やさしく学ぶ 第一級アマチュア無線技士試験




まえがき

アマチュア無線を楽しむには、無線従事者免許証を取得して、無線局の免許を得る必要があります。

我が国の無線従事者免許証は、「総合無線従事者|3資格「海上無線従事者」8資格、「航空無線従事者」2資格、「陸上無線従事者」6資格「アマチュア無線従事者」4資格、の計23種類あります。アマチュア無線従事者は第一級~第四級アマチュア無線技士の4資格に分かれています。

このうち、第二級~第四級アマチュア無線技士の免許証は総務大臣が認定した無線従事者養成課程講習会を受講することにより取得することもできますが、第一級アマチュア無線技士(以下「一アマ」という)の免許証を取得するには無線従事者国家試験に合格するしかありません。一アマの試験を目指す動機はいろいろあると思いますが、空中線電力を増加させて海外局との交信を容易にしたいと思っている方も多いのではと思います。運用可能な周波数は一アマ、二アマ共通で、空中線電力は、一アマは1kWまで許可されます。

平成23年12月期の一アマ、二アマの国家試験から電気通信術(モールス符号の受信)の試験が廃止され、法規の試験の中でモールス符号の確認が行われるようになり、試験科目も「無線工学」と「法規」の2科目になりました。平成23年12月期の国家試験の受験者は、8月期の国家試験と比べ、一アマでは約1.7倍、二アマでは約2.5倍に増加しました。これは、電気通信術の試験のハードルがいかに高いかを示しているといえるのではないでしょうか。

平成23年12月期試験以降の合格率は一アマが50%程度で推移していましたが、直近では30%前後と難しくなっています。しかし、「無線工学」「法規」の試験とも出題範囲が決められ、多くの問題が過去問もしくはその類題が占めています。そのため、試験に合格するには、過去問の繰返しの演習が欠かせません。

本書は、2015年に発行した、「やさしく学ぶ第一級・第二級アマチュア無線技士試験」の姉妹書として、一アマに特化した内容になっています。練習問題は、最新の国家試験問題の出題状況に応じて、問題の追加・変更を行っています。それに合わせて、本文のテキスト解説や問題の解説についても見直しを行い、わかりにくい部分や計算過程についての解説を増やしています。

一アマの講習会の講師をしていますが、ある程度理解して計算問題が解ける人の合格率は高く、逆に、過去問の暗記のみで試験に臨んだ人の合格率はそれほど高くないように思います。暗記だけに頼らず、ぜひ、実際に手を動かして計算問題を解いてみてください。計算問題が解けるようになれば合格率は高くなります。本書が皆様の一アマの国家試験の受験に役立てば幸いです。合格を祈念いたします。

2018年10月
吉村和昭

吉村 和昭 (著)
オーム社 (2018/11/28)、出典:出版社HP

目次

1編 無線工学
1章 電気物理
2章 電気回路
3章 半導体
4章 電子回路
5章 送信機
6章 受信機
7章 電源
8章 空中線および給電線
9章 電波搬
10章 測定

2編 法規
1章 電波法の概要
2章 無線局の免許
3章 無線設備
4章 無線從事者
5章 運用
6章 業務書類等
7章 監督等
8章 国際法規

参考文献
索引

吉村 和昭 (著)
オーム社 (2018/11/28)、出典:出版社HP