2019-2020年版 下水道第3種技術検定試験 合格テキスト




はしがき

本書は,「下水道第3種技術検定」の資格取得を目指す方々を対象として著したものである.本検定試験は,下水道分野の資格の登竜門として昭和50年に第1回が実施され,平成30年度で計44回を数えるに至っている。

汚水処理人口普及率は,下水道,農業集落排水施設等,合併処理浄化槽,コミュニティプラント等での汚水処理施設による整備人口の総人口に対する割合を示すものであり,平成29年度末で全国で約91%である。一方,全国の下水道処理人口普及率は約79%であるが、約1,200万人の人々が衛生的な汚水処理の恩恵に浴していない、そのため、効率的な汚水処理と未整備地域の早期解消に向けて

・人口減少などの社会情勢の変化を踏まえた下水道計画の見直し
・集落排水や浄化槽などほかの汚水処理施設との連携強化
・地域の実情に応じた低コスト,早期かつ機動的整備が可能な新たな整備手法(下水道クイックプロジェクト)の導入

が検討されている。さて、本書の構成および特徴は,次のとおりである。

1出題される内容を項目ごとに要点をまとめ解説
2各項目のポイントを「ここでのポイント」として掲載
3練習問題は,最新平成30年度,近年の過去問題およびオリジナル問題に解説を掲載
4練習問題には「ここに注目」を掲載
5各章の終わりには、知識の再確認や試験直前対策として重要項目を厳選した「チェックシート」を掲載

なお,問題演習の際には、過去問題が出題分野別に分類され出題傾向が一目でわかり、さらに各選択肢に対して詳しい解説が付いている拙著『20192020年版下水道第3種技術検定試験攻略問題集』(2019年,オーム社)をお勧めする。下水道の維持管理は,法令関係はもちろんのこと,土木,建築,機械。気,化学,生物などの幅広い知識が必要とされる総合エンジニアリングである。

全国で2,200か所あまりの下水処理場が稼働し,1㎥の下水を処理するために平均0.5kWhの電力量が使われ,これは全国の消費電力量の0.7%に相当する(上水道・下水道を合計すると約1.5%の消費電力量となる).これからは,下水道施設を創エネルギーの施設として,“SustainableCity”の実現を目指していかなければならない。

最後に、本書を活用して1人でも多くの合格者が誕生することを願ってやまない。もとより浅学非才ゆえ、誤っている箇所があるかと考えられる。忌憚のないご批判をいただけたら幸いである。

2019年1月
著者しるす

関根 康生 (著)
出版社: オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP

目次

第1章 法規

1.1 下水道法
1.1.1 下水道法の目的(法第1条)
1.1.2 用語の定義(法第2条)
1.1.3 流域別下水道整備総合計画(法第2条の2)
1.1.4 下水道の管理(法第3条)
1.1.5 放流水の水質の基準
1.1.6 計画放流水質と処理方法(法施行令第5条の5第二号)
1.1.7 供用開始の公示等
1.1.8 排水設備の設置等(法第10条第1項,第2項)
1.1.9 水洗便所への改造義務等(法第11条の3)
1.1.10 除害施設の設置(法第12条)
1.1.11 特定事業場からの下水の排除の制限(法第12条の2)
1.1.12 水質測定義務等(法第12条の12)
1.1.13 特定施設の設置等の届出(法第12条の3)
1.1.14 事故時の措置(法第12条の9)
1.1.15 下水道使用料(法第20条)
1.1.16 発生汚泥等の処理(法第21条の2)
1.1.17 設計者等の資格(法第22条)
1.1.18 下水道台帳(法第23条)
1.1.19 他人の土地の立入又は一時使用(法第32条)
1.1.20 公共下水道および終末処理場の維持管理(法第21条第2項)

1.2 環境基本法
1.2.1 環境基本法の目的(法第1条)
1.2.2 用語の定義(法第2条)
1.2.3 環境基準(法第16条)

1.3 大気汚染防止法
1.3.1 大気汚染防止法の目的(法第1条)
1.3.2 用語の定義(法第2条)
1.3.3 ばい煙発生施設(法第2条第2項)
1.3.4 排出基準

1.4 水質汚濁防止法
1.4.1 水質汚濁防止法の目的(法第1条)
1.4.2 用語の定義(法第2条)
1.4.3 排水基準
1.4.4 特定施設の設置等の届出(法第5条)

1. 5 騒音規制法及び振動規制法
1.5.1 騒音規制法及び振動規制法の目的(各法第1条)
1.5.2 指定地域における騒音,振動規制基準
1.5.3 騒音規制法、振動規制法における特定施設

1.6 悪臭防止法
1.6.1 悪臭防止法の目的(法第1条)
1.6.2 規制基準の区分と対象となる悪臭原因物質の種類
1.6.3 事故時の措置(法第10条)
1.6.4 改善勧告等(法第8条)

1.7 電気事業法
1.7.1 電気事業法の目的(法第1条)
1.7.2 電気工作物の定義
1.7.3 主任技術者制度と保安規程

1.8 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(廃掃法)
1.8.1 廃掃法の目的(法第1条)
1.8.2 用語の定義(一般廃棄物,産業廃棄物)
1.8.3 国地方公共団体,事業者,国民の責務

1.9 エネルギー使用の合理化等に関する法律(省エネ法)
1.9.1 エネルギー使用の合理化等に関する法律の目的(法第1条)
1.9.2 エネルギー管理指定工場の区分及び法定管理者の名称と選任

