コンクリート診断士受験対策講座 2020




執筆者一覧

木村 克彦 [工学博士,技術士(建設部門,総合技術監理部門),コンクリ―ト土木学会特別上級技術者(鋼構造およびコンクリート)] 木村技術士事務所/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート企画部会長/土木学会フェロー

毎田 敏郎 [技術士(建設部門),コンクリート診断士,一級構造物診断] 毎田建設企画/C&Rコンサルタント/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,企画副部会長・事務局

篠川 俊夫 [博士(工学),技術士(建設部門),コンクリート診断士,コンクリート技士]
アサノ大成基礎エンジニアリング/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,広報部会長

降矢 良男 [技術士(建設部門),コンクリート診断士] 降矢技術士事務所/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,広報部会副部会長

星野 富夫 [コンクリート診断士,コンクリート主任技士] 土木管理総合試験所/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,会員部会長/JCIフェロー

峰松 敏和 [工学博士,技術士(建設部門),コンクリート診断士,土木学会特別上級技術者(メンテナンス),コンクリート主任技士] テクノミネッツ/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,技術部会長/土木学会フェロー

小野 定 [工学博士,技術士(建設部門総合技術監理部門)コンクリート診断士,土木学会特別上級技術者(メンテナンス),コンクリート主任技士] C&Rコンサルタント/日本コンクリート診断士会副会長/東京コンクリート診断士会,会長/土木学会フェロー

仲田 昌弘 [コンクリート診断士,コンクリート主任技士,1級造園施工管理技士」
新東産業/日本コンクリート診断士会,幹事/東京コンクリート診断士会,財務部会長
(敬称略)

2020年版刊行に当たって

従来,コンクリート構造物はメンテナンスフリーと考えられ,構造物が劣化した場合には事後保全型の維持管理で十分に対応できていた。

しかし,現在では高度成長期に建設された多くの構造物への対応が必要となり,また,社会が少子高齢化するとともに経済的に余裕が少なく,長寿命化などが求められている。そして,社会の変化に対応すべく維持管理にかかわる技術者には,補修・補強に関する技術とともに設計技術や施工技術を含む広範囲で高度な専門的な知識・技術が要求され,さらに倫理観などの資質も求められている。

このような社会的背景があり,コンクリート診断士制度が2001年に日本コンクリート工学協会(現公益社団法人日本コンクリート工学会,JCI)で発足した。最近では国交省の民間資格の技術者資格登録制度の実施など,維持管理に関する資格制度が脚光を浴びてきている。その結果,コンクリート構造物の維持管理にかかわる技術者,とくにコンクリート診断士などの重要性が世の中で認められるようになり,2016年2月にコンクリート診断士は技術者資格登録制度でコンクリート橋,鋼橋およびトンネルで点検・診断業務の担当技術者として登録され従来に増して注目されている。

コンクリート診断士には,上記のように広範囲で高度な知識が求められ,本資格の受験者には「わかりやすく,理解しやすい参考書」が必要となり,この求めに応えるために本書は企画・発刊された。その内容は,①「はじめに」で受験要項,出題傾向他,②Iの「四肢択一式問題講座」では,補修・補強に対して必要な基礎知識,理解度を深める例題他,③Ⅱの「記述式問題講座」では,記述式問題の基礎および解答のコツを例題で,④Ⅲの「四肢択一式問題厳選101問」では,選ばれた練習問題で総仕上げするように構成している。とくに,②ではこれまでの出題箇所を青字で表記して示し,受験準備の便宜を図った。

本書に掲載している問題は,時間がたっても使える,すなわち,基本に焦点を当て選定したので,これらの問題を十分に理解しておけば応用力も養われ,多少ひねった問題が出題されても解けるように工夫している。さらに,計算問題の苦手な受験者のために計算問題をなるべくわかりやすく解けるように「コンクリート診断士受験のための計算・構造問題攻略講座 第3版」を発刊した。

