新・臨床心理士になるために[平成30年版]
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平成30年版の公刊に寄せて
本書は,臨床心理士の資格取得に関する公式情報に基づいてお知らせするガイド・ブック(通称:赤本)です。第30回目の改訂版になります。この新年度版の趣旨と特徴は次の点です。
第一は,平成30年度の資格審査(資格試験)に関する重要な事項について,受験のための申請から資格試験に合格して臨床心理士に登録されるまでを,本年度の公式の日程と手順にしたがって実際的に案内している点です。
つまり,本改訂版は,資格審査(資格試験)を受けるための申請資格基準,申請手続き,申請の際の留意事項,申請書・審査料の提出と受験票の発行,筆記試験と口述面接試験,合格発表と臨床心理士の登録手続き,についての具体的な公式内容をメインに公表するものです。
第二は,平成29年度(2017)実施のマークシート方式による筆記試験問題の40問(100題中)を精選して,最新の試験問題を公開し,出題に際しての基本方針及び各問題についての正答と解説を述べている点です。
本書は,まずは平成30年度実施の臨床心理士資格取得試験にチャレンジされる方々の参考に資そうとするものですが,これから臨床心理士を志望される方々,また臨床心理士養成教育に携わる方々,そして広く社会の人々に臨床心理士の専門性と資格審査制度の基本情報を公表するものです。
以上のように本書は,臨床心理士資格審査(資格試験)の受験生や関係者が,高度専門職業人としての臨床心理士の専門的な実践的資質を自ら評価・検討する大切な契機として,いわゆる一次試験に課されるマークシート形式の試験問題に精通し,専門性や養成教育に理解を深めてくださることを願って公刊されています。そのため,26年に及ぶ資格試験問題の公開にも努めてきました。
試験制度の開始以後の過去問題については,別途発行の次の書籍を参照してください。
『臨床心理士資格試験問題集1』(平成3年〜平成18年の566題を公開)
『臨床心理士資格試験問題集2』(平成19年〜平成22年の162題を公開)
『臨床心理士資格試験問題集3』(平成23年~平成25年の117題を公開)
『臨床心理士資格試験問題集4』(平成26年~平成28年の120題を公開)
ここに公開された資格試験問題は,本邦最初の公式決定版として公刊されたもので,単なる予想や想定問題ではなく,実際に出題された問題であることを明確に認識され,適正に活用してくださることをお願いします。
ちなみに,資格試験問題の出題や資格審査は,主に全国の臨床心理士養成大学院教育に関係する約200名に及ぶ先生方のお力添えを得て行われています。最近10年間,平均受験者数は約2,600人,平均点は約61点,最終合格率も約62%となっています。この平均点は,論文試験や面接試験の評価点とを総合して判定する資格試験合格への第一関門・基礎点と考えられます。
しかし,マークシート方式の筆記試験をクリアーするための努力は,論文試験,とくに面接試験(二次)で課される専門性を担保する心理臨床実践力を備える努力を総合的に進めてこそ,臨床心理士に求められる専門資質に結びつくものです。本書のIとIIに述べられている専門性の意味を理解し活きた知識とするためにも,よきスーパーヴァイザーを得て,臨床心理士倫理綱領を踏まえた臨床心理実習において生身のケースに関わる心理臨床経験の中に,資格試験に備える宝庫があることを銘記したいと思います。
本書平成30年版の編集・監修は,日本臨床心理士資格認定協会の業務執行理事によるものです。加えて,試験問題(出題)統括委員長,資格審査員の先生方はじめ,認定協会事務局職員,及び誠信書房各位の変わらないご尽力によって成るものです。心から感謝の意を表したいと思います。
平成30年7月1日
公益財団法人 日本臨床心理士資格認定
監修代表 藤原勝紀
目次
平成30年版の公刊に寄せて
I 臨床心理士に求められるもの
1. 臨床心理士の専門性と資格資質
II 専門教育,資格試験,専門業務
1. どのような指定大学院・専門職大学院を選ぶのか
2. 資格試験について
3. 専門業務とその活躍像
III 資格試験問題の公開
1. 平成29年度試験問題
IV 資格試験問題の正答と解説
1. 平成29年度試験問題の正答と解説
附錄
1. 臨床心理士資格審査規程 等
2. 指定大学院・専門職大学院一覧
3. 資格取得のための申請書式一覧[平成30年度版]