農業簿記検定教科書 3級





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はじめに

わが国の農業は、これまで家業としての農業が主流で、簿記記帳も税務申告を目的とするものでした。

しかしながら、農業従事者の高齢化や耕作放棄地の拡大など、わが国の農業の課題が浮き彫りになるなか、農業経営の変革が求められています。一方、農業に経営として取り組む農業者も徐々に増えてきており、農業経営の法人化や6次産業化が着実にすすみつつあります。

当協会は、わが国の農業経営の発展に寄与することを目的として平成5年8月に任意組織として発足し、平成22年4月に一般社団法人へ組織変更いたしました。これまで、当協会では農業経営における税務問題などに対応できる専門コンサルタントの育成に取り組むとともに、その事業の1つとして農業簿記検定に取り組んできており、このたびその教科書として本書を作成いたしました。

本来、簿記記帳は税務申告のためにだけあるのではなく、記帳で得られる情報を経営判断に活用することが大切です。記帳の結果、作成される貸借対照表や損益計算書などの財務諸表から問題点を把握し、農業経営の発展のカギを見つけることがこれからの農業経営にとって重要となります。本書が、農業経営の発展の礎となる農業簿記の普及に寄与するとともに、広く農業を支援する方々の農業への理解の一助となれば幸いです。

平成29年3月
一般社団 法人全国農業経営コンサルタント協会
会長 森剛一

全国農業経営コンサルタント協会 (著), 大原学園大原簿記学校 (著)
出版社: 大原出版; 第2版 (2017/3/1)、出典:出版社HP

本書の特徴

本書は、第一に、個人農業者の所得税青色申告決算書(農業所得用)の作成に必要な知識を習得していただくことを目指しています。第二に、税務申告にとどまらず、個人農業者の経営に生かせる貸借対照表・損益計算書の作成の推進を目指しています。これらの理由により、本書には以下の特徴があります。

1.「所得税青色申告決算書における取扱い」の併記
所得税青色申告決算書は課税所得の算定を目的として作成されるため、その考え方には、一般的な会計処理のルールとは異なる所得税法特有のものが含まれています。本書は簿記の教科書であることから、本文では、一般的な会計処理のルールに従った帳簿記帳方法を紹介し、参考として「所得税青色申告決算書における取扱い」を併記して、その違いを示しています。

2.会計処理方針・勘定科目
会計処理の方針及び勘定科目は、公益社団法人日本農業法人協会が公表している「農業の会計に関する指針」及び「農業標準勘定科目」を採用しています。これにより、個人農業者の青色申告決算書では把握できない製造原価の把握を可能とします。また、法人化の際の移行を容易にします。

3.家計と事業の関係
個人農業者の取引には、農業法人と異なり、1つの取引の中に、事業と家計とが混在することがあります。本書では、この取扱いについても、一般的な会計処理のルールに照らした会計処理を紹介しています。

全国農業経営コンサルタント協会 (著), 大原学園大原簿記学校 (著)
出版社: 大原出版; 第2版 (2017/3/1)、出典:出版社HP

目次

第1章 農業簿記の概要
(1)簿記とは
(2)簿記の種類
(3)農業とは
(4)農業の特徴
(5)農業簿記の目的
(6)会計期間
(7)経営成績
【参考】収益・費用
(8)財政状態
【参考】損益計算書とキャッシュフロー
【参考】貸借対照表・損益計算書とお金の流れ

第2章 簿記一巡の手続き
(1)取引とは
(2)仕訳と転記
(3)仕訳帳と総勘定元帳
(4)伝票による仕訳と総勘定元帳への転記
(5)主要簿と補助簿
(6)試算表の作成

第3章 勘定科目
(1)農業簿記の勘定科目
(2)農業経営と勘定科目

第4章 収益・費用の記帳方法
(1)収益と費用
(2)農業特有の会計処理

第5章 流動資産および流動負債など
(1)流動資産
【参考】定額資金前渡制度
【参考】製品・仕掛品・原材料の関係
(2)流動負債
(3)固定負債
(4)資本金

第6章 固定資産
(1)有形固定資産
【参考】減価償却の考え方
(2)修繕費と資本的支出
(3)有形固定資産の売却

第7章 決算書の作成
(1)決算書作成までの手順(一連の手続き)
(2)決算の具体的手続き
【参考】貸借対照表・損益計算書への表示(直接法)
【参考】貸借対照表・損益計算書への表示(間接法)
農業用固定資産の耐用年数の例

農業簿記勘定科目
参考文献
さくいん

全国農業経営コンサルタント協会 (著), 大原学園大原簿記学校 (著)
出版社: 大原出版; 第2版 (2017/3/1)、出典:出版社HP