しかし,本書の発刊から4年経過した2016年,構造力学に関する知識を求める問題が増える傾向がでてきたことから,出題傾向を考慮した改訂,厳選問題の入れ替えと追加。記述式問題について「どのような受験準備が必要か」という観点での見直しを行うとともに年度版として発刊することにした。その結果,本書の例題と計算問題攻略講座を含めるとこれまで出題された問題の約30%を網羅することになった。さらには技報堂出版のHPには記述式問題の参考になる模擬問題の解答例などを都度追加し,掲載している。

2020年版の発刊に当たり本書を利用される読者が合格により近づくための有効な利用方法について記しておくので参考にしていただきたい。まず,Iの「四肢択一問題講座」では,①基本的な知識をインプットするために「はじめに」でこれまでの出題傾向ついて確認し,②Iの「四肢択一式問題講座」にあまり時間をかけずに目を通し,このときわからない箇所にマークをしておく。つぎに,③IIIの「四肢択一式問題激戦101問」を解いてみる。解答を確認し,よく理解できた問題(各問の設問,各問4つの選択肢がある)には「OKマーク」をつけ,間違えた問題には「チェック」をし,ヒントを参考に理解を確実にする。これらのトライを少しでもよいので毎日実行していただきたい。

2回目は,チェックマークを入れた問題を解く。そして,全ての問題に「OKマーク」が付くまでで何度か繰返し行う。さらに,最近では「より深い知識」を問う設問が増えており,とくに劣化のメカニズムなどの正確な理解や構造の基礎知識が求められている。これに対応した準備として必要に応じて「コンクリート診断技術(JCI発行)」や「コンクリート標準示方書(土木学会発行)」等のさらに深い理解が求められる。

記述式問題では,2019年度から従来の問題Aがなくなり,問題Bのみとなった。そこで,記述式問題については内容を刷新,とくに試験時により役立つ手法として新たに「構成メモ」について示し,その利用法を例題で示した。例題として概ね過去5年間の問題を掲載している。

記述式問題の解答においては,①自分の手で書く練習をすることが最重要で,②本書にもあるように構成メモから短文作成の練習をする。このときにどのメモから解答を構成するのかについての練習が重要である。とくに,本方法を用いて多くの問題を練習しておけば,記述式問題については十分に対応できると考える。ただし,本書I編のそれぞれの事項について最低限の知識を有していることが条件であることを忘れてはならない。知識がななければ,原因推定使用にも何も始まらない。

今後とも,本書をコンクリート診断士受験のよきパートナーとして活用して少しでも受験準備のお役に立ち,合格に一歩でも近づいていただければ著者として幸いである。

最後に,本書をまとめるにあたり,日本コンクリート工学会のご厚意に出題問題の転載を許可していただいたことに対して厚くお礼申し上げ,さらに本書に対して適切なアドバイスを頂いた技報堂出版の担当者の方々にもお礼申し上げる。

2020年1月
著者

木村 克彦 他 (著)
出版社: 技報堂出版; B5版 (2020/1/15)、出典:出版社HP

はじめに

※内容は変更となる場合がありますので,必ず日本コンクリート工学会の試験案内をご確認下さい。(http://www.jci-net.or.jp/j/exam/shindan/index.html)

また,コンクリート診断士試験の出題傾向の最新版を技報堂出版のホームページよりご覧いたたくことができます。(http://gihodobooks.jp/data/preview/jci_shindan.pdf)

■コンクリート診断士はどんな制度?
「コンクリート診断士」資格は,2001年度に社団法人日本コンクリート工学協会(現,公益社団法人日本コンクリート工学会,以下,日本コンクリート工学会)が設立した制度で,コンクリート構造物の診断や維持管理に関する幅広い知識を持った技術者を養成し,社会に貢献することを目的にしたものである。

■コンクリート診断士とは?(「2020年度コンクリート診断士講習eラーニングおよび試験のご案内」より作成)
コンクリート診断士(診断士という)は,日本コンクリート工学会が実施する講習を受講し,さらに試験によって相応のレベルのコンクリート診断・維持管理の知識・技術ならびに倫理観を保有していると認定され,登録した方に与えられる称号である。またその能力を維持・向上させるために定期的な研修の受講を求められる。法に定められたものではないが,公的機関でも認められ,一部では,工事発注の要件に挙げられるほどコンクリート診断士に対する評価は高まっている。

