試験にココが出る! 消防設備士6類 教科書+実践問題




目次

受験ガイド
重要項目直前チェック

第1章 消防関係法令
第2章 消防関係法令(第6類に関するもの)
第3章 機械に関する基礎知識
第4章 消火器の構造
第5章 消火器の規格
第6章 消火器の点検と整備
第7章 実技試験対策

模擬テスト
索引

ノマド・ワークス (著)
出版社: インプレス (2017/9/15)、出典:出版社HP

防火対象物

ここで学習する用語
・防火対象物・・・火災予防の対象となる山林、川車、繁留中の船舶、建築物その他の工作物もしくはこれらに属する物
・消防対象物・・・消火活動の対象となる山林、滑車、繋留中の船舶、建築物その他の工作物または物件
・特定防火対象物・・・消防法施行令別表第1(1)~(4)項、(5)1項、(6)項、(9)項イ(16)項、(16の2)項、(16の3)項の防火対象物
・複合用途防火対象物・・・・2つ以上の用途に供される防火対象物

防火対象物とは
まず最初の重要な用語として、防火対象物という言葉を覚えてください。防火対象物とは、火災予防の必要上、規制の対象となる建築物のことで、「消防法」という法律で次のように定義されています。

防火対象物
山林または舟車、船きょもしくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物もしくはこれらに属する物。

防火対象物とまぎらわしいものに、消防対象物があります。こちらは次のように定義されています。

消防対象物
山林または舟車、船きょもしくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物または物件。

消防対象物には、消火活動の対象となるものが幅広く含まれるので、建築物以外の「物件」(家具、植木など)も含まれます。防火対象物に関係する、次の用語も頭に入れておきましょう。

関係者
防火対象物または消防対象物の所有者や管理者、占有者をまとめて「関係者」といいます。たとえばテナントビルの場合は、ビルのオーナーが所有者、管理を受け持つ管理会社が管理者、各部屋の入居者が占有者です。

関係のある場所
防火対象物または消防対象物のある場所のことです。

check!○か?×か?
防火対象物とは、山林または舟車、船きょもしくはふ頭に繋留された船舶、建築物その他の工作物または物件をいう。
答え 「または物件」ときたら、消防対象物です。(答え:×)

特定防火対象物とは
防火対象物は、用途によって次ページの表のように分類されます。この表は、消防法施行令という政令の別表第1(略して令別表第1)と呼ばれるもので、この後も繰り返し出てきます。表のうち、色文字で示す用途の建築物を特定防火対象物といいます。特定防火対象物は不特定多数の利用者が出入りしたり、利用者の避難が困難だったりするので、通常の防火対象物より規制が厳しくなっています。

用途
(1) イ劇場、映画館、演芸場または観覧場
口公会堂または集会場)
(2) イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ等
日 遊技場またはダンスホール
 ハ性風俗関連特殊営業を営む店舗等
ニカラオケボックス・ネットカフェ・漫画喫茶等
(3) イ 待合、料理店等
口 飲食店
(4) 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗または展示場
(5) イ 旅館、ホテル、宿泊所等
口 寄宿舎、下宿または共同住宅
(6) イ 病院・診療所・助産所
口自力避難困難者入所施設。
ハその他の社会福祉施設等
二幼稚園または特別支援学校
(7) 小学校、中学校、高等学校、大学、専修学校等
(8) 図書館、博物館、美術館等
(9) イ 蒸気浴場、熱気浴場等
ロイ以外の公衆浴場
(10) 車両の停車場または船舶もしくは航空機の発着場
(11) 神社、寺院、教会等
(12) イ 工場または作業場
ロ 映画スタジオまたはテレビスタジオ
(13) イ 自動車車庫または駐車場
口 飛行機または回転翼航空機の格納庫
(14) 倉庫
(15) 前各項に該当しない事業場(会社などの一般的な事務所)
(16) イ 複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途に供されているもの
ロイ以外の複合用途防火対象物
(16の2) 地下街
(16の3) 準地下街
(17) 重要文化財、史跡等に指定された建造物。
(18 ) 延長 50 メートル以上のアーケード
(19) 市町村長の指定する山林
(20 ) 総務省令で定める舟車

 

ノマド・ワークス (著)
出版社: インプレス (2017/9/15)、出典:出版社HP

特定防火対象物

(1)項イ 劇場、映画館、演芸場または観覧場 項ロ 公会堂または集会場
(2)項イ キャバレー、カフェー、ナイトクラブ等 項ロ 遊技場またはダンスホール 項ハ 性風俗関連特殊営業を営む店舗等 項ニ カラオケボックス、ネットカフェ等
(3)項イ 待合、料理店等 ロ 飲食店
(4)項 百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗または展示場
(5)項イ 旅館、ホテル、宿泊所等
(6)項イ 病院、診療所、助産所 項ロ 自力避難困難者入所施設 項ハ その他の社会福祉施設 項ニ幼稚園または特別支援学校
(9)項イ 蒸気浴場、熱気浴場等
(16)項イ 複合用途防火対象物のうち、その一部が特定防火対象物の用途に供されているもの
(16の2)項 地下街
(16の3)項 準地下街

