化粧品成分検定試験のおすすめ参考書・テキスト(独学勉強法/対策)




化粧品成分検定試験の公式テキスト

公式ホームページから購入が可能です。
化粧品成分検定公式ホームページ
また、ホームページでは各級の例題を見ることが可能です。

目次 – 化粧品成分検定公式テキスト[改訂新版]

Contents

はじめに
化粧品成分検定とは
成分検定で「ホンモノ」を見極める目を養う
化粧品と医薬品医療機器等法の関係
化粧品のパッケージの読み方を学びましょう
全成分表示のルール
Q&A
化粧品の構造
本書の読み方

Chapter1ベース成分

水性成分
●基本的な働き
●水性成分の種類別一覧
●「水とゆるく結びつく」とは?

エタノール
グリセリン
BG
DPG
1,2-ヘキサンジオール
ヒアルロン酸Na
水溶性コラーゲン
乳酸Na
PCA-Na
ハチミツ

油性成分
●油性成分の種類別一覧
スクワラン
ミネラルオイル
ステアリン酸
セタノール
ホホバ種子油
ミツロウ
オリーブ果実油
ミリスチン酸イソプロピル
トリエチルヘキサノイン
ジメチコン
シクロペンタシロキサン

界面活性剤
●そもそも界面活性剤って?
●界面活性剤の構造
●身近な天然の界面活性剤
●界面活性剤の種類
●四つの特徴と主な用途
●界面活性剤の主な働き
ラウレス硫酸Na
ココイルグルタミン酸Na
石ケン素地/カリ石ケン素地/カリ含有石ケン素地
ステアルトリモニウムクロリド
コカミドプロピルベタイン
水添レシチン
PEG-60水添ヒマシ油
オレイン酸ポリグリセリル-10

Chapter2機能性成分

●美白
リン酸アスコルビルMg
アルブチン
プラセンタエキス
カモミラET
●抗炎症
カンゾウ根エキス
グリチルリチン酸2K
グリチルレチン酸ステアリル
アラントイン
ヨクイニンエキス
●抗シワ
三フッ化イソプロピルオキソプロピルアミノカルボニルピロリジンカルボニルメチルプロピルアミノカルボニルベンゾイルアミノ酢酸Na
レチノール
ナイアシンアミド
パルミチン酸レチノール
アセチルヘキサペプチド-8
パルミトイルペンタペプチド-4
●抗酸化/エイジングケー
フラーレン
ユビキノン
白金
●肌質改善
セラミド
スフィンゴ糖脂質
●紫外線防止
オキシベンゾン
メトキシケイヒ酸エチルヘキシル
t-ブチルメトキシジベンゾイルメタン
酸化チタン
ピーリング
グリコール酸
サリチル酸
乳酸
●血行促進
センブリエキス
ショウガ根エキス
トウガラシ果実エキス
●収れん・制汗
クロルヒドロキシAI
硫酸(AI/K)
●皮脂抑制
ピリドキシンHCI
ローズマリー葉エキス
チョウジエキス
オウレン根エキス
●消臭
チャ葉エキス

ゼオライト

Chapter3安定化成分

●増粘
カルボマー
ペクチン
キサンタンガム
パルミチン酸デキストリン
防腐
メチルパラベン
フェノキシエタノール
安息香酸Na
メチルクロロイソチアゾリノン
ヒノキチオール
o-シメン-5-オール
ベンザルコニウムクロリド
●酸化防止
BHT
ピロ亜硫酸Na
トコフェロール
キレート(金属イオン封鎖)
エチドロン酸
EDTA-2Na
pH調整
水酸化Na
TEA
クエン酸
リンゴ酸

Chapter4その他成分

香料
温感・冷感成分
色材
植物エキス一覧

Chapter5全成分表示例

クレンジング料・洗顔料
クレンジング料・溶剤型
クレンジング料・界面活性剤型
洗顔料
化粧水
乳液・クリーム
日焼け止め
シャンプー
リンス・コンディショナー・トリートメント
化粧品成分検定練習ドリル1・2・3