これまでのコンクリート関連の資格が,新設構造物に使用するコンクリートの設計・製造・施工に主として関わってきたのに対して,診断士は蓄積されている膨大な既存コンクリート構造物を対象とするところに特徴がある。診断士は,その活動によって社会的にも認められ,また国土交通省の技術者資格登録制度においてコンクリート橋,鋼橋,トンネルおよびシェッド・大型カルバートなどの道路土工構造物の「点検・診断業務」の担当技術者として登録され,多くの分野で活躍の場が広がっている。

■受験資格
コンクリート診断士試験を受験できるのは,2020年5月1日において,次ページの表のAまたはBの一つに該当し,かつコンクリート診断士講習eラーニングを受講した者である。当然ながら,コンクリート診断士は,高いモラル・職業倫理を有し,コンクリートに関する知識・経験を十分持っていることが前提となる。

2,020年度コンクリート診断士受験資格

資格または学歴 コンクリート技術関係業務の実務必要経験年数 コンクリート診断士講習
A コンクリート主任技士、コンクリート技士、一級建築士
技術士(建築部門、農業部門、農業土木)
特別上級・上級・1級遠く技術者(土木学会)
RCCM(構造物及びコンクリート)(建設コンサルタンツ協会)
コンkリート構造診断士
(プレストレストコンクリート工学会)
いずれかを登録していること 実務経歴の記入及び
勤務先の照明などは不要
1. コンクリート診断し講習の受講が必須
講習受講修了証は2年間有効2. 2019年度コンクリート診断士講習会終了者は2020年度の受講は免除3. 2018年度以前のコンクリート診断士講習会受講者は再度受講が必要
一級土木施工管理技士または
一句建築施工管理技士
管理技術者資格者証を有すること
B 大学
高等専門学校
コンクリート技術に関する科目を履修した卒業者 4年以上
短期大学
高等専門学校
コンクリート技術に関する科目を履修した卒業者 6年以上
高等学校 コンクリート技術に関する科目を履修した卒業者 8年以上

■イベントスケジュール
コンクリート診断士試験受験のための手続きは,下図の通りである。2020年度の試験より講習会が「eラーニング」に変更となったため,その受講が必要であり,申し込み他の期日も変更になっているので注意を要する。なお,詳細は,「2020年度コンクリート診断士講習eラーニングおよび試験のご案内」を参照されたい。

■合格者の推移
2001年度からの合格者数および合格率は下の下表(10年間分のみ表示)の通りである。2019年度の合格率は15.6%で,概ね14~19%となっており,ここ数年の合格率は約15%である。(詳細は,日本コンクリート工学会ホームページを参照)

年度 受験者数 合格者数 合格率
2010年 5998 1047 17.5
2011年 5640 887 15.7
2012年 4945 818 16.5
2013年 5241 694 13.2
2014年 4990 790 15.8
2015年 5462 806 14.8
2016年 5422 804 14.8
2017年 4922 738 15
2018年 4496 664 14.8
2019年 4243 663 15.6

■コンクリート診断士の役割と活躍
構造物の診断は,中立的な立場で行うことが必要で,構造物の管理者がコンクリート診断士の活用を求めるケースが増えている。とくに,調査・診断業務に従事する技術者にとっては,その能力を証明するものであり,責任ある立場で業務を遂行するためにも必須の資格であると考えられる。このような社会的背景からもコンクリート診断士について国土交通省,都道府県の業務発注および土木学会コンクリート標準示方書では以下のように記述されている。

国土交通省は,建設コンサルタント業務を発注する際に使用する「建設コンサルタント業務等におけるプロポーザル方式及び総合評価落札方式の運用ガイドライン」の平成27年11月改定に際し,技術者の評価における技術者資格等の順位は,設定する資格が技術者資格登録簿に登録がない場合は,①技術士,博士,②RCCM,土木学会認定技術者,コンクリート診断士,土木鋼構造診断士など,技術者資格登録簿に登録がある場合は,①技術士,博士,②国土交通省登録技術者資格,③前記以外のものとしており,コンクリート構造物の維持・修繕に関する業務に適用する技術者資格としてコンクリート診断士が明記されている。

