24週間で独学合格!公認会計士試験マル秘学習法




■はじめに

本書を手に取って頂きありがとうございます。本書は2009年公認会計士試験でわずか24週間(約5カ月半)の独学で一発合格した,私の勉強法を詳細に紹介させて頂いたものです。本書を手に取って頂いている方には説明するまでもないと思いますが,公認会計士試験は最難関試験の1つと言われています。予備校に通い,長期間勉強をして,何度か受験してようやく合格するというのが典型的な受験生の姿でした。予備校の講座を見ても,1.5年コースや2年コースといったものがメインですし,もちろん,一度の受験で合格する人は少数ですから,合格まで3年~5年とかかってしまう人がざらにいます。事実,日本公認会計士協会近畿会が2008年度の公認会計士試験合格者2,946名を対象にアンケートを行った結果によると,合格までの受験回数1回が21%,2回が27%,3回が22%となっています。また,同東海会が2007年度,公認会計士試験合格者2,586名を対象に行ったアンケートの結果によると,1回16%,2回27%,3回25%となっています。中央値が3回となっていますので,1回目の受験を学習開始後ちょうど1年目だとしても半分以上の人が3年以上かかっていることになります。慶應義塾大学や早稲田大学に通う学生でも合格まで平均3年間か

日本公認会計士協会近畿会FAQ(2008年度アンケート) https://www.jicpa-knk.ne.jp/accountant/accountant04.html
日本公認会計士協会東海会(2007年度アンケート) http://www.jicpa- tokai.jp/will/index.html

かると聞いたこともありますし,私が通っていた東京大学の学生でも何回も落ちてしまう人がいます。そのような難易度の高い試験にも関わらず,私は24週間の独学で合格しました。もちろん,一発合格です。学習期間を年に直すと約0.46年です。

◆学習内容はブログに全て記録していた
「公認会計士試験に24週間の独学で合格した」と言われてもなかなか信じることができない人がいるかもしれません。確かに証拠をそろえろと言われると困ってしまうところでもあります。ただ,私は,学習開始時から公認会計士試験を超短期で合格し,その勉強法を出版したいと思っていましたので,勉強を開始した2009年3月1日からの学習記録を全てリアルタイムでブログに記録してきました。このブログを見て信頼性を判断して頂ければと思います。

東大首席会計士の備忘録
http://ameblo.jp/hnakao/

◆資格合格までの期間を決定するのは3つの変数
ここまで読んできて,次のように思う人がいるかもしれません。「24週間の独学で合格したということは納得しよう。しかし,もともと勉強を始める前に知識があったのではないか?」と。なるほど。もっともな疑問です。確かに,もともと会計学や監査論などの素養があれば短期間で合格することも可能であると考えられます。また,筆者だからでたのではないか,という疑問を持つ方もいらっしゃると思います。どのような勉強法を実践すれば半年もかからず公認会計士試験に合格できるのか,と興味を持ってくださっている方もいることでしょう。ここでは,資格試験合格までの期間(合格できるか否かも含む)を決定する3つの変数,すなわち,現状(前知識),合格までの道(勉強方法),道を進む速度(筆者だからできたのかという疑問)について述べていこうと思います。

①勉強開始時に前知識はほとんどなかった
学習開始時の前知識はほとんどありませんでした。私は大学院2年生の時に公認会計士試験を受験しましたが,学部生の時は薬学部に所属しており,遺伝子の研究をしていました。会計とは全く異なる分野です。その後,公共政策学教育部という専門職大学院に進学し,大学院1年生の時に,計量政策の経済評価といった分野を学びました。計量経済学は論文式試験の統計学で役に立ちましたし,公共政策の経済評価は,管理会計論の意思決定会計を理解するのに役立ちました。また,大学院1年生の時にビジネスプランコンテストなどに参加し,そこで会計学の講義を2,3回受けたことがあけたことがあります。私が試験勉強を開始する前に持っていた知識はこれが全てです。日商簿記検定などのために勉強したことはありませんし,もちろん,公認会計士試験合格を以前目指して勉強していたということもありません。超短期合格には前提知識が必要なのではないかと心配している方は,その点については大丈夫です。なお第3章,第4章では,個別科目ごとの学習法を紹介させて頂いていますが,そこで個別科目ごとの前知識について改めて説明させて頂いています。

②筆者だからこそできたのか
話の順番は前後しますが,次は筆者だからこそできたのではないか,という疑問について考えていきたいと思います。この疑問に対する答えは「イエス」でも「ノー」でもあります。