Chapter6関連法規&関連用語

ネガティブリスト・ポジティブリスト
用語集
化粧品成分名索引
一般社団法人化粧品成分検定協会代表理事略歴

Column

成分と原料の違い/私たちの体はアミノ酸でできています
分子の数え方は、ギリシャ語が語源
微粒子化されたナノサイズの成分は危険?
糖化が及ぼす肌への影響は?
「天然=安全」「合成=危険」ではありません/コチニール色素
どこまで天然?どこから合成?/「無添加」は安全?

読み解くコツ

化粧品と医薬部外品では、水の表示名称が異なります
化粧品でいう「アルコール」とは
グリセリンを使った温感化粧品
植物エキスの抽出溶媒としても使われるBG
DPGとPGの違い
「防腐剤フリー」の化粧品
ヒアルロン酸には複数のタイプがあります
加水分解の方法により分子の大きさが異なるため、使用感や効果が異なります
NMFとは?
ヒトが体内でつくることができる保湿剤
化粧品用ハチミツと食用ハチミツは違う?
スクワランとスクワレンの違いって?
油脂から高級脂肪酸に変身
天然のロウは、由来によって次のようなものがあります
ハチミツ、ミツロウ、ローヤルゼリー、プロポリス、何が違うの?
ジメチコンの類似成分もよく化粧品に使われます
油性成分にはさまざまな性状のものがあります
ココイルグルタミン酸Naは化粧品と医薬部外品では表示名称が異なります
石ケンのつくり方は、読み解くコツとして非常に大切です
使用するアルカリの種類により、できあがる石ケン成分が異なります
コカミドとは?
「水添」とは?
PEG-(数)の違い
代表的な美白成分の働き方
リン酸アスコルビルMgは化粧品と医薬部外品で表示名が異なります
プラセンタの由来
植物成分には、複数の表示名称を持つものもあります
細胞間脂質と肌のバリア機能
ミネラルファンデーションなどで目にする「表面コーティング処理」とは?
チンキとは?
ネガティブリストによる規制
食品に使われる安全な成分
代表的なパラベン4種類
パラベンフリーの化粧品にも使用
香料という成分名
無香料と無臭は違います
紫外線防止効果もあり
水酸化Naや水酸化Kは劇物?
中和等の反応を前提とした化粧品の場合、反応前の配合成分の名称で表示しても、
反応後の最終反応生成物の名称で表示しても、どちらでも構いません

化粧品成分検定協会 (編集)
出版社: 実業之日本社; 改訂新版 (2019/7/9)、出典:出版社HP

はじめに

一般社団法人化粧品成分検定協会
代表理事
久光一誠

化粧品を探すときに役立つ情報の一つが、全成分表示です。
全成分表示を読むことで、自分が求めている機能や特徴を持った化粧品かどうかを判断したり、自分の肌に合わない成分を避けることができ、化粧品選びの幅を広げることができます。

成分を読み解くことができれば、商品の宣伝文句やパッケージのイメージに頼りすぎることなく、自身で目的に合ったものを選ぶことができるのです。

ところが、成分に関する正しい知識を学ぶ機会は、非常に限られているのが現状です。これは消費者だけでなく、化粧品を販売する立場の方々にも当てはまることであり、大変残念なことです。

化粧品成分検定協会(CILA)は、消費者や業界従事者が化粧品の成分についてできる限り公正中立な知識を学び、その知識を活用して、自分やお客様が求めている機能や特徴を持った化粧品を正しく選択する力を養うとともに、検定試験を実施することで、自らが学んだ知識や能力を確認できる場を提供いたします。