なお,国土交通省の技術者資格登録制度では,施設分野が橋梁(鋼橋)橋梁(コンクリート橋),トンネルおよび道路土工構造物(シェッド・大型カルバート等)の点検・診断業務(計8区分)にコンクリート診断士が登録されている。

また,一部の都道府県発注工事において,下記①,②のようにコンクリート診断士の資格が評価されるようになってきている。例えば,①橋梁,浄水場,汚水処理場等のコンクリート構造物初期点検委託業務の「点検の実施体制」の項には,「コンクリート診断士を有する者を責任者として1名以上配置する」,また「橋梁長寿命化修繕計画策定業務委託」において「コンクリート構造物診断技術者として,コンクリート診断士を必須とする」との記述や明記があり,②簡易プロポーザル方式の補修工事における「技術提案書の特定」をする時の技術者評価において,設計技術者資格(管理技術者),施工技術者資格(主任技術者または監理技術者)に対して,コンクリート診断士の資格がある場合に評価(加点)されている。

総合評価落札方式等における技術資料作成において「コンクリート診断士の資格を評価」と明記されている。(以上,「2020年度コンクリート診断士講習eラーニングおよび試験のご案内」を元に作成)

土木学会2012年度版コンクリート標準示方書(基本原則編)の用語の定義でコンクリート診断士は「コンクリート専門技術者」として記述されている。

また,コントラクターやコンサルタント,構造物の管理者は,それぞれの立場でより良い維持管理に貢献する必要があり,コンクリート診断士は,そのための技術向上,意識の啓発に役立つ資格であるということができる。技術士や土木技術者資格(土木学会)など,さらに上級の資格を目指すための足がかりとなる資格でもある。

コンクリート診断士は,次のような分野で活躍中である。

・コンクリート構造物の調査・診断会社
・コントラクターやコンサルタントのリニューアル部門
・セメントやレディーミクストコンクリート,工場製品などの製造会社
・インフラストラクチャーの管理者
・その他の広範な分野

■どんな知識が求められるか?
診断士はコンクリート構造物の耐久性,とくに劣化を主として診断するので,適正な測定個所の選定等は構造の知識がなくてはならない。コンクリート構造物の劣化診断を行うために必要な知識・技術を試験項目に対応して下表に示す。なお,コンクリートの基礎知識はベースとして必要である。また,最近では点検・診断に必要なコンクリート構造物の構造的な知識も求められるようになってきた。さらに,これらに関する一般的な知識と理解力等が筆記試験で問われる。

試験で問われる項目と内容

■出題形式は?
コンクリート診断士試院の出題形式は,下表に示すように四肢択一式問題と記述式問題である。なお,コンクリート診断士試験の四肢択一問題および記述式問題のそれぞれに足切り点が設定されている。四肢択一問題数および記述式問題の字数は2019年度の実績である。

コンクリート診断士試験
制限時間:3時間
・四肢択一式問題 ・40題
・記述式問題 ・問題1、2から1題を選択
1000字以内

■想定合格ラインは?
想定合格ラインの目安は,四肢択一式問題が60~70%程度で,四肢択一式問題と記述式問題のウエイトは,記述式の方が大きいと想定されている。

■四肢択一式問題の出題傾向と対策
これまでの出題傾向を次表に分類して示す。なお,各分類(分類記号を含む)は筆者による分類であり,それぞれの年度の出題数の合計は,2分野にまたがる場合があるので40題(2010年以前は50題)以上となっている。

最近の5年間の傾向として,調査手法,劣化の評価・判定,対策・補修・補強が幾分多く出題されているが,大分類で見るとほぼ均等に出題されとくに変状,劣化や調査方法に関する原理やメカニズム,構造性能や構造に関する基礎的な知識がないと解けない問題が数年コンスタントに出題されている。19年度は調査や劣化の評価判定,対策・補修・補強に関連する問題が多いようである。

