農業経理士教科書 経営管理編




はじめに

成長産業への変革期にある日本農業において、農業経営の法人化や異業種からの農業参入増加などを背景に現代的な農業経営を確立する必要性が高まっております。

農業という業種の特徴は、生物の生産であることから、病虫害や自然災害による被害等、経営者自身でコントロールすることができない要素が多いことにあります。それゆえ、経営者自身の経験則に基づく判断が重要となりますが、すべての判断を経験則に頼ることは合理的ではなく、客観的事実たる計数を確かめながら経営判断を行うことで、より健全な農業経営を行うことが可能となります。特に法人経営では、計数に基づく経営管理が必須であり、現代的な農業経営に欠かせない要素となります。

このような状況の中、当協会は日本の農業の発展、具体的には計数管理の基盤となる農業簿記の普及に寄与することを目的として、一般社団法人全国農業経営コンサルタント協会による監修のもとで、平成26年度より「農業簿記検定」試験を実施しております。

さらに、当協会では「農業経理士」称号認定試験の創設を目指して準備を進めております。「農業経理士」称号認定試験は、農業簿記で培った知識を基盤としながら、農業経営の現場で必要となる実践的なスキルを習得していただけるものとしていく予定です。本書は、「農業経理士税務編」に続き、「農業経理士経営管理編」として出版いたしました。

「農業経理士」称号認定試験の創設までしばらく時間的猶予をいただくこととなりますが、本書にて農業経営に関わる経営管理の知識を習得していただき、読者の皆様の実践的なスキル向上の一助になれば幸いです。

一般財団法人 日本ビジネス技能検定協会
理事長 西原甲介

日本ビジネス技能検定協会 (監修), 大原学園大原簿記学校 (監修)
出版社: 大原出版; 初版 (2017/7/1)、出典:出版社HP

目次

第1章 経営分析
1.経営分析意義
(1)財務分析
(2)非財務的分析

2.農業経営の財務諸表
(1)農業法人の財務諸表の特徴
(2)個人農業者の青色申告決算書の組替え

3.財務分析
(1)収益性分析
(2)安全性分析
(3)生產性分析
(4)成長性分析
(5)損益分岐点分析
(6)借入金分析
(7)キャッシュ・フロー分析

4.作別分析
(1)作用付加価値分析
(2)利益増減分析

5.財務分析結果の利用
(1)実数分析による結果
(2)比率分析による結果

第2章 経理改善
1.経理改善診断
(1)事前準備・情報の收集
(2)経理分析結果のとりまとめ

2.経営改善の事例
(1)収益性改善事例
(2)安全性改善事例

3.農業経営のリスクマネジメント
(1)農業とリスクマネジメント
(2)収入保険

第3章 経営計画
1.中長期経営計画の策定
(1)農業経営目標
(2)規模大・設備投資
(3)6次産業化

2.短期経営計画策定
(1)栽培作目の選定
(2)當農計画書
(3)収入予算書
(4)短期利益計画

3.資金計画
(1)資金繰り表
(2)資金調達方法

日本ビジネス技能検定協会 (監修), 大原学園大原簿記学校 (監修)
出版社: 大原出版; 初版 (2017/7/1)、出典:出版社HP