まず,公認会計士試験を24週間で合格するためには,今までの学習経験が必要です。これは間違いないと思います。例えば,野球経験の全くない人が,打ち方を教えてもらったからといって,すぐにプロ野球投手のボールを打てるようになるはずがありません。同じように,今まであまり学習してきた経験がない人が勉強方法を教えてもらったからといって24週間の独学で公認会計士試験に合格できるようになるといえば,いくらなんでも話がうますぎると思いませんか?かくいう私も高校1年生の頃からどうやったら効率的に勉強できるかについて考え続け,今に至っています。少なくとも9年程度は訓練をしてきました。こうした意味では筆者だからこそできたのではないか,という質問に対する答えは「イエス」ということになるかもしれません。

しかし,一方で,自分なりの学習経験がある方にとっては,私と同じような方法で公認会計士試験に超短期で合格することは可能です。もちろん,私と全く同じ環境にいるという人は存在しませんから,各自が自分に合った方法にアレンジすることは必要です。よって,質問に対する答えは「ノー」にもなります。しかし,それ以上に誤解してほしくないことは,本書の目的です。本書の日的は,公認会計士試験勉強法の新たな王道を示すことです。

③魔法のような勉強法は存在しない
人が入認会計士試験合格のために実践してきた勉強法は,極めてベーシックなものです。一言でいえば,『アウトプットを中心とした学習法』です。誰でも魔法のように簡単に公認会計士試験に合格できるようになるものではありません。なぜ私が超短期間で公認会計士試験に合格できたのかというと,その理由はとてもシンプルなものです。王道と考えられる学習法で人の3倍努力したからです。ここでいう努力というのは,勉強することはもちろんのこと,勉強内変を考えること,合格するために必要なことを考えることなどあらゆることにのびます。突然,誰でも簡単に試験に合格できるようになる方法などありません。結局は王道を行くのが一番の近道なのです。予備校に通うという従来の方法とは異なった,もう1つの王道を示すことによって,合格までの道のりに選択の余地ができるのは非常に価値のあることだと思います。諸事情から予備校に通うことができない人,予備校に通ってはいるものの,合格までの道のりが見えなくなってしまう人,反対方向に進んでしまう人もたくさんいるからです。私は24週間でこの新たな王道を駆け抜けましたが,同じように24週間で駆け抜ける必要はありません。道草をくってもいい。ゆっくり歩いてもいい。もちろん,私より足の速い人がいれば,もっと短い期間で駆け抜けてもいい。道を見失わなければ最終的には公認会計士試験に合格することができます。合格を勝ち取るために,是非とも本書の勉強法を自分流にアレンジしながら役立てて頂ければと思います。

◆本書の構成
第1章では,私が公認会計士試験を受験しようと決意するに至った経緯などについて,公認会計士の魅力などにも触れながらご紹介させて頂こうと思います。第2章では,勉強を開始する前に知っておいて頂きたいことについて書かせて頂きます。続く第3章,第4章では,短答式試験,論文式試験にそれぞれ12週間の独学で合格した私の勉強法を詳細に紹介させて頂きます。スケジュール表を掲載するなど,1日レベルで何をやったのかが分かるように書かせて頂いています。本書のメインとなる章ですので,じっくりと読んで頂き,ご自身の勉強に応用して頂ければと思います。学習しなければならない内容については,第3章,第4章で理解して頂けると思いますが,いざ実際に勉強を進めていくことになると色々と迷うこともあると思います。第5章では,学習を進める上でどのようなことに注意したら良いのかについて,ブログでよく頂く質問をもとに書かせて頂きました。第6章は試験当日についてです。いくら実力がついていても試験で実力が発揮できなければ合格することはできません。そこで,試験当日の心構えなどについて書かせて頂きました。論文式試験が終了すると合格発表が行われるより先に,すぐ就職活動が始まります。第7章は就職活動体験記と称して,私が皆さんに伝えたいことについて書かせて頂きました。なお,本書を読んで頂くと,同じようなことが何回か出てくることに気がつくと思います。そのような事項は,私が公認会計士試験の試験勉強をしていた時に常に考えていたことです。出てくる回数が多ければ多いほど,重要であると思って頂ければと思います。

◆全ての情報を公開
本書は,公認会計士受験生の方やこれから受験されることを検討されている方などの少しでもご参考になればと思い,執筆させて頂いた本です。そのため,皆さんのお役に立つと考えた情報は包み隠さず全て公開しています。学習内容についてはもちろんのこと,本試験での成績,本試験での私の実際の答案(web上で公開),かかった費用などについても全て公開させて頂いています。本を書いているのにこの程度の成績か,こんな無駄遣いをしているのか,などと思われてしまうのは覚悟の上です。少しでもお役に立てば幸いです。