試験ではこう出る!
次のうち、特定防火対象物のみからなる組合せはどれか。

1映画館、地下街、事務所
2ホテル、共同住宅、デパート
3幼稚園、小学校、図書館
4蒸気浴場、特別養護老人ホーム、保育所

答え 本試験では、特定防火対象物がどれかを答える問題がよく出題されます。
1映画館は(1)項、地下街は(16の2)項の特定防火対象物です。銀行やオフィスビルなどの事務所は(15)項の「前各項に該当しない事業場」に該当し、特定防火対象物ではありません。
2ホテルは(5)項イ、デパート(百貨店)は(4)項の特定防火対象物です。マンション、アパートなどの共同住宅は、(5)項ロに該当するので、特定防火対象物ではありません。
3幼稚園は(6)項ニの特定防火対象物ですが、小学校、図書館はそれぞれ(7)項、(8)項に該当し、特定防火対象物ではありません。
4蒸気浴場は(9)項イ、特別養護老人ホームは(6)項ロ、保育所は(6)項ハに該当する特定防火対象物です。
(答え:4)

令別表第1の詳しい説明
令別表第1の各項のうち、とくに注意が必要なものについて説明しておきましょう。

1病院・診療所・助産所
令別表第1の(6)項イは、病院と診療所、助産所などの特定防火対象物です。「病院」と「診療所」は、入院患者のベッド数などによって区別されますが、令別表第1ではさらに細かく、次の4つに分類されています。

1特定診療科の病院
2特定診療科の診療所(4人以上の入院施設があるもの)
31以外の病院、2以外の有床診療所・有床助産所
4無床診療所・無床助産所

消防設備士の試験では、これら4つを、おおまかに入院施設があるもの(1~3)と、入院施設がないもの(4)とに分けて考えます。

2自力避難困難者入所施設
令別表第1の(6)項ロは、老人ホームなどの社会福祉施設のうち、主に自力で避難するのが困難な人が入所・入居している施設が該当します。具体的には次のような施設です(細かく覚える必要はありません)。

1老人短期入所施設、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、老人短期入所事業を行う施設、小規模多機能型居宅介護施設、認知症対応型老人共同1生活援助施設など
2救護施設
3乳児院
4障害児入所施設
5障害者支援施設、障害者短期入所施設
※避難が困難な要介護者を主として入居させるものに限る。

3その他の社会福祉施設等
(6)項ロに含まれない社会福祉施設等が、(6)項ハに分類されます(こちらも細かく覚える必要はありません)。

1老人デイサービスセンター、軽費老人ホーム、老人
福祉センター、老人介護支援センター、有料老人ホーム、老人デイサービス事業を行う施設、小規模多機能型居宅介護施設など
2更生施設
3助産施設、保育所、認定こども園、児童養護施設、児童自立支援施設、児童家庭支援センター、一時預かり・家庭的保育事業を行う施設など
4児童発達支援センター、情緒障害児短期治療施設、児童発達支援・放課後等デイサービス施設
5身体障害者福祉センター、障害者支援施設、地域活動支援センター、福祉ホームなど
これらの施設も、「宿泊できるもの」と「宿泊できないもの」で規制が異なる場合があります。
※(6)項ロに掲げるものを除く。

4複合用途防火対象物
1つの建物を、複数の用途で使っている場合を複合用途防火対象物といいます。店舗とレストランと映画館が併設された複合商業施設や、いわゆる「雑居ビル」などが、複合用途防火対象物です。複合用途防火対象物の用途の1つに特定防火対象物の用途が含まれている場合は、その建物全体が特定防火対象物(令別表第1(16)項イ)となります。病院に食堂や売店が付属している場合など、複数の用途部分があっても、複合用途防火対象物とみなされない場合もあります。

5地下街、準地下街
公共の地下通路に面して、店舗などが設けられている施設を地下街といいます。これに対し、建物の地階部分を公共の地下通路でつなぎ、地下街を構成している場合を準地下街といいます。地下街も準地下街も、用途にかかわらず特定防火対象物です。
全国に地下街は64か所、準地下街は7か所あります。

○か?×か?
1階が店舗、2階と3階が共同住宅の建物は、特定防火対象物である。
答え 1階が特定用途(飲食店)の複合用途防火対象物なので、特定防火対象物です。
(答え:○)

ノマド・ワークス (著)
出版社: インプレス (2017/9/15)、出典:出版社HP