司法試験トップ合格者らが伝えておきたい勉強法と体験記




はしがき

法科大学院は、どこに進んでいくのであろうか。平成16、17年に設立された法科大学院は、74校を数えたが、既に37校は撤退し、あるいは撤退を表明している。法科大学院をこれからどう進めるべきかが今なお議論され、いっこうに安定しない。

他方、見方を変えると、法科大学院スタート時点の志願者が多すぎたのであって、それが減少し、合格率は向上し、本来の形に姿を変えようとしていると評することもできる。

本書は、司法試験を目指す方に対し、合格への「道しるべ」にならんとして出版したものである。平成28年司法試験に順位1位と7位で合格した方に、司法試験合格のための勉強方法や試験対策などを書いてもらった。同じ知識でも高得点に結びつく答案の記載方法など、できるだけ具体的に書いてもらったので、読者の勉強方法や答案の記載の参考になるはずである。

それとともに、平成25年、平成28年及び平成29年に合格した方並びにそれ以前も含め不合格となった方合計11人に、司法試験を振り返ってどうだったのかを書いてもらった。合格者9人(うち1人は合格しが別の道を歩む)、不合格者2人、司法試験受験回数1回4人、2回1人、3回1人、4回2人、5回2人、6回1人、法科大学院修了者10人、予備試験合格者2人(うち1人は法科大学院も修了しており、両者にカウント)などという内訳である。司法試験をいろいろな人が受けているのであり、それぞれいかに合格するように工夫し、努力しているかがわかる。

さらに、平成30年司法試験で従来と傾向が変わった憲法と刑法については、留意点等を記した。ほかにも、GPS判決で有名になった亀石倫子さんを始め、司法試験に合格して何年か経つ人にコラムを書いてもらった。

本書は、よく見かける合格体験記とは異なる。苦労したが最後に合格して終わり、というものではない。喜びと苦しみを味わいながらも、司法試験という目標に向かって歩み続けた者の記録である。これから司法試験という大きな山を越えようとしている法科大学院生や司法試験受験生に参考になるはずである。

本書の出版に当たり、新日本法規出版の宇野貴普さんに大変お世話になった。厚くお礼を申し上げたい。本書を手に取られた方が「司法試験合格」という目標を達せられることを心より祈念して、はしがきとしたい。

平成30年7月
徳島地方・家庭裁判所長
大島眞一

編集者・執筆者一覽

編集者
大島眞一(徳島地方・家庭裁判所長)

執筆者(五十音順)
浅井翼(福井地方裁判所判事補·平成28年司法試験成績7位)
生演裕輝(神戸地方裁判判事補·平成28年司法試験成績1位)
大岸裕介(弁護士)
大島眞一(徳島地方・家庭裁判所長)
亀石倫子(弁護士)
河原里香(司法修習生)
木村吉宏(弁理士・司法修習生)
坂本望(弁護士)
龍村昭子(弁護士)
豐田祐介(弁護士)
中村衣里(弁護士)
中村優子(弁護士)
夏目麻央(弁護士)
松崎香織(弁護士・講師(講師名:松来香歩))
吉崎眞人(弁護士)
吉原秀(弁護士)
(挿絵)秋吉忍(弁護士)

大島 眞一 (著)
出版社: 新日本法規出版 (2018/7/9)、出典:出版社HP

目次

第1章 はじめに【大島眞一】
コラム 自分らしく、自由に生きる【亀石倫子】

第2章 司法試験上位合格者の勉強法
勉強法 司法試験合格までの記録
原理・原則からの考えを重視【牛濱裕輝】

1一般的な勉強法について
(1)勉強をする際の基本的な視点
(2)勉強方法について

2短答式試験の対策について
(1)短答式対策の開始時期について
(2)私の行った具体的な勉強法

3論文式試験の対策について
(1)法律の論文の書き方について意識していたこと
(2)論文式試験の勉強法について
(3)科目別の留意点と勉強法
〔憲法〕
〔行政法〕
〔民法〕
〔商法〕
〔民事訴訟法〕
〔刑法〕
〔刑事訴訟法〕

勉強法 司法試験合格までの記録
自分にあった勉強法を見つけるために【浅井翼】

1初学者段階
(1)基本書の選び方
(2)基本書の読み方・線の引き方
(3)暗記の方法
(4)薄めの本を読む

2論文問題で高得点を取るためには(総論)
(1)総論
(2)具体例 刑事訴訟法の強制処分の問題
(3)本番と同じ問題形式の初見の問題をたくさん書くことの大切さ

3短答の勉強法
(1)実際に私がした勉強法
(2)体系別の過去問集か肢別の問題集か
(3)短答対策をいつ始めるべきか

4論文問題で高得点を取るためには(各論一司法試験)
(1)憲法
(2)行政法
(3)民法
(4)商法
(5)民事訴訟法
(6)刑法
(7)刑事訴訟法

勉強法 平成30年司法試験の傾向【匿名】

1憲法
(1)設問形式
(2)判例の理解
(3)分量及び時間配分
(4)勉強法

2刑法
(1)設問形式
(2)分量及び時間配分
(3)勉強法
コラム 勉強している自分を嫌いにならないこと【夏目麻央】

第3章 司法試験体験記

体験記 4度目の正直飛び級、短答式試験不合格、就職、リトライの軌跡【松崎香織】
体験記 不安のなかで【坂本望】
体験記 私の合格滑り込み大作戦【中村優子】
体験記 高卒からの挑戦【大岸裕介】
体験記 ハーバード大学LL.M.取得者が挑戦した司法試験【吉﨑眞人】
体験記 司法試験合格に向けた勉強法-勉強法を模索することの重要性について–【吉原秀】
体験記 勤務しながら5回目で合格【木村吉宏】
体験記 予備試験のすすめ【河原里香】

コラム 弁護士として社会に貢献を【豊田祐介】
コラム 熊本地震被災者向け電話法律相談【龍村昭子】
コラム ジェンダー・ギャップ指数【中村衣里】

体験記 頑張り通す気持ちを支えに-不合格体験記【匿名】
体験記 努力は無駄にならない【匿名】
体験記 占有権ほど純粋な権利はない【匿名】

大島 眞一 (著)
出版社: 新日本法規出版 (2018/7/9)、出典:出版社HP