化粧品に対する日本の消費者の目は世界一厳しいともいわれ、それに伴い、日本の化粧品会社における品質管理や製品開発の質の高さも、世界でトップレベルです。消費者並びに化粧品業界従事者が成分に対する知識を身につけ、双方ともに高めあうことで、化粧品に関わるすべての人々が輝きを増し、名実ともに日本が世界一の化粧品市場になること、それが私たちの思いです。

化粧品にかかわる人々が、化粧品を通じてもっとしなやかに賢く美しく、自信みなぎるその先の未来へ。

化粧品成分検定協会 (編集)
出版社: 実業之日本社; 改訂新版 (2019/7/9)、出典:出版社HP

化粧品成分検定とは

化粧水や美容液、シャンプー、日焼け止め、ベビー用化粧品など、化粧品に記載されている全成分の情報、及びパッケージに記載されている情報を読み解けるように導く検定です。当検定で学ぶことにより、自ら必要な目的に合った化粧品を正しく選択できるようになります。

2001年4月の薬事法改正により、医薬部外品を除くすべての化粧品について全成分表示が義務づけられ、それまでの旧表示指定制度(アレルギーなどの皮膚障害を起こす可能性のある成分だけを表示する制度)よりも、化粧品における開示情報が充実しました。

しかし、全成分表示には耳慣れない成分名が多く登場することや、成分の表示順序についての細かなルールが知られていないことなどから、せっかく情報が開示されているにもかかわらず、一般の消費者にはよく理解できないのが現状です。

また、配合目的などをまとめた成分辞書がいくつか出版されていますが、成分によっては複数の働きを持つものも多く、辞書だけでは全成分リストを読み解くことができません。ほかにどのような成分が一緒に使われているのか、成分リストの最初の方に書かれているのか最後の方に書かれているのか、こうした情報によってはじめて、その成分が持つ意味や、肌に対する効果のほどがわかることもあるのです。

全成分リストのどの位置に書かれていて、ほかにどんな成分と一緒に配合されているかを見極め、その化粧品についてより詳しく知る力、そして成分の意味を読み解く力を身につけるのが、「化粧品成分検定」です。
薬事法が改称されました。

薬事法は2001年4月の改正の後、2014年11月25日に「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性等の確保に関する法律」と改称されました。
長い名称なので、厚生労働省は「医薬品医療機器等法」という略称を用いており、本書おいてもこの略称を用いることとします。

成分検定で「ホンモノ」を見極める目を養う

近年のナチュラル・オーガニックトレンドもあり、一般的には「天然物質は善、合成物質は悪」という風潮があるように思います。しかし実際は、天然成分に含まれる不純物でアレルギー反応を起こすこともありますし、逆に50年以上もその安全性が認められている合成物質も数多くあります。
私たち化粧品成分検定協会は、できる限り公正中立な立場で化粧品成分の紹介をしています。インターネットなどに氾濫している根拠の乏しい情報に惑わされることなく、化粧品成分に関して正しい知識を身につけることで、自分の肌と目的に合った本当に必要な「ホンモノ」を見極める力を身につけましょう。

●どんな方に役立ちますか?
お客様への提案の幅を広げたい化粧品販売員やコールセンターオペレーター、その他化粧品・美容業界にお勤めの方、そして化粧品業界に就職したい方におすすめです。
また検定で習得した知識は、敏感肌やナチュラルコスメユーザーの方、子どもに安心な製品を使いたい方など、皆さんの日々の生活でも役立つはずです。

●化粧品成分検定実施要項
知識の範囲
1級/全成分表示を読み解き、第三者にアドバイスができる。
2級/基本的な成分・パッケージ記載内容を理解できる。
3級/日々の生活で役立つ成分知識を手に入れる。
試験方法
1級/会場試験・マークシート・記述方式
2級/会場試験・マークシート方式
3級/公式ホームページ(PC・スマートフォン)で受験
試験時期
1級・2級/年2回(6月、12月)
3級/随時
受験料
1級/10,000円(税別)・2級/6,000円(税別)
3級/無料
申込方法
申込・詳細は化粧品成分検定協会ホームページへ
www.seibunkentei.org
●「化粧品成分スペシャリスト」資格認定
1級・2級検定試験合格者のうち、ご希望の方には公式な資格認定を行っています。