1.10 労働安全衛生法
1.10.1 労働安全衛生法の目的(法第1条)
1.10.2 安全管理者等の選任と安全衛生体制
1.10.3 安全衛生教育と健康診断等

1.11 高圧ガス保安法
1.11.1 高圧ガス保安法の目的(法第1条)
1.11.2 容器保安規則

重要項目チェックシート

第2章 工場排水

2.1 工場排水が下水道に与える影響

2.2 特定事業場からの下水の排除の制限
2.2.1 処理が困難な物質に関する規制
2.2.2 処理が可能な項目に関する規制

2.3 水質測定における対象項目と測定回数

2.4 除害施設の処理方法

2.5 処理対象物質別の処理方法
2.5.1 シアンの処理
2.5.2 有機塩素化合物の処理
2.5.3 BODの高い排水の処理
2.5.4 油類(ノルマルヘキサン抽出物質)の処理
2.5.5 水銀の処理
2.5.6 カドミウムの処理
2.5.7 りんの処理
2.5.8 よう素消費量の高い排水の処理
2.5.9 ダイオキシン類の処理
2.5.10 クロムの処理
2.5.11 ふっ素の処理

重要項目チェックシート

第3章 下水処理

3.1 水処理に関する基礎的事項

3.2 生物処理法の基本原理

3.3 最初沈殿池の運転管理

3.4 反応タンクの運転管理
3.4.1 反応タンクにおける各種の運転指標
3.4.2 反応タンクと各種活性汚泥法のフロー
3.4.3 反応タンク(活性汚泥法)の運転管理
3.4.4 反応タンク(生物膜法)の運転管理
3.4.5 反応タンク(高度処理)の運転管理
3.4.6 急速ろ過法の運転管理

3.5 最終沈殿池の運転管理

3.6 消毒設備の運転管理
3.6.1 塩素消毒設備
3.6.2 紫外線消毒設備
3.6.3 オゾン消毒設備

3.7 水質管理
3.7.1 初期運転
3.7.2 水質試験
3.7.3 硝化および脱窒とアルカリ度
3.7.4 生物相
3.7.5 異常現象の原因と対応策

3.8 計算問題
3.8.1 水面積負荷を求める問題
3.8.2 せきの越流負荷を求める問題
3.8.3 沈殿時間を求める問題
3.8.4 BOD-SS負荷を求める問題
3.8.5 BOD容積負荷に関する問題
3.8.6 汚泥返送比を求める問題
3.8.7 反応タンク内のMLSS濃度を求める問題
3.8.8 ステップエアレーション法における反応タンク内のMLSS濃度を求める問題
3.8.9 SVI(汚泥容量指標)を求める問題
3.8.10 SRT(固形物滞留時間)を求める問題
3.8.11 ASRT(好気的固形物滞留時間)を求める問題
3.8.12 T-N(総窒素)を求める問題

重要項目チェックシート

関根 康生 (著)
出版社: オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP

第4章 汚泥処理

4.1 汚泥輸送

4.2 汚泥濃縮
4.2.1 汚泥濃縮方法
4.2.2 重力濃縮
4.2.3 遠心濃縮
4.2.4 浮上濃縮
4.2.5 ベルト式ろ過濃縮

4.3 汚泥消化

4.4 汚泥脱水

4.5 汚泥乾燥

4.6 汚泥焼却

4.7 汚泥溶融

4.8 汚泥利用

4.9 計算問題

重要項目チェックシート

第5章 運転管理

5.1 圧力管路システムの運転管理
5.1.1 システムの定義
5.1.2 圧力式下水道収集システムと運転管理
5.1.3 真空式下水道収集システムと運転管理
5.1.4 各種収集システムの特徴

5.2 ポンプ場施設の運転管理
5.2.1 ポンプ場の種類
5.2.2 計画下水量
5.2.3 沈砂池の概要
5.2.4 ゲート設備の概要
5.2.5 スクリーン設備の概要
5.2.6 ポンプ設備の概要

5.3 計装機器に関する知識
5.3.1 一般的取扱い
5.3.2 計測対象項目と施設名称
5.3.3 主な検出器の計測原理
5.3.4 検出器および変換器

5.4 運転管理記録の作成と活用

5.5 送風機の運転管理
5.5.1 送風機の種類
5.5.2 送風量の調節
5.5.3 送風機の運転方法
5.5.4 送風機の特性と吐出し風量の調節
5.5.5 運転管理上の注意点
5.5.6 付属装置

5.6 電気設備の管理
5.6.1 設置計画時に配慮すべき項目
5.6.2 下水道電気設備について
5.6.3 電気設備の一般的取扱い
5.6.4 自家用電気工作物
5.6.5 受変電設備
5.6.6 配電設備
5.6.7 負荷設備
5.6.8 制御電源および計装用電源
5.6.9 保守および点検基準

5.7 自家発電設備の運転管理
5.7.1 自家発電設備の概要
5.7.2 内燃機関の概要
5.7.3 保守管理

5.8 管路施設の維持管理

重要項目チェックシート

第6章 環境保全・安全管理

6.1 臭気対策

6.2 大気汚染対策

6.3 騒音および振動防止
6.3.1 発生源の特定
6.3.2 騒音および振動防止策

6.4 機械・電気の安全管理

6.5 水質試験室および薬品の安全衛生対策

6.6 作業環境衛生

6.7 下水道施設で遭遇しやすいガス

6.8 救急措置

6.9 安全器具および保護具
6.9.1 安全器具
6.9.2 保護具
6.9.3 ガス検知器具

重要項目チェックシート

参考文献
索引

関根 康生 (著)
出版社: オーム社 (2019/2/23)、出典:出版社HP