これらの傾向は今後も続くと考えられるので対策が必要である。以下の出題傾向の表で,分類ごとの出題数が,どのような項目についてよく出題されているかの参考にしていただきたい。さらに,2017年度以降の問題では,下記の傾向が認められ,これらに対応した受験準備が必要になる。これらの概要は技報堂出版のホームページを参照されたい。

1. 変状に関する問題(-以降の数字は17~19年度の問題番号で一例を示した)
① 変状の基本的なメカニズムの正確な理解
② 変状原因の正確な理解と共に,さらにメカニズムに関するより深い理解
③ 変状の原因に関する関連する電気・化学的な知識
④ 返上と調査・試験方法の関係の正確な理解

2. 構造に関する問題
① 直接計算するのではなく考え方の理解を求める
② 数式と計算結果を与えて判断を求める
③ 構造力学に関する基礎的な知識の理解と応用

3. 補修・補強に関する問題
対策の選定では,下記の事項が求められている。とくに,③に分類したものの多くは①および②にも関連しているものが多い。
① 各補修・補強工法の特性の適用性,効果などの正確な理解
② 工法選定等に関する基本的事項の理解
③ 各工法の適用箇所の環境を含めた判断
④ 維持管理費用に関する知識

大分類における出題傾向(出題数)

大分類 10~14 2015 2016 2017 2018 2019 合計 最近5年計
変状の種類と原因 112 13 9 11 12 5 162 50
劣化のメカニズム 176 8 16 13 9 11 233 57
調査手法 207 16 18 14 9 17 281 74
劣化の評価・判定 166 20 10 13 14 18 241 75
対策・補修・補修工法 188 14 17 14 13 12 258 70

 

小分類における出題傾向(出題数)

小分類 10~14 2015 2016 2017 2018 2019 合計 最近5年計
名種変状・劣化 141 22 10 11 14 6 204 63
中性化 59 5 6 8 3 3 84 25
塩害 67 6 9 6 2 7 97 30
アルカリシリカ反応 60 2 5 6 3 5 81 21
化学的腐食 36 2 1 3 3 3 48 12
成分溶出・摩耗 15 0 2 1 0 1 19 4
凍害 46 1 1 2 5 4 59 13
疲労 37 2 1 1 3 0 44 7
火災 37 3 1 2 4 3 50 13
構造性能他 25 9 5 3 5 3 50 25
規格・基準類 8 0 2 2 1 2 15 7


分野ごとの出題数(1)

大分類 小分類 01~14 2015 2016 2017 2018 2019 合計 最近5年計
変状の種類と原因 初期欠陥 21 2 1 3 4 2 33 12
ひび割れ・浮き・剥落 50 5 4 5 4 2 70 20
錆汁、エフロレッセンス 13 2 0 2 0 0 17 4
汚れ・すりへり 12 0 1 0 0 0 13 1
たわみ、変形、振動 16 4 3 1 4 1 29 13
劣化のメカニズム 中性化 28 2 3 2 1 1 37 9
塩害 27 2 5 2 0 3 39 12
アルカリシリカ反応 25 1 4 2 1 1 34 9
化学的腐食 22 1 0 2 2 1 28 6
成分溶出、摩耗 10 0 1 0 0 1 12 2
凍害 27 1 1 2 2 2 35 8
疲労 18 1 0 1 1 0 21 3
火災 14 0 1 1 2 2 20 6
複合劣化 4 0 1 1 0 0 6 2
調査手法 調査・測定の基本的事項 25 1 3 2 0 4 35 10
外観 8 2 2 0 0 0 12 4
コンクリート圧縮強度 26 1 1 1 1 1 31 5
ひび割れ・剥離・空洞 29 2 2 2 2 4 41 12
鉄筋・かぶり厚さ・埋設物 17 1 1 1 0 1 21 4
配合・化学成分、微細構造 19 2 0 0 1 3 25 6
自然でんい、分離抵抗、電気抵抗 19 0 4 2 1 1 27 8
中性化深さ 11 2 1 1 1 0 16 5
塩化飲料 11 2 1 1 1 1 17 6
鋼材腐食量 0 0 0 0 0 1 1 1
アルカリシリカ反応 18 1 1 2 1 0 23 5
火災 9 1 0 1 1 0 12 3
環境さよう・荷重作用 6 0 1 0 0 1 8 2
部材の剛性・耐力 9 1 1 1 0 0 12 3
劣化の評価・判定 評価・判定の基本的事項 29 9 1 0 2 1 42 13
中性化 16 1 1 4 1 2 25 9
塩害 25 2 2 2 1 2 34 9
アルカリシリカ反応 17 0 0 2 1 4 24 7
化学的腐食 14 1 1 1 1 2 20 6
成分溶出・摩耗 5 0 1 1 0 0 7 2
凍害 19 0 0 0 3 2 24 5
疲労 19 1 1 0 2 0 23 4
火災 14 2 0 0 1 1 18 4
構造性能 0 4 1 1 1 2 9 9
規格・基準類 8 0 2 2 1 2 15 7