※デザインはイメージです。
品と医薬品医療機器等法の関係
最初に皮膚の構造の図を見てみましょう。

化粧品の広告で「肌の奥まで浸透」という表現が使われることがあります。上の図のような皮膚の構造をイメージできる方なら、「真皮まで浸透するんだ」と連想されるかもしれません。しかし、「肌の奥」という表現が使われる場合は、必ず近くに小さな文字で「角質層まで」と注意書きされているはずです。
私たちの皮膚や毛髪に塗るものは、医薬品医療機器等法(旧薬事法)という日本の法律のもと、「化粧品」「医薬部外品」「医薬品」に分類され、その役割分担が効能・効果の範囲として明確に分かれているからです。
イラスト「化粧品と医薬品の人体に対する作用(IMG_8551.JPG)」省略
・医薬品/厚生労働省によって効能・効果が認可された有効成分が含まれる、病気の治療などを目的とした「薬」。作用が激しいため、医師の指示のもとで量と期間を守って使用しないと危険。
・医薬部外品/治療を目的とする「医薬品」と、人体への作用が緩和な「化粧品」の中間的存在。主に「予防」を目的とする。
※「薬用化粧品」とは、医薬部外品として認められた化粧品のこと。医薬部外品と化粧品では、配合成分の表示方法や表示名なども異なります
・化粧品/人体への作用が穏やかで、髪や皮膚、爪の手入れや保護などに用いられるもの。
化粧品は、人体への作用が緩やかで、誰もが安心して気兼ねなく使用できるものであり、「真皮層への浸透」「シワを消す」「アトピーに効く」「シミが消える」という医薬品のような効能・効果は認可されていません。そのため、このような効能・効果表現を広告に用いることは誇大広告になり、医薬品医療機器等法(旧薬事法)違反で罰せられたり、回収処分となります。
一方で、厚生労働省で効能・効果が認可された成分以外で、例えば美白などの効果が見込める成分が化粧品に含まれている場合でも、広告の表現からはその効果の見極めが難しい、という側面もあります。
いろいろな化粧品成分を知ることで、パッと目に飛び込んでくる広告からだけではなく、全成分表示からもその特性を読むことができ、化粧品がさらに選びやすくなるはずです。
化粧品のパッケージの読み方を学びましょう
化粧品のパッケージには、医薬品医療機器等法(旧薬事法)により、消費者が見やすいよう表示することが義務づけられている内容があります。

