと、科目ごとの出題傾向を把握し、また自分自身の弱点を確認するために、過去に出題された精神保健福祉士国家試験の問題にあたってみるのもよいでしょう。

カリキュラムの改定を受けて第15回から試験科目が変更されましたが、重要な分野は毎年繰り返し出題されていますので、一定の出題傾向は把握できると思います。ただやみくもに問題を解くのではなく、時間配分を考慮しながら問題文の一字一句を確実に読みとる集中力を養うことも大切です。

そして、間違った問題は、どの知識が自分自身に不足していたのか、チェックしておくことが必要です。同じような問題が国家試験本番には実際に出題されるかもしれません。「たぶん」ではなく、「確実に」自信のもてる知識を1つずつ積み上げていきましょう。0点科目が1つでもあると、不合格になることを意識しましょう。

また、テキストでは把握しきれない近年の精神保健福祉制度の動向についても、常に新しい情報を得ておく必要があります。精神保健福祉の各現場にお勤めの方は、職場にはその分野についての最新情報が絶えず入ってくるはずです。国家試験は、学校の入学試験のような一定の枠内の選別を行うものではなく、一定の水準に達しているかどうかをみるものです。

したがって、学内の友人や職場の同僚等々に受験しようとしている人がいる場合、「勉強会」のような形で仲間同士互いに励まし合いながら学習するのも良い結果を生む手立ての1つではないでしょうか。

●試験当日の心構えについて
時間に余裕をもつ受験の要項が発表され、受験手続きを終えた後は、時間があれば受験会場の下見をしておくとよいでしょう。交通機関の種類と経路、所要時間を確かめ、いざというときの代替ルートがあるかどうかも調べましょう。自宅を離れ、試験会場近くに宿泊する人も多いと思います。試験当日は余裕をもって会場に到着しましょう。

普段のリズムを大切に
試験前夜から試験当日は、緊張のピークに達することでしょう。しかし、当日までにいかに日常生活リズムを維持し、体調をベスト・コンディションに保つかが、日ごろの学習成果を最大限に発揮することにつながります。

受験会場の環境に備える
受験票の受験番号を再確認し、指定された会場に入り、席に着きます。大学の教室等が会場の場合、時計がなかったり、机の位置により暖房の効き具合が異なることがありますので、寒暖を調節でき、必要に応じて重ね着できる服装がよいでしょう。

マークシートの記入は確実に
マークシート方式の解答は、鉛筆で確実に該当箇所をマークします。鉛筆は3~4本用意し、芯をあまりとがらせずに削り、先が丸くなったらこまめに取り替えます。もし解答を訂正する場合には、なるべく新しい消しゴムで確実に消した後、新しい選択肢番号をマークします。

また、鉛筆が薄かったり、マークする部分にムラがあると、正解であったとしても光学式の読みとり機械が正確に読みとれず、点数がつかないこともあり得ます。さらに、マークする記入欄の番号がずれていた場合も、機械は容赦してはくれません。落ち着いて問題番号を確認し、該当部分に確実にマークすることを心がけましょう。

解ける問題から取りかかる
解答時間は、そんなに余裕があるわけではありません。丁寧に問題にあたりすぎていると、あっという間に時間がなくなると思われます。難しい問題があっても、いつまでもそこで時間を割かず、とりあえずどこかにマークしておき、先の問題に進み、もし時間が余ったらまたその問題に戻ってじっくりと考えるようにしましょう。問題用紙は当日持ち帰りが可能ですし、印をつける、折る、線を引く等、自分自身が解答しやすいように、おおいに活用してください。

試験がすべて終了したら、あとは、「人事を尽くして天命を待つ」の境地で合格通知を待ちましょう。あなたの努力はきっと報われるはずです。そして、めでたく合格されたあかつきには、精神保健福祉士資格者として、いっそうのご活躍を祈念いたします。なお、精神保健福祉士となるには、厚生労働大臣の指定登録機関である公益財団法人社会福祉振興・試験センターに登録の申請を行い、「精神保健福祉士登録簿」に登録しなければなりません。

日本ソーシャルワーク教育学校連盟 (編集)
出版社: 中央法規出版 (2020/4/25)、出典:出版社HP