分野ごとの出題数(2)

大分類 小分類 01~14 2015 2016 2017 2018 2019 合計 最近5年計
対策・補修・補強工法 工法規定 59 3 3 1 4 3 73 14
ライフサイクルコスト 6 1 1 1 0 1 10 4
ひび割れ補修工法 12 1 1 1 1 0 15 3
断面修復工法 12 0 4 1 2 1 22 1
含浸材塗布工法 3 2 1 2 0 1 8 5
表面被覆工法 8 1 2 1 0 2 13 5
剥落防止工法 2 0 0 2 0 1 5 3
電気防食工法 13 0 1 1 1 0 18 5
電気化学的補修工法 14 2 0 0 0 0 14 0
補強工法 35 2 1 2 2 1 43 8
補強工法 17 3 2 2 2 2 28 11
維持管理 7 0 1 0 1 0 9 2

 

■記述式問題の出題傾向と実績
○記述式問題は,コンクリート構造物を診断する対応能力を評価するための出題となる。
○建築系の問題I(従来の問題B-1)と土木系の問題II(従来の問題B-2)から選択する。
○最近の出題傾向
・1つの問題に2~3問を設問する形式である。
・図表,写真を示してこれらから読み取る問題が出題される。
○このような問題に対し1000字以内で必要な内容を盛り込み解答する必要がある。
○過去の記述式問題は,構造物の劣化事例が挙げられている。
○塩害,アルカリシリカ反応,凍害が多く,火災事例が建築系で2010年度に初めて出題された。

問題Bの出題実績

問題Bの出題実績ー場所・構造物の表記

■四肢択一式問題の分類と出題分野の実績
これまで出題された四肢択一式問題の分類式問題を右表により分類した。例題および厳選101問にその分類を示したので学習の参考にしてほしい。なお,同一問題に対して複数の分類が該当するものもある。

問題の分類

木村 克彦 他 (著)
出版社: 技報堂出版; B5版 (2020/1/15)、出典:出版社HP

目次

I 四肢択一式問題講座

1章 変状の種類と原因

本章のポイント

1.1 変状の定義
1.2 変状の種類
1.3 初期欠陥
1.3.1 豆板
1.3.2 コールドジョイント
1.3.3 内部欠陥
1.3.4 砂すじ
1.3.5 表面気泡
1.3.6 沈下ひび割れ
1.4.1 ひび割れ発生原因とパターン
1.4.2 耐久性上有害となるひび割れ
1.4.3 ひび割れの発生時期
1.4.4 剥離,剥落
1.5 錆汁・エフロレッセンス
1.5.1 錆汁
1.5.2 エフロレッセンス
1.6 汚れ・すりへり
1.6.1 汚れ
1.6.2 すりへり
1.7 コンクリート構造物の変状
1.7.1 構造物の部材と力学的特性
1.7.2 たわみ
1.7.3 変形
1.7.4 振動
1.8 例題