パッケージの読み方

①販売名 役所への届出書(医薬部外品の場合は承認申請書)に記載した商品の名称が書いてあります。
いわば正式な製品名で、パッケージの表に書かれている愛称とは異なっていることがあります。
②種類別名称 どんな化粧品なのかわかりやすいよう、化粧品公正取引協議会がつくる種類別名称の一覧から、該当する名称が書かれます。
※販売名に種類別名称を用いた場合は省略可
③内容量 NET=正味という意味。容器または包装材料を含まず、gかmlで表示します。
※10g(ml)以下は省略可
④使用方法 その製品の使用方法、使用量が書いてあります。
※種類別名称を見て消費者が理解できる内容(シャンプー、ハンドクリームなど)であれば省略可)
⑤全成分 表示方法にはルールがあります。(14ページ参照)
⑥使用上の注意 使用者へ、皮膚障害に関する注意喚起のための表示です。
品質保持や誤使用、誤飲を防ぐための、使用・保管・取扱上で留意すべき事項が書いてあります。
⑦製造販売元 この化粧品について、全責任を取る会社の名前が書いてあります。
「製造販売業」という許可を持った会社しか、製造販売元になることはできません。製造販売元は必ず日本の会社でなければならないと、法律で定められています。輸入化粧品の場合、日本法人(○○○ジャパンなど)を設立していることもありますが、中小の海外化粧品メーカーの化粧品は、製造販売業許可を持つ日本の輸入業者が製造販売元となり、製品の責任者となることがほとんどです。
⑧販売元 法律上は記載の義務はありません。例えば、製造販売業許可を持っていない企業がオリジナル化粧品を販売する場合、製造販売業許可を持つ会社に製造を委託するだけでなく、責任者にもなってもらう(製造販売元になってもらう)ことがあります。法律上は製造販売元企業が責任を持つ製品となり、パッケージにも製造販売元として、製造を委託した企業の名前だけが表示されてしまいます。
そこで、法律上は特に意味を持たない「発売元」という欄を設け、ここに自社の名前を書くことで、自社のオリジナル化粧品であることを明確にすることができます。製造販売元は製品の責任者で、発売元は流通の責任者と考えることもできます。
⑨問い合わせ先 化粧品に表示されている事項について、消費者から問い合わせがあった場合、正確且つ速やかに応対できる連絡先を表示します。
⑩原産国名 この化粧品を製造した事業所が所在する国の名称です(国名よりも地域の方が有名である場合は地域名)。
※消費者から見て、明らかに国産品と認識できる製品は省略可
⑪LOT番号 英数字の組み合わせで、同一条件(製造時期、製造工程、製造工場など)で製造された製品を同一の英数字で管理します。
化粧品成分検定協会 (編集)
出版社: 実業之日本社; 改訂新版 (2019/7/9)、出典:出版社HP

全成分表示のルール

化粧品の全成分表示にはルールがあります。
1.すべての配合成分を記載する。
2.配合量が多い順に記載する。
3.配合量が1%以下の成分は、記載順序は自由である。
4着色剤は、配合量にかかわらず末尾にまとめて記載する。

苦手な成分が入っていても使える?
全成分表示に出てくる化粧品成分を各種成分辞書で調べると、その配合目的や効果について書かれています。しかし、実は成分の配合目的や効果は、一つではありません。ほかにどのような成分と組み合わせて配合されたのか、配合量の多い少ないによっても違いが出るので、注意が必要です。
エタノール(24ページ参照)を例に挙げてみましょう。
各種成分辞書には、清涼感や防腐力向上などの働きについて紹介されています。ところが、植物エキスの抽出を目的に使用されることも、よくあるのです。

全成分表示で上位にエタノールが記載されている場合は、清涼感や防腐力向上などの目的で、10%前後の配合量であると解釈します。

1%の目安となる成分よりも後ろにエタノールが記載されている場合(次ページ「0:1%以下の成分はどこから?」参照)は、植物エキスの抽出溶媒さとして使われたものが、エキスとともに化粧品に入ってきたと解釈します。

エタノール過敏症の方は、少量のエタノールにも注意が必要ですが、エタノール配合製品特有の「あのスースーした感じが嫌い」という方は、全成分表示でエタノールが記載されている位置をチェックしましょう。1%以下の配合量であれば、エタノールのスースーした感じはまったくないので、製品の選択肢が広がります。

BG(26ページ参照)も同様に、全成分表示の表示位置によって、配合目的や効果が異なる成分の一つです。

★がついている用語は、176ページ~の用語集に解説があります・18ベージ「本書の読み方」も参照

Q&A

Q:1%以下の成分はどこから?
A:配合量が1%以下の成分を見分けるための目安があります。
これは植物エキス類、ヒアルロン酸Na類、コラーゲン類、防腐剤、増粘剤、酸化防止剤、キレート剤などの機能性成分や安定化成分の位置。これらは、1%以下で十分な効果を発揮するものが多くあります。全成分表示の中でのこれらの位置が、配合量1%の境目の目安になります。