◆謝辞
私が公認会計士試験の受験を決意し,勉強を始めてから早くも1年以上が経ちました。勉強を始めるのと同時に書籍の出版を夢見てブログで学習記録をつけ続け,とうとう書籍化の夢が実現しました。思えば,書籍化に至るまで多くの方に支えられてきました。LEC東京リーガルマインドで講師をされている高野博幸先生には,24週間で公認会計士試験に挑戦するきっかけを与えて頂きました。また,書籍化のきっかけを与えてくださったのも高野さんでした。ブログ読者の方々は,試験勉強期間中に励ましの言葉をかけてくださり,私を支えてくれました。また,合格後はブログに対する建設的な意見をくださるなど,ブログのコンテンツ充実,書籍化の実現に向けて大きな力となってくださいました。税務経理協会の宮田英晶様には刊行にあたり大変お世話になりました。再現答案を加えたいという私の要望に出版直前にも関わらず快諾し,web上で公開するという建設的なアイデアを提案して頂きました。最後に,多くの友人。家族が日々,私を支えてくれ,今回の書籍化を祝ってくださいました。やりたいことをやりたいようにやらせて頂けていることに大変感謝しております。皆様に厚くお礼を申し上げます。

平成22年5月10日
中尾宏規

中尾 宏規 (著)
出版社: 税務経理協会 (2010/12/1)、出典:出版社HP

<目次>

はじめに
◆学習内容はブログに全て記録していた
◆資格合格までの期間を決定するのは3つの変数
①勉強開始時に前知識はほとんどなかった
②筆者だからこそできたのか
③魔法のような勉強法は存在しない
◆本書の構成
◆全ての情報を公開
◆謝辞

第1章 受験までの経緯
◆就職活動
◆公認会計士の魅力
①会計・財務への興味
②得意なことが活かせる
③分かりやすい資格である
◆独学か予備校か
◆願書を提出してから勉強を開始

第2章 勉強を始める前に
◆強い目的意識を持とう
◆合格するために必要なこと
①常に楽観的に努力し続けること
②勉強の習慣化と勉強方法
③休養も大切
◆合格への道を示すことが本書の目的
◆学習経験を客観視しよう
◆経験の差を埋める方法
◆家で勉強するか,外で勉強するか
◆電卓はどうするか

第3章 短答式試験12週間合格学習法
(1) はじめに
◆いくらかかるか
◆一般的な得点戦略
◆私の得点戦略
◆スケジュール
◆短答式試験に特化すべきか
◆1日に複数の科目を勉強する
◆1日あたりの勉強時間
◆教材は最新のものを利用しよう
◆公開模試と過去問
◆同じ教材を繰り返し解く
◆教材に書き込みをしても良い
◆ファクト・ベース
◆試験日程の順に学習法を紹介
(2)企業法
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(3) 監査論
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(4) 管理会計論
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(5) 財務会計論(計算)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(6) 財務会計論(理論)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法

第4章 論文式試験12週間合格学習法
(1) はじめに
◆いくらかかるか
◆論文式試験の採点方法
◆私の得点計画
◆12週間のスケジュール表
◆何をしないか
◆法令基準集は必ず用意しよう
◆教材は最新のものを利用しよう
◆公開模試の重要性
◆ファクト・ベース
◆学習時間が推定可能な理由
◆試験日程の順に学習法を紹介
(2)監査論
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(3) 租税法(計算)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(4) 租税法(理論)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(5) 会計学(午前) 管理会計論
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(6) 会計学(午後) 財務会計論(計算)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(7) 会計学(午後) 財務会計論(理論)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(8) 企業法
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法
(9) 選科目(統計学)
◆学習フロー
◆基本情報
◆学習方法

第5章 学習を進める上での注意点
◆情報源はどうするか
◆分からないことがあったらどうするか
◆スケジュールに遅れてしまったらどうするか
◆モチベーションを維持するためにはどうすれば良いのか

第6章 試験当日
◆試験が全て終了してはじめて受験勉強が終了する
◆気持ちに余裕を持って準備をする
◆自信を持つ
◆イメージトレーニング
◆最後の1秒まで諦めない
◆試験を楽しむ

第7章 就職活動体験記
◆就職先
◆論文式試験前に予約が必要
◆厳しい就職状況?
◆しっかりとした志望動機を持つこと
◆公開模試の成績を上げること
◆学生は一般的な就職活動をしていると役に立つ
◆私の就職活動

■再現答案(付録)について
■あとがき

中尾 宏規 (著)
出版社: 税務経理協会 (2010/12/1)、出典:出版社HP