スッキリわかる 建設業経理士1級 財務諸表 第2版 (スッキリわかるシリーズ)
はしがき
大切なのは基本をしっかりと理解すること
建設業経理士1級は、財務諸表・財務分析・原価計算の3科目で実施されます。なかでも財務諸表の合格率は平均20%であり、原価計算や財務分析に比べると、その難易度はやや高めです。しかし、難易度が高いからといって、難問が解けなければ合格できないというものでもありません。ここで大切なのは、基本的な問題を落とさないということです。
そこで本書では、合格に必要な知識を基礎からしっかりと身につけることを目標とし、合格に必要なポイントを丁寧に説明しています。
特徴1 読みやすく、場面をイメージしやすいテキストにこだわりました
1級財務諸表の試験範囲は非常に広いため、効率的に学習する必要があります。そこで、1級初学者の方が内容をきちんと理解し、最後までスラスラ読めるよう、やさしい、一般的なことばを用いて、専門用語等の解説をしています。
さらに、取引の場面を具体的にイメージできるように、2級でおなじみのゴエモン(キャラクター)を登場させ、みなさんがゴエモンと一緒に取引ごとに会計処理を学んでいくというスタイルにしています。
特徴2 準拠問題集を完備
テキストを読んだだけでは知識を身につけることはできません。テキストを読んだあと、問題を解くことによって、知識が定着するのです。
そこで、テキストのあとに必ず問題を解いていただけるよう、本書に完全準拠した「スッキリとける問題集 建設業経理士1級財務諸表」を準備しました。
2級以上の合格者は公共工事の入札に関わる経営事項審査の評価対象となっています。本書を活用することで読者のみなさんがいちはやく建設業経理検定に合格され、日本の建設業界を担う人材として活躍されることを願っています。
2016年2月
・第2版刊行にあたって
連結財務諸表に関する会計基準の改定にともない、用語の変更などを行っております。
建設業経理士1級の学習方法と合格まで
1. テキスト『スッキリわかる』を読む
まずは、テキスト(本書)を読みます。
テキストは自宅でも電車内でも、どこでも手軽に読んでいただけるように作成していますが、机に向かって学習する際には、鉛筆と紙を用意し、取引例や新しい用語がでてきたら、実際に紙に書いてみましょう。
また、本書はみなさんが考えながら読み進めることができるように構成していますので、ぜひ答えを考えながら読んでみてください。
2. テキストを読んだら問題を解く!
問題集 2簿記は問題を解くことによって、知識が定着します。本書のテキスト内には、姉妹本『スッキリとける問題集 建設業経理士1級財務諸表』内で対応する問題番号を付していますので、それにしたがって、問題を解きましょう。
また、まちがえた問題には付箋などを貼っておき、あとでもう一度、解きなおすようにしてください。
3. もう一度、すべての問題を解く!
上記1、2を繰り返し、本書の内容理解に自信がもてたら、本書を見ないで「スッキリとける問題集』の問題をもう一度最初から全部解いてみましょう。
4. そして過去問題を解く!
「スッキリとける問題集』には、本試験レベルの問題も収載していますが、本試験の出題形式に慣れ、時間内に効率的に合格点をとるために同書の別冊内にある3回分の過去問題を解くことをおすすめします。
なお、別売の過去問題集*には10回分の過去問題を収載しています。
* TAC出版刊行の過去問題集
・「合格するための過去問題集 建設業経理士1級 財務諸表」
建設業経理士1級はどんな試験?