Q:1%以下の配合量でも効果は出るの?
A:1%の配合量でも、その化粧品の使用感を大きく作用したり、効果的に働く成分は多数あります。例えば増粘剤でよく使われるカルボマーやキサンタンガムなどは、1%未満の配合量でも十分にとろみをつけることができますし、防腐剤の多くは1%未満の配合量で防腐効果を発揮します。香料は0.1%にも満たない配合量で、製品に十分な香りをつけます。また、ほとんどの植物エキスも、1%に満たない配合量で効果が期待できます。

Q:使用期限が書かれていなくてもいい?
A:医薬品医療機器等法には「基本的に化粧品は製造または輸入後、適切な保存条件のもとで3年を超えて性状及び品質が安定なものでなければならず、3年以内に変質する恐れのあるものは使用期限を表示しなければならない」とあります。
使用期限の記載は原則必要ですが、輸入・製造後、3年を経過しても性状及び品質が安定であると考えられる製品には、記載不要となっています。

Q:内容量を表す「g」と「ml」は、何を基準に使い分けられている?
A:内容量は、重量(g)や体積(ml)などで示され、粘度が高いものは「g」、低いものは「m」と表示されます。
※主にクリームやジェル状製品、石ケン、固形ファンデーションは「g」、化粧水や香水など、水に近い液状の製品には「ml」が使われます

Q:製造販売元の住所は工場の場所?
A:製造販売元企業には必ず、「総括製造販売責任者」という役割の人がいます。
化粧品の製造や販売がきちんと正しく安全に行われているか、管理監督する責任者です。この総括製造販売責任者が日常的に仕事をしている場所を、製造販売元の住所として書くことが法律で決まっています。何ヶ所も工場を持つような企業の場合、総括製造販売責任者は本社から指示を出して全工場を管理監督することもあるので、製造販売元の住所=工場の住所であるとは限りません。

化粧品の構造

化粧品はさまざまな原料・成分によりつくられますが、全成分表示の上位に書かれている成分は、多量に配合された、その化粧品の土台となる成分だといえます。

化粧品の土台となる成分は「ベース成分」といい、大きく分けて水性成分、油性成分、界面活性剤の三つに分類されます。

ほとんどの化粧品の場合、このベース成分が70~90%を占め、ほかに機能性成分、安定化成分など、その他の成分が加わって構成されています。

●ベース成分
・水性成分/水やエタノール、水を逃さないようにするBG、グリセリンなどの保湿剤などのことです。
・油性成分/オリーブ果実油やミネラルオイル、ミツロウなど、水に溶けず、水分の蒸発を防ぐ成分を指します。
・界面活性剤/水と油の仲を取り持つ成分です。
水に溶けたときのイオン化の種類により、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤の4種に分類されます。

●その他の成分
・機能性成分/化粧品にさまざまな機能をつけ加え、化粧品の特徴となることが多い「美容成分」とも呼ばれる成分のことです。
リン酸アスコルビルMg(ビタミンC)などの美白成分や、レチノールなどのエイジングケア成分があります。
・安定化成分/メチルパラベンなどの防腐剤や、トコフェロールなどの酸化防止剤等、製品の品質向上、品質安定のための成分です。
・その他成分/香料や着色剤などを指します。

本書では、水性成分、油性成分、界面活性剤、機能性成分、安定化成分、その他成分の順に、それぞれの代表的な成分の説明をしていきます。

また後半には、全成分表示例を見ながら、「読み解く練習」をするドリルもあります。

全成分表示を見て、今は何が書いてあるのかよくわからないという方も、本書を読んで勉強し終えるころには、手元の化粧品が「どんな化粧品で」「主にどんな成分でつくられているのか」、大まかに理解できるようになるはずです。

早速、いろいろな化粧品成分を見てみましょう。

本書の読み方

化粧品成分検定協会 (編集)
出版社: 実業之日本社; 改訂新版 (2019/7/9)、出典:出版社HP