2章 劣化

本章のポイント

2.1 劣化の種類
2.2 中性化
2.1 劣化のメカニズム
2.2 中性化に伴う変状
2.2.3 劣化を促進する条件
2.3 塩害
2.3.1 劣化のメカニズム
2.3.2 コンクリート中に存在する塩化物の形態
2.3.3 コンクリート中の塩化物の移動
2.3.4 塩害と中性化の複合劣化
2.3.5 塩害に伴う変状
2.3.6 劣化を促進する条件と基準
2.4 鋼材腐食
2.4.1 劣化のメカニズム
2.4. 2腐食形態
2.4.3 鋼材腐食に伴う変状
2.4.4 劣化を促進する条件
2.5 アルカリシリカ反応
2.5.1 劣化のメカニズム
2.5.2 反応性骨材
2.5.3 ASR に伴う変状
2.5.4 劣化を促進する条件
2.6 凍害
2.6.1 劣化のメカニズム
2.6.2 凍害に伴う変状
2.6.3 劣化を促進・抑制する条件
2.7 化学的腐食
2.7.1 コンクリートの侵食物質
2.7.2 劣化のメカニズム
2.7.3 化学的腐食に伴う変状
2.7.4 劣化を促進する条件
2.8 風化・老化
2.8.1 成分溶出
2.8.2 摩耗
2.9 疲労
2.9.1 劣化のメカニズム
2.9.2 疲労に伴う外観的な変状(道路橋床版の場合)
2.9.3 劣化を促進する条件
2.10 火災
2.10.1 外観的な変状
2.10.2 化学的な変状
2.10.3 物理的な変状
2.10.4 劣化のメカニズム
2.11 例題

3章 調査・試験手法

本章のポイント

3.1 調査・試験の目的
3.2 劣化診断のフロー
3.3 調査・試験の種類
3.3.1 書類調査
3.3.2 環境・荷重
3.3.3 たわみ・変形
3.3.4 実構造物の載荷
3.3.5 実構造物の振動
3.3.6 外観調査
3.3.7 詳細調査
3.4 コンクリートの圧縮強度
3.4.1 コアによる圧縮強度試験
3.4.2 反発度法
3.4.3 局部破壊試験
3.5 ひび割れ・浮き・剥離・空洞
3.5.1 ひび割れ
3.5.2 浮き・剥離・空洞
3.6 鉄筋・かぶり厚さ・埋設物
3.6.1 電磁誘導法
3.6.2 電盤波レーダ法
3.6.3 X線透過撮影法
3.7 配(調)合・微細構造・化学成分
3.7.1 配(調)合
3.7.2 化学成分
3.7.3 微細構造:細孔径分布,気泡間隔係数
3.8 鋼材腐食
3.8.1 中性化深さ
3.8.2 塩化物イオン含有量
3.8.3 鋼材腐食量
3.8.4 電気化学的測定法
3.9 アルカリシリカ反応(ASR)
3.9.1 ASRの疑いのある構造物の調査項目
3.9.2 アルカリ量
3.9.3 反応性鉱物の有無の試験方法
3.94 骨材のアルカリシリカ反応性
3.9.5 残存膨張量
3.10 火災
3.10.1 調査概要
3.10.2 受熱温度の推定方法
3.11 例題

4章 予測・評価・判定

4.1 基本的考え方
4.2 構造物の要求性能
4.3 変状が構造物の要求性能に及ぼす影響
4.4 初期欠陥と構造物の要求性能の関係
4.5 各劣化メカニズムに共通する判定方法
4.5.1 材料強度の判定方法
4.5.2 鋼材腐食に関するひび割れの評価
4.6 ひび割れ
4.7 中性化
4.8 塩害
4.9 アルカリシリカ反応(ASR)
4.10 凍害
4.11 化学的腐食
4.12 疲労
4.13 風化・老化
4.13.1 成分溶出
4.13.2 摩耗
4.14 火災
4.15 構造性能
4.15.1 概要
4.15.2 たわみ・変形
4.15.3 振動
4.16 例題