1. 試験概要
主催団体 | 一般財団法人建設業振興基金 |
受験資格 | 特に制限なし |
試験日 | 毎年度 9月・3月 |
試驗時間 | 財務諸表 9:30~11:00 財務分析 12:00 ~ 13:30 原価計算 14:40~16:10 |
申込手続き | インターネット・郵送 |
申込期間 | おおむね試験日の3ヵ月前より1ヵ月 ※主催団体の発表をご確認ください。 |
受験料 (8%税込) |
1科目:7,410円 2科目同日受験:10,600円 3科目同日受験:13,680円 ※別途申込書代金、もしくは決済手数料として310円が必要となります。 |
問合せ | 一般財団法人建設業振興基金 建設業経理検定試験センター URL: http://www.keiri-kentei.jp/ |
2. 配点(財務諸表)
過去5回はおおむね次のような配点で出題されており、合格基準は100点満点中70点以上となります。
第1問 | 第2問 | 第3問 | 第4問 | 第5問 | 合計 |
20点 | 14点 | 18点 | 12点 | 36点 | 100点 |
3. 受験データ(財務諸表)
回数 | 第14回 | 第15回 | 第16回 | 第17回 | 第18回 |
受験者数 | 1,578人 | 1,599人 | 1,490人 | 1,620人 | 1,635人 |
合格者数 | 384人 | 403人 | 400人 | 405人 | 302人 |
合格率 | 24.3% | 25.2% | 26.9% | 25.0% | 18.5% |
財務諸表、財務分析、原価計算の3科目すべてに合格すると、1級資格者となります。科目合格の有効期限は5年間です。
CONTENTS
はしがき
建設業経理士1級の学習方法と合格まで
建設業経理士1級はどんな試験?
会計の基礎編
第1章 企業会計の分類と目的
CASE1 企業会計の分類と目的
CASE2 会計公準
CASE3 企業会計原則の基礎
第2章 発生主義会計
CASE4 発生主義会計
第3章 建設業における収益・費用
CASE5 工事代金を受け取ったときの処理
CASE6 売上高と売上原価① 1年目の決算
CASE7 売上高と売上原価② 2年目以降の決算
CASE8 完成・引渡時の処理
CASE9 工事収益・工事原価の計算
CASE10 販売費及び一般管理費
CASE11 営業外損益
CASE12 特別損益
資産・負債・純資産編
第4章 資産・負債会計総論
CASE13 資産と負債の意義
CASE14 流動・固定の分類
CASE15 資産の分類
CASE16 負債の分類
CASE17 取得原価主義
CASE18 費用配分の原則
CASE19 資産・負債科目の表示
第5章 現金預金と金銭債権一
CASE20 現金の範囲
CASE21 預金の分類
CASE22 貨幣の時間価値
CASE23 金銭債権と営業債権
CASE24 貸倒引当金を設定する際の債権の区分
CASE25 一般債権の貸倒見積高の算定方法
CASE26 貸倒懸念債権の貸倒見積高の算定方法①
CASE27 貸倒懸念債権の貸倒見積高の算定方法②
CASE28 破産更生債権等の貸倒見積高の算定方法
第6章 有価証券
CASE29 有価証券の分類と表示
CASE30 有価証券を購入したときの仕訳
CASE31 有価証券を売却したときの仕訳
CASE32 売買目的有価証券の評価
CASE33 満期保有目的債券の評価
CASE34 子会社株式・関連会社株式の評価
CASE35 その他有価証券の評価① 全部純資産直入法
CASE36 その他有価証券の評価② 部分純資産直入法
CASE37 時価を把握することが極めて困難と認められる有価証券の評価
CASE38 強制評価減と実価法
第7章 デリバティブ取引
CASE39 デリバティブ取引とは?
CASE40 金利スワップ取引
CASE41 ヘッジ会計
第8章 棚卸資産
CASE42 棚卸資産の数量計算
CASE43 払出単価の計算
CASE44 棚卸資産の評価
第9章 有形固定資産
CASE45 有形固定資産を取得したときの仕訳
CASE46 有形固定資産の減価償却①
CASE47 有形固定資産の減価償却②
CASE48 総合償却を行ったときの処理
CASE49 耐用年数の変更
CASE50 期中に固定資産を売却したときの仕訳
CASE51 固定資産を除却したときの仕訳
CASE52 固定資産を買い換えたときの仕訳
CASE53 固定資産が火災で滅失したときの仕訳
CASE54 取替資産の会計処理
CASE55 減損会計とは?
CASE56 減損損失の認識
CASE57 減損損失の測定
第10章 リース取引
CASE58 リース取引とは?
CASE59 ファイナンス・リース取引の問題の解き方
CASE60 オペレーティング・リース取引の会計処理
第11章 無形固定資産と繰延資産
CASE61 無形固定資産を取得したときの仕訳
CASE62 無形固定資産の償却
CASE63 ソフトウェア制作費の処理
CASE64 株式交付費(繰延資産)を支出したときの仕訳
CASE65 繰延資産の償却
第12章 引当金
CASE66 引当金とは?