5章 対策・補修・補強

5.1 対策の基本的考え方
5.2 補修・補強の定義
5.3 補修工法の概要
5.4 補強工法の概要
5.5 変状および劣化の種類と対策
5.5.1 対象とする劣化の種類
5.5.2 初期欠陥の補修
5.5.3 ひび割れの補修
5.5.4 ひび割れに伴う成分溶出など変状の補修
5.5.5 中性化の補修・補強
5.5.6 塩害の補修・補強
5.5.7 ASRの補修・補強
5.5.8 凍害の補修・補強
5.5.9 化学的侵食の補修・補強
5.5.10 疲労の補修・補強
5.5.11 風化・老化の補修・補強
5.5.12 火害の補修・補強
5.6 各種補修工法
5.6.1 ひび割れ補修工法
5.6.2 断面修復工法
5.6.3 表面保護工法
5.6.4 電気化学的防食(補修)工法
5.7 各種補強工法
5.7.1 各種工法の適用部位と補強目的
5.7.2 増厚工法
5.7.3 巻立て工法
5.7.4 接着工法
5.7.5 外ケーブル工法
5.8 補修補強材料の性質・性能
5.8.1 補修材料
5.8.2 補強材料
5.9 補修補強後の維持管理
5.9.1 補修後の維持管理
5.9.2 補強後の維持管理
5.9.3 ライフサイクルコスト
5.10 例題

6章 技術・基準類の変遷

6.1 材料変遷
6.1.1 コンクリート用材料の国内使用開始時
6.1.2 材料に関するJISの変遷
6.1.3 主な材料の生産量の変遷と着目事項
6.2 コンクリート製造・施工技術の変遷
6.2.1 概説
6.3 基準類の変遷
6.3.1 設計基準強度
632 塩化物イオン量の規制(塩害対策)の変遷
6.3.3 アルカリシリカ反応に関する規定の変遷
6.3.4 レディーミクストコンクリート(JIS A 5308)の変遷
6.3.5 鉄筋コンクリート用棒鋼(JIS G 3112)の変遷
6.3 例題

Ⅱ 記述式問題講座

1章 記述式問題の出題傾向の整理

1.1 記述式問題の基本
1.2 出題傾向と実績

2章 記述式問題の対策

2.1 解答のポイント
2.2 これまでの出題傾向
2.3 問題の要因別キーワードの整理
2.4 問題構造の分析と解答の手順.

3章 解答作成

3.1 記述式問題解答の留意点
3.2 記述式問題解
3.3 記述式問題解

4章 演習

4.1 問題の演習-1[2019問題I] 4.1.1 [2019問題1]
4.1.2 2019問題I構成メモ
4.1.3 2019問題1解答例
4.2 問題の演習-2[2019問題Ⅱ]
4.2.1 [2019問題Ⅱ] 4.2.2 2019問題I構成メモ
4.2.3 2019問題I解答例
4.3 問題の演習-3[2018問題B-1] 4.3.1 [2018問題B-1] 4.3.2 2018問題B-1構成メモ
4.3.3 208問題B-1解答例
4.4 問題の演習-4[2018問題B-2] 4.4.1 [2018問題B-2]
4.4.2 2018問題B-2構成メモ
4.4.3 2018問題B-2解答例
4.5 問題の演習-5[2017問題B-2] 4.5.1 [2017問題B-2] 4.5.2 2017問題B-2構成メモ
4.5.3 2017問題B-2解答例
4.6 問題演習-6[2016問題B-1] 4.6.1 [2016問題B-1] 4.6.2 2016問題B-1構成メモ
4.6.3 2016問題B-1解答例
4.7 問題)演習-7[2016問題B-2] 4.7.1 (2016問題B-2)
4.7.2 2016問題B-2構成メモ
4.7.3 2016問題B-2解答例
4.8 問題の演習-82015問題B-1
4.8.1 [2015問題B-1] 4.8.2 2015問題B-1構成メモ
4.8.3 2015問題B-1解答例
4.9 問題演習-9[2015問題B-21] 4.9.1 [2015問題B-2] 4.9.2 2015問題B-2構成メモ
4.9.3 2015問題B-2解答例

Ⅲ 四肢択一式問題厳選101問

厳選問題101問
四肢択一式問題厳選101問解答

木村 克彦 他 (著)
出版社: 技報堂出版; B5版 (2020/1/15)、出典:出版社HP