CASE67 工事損失引当金の設定
CASE68 工事損失引当金の取崩し
第13章 退職給付引当金
CASE69 退職給付債務の計算
CASE70 勤務費用と利息費用
CASE71 掛金の拠出と年金資産
CASE72 期待運用収益と年金資産
CASE73 退職一時金を支給したときの仕訳
CASE74 退職年金が年金基金から支給されたときの仕訳
CASE75 数理計算上の差異
第14章 社債
CASE76 社債を発行したときの仕訳
CASE77 社債の利払時の仕訳
CASE78 社債の決算時の仕訳
CASE79 社債を償還したときの仕訳① 満期償還
CASE80 社債を償還したときの仕訳② 買入償還
第15章 純資産(資本)
CASE81 株式会社とは?
CASE82 純資産の部
CASE83 申込証拠金を受け取ったときの仕訳
CASE84 払込期日の仕訳
CASE85 剰余金を配当・処分したときの仕訳
CASE86 利益準備金の積立額の計算
CASE87 株主資本の計数変動
CASE88 自己株式を取得したときの仕訳
CASE89 自己株式を処分したときの仕訳
CASE90 自己株式を消却したときの仕訳
CASE91分配可能額の計算
CASE92 新株予約権を発行したときの仕訳
CASE93 新株予約権の権利行使があったときの仕訳
CASE94 新株予約権の権利行使があったときの仕訳
CASE95 新株予約権の権利行使期間が満了したときの仕訳
CASE96 新株予約権付社債とは?
CASE97 新株予約権付社債を発行したときの仕訳(区分法)
CASE98 新株予約権付社債の権利行使があったときの仕訳(区分法)
CASE99 新株予約権付社債の権利行使期間が満了したときの仕訳(区分法)
第16章 決算
CASE100 決算における処理① 引当金
CASE101 決算における処理② 減価償却
CASE102 決算における処理③ 退職給付引当金
CASE103 決算における処理④ 完成工事原価
第17章 税効果会計
CASE104 税効果会計とは?
CASE105 棚卸資産の評価損
CASE106 棚卸資産の評価損
CASE107 貸倒引当金の繰入限度超過額
CASE108 減価償却費の償却限度超過額
CASE109 その他有価証券の評価差額
CASE110 繰延税金資産と繰延税金負債の表示
その他の論点編
第18章 企業結合
CASE111 合併の処理
CASE112 株式交換の処理
CASE113 株式移転の処理
第19章 連結会計
CASE114 連結財務諸表とは?
CASE115 支配獲得日の連結① 基本パターン
CASE116 支配獲得日の連結② 部分所有の場合
CASE117 支配獲得日の連結③ 投資消去差額が生じる場合
CASE118 支配獲得日の連結④ 評価差額が生じる場合
CASE119 支配獲得日後1年目の連結① 開始仕訳
CASE120 支配獲得日後1年目の連結② のれんの償却
CASE121 支配獲得日後1年目の連結③ 子会社の当期純損益の振替え
CASE122 支配獲得日後1年目の連結④ 子会社の配当金の修正
CASE123 支配獲得日後2年目の連結
CASE124 内部取引高と債権債務の相殺消去
CASE125 未実現損益の消去 期末棚卸資産
第20章 共同企業体会計
CASE126 共同企業体(JV)の成立
CASE127 共同企業体(JV)の会計処理①
CASE128 共同企業体(JV)の会計処理②
第21章 外貨換算会計
CASE129 外貨建取引① 前渡金の支払時の仕訳
CASE130 外貨建取引② 輸入時の仕訳
CASE131 外貨建取引③ 決済時の仕訳
CASE132 決算時の換算
CASE133 外貨建売買目的有価証券の換算
第22章キャッシュ・フロー計算書
CASE134 キャッシュ・フロー計算書とは?
CASE135 営業活動によるキャッシュ・フロー① 間接法
CASE136 営業活動によるキャッシュ・フロー② 直接法
CASE137 投資活動によるキャッシュ・フロー
CASE138 財務活動によるキャッシュ・フロー
さくいん